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「昨日 (Hier)」  アゴタ・クリストフ  早川書房   ~読み終わりました~  

2004年12月22日 | ’04年12月読書日記
昨日の夜、読み終わりました。
主人公が捜し求め、そして出会えたと思っていた{リーヌ}と言う女性は
(実はおなじ国出身の幼なじみなのですが)
彼の頭の中の幻想に過ぎなかったんですね。
彼女がいれば、(そして自分のもとに来て一緒に暮らせれば)全てがばら色になるなんて。
そんな人、いませんよ。
世の中にそんな人、いるわけありませんよね。
自分を完璧に幸せにしてくれる他人なんて、いません。

第一、完璧な幸せなんて、ありえませんよね。
完璧を求めたら、自分が苦しくなって、病気になってしまうだけです。

デビット・バーンズ博士(アメリカの精神科医、【いやな気分よさようなら】と言う彼の著作を読んで、感動しました。彼は、私の尊敬する人になりました)
もおっしゃってます。

「中ぐらいであれ!」


主人公の彼は、長い付き合いだった「ヨランド」と言う女性と最後に結婚します。
付き合っているときには、表面上は優しく接して、その実心の中では散々彼女の事を悪く言っています。

 …ヨランドのようなタイプはこの世には無数にいる。美しくて,金髪で、多かれ少なかれおろか な女たち。そのうちの一人を選び、付き合う。しかし、ヨランドのようなタイプは孤独を埋めて はくれない。…(p53)


付き合っている最中は、彼はリーヌに夢中で、ちっとも彼女を大切にしていないのですが。
結婚後、彼は言います、{私の妻ヨランドは、模範的な母親だ。}

自分の幸せは、非現実的なほど完璧ではないが、現実的なものであると、主人公は思っているはずですね。
…と、私は思いたいです。
最後に彼はやっと、不幸な過去を清算できた…のでしょう。
完璧ではないけれども、…ですが。





さあ、さあ!
今日は図書館へ行って、「面白おかしい本」をさがしてきますよ!!


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