遠藤雷太のうろうろブログ

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ELEVEN NINES『十二人の怒れる男』

2018-08-19 00:47:26 | 演劇を見てきた

2018/8/17

・12人の陪審員たちが怒鳴り合いながら少年の有罪無罪を議論する話。

・舞台装置すごい。かでるの舞台の原形が残ってない。

・近くのお客さんが「プロレスのリングやん」って言ってた。抜き身の感情をぶつけ合う場。まさに。

・冒頭から役者間の緊張感がすさまじい。会話に無駄な間がほとんどない。鼻をすする音や足をタンタン鳴らす音まで計算に入っているように見える。演技というより演奏のよう。

・喋らない人の立ち位置とか、給水のタイミングとか、それぞれ存在の立て方と消し方が本当にうまい。

・タイトルどおり、色んな演技の引き出しを開けて怒っている。日常生活だと、怒鳴る大人を長時間直に見続けることはそんなにないので、見る側も結構体力を使う。

・不快なのは話し方なのか話の内容なのかは結構大事なポイントだと思うけど、この作品ではこのへんわりと直接的につながっている。

・「あいつらは簡単に人を殺すんだ」と主張している人がまさに簡単に人を死に追いやろうとしているところは、時代や場所が違っても通じる普遍的な構造。

・「十二人~」の名シーンと言えば、第一○号の差別的な演説で他の陪審員が一人ずつ彼に背を向けていくところ。

・ただ、今回はそのシーンはなくなっていて、ほかの十一人は椅子に座ったまま、彼の演説を聞く。

・映画の演出なのかと思ってあとで市販の戯曲を確認してみたら書いてあった。

・あそこは他の人が態度で「拒否」を示すことが大事なのかなと思ったけど、どういう意図だったんだろう。

・演出と脚本の一番派手なところをカットして役者さんの演技力勝負にしたかったのかなと思ったり。

・好きなシーンだったので「スポンジと生クリームに目茶目茶こだわったから、イチゴはのせません」と言われた気分。

・ただ、そういう要素も新しいチャレンジなんだし、たぶん若い役者さんが「いつか自分も」と思える志の高い舞台なのはたしか。

・この企画を立ち上げて、高いレベルで実現し、かつ続けていることがすごい。

・女性向けにもこういう戯曲があったらいいんだけど、なかなかそううまいことハマる作品はなさそう。

・最後の守衛の一音「へ?」でほっとする。いいガス抜き。

・でも、世間の人を代表した反応なんだろうから、本当のラスボスは彼に象徴される世間なんじゃないかと思ったりもする。

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