2024/10/2
キン肉マンの世界で起きる超人殺人事件に対して、ミートくんが真犯人を突き止めようと推理する話。
一応、ジュニア向けの推理小説の体を取っていて、真相が明かされる前には、神様的な存在からの状況整理とヒントが提示される。
なので、最初は考えればわかるものだと真面目に犯人を予想していたが、真相が明かされると「そんなもんわかるか!」という気持ちになり、後半はそこまでがんばらないようにして読む。
そもそも超人の設定がデタラメで、巨大化、透明化、瞬間移動は当たり前、あげく超人は殺されても生き返らせることができる。明らかに推理小説向きではない。
被害者は殺されるとき律義に断末魔あげるし、主語がなくても笑い声で誰が喋っているのかわかる。
普段読んでいる小説と全然違う。
そんな一見ぶっ壊れたような世界観の中でもどうにか成立する秩序を抜き出し、それっぽく理屈でまとめる筆者の手腕と原作愛がすばらしい。血盟軍とレオパルドンの絡みは白眉。
もしかしたら、マジック・リアリズムってこういうことなのかもしれない。