2024/2/22
・父親や夫に虐げられながら生きてきたセリーが、いくつかの出会いを経て、自分の居場所を見つける話。
・場所はアメリカの海岸沿いにある田舎町。1909年から40年くらいの長期間の話。
・登場人物のほとんどが黒人なので人種的な差別は少ないが、とにかく女性の地位が低すぎる社会。
・差別される側の人間が差別しないわけではないという、当たり前のことが再確認できる。
・若い女性が問答無用で連れていかれるのは、知識としてそういう時代なのはわかっていても、実際に生身の人間同士のやり取りを見ると、相当キツい。
・姉妹が仲良しなのでより悲劇性が増す。妹側の視点でもうひとつ話が作れそう。
・人種差別描写が少ないと言っても、とても印象的な場面で出てくるので、これはこれで厳しい。
・ソフィアの変遷がすばらしい。絶望から復活のところがシーンとして強すぎる。
・ミュージカルなんだけど、問答無用に高揚させるような感じではなかった。
・虐げる人間が虐げられる人間に身を託せるの、一体どういう精神構造しているんだろう。
・一緒に寝たり、ひげを剃らせたり、追い詰めた結果、自暴自棄になられたら簡単に致命傷だろうに。
・個人の屈服と抵抗と回復、そして連帯していく様子が、社会における女性が人間性を徐々に回復させていく歴史とシンクロしている。
・悪事の限りを尽くし、後は不幸になるだけだと思われた彼にも、ちゃんと挽回の機会が与えられている。やさしい。変われる人もいる。
・終盤は夫婦というより親子みたいに見える。
・親子と言えば、疎遠になっていることが不自然なくらい、似たようなノリの神父とシュグの父娘。
・厳しさと楽しさがうまく調整されていて、141分という長尺なのに長さを感じなかった。
・悲惨な差別と向き合う話なのに、ここまで身を任せていいのか不安になるくらい。
・最終的にセリーはお店を持てたけど、たまたま運が良かっただけでもある。
・現実には、挽回の機会なく終わってしまった人生もたくさんあることは忘れないようにしたい。
(札幌シネマフロンティア)
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