ルイス・キャロル原作のアリス・シリーズは、子供はもちろん、
大人の為の童話でもありますよね。
『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』そして『地下の国のアリス』
最も有名なのは言うまでも無く『不思議の国のアリス』ですね
冒頭の、土手の上でお姉さんと一緒に座っていたシーンから
うさぎさんの登場により、極自然に不思議の世界へ誘う筆力。。
幼い頃にはなんの気無しに読んでましたが、
大人になって読み返すと改めて「凄いな~。。」と感嘆せずにいられません。
うさぎを追いかけて深い深い井戸の底に向かって落ちていく・・・。
落ちながら、あたりを見回したり通りすがりに棚からビンを取って眺め、
再び途中の棚に突っ込む・・・。
いかにも夢の中でやってそう。。
辿りついた広間から見える世にも美しい庭園。
なのに大きすぎて通り抜けられない・・・。
と、突然目の前に登場するのは「ワタシヲオノミ」と書いたレベル付の小さな壜
この冒頭のシーンは本当に素晴らしいですね。
小さくなってしまってテーブルの上の鍵がどうしても届かない。
再び大きくなり過ぎて、今度はドアがくぐれない。
もどかしさと切なさとで大粒の涙を流して、今度は自分の涙の河に流されて
アップアップするアリスの孤独な冒険の始まりはまさしくミステリーそのもの。。
そして、時計を持って大慌ての白うさぎ、ハンプティ・ダンプティ、チャシャ猫、
公爵夫人とブタの赤ちゃん、ウミガメモドキにグリフォン、
おかしな帽子屋とウカレウサギとのお茶会シーン、
トランプの兵隊達にスペードの女王様等、登場人物の多彩さも
他のどんな小説にも無い、まさにファンタジーの先駆者だと思います。
ラストのおかしな裁判シーンから一転、お姉さんに起されて現実の世界へ・・・。
アリスから夢の一部始終を聞いてお姉さんが想ったこと。。
―――アリスはそんな歳になっても、子供の頃のすなおでやさしい心を
ずうっと保ちつづけるだろう。そしておさない子供たちをあつめては、
いろいろとおもしろいお話をしてやって、子供たちは目をかがやかせて
ききいるだろう。―――
―――そうして話し手のアリス自身、子供たちといっしょになって、
そのたあいのない悲しみに胸いため、またむじゃきな喜びに胸ときめかせ、
そうやって自分自身の子供の頃や、たのしかった夏の日々のことを
なつかしく思いだすだろう―――
なんていうか・・・。深いですねぇ。。
素材提供:AICHAN WEB