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プラムの部屋♪

長い長い休暇中デス。(*_ _) ゴメンナサイ。

春の朝~アンの世界♪

2006-12-20 10:32:57 | 赤毛のアン♪

 ロバート・ブラウニング作 上田敏訳の詩です。

 

あの『赤毛のアン』のラストに、アンが暗誦したことでも有名な詩ですね。

アンは薔薇の花が大好きでした。

春の歓びが溢れているような美しい詩に合わせて

優しいイエローのグラハム・トーマスをお借りしました

なんだかとっても幸せそうじゃありません?^^

 

『赤毛のアン』の中で登場する詩人・・・。

強く印象に残るのはテニスンとブラウニングかな。

多感な少女であったアン達が、テニスンの詩に登場する

麗しの白ゆり乙女と騎士ランセロット、王妃ギネビアとアーサー王に想いを寄せて

舟遊びをするシーンはとても印象的でした。

ここでアンは憎っくきギルバート^^に助けられちゃうのですね

 

アンとギルバート。。この二人の関係は素敵です。

特に『ホテルの音楽会』の章は最高に好きなシーンです。

美しいオーガンディの白いドレスに身を包み、舞台に立つほっそりと優美なアン。

慣れない雰囲気・・・富と教養の雰囲気に圧され、身をすくませるアンでしたが

ふとそこに飛び込んできたギルバートの笑顔。。

アンの美しさに感心して微笑むギルバートですが、

アンにはあざけりの微笑に映るのです・・・

 

ギルバートなどにだれが笑われるようなことをするものか 

 

そして美事な暗誦で拍手喝さい・・・アンコールまでされる・・・。

まさにアンの、この夜の成功はギルバートの存在の大きさを物語ってますね^^

 

美しい詩にはドラマが満ちていて、少女達の心を捉えて離さない魅力があります。

『赤毛のアン』との出会いは、私にとって美しい詩との出会いでもありました。

季節はもう冬ですが 心は春でいたい・・・という想いを込めて。。 

 

  時は春、

  日は朝、

  朝は七時、

  片岡に露みちて、

  揚雲雀なのりいで、

  蝸牛枝に這ひ、

  神、そらに知ろしめす。

  すべて世は事も無し。

 

 追記~いつもご訪問下さる皆様へ

 

この記事は以前書いたものですが、時間の関係上、少々手抜きデス

ご訪問下さった皆様すべてのブログを周ることはちょっと無理そうなので

過去記事を使用しての年末のご挨拶、どうぞ笑って許してやって下さいマセ。

今年一年間、本当に有難うございました。

 

な、なんとブログを始めて早二年目を迎えようとしています。

段々更新頻度も減少している状態ではありますが・・・

細々とでも続けてこれたのは、暖かい皆様の存在あればこそ。。

来年も、これからも、末永くお付き合い頂ければと、心から願ってます。

 

今年一年間、各所で様々な災難が相次ぎ、心を痛めたことも度々でした。

まだまだ解決には程遠い状況の方も多くいらっしゃると思われます。

来年こそ、本当に良い年になるよう、心からお祈り申し上げます。

 

それではちょっと早いですが・・・皆様、良いお年をお迎え下さい

 

素材提供:AICHAN WEB


『茶色の手帖』

2006-10-21 23:20:13 | 赤毛のアン♪

 アン・シリーズ「アンをめぐる人々」の中の1編。

「アンをめぐる人々」の中で、アンとダイアナが登場する唯一の作品です。

 

二人が大好きなミス・ラベンダーが結婚した後―――

そして二人が結婚する前の時代ですから、花も恥らう乙女盛りの頃ですネ。

新しく知り合った人々の一人、年老いたミス・エミリー・リースは

二人を特別に可愛がってくれていました・・・が!

実は二人は、この老婦人が苦手でした

 

大げさに騒ぎたてる、おせっかいな人で、いらぬ世話をやくのが好きなうえ、

機転がきかなかった。そこへもってきて、皮肉な口はきくし、若い人たち

すべてとその恋愛事件に対して敵愾心をいだいている様子だった。

これは自分が一度も恋人を持ったことがないからだと、ダイアナと私は考えた。

 

このミス・エミリーがある日死んでしまうのですが、

アンに小さなトランクを遺していたのですね。

その中に入っていたのは、老婦人が少女の頃に着たであろう

美しいモスリンの服や帯と共に、小さな茶色の手帖でした。

 

そこには若きミス・エミリーの初恋が綴られていたのです。

園遊会における将来有望な画家である青年との出会い。

恋に落ちたミス・エミリーの溢れんばかりの愛情、キラキラ眩い青春の日々、

輝く将来への夢と希望、そして微かな不安・・・そして絶望・・・!

 

「善良な、強い勇敢な人だったのね」

「とても、あの人のように自分を無にすることは、あたしにはできないわ」

 

―――そしてアンが思い出したのはフィッシャーの詩―――

「人生の気まぐれなうわべは目にすれど、かくされた泉は知るよしもなし」

 

小さな茶色い本のうしろにあった色褪せた水彩画―――

大きな青い目の、長く美しい金髪の、可憐な美少女だったミス・エミリーを前に

様々な想いに耽る二人は、とても大切な事を教わった思いだったのでしょう。

 

人との関わり合いって時にはとっても難しい。。

どうしても誤解や気持ちのすれ違いが生じてしまいます。

でもこういう作品に出会うと、フッと思うのです―――

表面にしか見えない態度や言葉に惑わされる事無く、

その人の痛みを理解出来る人間になれたら良いなと。

そして一つ一つのかけがえの無い出会いを大切にしたいなと―――

 

素材提供:AICHAN WEB


『アンをめぐる人々』~セーラの行く道

2006-06-02 12:28:37 | 赤毛のアン♪

 モンゴメリ女史の遺作『アンをめぐる人々』の中から

特に好きな作品についてピックアップしてみます。

その第一弾がこれ。。

 

 この作品のヒロイン・セーラの人となりを知るには、

エバン夫人のこのセリフが一番でしょう^^

 

「ほら、うちに二年もいるあの黒猫を知ってなさるわね?

エバンとわたしははじめから、あれをかわいがっていたんですが、

セーラときたらあの猫が大きらいらしくてね、―――

ところが、しばらく前に、ふとしたことから足を折ってしまったもんで、

わたしらは殺しちまわなくてはと思ったのだけれど、セーラが

なんとしても聞き入れないでね、―――まるで病気の赤ん坊のように

世話してやってるんですよ。猫もいまじゃよくなって、贅沢な暮らしを

してますよ、あの猫は。これがセーラのやり方なんでね。―――」

 

アヴォンリーのアンドリュース家の人々は、

セーラ・アンドリュースとライジ・バクスターを結婚させようと躍起になっており・・・

実際、ライジ・バクスターは誰からも好かれる、出世街道まっしぐらの

まさに模範青年で、一緒になれば将来安泰間違いなし、と大評判

ところが肝心のセーラは言います。

 

「あたしは模範青年なんて好きじゃないの」

「―――いつもお手本として引合いに出されるんですもの。

あの人の美点を一から十まで聞かされるのには、うんざりだわ。

―――こんな欠点のない人間はあたし、癇にさわってしまうわ。―――」

 

そんなある日、バクスター兄弟の事業が大失墜し、

農場も新築の家も何もかも手放さなければならなくなり・・・

その途端、今までライジ・バクスターを褒めちぎっていた人々の

まるで手の平を返したような変貌ぶり。。

ま~人間なんてこんなもんですよね・・・

 

でも・・・いるのです!大衆迎合主義じゃない、奇特な人物も。。

そう。。セーラがまさしくその一人

 

「―――なんでも春になったら西部へ行って、アルバータで土地を買って

百姓を始めるとか聞きましたよ。ライジにゃそれがいちばんいいと思うね。

この辺の者たちはバクスター一族にゃもう、うんざりしたから、

ニューブリッジからあの衆がいなくなりゃせいせいするこったろう」

この、ある夫人の心無い一言がセーラをライジの元へ動かします。

 

「―――だが、僕は正しいふるまいをしてきたんです。人にそうでないと

言われてもそれを信じないでください」

「ほんとうに、あたしは一度だって―――一言も信じなかったことよ!」

 

この後の展開はおそらくご想像通り。

天邪鬼って言ってしまえばそれまでですが・・・

苦境に立った時に支えてくれた人の存在って大きいです。

自分が正しいと信じた道を貫き通す・・・。

理想の生き方ですね。。

 

AICHAN WEB


『アンの友達』~小さなジョスリン

2006-05-15 22:07:21 | 赤毛のアン♪
 モンゴメリ女史の赤毛のアン・シリーズ第三弾『アンの友達』は

アンを取巻くアヴォンリーの人々について綴った短編集です。

どの作品も素晴らしいのですが、中でも極めて好きな作品を抜粋しております。

今回は「小さなジョスリン」

 

心優しいナン叔母さんは、七十歳の夏・・・

ひそかにその夏が、かもめ岬農場における自分の最後の夏になるという

不可思議な狂いのない予感を抱いています。

最後に願う事は唯一つ。。

 

ああ、ただ一度でいいから小さなジョスリンの歌が聞けたら・・・

 

”小さなジョスリン”とは15年前、たったひと夏を共に過ごした13歳だった少女のこと。

現在は立派な大歌手として華やかに活躍するレディです。

愛情に飢えていたジョスリンを大事に慈しみ、育てたことで、

ジョスリンの中にもともと具わっていた溢れんばかりの愛情が開花し、

忘れられない夏を共に過ごしたかわいい少女・・・。

ナン叔母さんは、何年経とうと忘れられないのです。

でも遠く離れた都会で活躍するジョスリンの歌を聞きに行くのは

病弱なナン叔母さんにとっては至難の技。。

しかもちょっと意地悪なウィリアム夫人の冷たい反対によって

どんな手段を持ってしても、外出は不可能。。

 

思わず涙ぐむナン叔母さんを見るに見かねて、雇い人のジョーダンが

密かに考え付いた途方もない計画・・・

ジョスリンをナン叔母さんの元に連れてくる・・・という計画を立てるのです。

見事な邸宅で初めて会ったジョスリンの美しさに圧倒されるジョーダン。。

 

ジョスリン・バーネットは大きな黒い瞳でジョーダンをじっと見た―――

それは多くの苦しみをなめ、多くのことを学び、奮闘のすえ、

勝利をおさめた婦人の目であった。

 

ナン叔母さんの苦境を必死で訴えるジョーダン。。

 

―――あの平和な、美しい、愛情にみちた昔の夏。素朴な、善良な、

誠実な事がらならすべて知っていた、やさしいナン叔母さん。

その瞬間、ジョスリンはふたたび孤独な心飢えた少女に返っていた。

愛情を求めても見出せなかったのを、ナン叔母さんが広い母親の胸に

抱きとり、はじめて愛情というものを教えられたのであった。―――

       ―――――――――――――――

「おれが汽車にまにあうように、あんたをケンジントンへ連れ戻しますよ」

―――「まいりましょう」

 

も~。。この作品もこの辺りから涙腺が緩みっぱなし・・・。

ナン叔母さんの寝台のそばに夕日を浴びて立ち、

世にも麗しい歌声を響かせるジョスリンの歌は

多くの聴衆を前に歌ったどの時よりも美事だったそうで・・・

たった一人の大切な恩人の為に、魂を込めて歌い上げるジョスリンと

その歌を幸せそうに聞き入るナン叔母さんの姿を想像するだけで

胸がいっぱいで・・・涙が溢れてしまうのです。。

 

素材提供:AICHAN WEB


『アンの娘リラ』

2006-02-26 00:03:21 | 赤毛のアン♪

 モンゴメリー女史の赤毛のアン・シリーズの最終巻です。

 

この作品はシリーズの中でも異色の存在で、

平和で緑豊かな少女時代を過ごしたアンと違って

この作品のヒロイン、リラは15歳から19歳までの青春時代を

第一次世界大戦の真っ只中に過ごす事になるのです。

世の中が平和の時には分かりにくい大切なことを、この本は教えてくれます。

ある意味、シリーズの中で最も感動し、涙した・・・

文学作品の持つ深い味わいを堪能させてくれる作品と思っています。

 

アンの末娘リラ。

孤児だったアンを引き取った心優しい兄妹マシューとマリラ。。

そのマリラを記念して名付けた名前です。

リラはブライス一家の赤ん坊

やせっぽっちで手足がひょろひょろ長い事から、

兄弟達から「クモ」と呼ばれてからかわれてます。

一番仲良しの兄ウォルターは「リラ・マイ・リラ」と呼んでくれますが。。

たいそう甘やかされて育ってきた為に、少々我侭なところがあり・・・

自惚れも強かったりしてます。

緊張した時や気を張りつめた時、幼い頃の癖だった

舌足らずの発音をしてしまうかわいいリラ。。

アハ 流石アンの娘です~。。

 

初めてのダンス・パーティの夜の装い・・・

―――リラは小さなピンクの雛菊の花輪模様の緑のドレスを着、

絹の靴下に銀色の上靴をはいていた。髪となめらかな喉に

金色の三色すみれを飾っていた。―――

若さ溢れる輝くばかりに美しいリラ

そしてケネス・フォードと――あのレスリーの息子ですヨ~――

彼と過ごした数時間はリラにとってまさに至福の時

でもリラにとっても、リラを取り巻く人々にとっても、フォア・ウィンズでの

ダンス・パーティは色々な意味で忘れられない夜になるのです・・・。

 

カナダが参戦

長男ジェムを筆頭に、ブライス家の男の子達は次々と志願して戦場に向かいます。

もちろん、リラのケネス・フォードも。。

この戦争勃発からの四年間の出来事、人々の心の葛藤等

とても克明に描かれていて、激しい憤りや焦燥感、不安が

まるで自分の事のように感じられます。

この悪夢のような出来事の連続に、日頃明るいブライス家の人々も

幾度と無く絶望感に襲われ、アンに至っては寝込んでしまうこともあるのですね。

ウォルターの笛吹きの一件は・・・物凄い衝撃でした。。

 

でも、その辛く厳しい時代の中を、リラはなんと逞しく生き抜き、

美しく立派な女性に成長を遂げたことでしょう

大の赤ん坊嫌いだったリラが、生まれたての戦争孤児を引き取って

立派な男の子に育て上げた功績が総てを物語っています。

更に、ある日のリラの日記に綴られた、ギルバートに語ったアンの言葉。。

「この四年の間のリラの進歩といったら驚きますよ。もとはあんな当てに

ならない子でしたのにね。役に立つ、女らしい娘に変わって来て、

それはそれはわたしの慰めになってくれましたわ。―――

わたしたちは大の仲よしですの。リラがいなかったら、この辛い年月を

どうしてすごせたかと思いますわ、ギルバート」

 

そして、彼女を取り巻く人々もまた、本当に素晴らしいです。

この作品の影のヒロインはなんといってもスーザンですネ。。

―――スーザンも勇敢な、ひるまぬ、忍耐強い、雄々しい女性たち――

過去において勝利を可能ならしめた女性たち――の一人であった。―――

も~大好きです

ギルバートが言った一言に、ブライス家の人々の感謝の気持ちが集約されてます。

「スーザン、この件では初めから終わりまであなたは実に立派でしたよ!」

 

更に素晴らしいのは犬のマンディ

―――この駅長のそばを黒と黄色の縞が射るように通りすぎた。

マンディは体がこわばるのだって?マンディはリューマチだって?

マンディは年をとったって?そんなことは信じられない。

マンディは喜びのあまり若返って気狂いのようになった子犬である。―――

このシーン。。号泣でした。

今読み返しても、涙が溢れて止まりません。

 

そして感動のラスト。。

四年間、戦争に勝利し、再び平和な日が訪れ、大切な人々も帰ってくると信じて

不安な毎日を必死で生き抜いてきたリラにとって、

ケネス・フォードとの再会はまさに人生の分岐点です・・・。

 

―――「これは僕のリラかい?」―――「そうでしゅ」―――

 

あ~なんて素晴らしい作品なのでしょう

世界中の人々に愛された赤毛のアンシリーズの

ラストを飾るに相応しい感動の一冊だと思います。

 

素材提供:AICHAN WEB


『アンの友達』~ロイド老淑女

2005-11-24 22:41:20 | 赤毛のアン♪

 モンゴメリ女史の赤毛のアン・シリーズ第三弾『アンの友達』は

アンを取巻くアヴォンリーの人々について綴った短編集です。

どの作品も珠玉の名作揃いで、本当に大好きなのですが

中でもこの作品は、一番私の心のツボを刺激し・・・

涙涙の大感動(ちょっと大袈裟?^^)を味わった作品なので

特別に抜粋してみました。

 

この作品は、かつては愛らしく、美しく、快活な少女だったマーガレット・ロイドの

若き日の過ち・・・つまらない自尊心の為に大切な愛を永遠に失い、

いつしか偏屈で孤独な老女になってしまった後悔だらけの人生が、

かつて愛した人の愛娘、シルヴィア・グレーとの思いがけない出会いにより

再び光り輝く日々に蘇生していく様を描いた感動作です。

 

五月の章から十月の章まで、ある年の半年間に渡る出来事を綴っています。

五月は最も光溢れる月、春です。

あ~、それなのにロイド老淑女は言います。

「―――あのころは朝が大好きだった――晴れていようが曇っていようが

これから読もうという本のように楽しかったものだ――それだのに、

いまでは大きらいだ――大きらいだ――大きらいだ!」

究極の貧乏なのに自尊心が強い為、人々に貧乏である事を知られるくらいなら

死んだ方がマシ!と思っている老淑女。。

当然、人々の目は冷たいのですね。誰も老淑女の窮状を知らないのです。

食べる物もまともに無い状態で、孤独で、生きる事が苦しくてたまらないのです。

切ないですよね。。

 

この五月の章に溌剌とした姿で登場するのがシルヴィア・グレー

音楽の教師として新しく赴任してきた少女が、

子供たちと共に森の小径を朗らかに歩いて来るのを

老淑女は木の陰から見守るうち、その胸は激しく高鳴ります。

そう。。少女の面影に、かつて愛した人を見出したからです。

 

「あの人の娘だとは!わたしの娘になっていたかもしれないのに」

「ああ、あの娘と近づきになって、かわいがることができたらねえ――

だが、それはできない。レスリー・グレーの娘にわたしがどんなに貧乏か

――どんなにおちぶれているか知られたくない。

とてもわたしには耐えられない。―――

―――けれど、ああ、なにかあの娘のためにしてやれたらねえ――

なにかちょっとしたよろこぶものをやれたらねえ。

そうしたらこんなにうれしいことはないのだけれど」

 

う~ん。切ないですね~。。

でもこの日を境に、老淑女の心に光が射しこんできたのです。

シルヴィアのためになること。シルヴィアが喜ぶなにか小さなこと。。

 

五月にはアヴォンリーに咲き乱れる美しいさんざしの花を・・・

六月には老淑女の庭に咲く白水仙やチューリップ、

ブリーディング・ハートや小さな一重の薔薇等々。。

七月には白樺の皮で作った小さな船形の箱いっぱいの苺。

いつも「シルヴィアへ」というメッセージ付・・・

素敵な贈り物ですよね~。。

でもこの段階ではまだまだ二人の間には接点がありません。

 

二人が初めて言葉を交わすのは八月。。

隔週土曜日の午後に開かれるお針の会に参加してからです。

シルヴィアは詩が大好きで・・テニスンブラウニングに傾倒しているのですね^^

アンと一緒です

シルヴィアは友人に語ります。

「―――あたしの父は詩人だったのよ」

「一度、小さな詩集を出版したことがあるのだけれど―――

あたしは一度も見たことがないのよ。ああ、どんなに見たいか

しれないんだけれど!―――父の書いたものは切れはしさえ

持ってないんですもの。もしそんなものがあれば、なにか父の一部が

―――父の気持ちとか心とか、父の内面生活の一部分が

自分のものになった気がすると思うの。そうすれば、父はあたしにとって

名ばかりのものではなくなるでしょうからね」

 

それを聞いた老淑女。。

老淑女が最も秘蔵している大切な品・・・。

「マーガレットへ、著者の愛を込めて」と記された美しい詩集・・・。

この小さな本の中には不滅の愛――昔の笑い――昔の涙――

何年も以前にばらの花のように咲き誇り、いまなおその余香を

古いばらの葉のように残している、昔の美しさがこめられていた――

 

この大切な大切な品を、愛するシルヴィアの為に・・・。

も~この辺から私の涙腺は緩みっぱなし。。

シルヴィアの為に、大変な犠牲を払って出かけた先で肺炎にかかり

生死を彷徨う老淑女を看病するシルヴィアの言葉・・・。

「愛には愛を報いるということを小母さまに知っていただきたいわ」

 

本当にモンゴメリ女史はツボを心得てらっしゃる・・・。

大好きな作品です~。。

 

素材提供:AICHAN WEB


『アンをめぐる人々』

2005-09-05 21:18:23 | 赤毛のアン♪

 モンゴメリ女史のアン・シリーズ第8弾です。



アン・シリーズ作品中、第四弾『アンの友達』と、この『アンをめぐる人々』の

二冊に関してはアンが主役じゃありません。

アヴォンリーに住む人々の数奇な運命を書き綴った短編集です。

この『アンをめぐる人々』が出版された頃、

とても残念なことにモンゴメリ女史はもうこの世にはおりませんでした。

そういう意味では遺作とも言えるのでしょうね。

 

どの作品もそれぞれに美しく愛しい。

本当に一つ一つのお話がキラキラ眩い、まるで宝石のようです

たまに少々超自然現象っぽい作品もあって・・・

不思議な雰囲気がまた、なんとも言えず素敵なのです。

 


十五編収録されている中で、特にお気に入りは

『父の娘』『失敗した男』『セーラの行く道』『珍しくもない男』『夢の子供』

そしてあえて我らがアン登場作品『茶色の手帳』

作者の限りない愛情が溢れていて、思わず涙が溢れてしまう作品ばかりです。



中でも大泣きしてしまった作品は『失敗した男』です。

モンゴメリ女史の素晴らしさが遺憾なく発揮された作品、

なんていったら言い過ぎでしょうか?

失敗して絶望に打ちひしがれた男にとって下手な慰めや励ましはかえって逆効果。

心優しいエディスが兄達に提案した作戦の、なんと崇高で暖かいこと。

これはも~、人間の本質を熟知していなければ書けない作品、と思います。

 

そして最も超自然的な雰囲気を持つ作品といえば『夢の子供』でしょうか。。

この作品は「母親」という存在に対するモンゴメリ女史の限りない愛情が

惜しみなくそそがれた、本当に美しく優しいお話しです。

 

アヴォンリーの豊かな大自然を思う存分堪能しつつ、

そこに住む心優しい善良な人々・・・

あるいは噂話が好きな人、異常なくらいに肉親を愛するゆえ

大切なことを見失いそうになる人、

生きていればこそ味わう様々な悲喜こもごもを登場人物と共に味わい、

涙し、喜び合える珠玉の名品集・・・。

 

こんなにも美しく暖かい作品を書ける人が世界にどれだけいるのでしょう。。

モンゴメリ女史の作品と出会えた私達は本当に幸せだと思います。

 

素材提供:Pari’ Wind


『アンの夢の家』

2005-07-30 20:24:45 | 赤毛のアン♪

 モンゴメリー女史のアン・シリーズ第六弾です~。

 

霞のようなヴェイルをかぶり、腕にいっぱいばらを抱え、ほっそりした姿で、

眼を輝かせたグリーン・ゲイブルズ最初の花嫁―――

 

あのアンが遂に結婚!

この作品は、グリーンゲイブルズでのアンの素敵な結婚式からスタートし、

二人の新婚生活の様子を表情豊かに描いています。

舞台はアヴォンリーから遠く離れた港町、フォア・ウィンズ。

 

―――アヴォンリーではアンは海の見えるところで暮らして来たが、

海はアンの生活に新しく入り込んでは来なかった。

フォア・ウィンズでは海はアンをとりまき、絶えず呼びかけていた。

今度の家ではどの窓からも海のそれぞれ異なる面が見え、

その囁きは始終アンの耳につきまとっていた。―――

 

―――それは嵐と星のかもし出す魔法と神秘を知っている海岸であった。

森というものは決して孤独ではない―――囁いたり、招いたり、

愛情ゆたかな生命に充ちている。然し、海は偉大な魂である。

絶えずなにか大きな、人に分かつことの出来ない悲しみに呻いている。

その悲しみのために海は永遠に黙している。

わたしたちにはその無限の神秘をきわめることはできない―――

 

海を舞台にしているだけあって、今までのような暖かい緑豊かな情景より

白い雪に覆われた厳寒のカナダ・・・という印象が強く残りました。

そして、その厳しい地での生活ゆえに、そこに住む人々の暖かさが

よりいっそう心に染み入り、寄り添い合い、助け合って生きている様子、

お互いの家を足しげく訪問し合う様子がとても美しく、

味わい深く感じた作品です。

 

この作品の主人公はなんてったってジム船長。

高潔な性格の素朴な気持ちの老人であり、

眼にも心にも永遠の若さが宿っていた。―――

このジム船長が語ってくれる様々な逸話はとても素敵です。

今までの船での冒険を書き綴った『生活手帳』・・・。

フォア・ウィンズに縁深き男性、オーエン・フォードの手により、

愛しい永遠の恋人、マーガレットとのロマンスを織り込んで

素晴らしい本に仕上がりますが、その本の生まれる過程が

モンゴメリー女史らしく・・・とても神秘的なのですね~。。

 

物語前半は、例によって少々緩慢。。

新生活の何気ない日常を細やかに、でもそこここに後半に向けての

伏線はしっかり張りつつ・・・綴られていきます。

 

そしてこの作品のもう一人のヒロイン、レスリー・ムアの登場。

あらゆる意味で、アンにとっては大変貴重な存在ですね。。

初めて言葉を交わしたシーンはとても印象的です。

 

―――アンはスカートをつまみ上げ、波は届かないが、残りの泡が

足をなめるほどのところのかたい砂地をぐるぐる爪先立って旋回した。

子供のように笑いながらくるくる廻っている中に、入江の東に突出ている

小さな岩鼻に来た。この時、アンは急に立ち止まり、真っ赤になった。

アン一人ではなかったのだ。

アンが踊ったり笑ったりしているのを見ている者があった。―――

 

溢れんばかりの幸せな想いをそのまま体現するアン。

そして、そんなアンを羨望と嫉妬の入り混じった複雑な想いで見守るレスリー。

二人の関係を見事に表現したシーンですね。。

 

アンとレスリーはとても仲良く、親しくお互いの家を行き来しますが、

レスリーには何か壁があるのです。

その理由を、第二のリンド夫人^^コーネリアが詳しく話してくれます。

レスリーのこれまでの人生を知るにつけ、切ない思いにかられるアン。

後にレスリーが語ったアンに対しての複雑な感情は、

本当にとてもよく理解出来て、この辺の繊細な心の動きを描かせたら

流石モンゴメリー女史・・・素晴らしいです。

 

後半に入って、アンにとっての人生におけるある意味初めての試練・・・。

でもこの辛く苦しい試練ゆえに、レスリーとの壁が無くなったのですね。。

なんていうか・・・人間って本当に複雑な生き物だな~と思いつつ

レスリーに共感せずにいられませんでした。

 

そして医師ギルバートの決断や、それに対するアンの複雑な感情・・・。

ここもまた、人間としてのあり方を問われる、とても深いシーンです。

モンゴメリー女史の厳とした生き方、考え方が毅然と現れていますね。。

 

私は正直、若かりし頃はあまり消化出来ない部分もありました。

物語の性質上、思いがけない展開でハッピーな方向に向かったけれど、

実際に自分の身に同じような事が起こったらどうだったかな・・・なんて。

こんな時、正しい方向に導いてくれる人が周りにいるかどうかで

人生も大きく変わってしまうのでしょうね。。

 

ともあれ、この上も無い苦渋を味わった後だけに、訪れた幸福の素晴らしさを・・・

その甘美な味を思う存分堪能するアンとレスリー。。

あ~も~。。特に、産まれた赤ちゃんに対するアンのとろけぶりと言ったら・・・^^

ホント、大好きだわぁ。。

 

そしてちょっぴり寂しい・・・でも感動的なラストシーンは例によって涙が溢れ・・・

モンゴメリー女史の素晴らしい手腕に改めて脱帽の一冊!

私にとって色々な意味で、アン・シリーズの中でもとても大切な作品です。

 

この作品に登場するレスリー・ムアのイメージに合わせて

今回使用させて頂いた美しい薔薇は、ブログ「彷徨の軌跡」tetuさんご提供。。

孤高貫く神秘的な美しさ・・・とでも言えば良いのでしょうか。

アン・シリーズに登場する沢山の乙女達・・・。

その中でもレスリーは独特の存在感があり、ある意味一番好きです。

そしてこの美しい薔薇を見たとき、華やかだけどどことなく寂しげな風情・・・

風に吹かれてなお、凛々しく健気に咲き誇る様子が胸を打ち

私の中のレスリーのイメージとぴったり重なりました。

tetuさん。本当に有難うございます。


『アンの愛情』

2005-07-25 00:05:16 | 赤毛のアン♪

 モンゴメリー女史のアン・シリーズ第三弾です~。。

 

この作品はシリーズの中で、アンが最も華やかな社交の場で生活をした時期ですね。

レドモンド大学における18歳からの約4年間、

少女から大人に成長していく微妙な青春時代を、沢山の素敵な仲間達と共に、

生き生きと活動するアンの様子がキラキラ眩しくて

大好きなアン・シリーズの中でも、かなりお気に入りの作品です。

 

アヴォンリーの小さな世界から未知の世界へ・・・

初めてレドモンド大学に足を踏み入れた時の不安や戸惑いが繊細に描写されていて、

あ~。。確かに新入生の時はこんな気持ちだったな~なんて

妙に感慨に耽ってしまったものです。
 

それはさておき。。

パティの家を根城に送る、アン、フィル、プリシラ、ステラの4人の少女達の

レドモンド大学での生活のなんと華やかなこと

お伽の国のような素敵な家で仲良しの友達と共に送る学生時代。。

厳しい学問と賑やかで華やかな交際で彩られ、も~考えただけでワクワクします~

 

ところで、この四人の少女達のお目付け役として、

ステラの伯母さんが一緒に住む事になるのですが、

このジェムシーナ伯母さんは、この物語の中で登場回数こそ少ないけれど

少女達にかなり大きな影響を与えた存在と思われます。

ある日のアンとジェムシーナ伯母さんの会話・・・

 

「―――きょうがあたしのはたちのお誕生日で、

十代を永久に過去のものとしてしまったんですものね」

「悲しいような気持がしなさるでしょう。十代は一生の中でまったく素晴らしい

時代ですからね。わたしはいつになっても十代を越さないのを喜んでいますよ」

 

「伯母さんは何種類の娘になっていらしたの、ジェムシーナ伯母さん?」

「六人くらいですかね、アン」 

ま~挙げれば限がありませんです^^。

 

そして、この作品でもアンにとって、帰る家があるという事が

どれほど幸せな事かを描写するシーンがふんだんに盛り込まれていますね。。 

熱心にボーリングブロークに招待するフィルに対し、

アンが描いて見せたアヴォンリー。。

「そこには愛情があるのよ、―――フィル、あたしにとって、世界じゅうどこにも

ほかでは見出だされないようなすばらしい、永久不変の、濃やかな愛情なの

―――このあたしを待っていてくれる愛情なの。―――」

 

そしてこの頃のマリラは、本当に優しくて暖かい愛情に溢れた姿でした。

――マリラは暗がりでアンを出迎えたかった。

うれしくて泣き出しはしないかと心配だったからである――

アンがフィルに語った愛情はアンを待ちうけており、祝福のこもった楽しい空気で

彼女をとりかこみ、彼女を抱きしめた。―――

 

更に更に・・・

「アン・シャーリー!」

マリラは絶叫した。驚きのあまり、マリラは生まれてはじめて自制を失い、

わが娘をひきよせ、花もろとも胸に抱き締めて、つややかな髪や愛らしい顔に

心をこめて接吻した。―――

アンの生い立ちを思い起こせば、思わず胸が熱くなります。。
 

こんな楽しいレドモンド大学での4年間・・・青春を思う存分謳歌し、

4人の乙女達はたゆまぬ努力でそれぞれの得意分野を制覇し、

アンに至っては文学で最優等の成績を収めます。

この学問に対する真摯な姿勢・・・。驚嘆の他はありませんね。。

 

改めて思うのですが、自分の夢に向かって確かに前進している

という手ごたえがある人にとっては、この年頃って最高に楽しいですよね~。。

でも反面、色々な面で徐々に現実を思い知らされ、

理想と現実の間で苦しむ時期でもある・・・とも思います。

 

実際、夢見ていたプロポーズシーンとは似ても似つかない

美しくないプロポーズを数回され、アンの理想は粉々に粉砕され・・・

また、美しい小説を書いて世に認められる事を夢見ていたアンは

思わぬ形でその夢を壊され・・・

思いもよらない幼友達の若い死に遭遇して苦悶・・・

 

そして更に、あと数日で結婚するダイアナの部屋の灯りを眺めつつ

アンが大粒の涙を流すシーン、そしてセリフ・・・

「ああ なんていやなことだろう、人が大人になり――

結婚し――変わらなくちゃならないとは!」

それぞれのシーンの微妙な心理状態が、とても繊細に描かれていて

流石、モンゴメリー女史。。永遠の乙女だな~と改めて感嘆してしまうのです。

 

この「アンの愛情」。。

繊細で微妙な乙女の時代を、いつもながら生き生きと瑞々しい筆致で描き切り・・・

アンの人間としての確かな成長の姿を示した作品として、

これまでのアンとは明らかに違ってます。

アンが生まれた地ボーリングブロークで、実の母親バーサの手紙を発見したシーンは、

まるで大人の女性に成長しようとするアンを

今は亡き両親が祝福しているかのように感じ、とても心が暖まる想いでした。

 

そして・・・アンの常の理想として、思い描いていたそのままの姿で登場した青年ロイ。

対する大切な幼友達ギルバート。。果たしてアンが選ぶのは・・・

あ~も~。。何度読み返しても涙が溢れて止まらない素敵なラストシーンです。。

 

素材提供:Pari’s Wind


『アンの青春』

2005-07-21 21:41:57 | 赤毛のアン♪

 モンゴメリー女史によるアン・シリーズ第二弾です~

 

少女から脱皮しようとする微妙な年齢・・・16歳半から約二年間のアンの物語。

アヴォンリー小学校の教師として奮闘する日々・・・

そしてアンにとって一つの大きな曲がり角に至る日々の出来事を

表情豊かに記したこの作品は、とても瑞々しいです。

 

前半は主にアヴォンリー村改善会の組織委員としてギルバートやダイアナ達と共に

活動しつつ、教師として悪戦苦闘する毎日が綴られています。

先生として教壇に立った時、出会った”同類”ポール・アーヴィング少年・・・。

この作品の中ではかなり重要な人物として描かれてますが、

おそらくアンでなければ理解出来ないくらい純で繊細な感性の持ち主です。。

―――アンもポールも「想像の窓がひらいて見せる王国のいかに美しいものか」

を知っていたし、二人ともその幸福な国へいく道も知っていた。―――

考えてみたらアンもステイシー先生との出会いがなかったらあの豊かな想像力、

叙情性はここまで生き生きと花開くことは無かったであろう事を思うと

いかに人との出会いが人生を大きく変えてしまうか・・

出会いって凄いな~と改めて考えさせられます。

 

ともかく個性豊かな子供達を相手に、毎日がアンにとっても人生の勉強となる

本当に貴重な日々なのです。

子供達からアンに向けての手紙類はなんともかわいらしくって微笑まずにおれません。

 

そしてグリーンゲーブルズでのマリラと二人の生活にも大きな変化が訪れます。

マリラのまたまた従妹の子供達・・・まだ幼い双子の兄妹が一緒に住む事になるのです。

デイヴィーとドーラ。。中でもデイヴィーはとろけちゃうくらいかわいい^^

やんちゃでいたずら。どうしようもない男の子ですが、

あの厳格なマリラでさえデイヴィーがかわいくて仕方ないのです。

 

後半は山彦荘に住むミス・ラヴェンダーとシャーロッタ四世との不思議な出会いから始まり

ポール・アーヴィングが絡んでの思いがけない縁や逸話等、

前半の少々緩慢な動きから一転、アンの人生にも大きな影響を及ぼしていきます。

 

この山彦荘という命名の由来・・・。

夕日に照り映える庭に出て、シャーロッタ四世が小さな錫の角笛を吹き鳴らすと・・・

一瞬静まり返った後、川向こうの森から、まるで「妖精の国のつのぶえ」が全部、

いっせいに夕焼け空めがけて、なりわたるかのように、美しい、

銀の鈴のようなこだまが無数にかえってきた。

ああ。。想像するだけで鳥肌が~~

 

ミス・ラヴェンダーの秘めたロマンスを知ったアン・・・。

初めて読んだ当時も、アンが知った以上、何も無いわけないよな~と

思っていたのですが、ホントこの辺の流れは「どうかこうなって~><」

っていう乙女達^^;の願いをモンゴメリー女史はよ~くご存知でいらっしゃる。。

あ~。。ポールも絡んで、なんて素敵なロマンスなのでしょう 

この素敵なロマンスが成就したのを見届けたアンとシャーロッタ四世。。

アンはシャーロッタ四世の肥った腰をかかえ、二人とも息が切れるまで、

台所じゅうおどりまわった。

・・・ムフ

 

そしてダイアナとの友情はもちろん健在

アンとダイアナが、少し離れた家から連絡を取り合う手段として

お互いの窓から点滅する灯りを合図にし合うシーンも懐かしく・・・^^。

二人のちょっとした冒険は少女時代の名残りとして、とても微笑ましかったです。

 そしてアンは語ります。

「―――あたしのダイアナのような人はほかにはないわ。

あたしたちがはじめて会ったあの夕方のことを覚えていて?

あなたの家の庭で永遠の友情を誓ったじゃないの?

―――あんたがあたしを愛しているって言ってくれたときのあの、

ぞくぞくとしたうれしさはいまでも忘れられないわ。

あたしの子供時代がどんなにさびしい、

愛情に飢えていたものかがこのごろになって、しみじみ、わかってきたのよ。

だれもあたしをほしがる者も、かまってくれる者もなかったのよ。

でも、グリーン・ゲイブルズに来てからは、なにもかも変ってしまったの。―――

あんたとの友情がどんなにありがたかったか、あんたにはわからないくらいよ。―――」

 

このダイアナ。お互い理想として描いていた男性とは全く違う人と婚約してしまいます。

まるでダイアナだけがさきにあたらしい世界へ踏み込み、アンを一人外に残したまま

門をしめてしまったようなさびしさを感じるアン。

この頃から、もう幼い少女のままでいられない、という事を感じ始めたのでしょう。

 

そして更にギルバートとの友情・・・

ギルバートの中では、既にアンは生涯の伴侶ですけど・・・^^;

この物語のラストはアンとギルバートのツーショットです

 

けっきょくロマンスはすばらしい騎士がラッパのひびきも華やかに、

自分の生涯にあらわれてくるというようなものではなく、いつのまにか、

昔ながらの友達が自分の傍を静かに歩いていた、というふうに、

忍び寄るものかもしれなかった。

見たところは平凡で、散文的だが、不意に、一筋の光線がそのページの上に

落ちたとたん、詩と音楽がうかびあがるのである。―――

―――少女時代のページはめくられ、一人前の女性としてのページが

神秘な魅力をたたえ、苦痛と喜びをのせて、アンの前にひらかれた。―――

 

この段階ではまだ友情の域を出ない二人ですが、なんとなく未来を予感させますね。。

『アンの青春』。

私にとって、大人になった今改めて読み返し、ほろ苦い自分自身の青春時代を重ね合わせ

なんともいえない郷愁に襲われてしまう作品です。

 

素材提供:Pari’s Wind


『アンの幸福』

2005-07-07 12:48:45 | 赤毛のアン♪

 アン・シリーズ第五弾。。

 

ギルバートとの婚約時代、そしてサマーサイド中学における校長としての

活躍を描いたこの作品は

アンが人間として、女性として、最も夢と希望に満ち溢れ、

輝くばかりに美しく成長した青春時代・・・と思ってます。


この作品は、ほとんどアンのギルバートに宛てた手紙で構成されています。

そしてこの手紙・・・おそらく熱烈な愛の言葉が書き綴られているであろう場所までくると

なぜかフッツリ省略されているのです。

この辺の書き方もホント、うまいな~と思ってしまうんですよね。。

あ。でも何気に素敵な愛の言葉もありますね~。。

 

あたしはあたらしいペン先にかえました。ですからあたしはあなたを愛します。

なぜなら、あなたはカーター博士のように勿体ぶっていらっしゃらないから。

それから、ジョニーのような突き出た耳をお持ちでないからあたしは

あなたを愛します。それから―――なによりも大事な理由は―――

あなたがギルバートだから愛します!

 

改めて何度目かの再読をして・・・改めてアンの素晴らしさにはまってしまいました。

モンゴメリ女史はツボを心得てますよね。

こうあって欲しいな~と思っていると、必ず素敵な展開が起きて、

願っていた通りになるのです。

・・・なんかうまく表現出来ない自分が悔しいけど。。。

 

サマーサイド、幽霊小路、柳風荘・・・ウィンディ・ウィローズ。

これがアンのサマーサイドにおける下宿先です。

ここに住む住人の中ではレベッカ・デューの存在がひときわ目立ってます^^

 

最初、サマーサイドにおけるアンの学校長としての立場は、

必ずしも歓迎されていなかったのですね。

というのも、その辺り一帯を牛耳っているプリングル一族による執拗な

いやがらせがあったからです。

が!見事に彼らの心を掴み、受け入れられてしまうのです。。

この辺のいきさつは流石モンゴメリ女史!う~ん。。素敵です^^

 

「わたくしどもは―――わたくしどもはまったくあなたを誤解しておりました。

赦して下さいますか?」・・・Byミス・セーラ

 

それからの毎日はまさに光り輝くよう。。

サマーサイドに住む人々に、アンが次々投げかける幸福の魔法は・・・素晴らし過ぎ~。。

エリザベス、サイラス・テイラー、ポーリーン、ノーラ・エディス・ネルソン、

キャザリン・ブルック、アームストロング老人、etcetc。

それぞれが心に秘めた辛い思いを、なぜかみんなアンに打ち明けてしまい・・・

そしてなぜか解決してしまう。。

でも決してご都合主義でもなんでもない、人間としてのあり方を

極自然に示してくれるアンの解決法は

今読んでも涙が自然に込み上げ、思わず微笑んでしまうのです。

 

ラストのレベッカ・デューからアンに宛てた手紙・・・。

 わたしがこの手紙でお別れを告げますのは、自分の口からは

とても言えそうもないからであります。

三年間、あなたは私どもの屋根の下で暮らされました。快活なる精神と、

晴れやかなる青春に対する生まれそなわった趣味の

幸運なる所有者でいらっしゃるあなたは、軽薄な者たちの、

あだな快楽に投ずることがかつてありませんでした。――――

 あなたはいつも私の気持ちを、だれよりもいたわって下さいました。

あなたがお去りになると考えただけで、私の心には悲哀が重く

かぶさってまいります。―――

 あなたがまもなく『シャーリー嬢』でなくなり、遠からずして、心からのご選択の方と

魂の結びつきを得られると、なにものかが私に囁いております。―――

 あなたに対する私の尊敬と、こう申してはなんですが、愛情は、

永久に滅することはありません。

手持ち無沙汰のときにはたまには私のような者がいることを

思い出して下さいまし。―――

あ~。。なんてアン・シリーズは素敵なのでしょう

 

素材提供:Pari’s Wind


『赤毛のアン』

2005-07-06 23:21:57 | 赤毛のアン♪

 私に本の楽しさを教えてくれたのが『赤毛のアン』です。

ルーシィ・モンゴメリ女史著、村岡花子さん訳のアン・シリーズは、

私にとって大切な宝物

『赤毛のアン』を筆頭に間隔を置きつつ・・・アン・シリーズを

少しづつアップしようと思ってます。 

 今でこそ世界中の人々から愛されているアンですが、

実は永久に葬り去られていた可能性があったって事、ご存知ですか?

モンゴメリ女史が30歳の時に書いたこの作品、

三軒の出版社に持ち込んでも相手にされず

出版を断念してトランクに放り込んで錠を降ろして三年間放置していた、

というのですから。。

もしモンゴメリ女史がパーティへ招かれて、

ドレスに付けるリボンを探しに屋根裏部屋へ行かなかったら・・・

人の運命も本の運命も何がきっかけで変わるか分からないものだな~と、

改めて思います。

 

『赤毛のアン』は何度読み返しても面白いですね~。。

アン・シリーズはどれも大好きですが、やはり原点ですもの^^。

空想好きでおしゃべりで、癇癪もちの赤毛のアン。。強烈でした

 

最初マシューが迎えに行った孤児は男の子のハズだったのですね。

でも心優しいマシューおじさんは連れて帰って来るのです。

この道中の描写の美しさ

ニューブリッジの人々が「並木道」と呼んでいるこの道は長さ四、五百ヤードで、

何年か前に、ある風変わりな農夫が植えた巨大なりんごの木が、

ぎっしりと枝々をさしかわして立ちならんでいた。

頭上には香りたかい、雪のような花が長い天蓋のように続いていた。

枝の下には紫色の薄い幕が一面にたちこめ、はるかさきのほうに、

寺院の通路のはずれにある大きなばら形窓のように、夕やけ空が輝いていた。」


 

アンはこれらの美しい風景に『歓喜の白路』『輝く湖水』等と名付けるんですよね~。。

無口なマシューおじさん相手に物凄い勢いでおしゃべりするアン。。

この冒頭のシーンは大好きです

素敵なシーンは挙げれば限がありませんが、やはり腹心の友

ダイアナとの出会いは欠かせませんよね^^

外の庭では黒ずんだ古い樅の向こうから、なごやかな夕日がいっぱいの

庭の西側にあたり、

アンとダイアナは、はなやかな鬼ゆりの茂みをはさんで、

おたがいに恥ずかしそうにながめあっていた。

この二人を囲む風景のなんと美しいこと

いつも思うのですが、モンゴメリ女史の大自然の描写は特筆物ですよね。

 

―――小径をはさんで花壇には古風な花が咲き乱れていた。

ばら色のブリーディング・ハーツ、真紅のすばらしく大輪の牡丹、

白くかぐわしい水仙や、

棘のある、やさしいスコッチ・ローズ、ピンクや青や白のおだまきや、

よもぎや、リボン草や、はっかの茂み、きゃしゃな、白い羽根のような

葉茎を見せているクローバーの花床、

つんとすましかえったじゃこう草の上には、燃えるような緋色の花が

真っ赤な槍をふるっている―――

そしてその中でおごそかに誓いの言葉が述べられるのです。

『太陽と月のあらんかぎり、わが腹心の友、ダイアナ・バーリーに忠実なることを、

われ、おごそかに宣誓す』

 

このダイアナとの友情は悲劇のティー・パーティによって大変な危機を迎えましたが

とても感動的な形で解決してしまうところなんかも大好きなシーンです。


「おお、アン、早くきてちょうだい。ミニー・メイがひどくわるいの―――」


アンとダイアナが『恋人の小径』を手をつないで駆けていく・・・

ミニー・メイの危篤状態を見事に救ったアン。。


「あの赤ん坊の命をたすけたのは、あの子ですよ。

わたしがここへ着いたころには、

もう手おくれとなっていたでしょうからね。―――


そしてバーリー夫人の心からの謝罪と暖かい招待。

あ~。。思い出すだけで涙が・・・。

語り尽くせない数々の名シーン、名セリフ・・・

くどいようですが^^;挙げれば限がありません。


でも・・・あ~、次のこのシーン、このセリフは最高に素敵でしたね。

ダイアナの素敵なジョセフィン伯母さんの招待により、夢のような4日間を過ごし

帰って来た時のアンとマリラの会話。。

「やっと帰ってきたね」

「ええ、ああ、帰ってきてうれしいわ」

「なにもかも、時計にだってキッスしたいくらいだわ。

マリラ、焼き鶏ね!まさかあたしのためにこさえたんじゃないでしょうね」

「そうだよ。あんたにさ」―――「あんたが帰ってきてたすかったよ。

あんたがいないと、ひどくさびしくてね、

こんな長い四日間をすごしたことがないよ」――――

         ――――――――――――――――――――

「とてもすばらしかったわ。あたしの生涯で画期的なことになると思うの。

でもいちばんよかったことは家へ帰ってくることだったわ」

 

最も悲しいマシューおじさんの死・・・。

何度読んでも何度思い出しても涙が溢れてきます。。

そしてなんとも素敵な・・・そして未来を予感させるラストでのアンとギルバート。。

最初の出会いからここまで、いったいどれくらいかかったのでしょうね~^^

でもお互い飽くなき勉学に対する激しい情熱で競い合い、それぞれ立派な成績で卒業。

いつの間にかお互いに尊敬しあって生まれた確かな友情は・・・とても美しいです。

 

改めてこんなにも素晴らしい作品を世に生み出して下さったモンゴメリ女史に

心からの賛辞を送りたい想いです~

 

素材提供:Pari’s Wind