アン・タイラーです。
主人公メイコンは42歳のライター。
主にビジネスマンを対象に、アクシデンタル・ツーリストと題した
旅行案内書シリーズを書いて生計を立ててる生真面目な男性です。
何から何まできちんとしてないと気がすまない性格は、
時として周りの人に不快感を与え・・・
遂には20年間連れ添った妻サラから別居を言い渡されてしまいます。
実はこの夫婦。一年前に思春期の息子を殺されてます。
二人の仲はこの事件を機に急速に冷えてしまってました。
が!メイコンはどうやら気付いていなかったようで・・・。
この作品の冒頭、二人の車中の会話からスタートするのですが、
正直・・・初めのうちはメイコンに対してあまり好感を持てません。
でもこれはアン・タイラー作品ではよくあることなのですネ^^
やむなく一人で生活することになったメイコンですが、
ペットの犬がとんでもない聞かん坊に変身
所構わず飛び回り、吠えまくり、人を咬む・・・
どうにかしなければ、という事で登場したのが女調教師ミュリエルです。
さ~ここからどんな物語が展開されるのか?^^
あらすじを読んだだけでは全然面白そうに思えないアン・タイラーですが、
その作品に外れはほとんどありません。
幾度と無くツボをつつかれ(笑)思わず吹き出してしまう
笑いとペーソスは相変わらず。。
何気ない日常の何気ない会話や出来事が、ここまで笑いを呼ぶものなのか??
アン・タイラー、凄過ぎっ
最初は全然魅力を感じなかったメイコン・・・。
サラや近所の人の言葉から、息子の死に対して何も感じてないのか?
と思わせといて、思いがけない形で抑えていたメイコンの深い悲しみを表現・・・
人間の持つ様々な個性を見事に描き切るアン・タイラーの表現力の
素晴らしさに唸りつつ、ついついホロッとさせられ、
気付くとメイコンがたまらなく愛しくなっているのです。
でも愛しいのはメイコンだけではありません。
登場人物一人一人が実に愛すべき人々でして・・・。
皆それぞれに何かを抱え、背負いつつ、一生懸命生きているのです。
個人的にはメイコンの妹ローズが一番のお気に入り・・・かな
もちろんメイコンの上司ジュリアンも大好き
アン・タイラーの作品は大抵、はっきりした結論が無いまま終わる
パターンが多いのですが、珍しくはっきりしたラストが妙に新鮮だったこの作品。
ちょっぴり切ない想いの中に・・・でもなんともいえない清々しい感動が込み上げ、
改めて、大好きだわぁ~アン・タイラーと思わずにいられません。
この作品が出版された当初の各メディアの絶賛の嵐は、
この作品が間違いなくアン・タイラーの最高傑作の一つと確立し、
アメリカで絶大な人気を誇る大きなきっかけになったことは言うまでもありません。
中でもワシントン・ポストに掲載された言葉―――
美しく、熱く、悲しいくらいに感動的で、そして元気の出る小説・・・
常識的に考えて、これ以上の小説はまず望めないだろう。
―――は、この作品の魅力を見事に表現していると思います。
この作品は「偶然の旅行者」というタイトルで映画化されてます。
でもきっと、原作の面白さ、素晴らしさを表現するのは難しかったでしょうね。
ラストに思わず快哉を挙げてしまうのは同じでしょうけど
これだけの作品が絶版とは・・・悲し過ぎです~。。
素材提供:AICHAN WEB