ミヒャエル・エンデです。
町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。
町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気持ちになります。
そこへ「時間どろぼう」の灰色の男たちの魔の手が・・・!!
有名な童話作家の代表作ですねぇ。
作中、こんななぞなぞが登場します。
三人のきょうだいが、ひとつ家に住んでいる。
ほんとはまるですがたがちがうのに、
三人を見分けようとすると、
それぞれたがいにうりふたつ。
一番うえはいまいない、これからやっとあらわれる。
二ばんめもいないが、こっちはもう出かけたあと。
三ばんめのちびさんだけがここにいる、
それというのも、三ばんめがここにいないと、
あとの二人は、なくなってしまうから。
でもそのだいじな三ばんめがいられるのは、
一ばんめが二ばんめのきょうだいに変身してくれるため。
おまえが三ばんめをよくながめようとしても、
見えるのはいつもほかのきょうだいの一人だけ!
読んでない方、この答えが分かりますでしょうか?^^
この作品は、時間に追われて余裕のない現代人に対する
警告の書とも言えますね。
―――いまモモが身をもって知ったこと――それは、もしほかの
人びととわかちあえるのでなければ、それをもっているがために
破滅してしまうようなそういう冨があるということ―――
人の心にス~ッと入り込み、その人に本心を語らせる名人モモ。
灰色の男たちの中の一人、ナンバーBLW/553/c は
モモを誑かそうと近寄りますが、気付いたらいつの間にか
自分達の計画をしゃべってしまいます。
人間から貴重な時間をせっせと取り込んでいく灰色の男たちにとって
小さなモモの存在は許しがたい敵!
ここに、灰色の男たちは仲間を徴集し、邪魔者モモを
どうにかして追い払おうと重大な会議を開きます。
モモの二人の親友、道路掃除夫ベッポ、観光ガイドのジジをはじめ、
沢山のお友達に囲まれて幸せだったモモに突然降りかかった災難は
実は恐るべき時間泥棒「灰色の男たち」の仕業でした。
小さなカメ、カシオペイアに導かれ、灰色の男たちの尾行を見事に撒きながら
歩いた不思議な道中・・・特に逆さ小路と呼ばれる道は、
ちょっと「鏡の国のアリス」を彷彿とさせるかも。。
そしてモモは、不思議な家で出会ったマイスター・ホラにより、
詳しい事情を説明されて時間泥棒と闘う決意をするのです。
モモと一緒に戦ってくれる小さな亀さん、カシオペイアのなんて愛らしいこと^^
話をするのに声を出せない代わりになんと甲羅に文字が浮かぶのです!^^
はぐれたカシオペイアと漸く再会出来た件の描写はも~かわいいの
「アエテウレシクナイノ?」
「うれしいわよ。」モモは泣きそうになって言いました。
「うれしいにきまってるじゃない、カシオペイア、すごく、すごくよ!」
そしてカメの鼻づらに、なんどもキスをあびせました。
「コマルワ、ヤメテ!」
カメの背の文字が、はっきりそれとわかるほど赤くなりました。
後書きにあるように、大人にも子どもにもかかわる現代社会の
大きな問題をとりあげその病根を痛烈に批判しながら、
たのしく、うつくしい幻想的な童話として読める素晴らしい作品・・・
子どもだけでなく、余裕の無い大人にこそ読んで頂きたい名作です。
素材提供:Pari’s Wind