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プラムの部屋♪

長い長い休暇中デス。(*_ _) ゴメンナサイ。

『コンペティション』

2005-08-31 21:02:12 | 懐かしの映画

 ジョエル・オリアンスキー監督、

リチャード・ドレイファス&エイミー・アービング主演作品です。


あまり人気出なかった作品ではありますが・・・美しいピアノのメロディが

全編通して流れていた作品として私の中ではかなり強烈です。



青春の総てをピアノに賭けて来た男の人生最大の夢は、

ヒルマン・コンペティション(ピアノ・コンクール)で金賞を取る事。

年齢制限30歳、色々な状況から、今年がラスト・チャンスなのです。



そのコンクールで、以前も一緒になった事のある女性が親しく声をかけてきます。

最初こそ冷たく接していたものの、やがて二人仲良く目標に向かって

手を取り合います・・・が。。



この役作りの為に、リチャード・ドレイファスは半年間ピアノ教師の元

猛レッスンをしたそうです。

弾いた曲はベートーベンのピアノ協奏曲第五番「皇帝」。

好きなんですよね~。。この曲

最初のオケのジャ~ンから始まってピアノの音色が華麗に舞う・・・。

アントゥール・シュナーベルの演奏あたり・・・叙情性に満ちて好きですね~。

特に第二楽章の独奏の美しさ。。う~ん。。

 

ところで「皇帝」ですが、数ある協奏曲の中では華やかに見えて

意外とピアノが主体の曲では無い、と思います。

そしてその割りに、比較的華麗に美しく弾きやすい。。

でもだからといって決して簡単な曲じゃありませんから、

ドレイファスの苦労を想像すると・・・恐れ入りました・・・という感じです~。

とにかく文字通り鬼気迫る演奏で・・・俳優ってここまでやるもんなの~??

ってびっくりしましたね~。。

 

この映画。。結構深刻な内容なのです。

ピアノに人生の総てを賭けてきた男の激しい情熱とロマン。そして挫折・・・。

う~ん。。切ないッス・・・



ところでリチャード・ドレイファスですが、この映画のせい、

というわけじゃないんでしょうけどその後実生活は散々だったようで・・・

アルコール依存症になってしまったと記憶しております。

相当なストレスだったのでしょうね。。

 

素材提供:ゆんフリー写真素材集


トマス・リンリー・シリーズ

2005-08-31 13:43:05 | 作家さ行

 エリザベス・ジョージ・・・本国アメリカではかなり人気のある作家です。

このシリーズは『ふさわしき復讐』『エレナのために』の二作しか読んでおりません。



貴族の称号を持つ警部トマス・リンリーを中心に、

バーバラ・ハヴァーズ刑事、レディ・ヘレン、サイモン、デボラ等の友人や

仕事仲間が絡み合い、様々な事件に遭遇していくシリーズです。

一部では結構人気がありますね。。

 

このシリーズはちょっと暗いです。

リンリーは親友サイモンの足を事故で動かなくさせたことで罪悪感を感じていて、

『ふさわしき復讐』の中で、その問題が幾度と無く浮き彫りにされ、

読んでいてちょっと辛くなりました。

でもその一方、サイモンの恋人デボラに片思いをしてしまい、

なんだか複雑な混沌とした状況に追い込まれていくのです・・・。

う~ん。。こういう煮え切らない男って、あまり好きじゃないな。。



『エレナのために』で登場したバーバラ刑事はこのシリーズ随一好きなキャラです。 

貧困の中病気の母親を抱えて必死で生きる女性刑事バーバラ。。

でもか弱い女性ではありません。というか逞しいです

リンリー警部とは微妙な関係ですね。恋仲という事でなく・・・。

かたや貴族の称号を持つお坊ちゃま。

かたや貧困の家庭の中、ぎりぎり精一杯の苦境を生き抜く女性。。

敵対、とまでは言わないけれど・・・ま~なんとなく想像出来ると思います~。

 

とにかく人間の持つ様々な感情がドロドロと渦を巻き

特に『エレナのために』は全体的に靄がかかったような印象ですね。

英国らしい作品で、作者が大のセイヤーズファンである事を思えば

もっと好きになれそうなものなのですが・・・

リンリー警部がどうしても好きになれず、

シリーズ自体もこれ以上読む気になれませんでした

う~ん。。残念だ・・・。

 

素材提供:ゆんフリー写真素材集


『断崖』

2005-08-31 12:04:50 | 懐かしの映画

 アルフレッド・ヒッチコック監督作品。

ケイリー・グラント&ジョーン・フォンティーン主演です。

 

原作はフランシス・アイルズ『犯行以前』またの名を『レディに捧げる殺人物語』。

アントニー・バークリーの別名義で、評判も高い作品ですが、

ラストを除けば映画の方が好きです。

やっぱ衣装が素敵ですね~。。黄色のドレスはとても印象的でした

 

小説は、ヒロイン・リナに好感が持てず、読んでてイライラしっぱなし・・・。

典型的なお嬢様なのですね。すぐ言いくるめられてしまうのです。

でもその点は映画も同じはずなのですがネ。

そこはそれ、ジョーン・フォンティーンの魅力なのでしょう。。



映画も原作も、自分の夫が殺人者なのでは?と疑問を持ち、

徐々に追い詰められていく心理描写は素晴らしいです。

特に後半・・・。共同出資者&親友の事故死や、ミステリー作家の友人に

絶対ばれない殺人の方法を聞き出す夫の姿に戦慄を覚える様子等

ゾクゾクします~



ラストについては未だに賛否両論らしいですね。

個人的には、それまでの二人のいきさつを考えると

映画のハッピーエンドはなんだかな~と思わないでもなく・・・

小説の方がピッタシはまる気がします。


メアリー・ポピンズ・シリーズ

2005-08-30 10:28:51 | 作家た行

 P.L.トラヴァースです。

 

「風にのってきたメアリー・ポピンズ」

「帰ってきたメアリー・ポピンズ」

「とびらをあけるメアリー・ポピンズ」

「公園のメアリー・ポピンズ」      



ロンドンの桜町通りに住むバンクス家に乳母(?)としてやってきた

メアリー・ポピンズが次々巻き起こす不思議な出来事を

ユーモアたっぷりに綴ったお話。。



階段の手擦りを滑り上がり絵の中に自在に出入りし

コンパスを用いて世界中を一瞬の内に移動してしまう。

フワフワ宙に浮いちゃったりもして。。これは羨ましかったですね~

 

何か楽しい事を話して一人が笑い出す・・・。

と、あ~ら不思議。ふわあ~っと身体が宙に

それにつられてみんなが笑うと一斉に宙に・・・

ふわふわ宙に浮いてのお茶会なんて楽しいでしょうねぇ。。

 

この作品はジュリー・アンドリュース主演で映画化され、

アカデミー賞も受賞しているので映画の方が有名なのかな?

「チムチムチェリー」はこの作品の雰囲気にとてもマッチしてたと思います。

 

映画は未見なのでなんとも言えませんが、

原作のメアリー・ポピンズは意外とシニカルです。

ふわふわした優しい女性をイメージして読んだらちょっと裏切られます。。

でもそんなメアリー・ポピンズが大好きなのです

 

素材提供:ゆんフリー写真素材集


デュマ親子

2005-08-29 14:27:19 | 作家た行

アレクサンドル・デュマの『三銃士』『岩窟王』『鉄仮面』

デュマ・フィスの『椿姫』あたりが有名ですね。


私に文学の面白さを理屈ぬきに教えてくれたのはこの親子だ!と言っても

過言じゃないくらいで、特にフランスの華麗で神秘な歴史に

強く惹かれてしまうのはアレクサンドル・デュマの影響大だと思われます。



ダルタニャンを中心に男の友情を描いた『三銃士』なんて

何度読んだか分からないくらい。。

若さ溢れるダルタニャンの直情ぶり・・・。

アラミス、ポルトス、アトスの個性豊かな「三銃士」達との心躍る冒険、

愉快な会話等、本当に大好きな作品です。

 

そしてデュマ・フィスの『椿姫』。

類まれなる気品と輝くばかりの美貌を持つ娼婦マルグりット。

劇場や舞踏場で見るマルグリットが必ず持参していた三つの品・・・

観劇眼鏡とボンボンの袋、そして椿の花束。。

 

その昔・・・ボンボンなる物を知らなかった私は、この作品で初めて知り、

以来、しばらくの間は大好物でした特にウィスキー・ボンボン

・・・え~、そんな事はどうでもよくて・・・

 

この社交界の華マルグリットを一目見て恋に落ちてしまった

若き青年アルマン・デュバルのどこまでも純情な恋と

その清らかな愛情に触れて、心を動かされるマルグリットの葛藤・・・。

切ないですネ~。。

ラストのマルグリットの崇高なまでの決断が、哀しくて哀しくて

何度読み返しても涙が溢れてしまう・・・。

これはも~。。永遠の名作だと思います。

 

素材提供:ゆんフリー写真素材集


『七人のおば』

2005-08-29 11:00:02 | 作家ま行

 パット・マガーの代表作です。



設定がユニークですね。

遠く海を隔てたアメリカで起きた殺人事件を、

イギリスに住む姪が夫と一緒に過去を回想しながら

七人いるおばの誰が、自分の夫を殺したのかを推理する、

という安楽椅子探偵物です。



この七人のおば達がとても個性豊かです。

一番印象的なのは、かなり自由奔放なドリスで、

姉妹達の相手を奪うような事も平気です。

その最も被害を被ったのが、堅物テッシー。

教師という職業柄、髪もひっつめにしてたりして

色気もへったくりもありません・・・でした。

 

ところが同じ教師仲間の恋人が出現し、生活も華やぎます。

そこにそう。。ご想像通り、ドリスが・・・。。。

そして更にアル中イーディス、男性恐怖症のモリー等が微妙に絡みます。

てんでんばらばらな彼女達を取り仕切る役は

長姉クララなのですが、無理やり型にはめ込もうとして、

かえって取り返しのつかない悲劇を呼ぶのです。



おば達のそれぞれの人生を一晩かけて語り合う中に、

おのずと様々な状況が浮き彫りになり極めて納得のいく答えを

最後に引き出す・・・。

ミステリー、というカテゴリーではありますが、

文学としても充分通る作品だと思います。


『レベッカ』

2005-08-27 21:14:08 | 作家ま行
 ダフネ・デュ・モーリア作の神秘的なこの作品は、

映画化されたヒッチコックの代表作としても有名ですね。

 

この作品について、アメリカの作家クリストファー・モーリーが

「じかに皮膚に迫ってくるぞくぞくする戦慄感と、

繊細微妙な女性の愛の心理と、ぴんとはりつめた緊張感とによって、

あらゆる読者を一晩中眠らせぬ小説」

と絶賛したそうですが、本当にスリルとサスペンス、それに切迫感に満ち、

何度再読を重ねても、この独特の世界に惹きこまれてしまいます。



 この作品は女性の一人称作品です。始まりは原作も映画も同じ・・・。

昨夜、わたしはまたマンダレイへ行った夢を見た。

最初の回想シーンで、マンダレイに何かが起こり、無くなってしまった事を

明かしてしまうのですね。。

一体何が起こったのか?ここから「私」の回想が延々と語られていきます。

 

この小説のヒロインには名前がありません。どこまでも「私」の一人称・・・。

そしてこの女性を名前で呼んでくれる人もいないのです。

この独特の手法により、先妻レベッカの大きな存在感に「私」が圧倒され、

孤立無援のヒロインの心理状態がより切迫して感じられます。



ヒロインはかつての自分を、

縮らしてない断髪、おしろいけのない幼稚な顔つき、お手製の不恰好な上着と

スカートとジャンパーを着て、まるで内気な子馬のように、おどおどと

ヴァン・ホッパー夫人の背後にくっついて歩いていたわたし自身を

はっきりと思いうかべることができる。―――と描写していますが、

外見も野暮ったく、自信が全くと言って過言でないくらい無い・・・、

また周りの人々も、ヒロインのおずおずとした態度を

侮蔑に近い目で見ていた様子が伺えます。

 

そんな彼女が、ヴァン・ホッパー夫人のほとんど偏執狂とも言うべき病癖ゆえに

マキシム・デ・ウィンターと知り合い、いつの間にか交際が始まるのです。

この辺の描写に関して映画はとても忠実ですね。。

でもウェイター達の態度に関しては、小説の中ではもっと赤裸々だし、

デ・ウィンター卿との会話を通して、なぜここまで急展開に

二人が心を通わせたかが理解できるので、感情移入しやすかったです。

 

映画の中では、こんな会話をするシーンがあります。

「本当は花や音楽があるプロポーズを夢見ていたんだろう?申し訳ない・・・」

「いえ、そんなことありません。充分ですわ。」

原作では、ヒロインが美しい結婚式を描いてみせ、デ・ウィンター卿がにべもなく

かつて一度、そういう結婚式を挙げた事を告げ、話はそこでおしまい・・・。

どちらかというと、原作のデ・ウィンター卿の方が現実的で

冷たい印象が強かったかも・・・。

とにかくこの辺の女性心理の描き方は素晴らしいです。

 

そして、急展開で結婚、マンダレイの女主人として嫁いでいく事に・・・。

こんな野暮ったい小娘に、大きなお屋敷の女主人が務まるもんですか!

要約すればこんな内容の意地悪なヴァン・ホッパー夫人の言葉を背に

夫を信じて一路マンダレイへ向かいます。

 

このマンダレイを舞台に、物語は本格的にスタートするのですが

マンダレイに、先妻レベッカに、そして不気味な家政婦・ダンバース夫人に圧倒され

マキシムの存在すら安らぎにならず、自分の居場所が感じられない

ヒロインの様子が淡々と、繊細に語られていく・・・。

このミステリアスな切迫した雰囲気・・・。静かな中に緊迫した文章・・・。

素晴らしいです~。

そしてそんなある日、仮装舞踏会が行われ、肖像画の衣装を真似た事から

マンダレイに起こった過去の事件が明るみに出て、

夫マキシムの、時折見せる偏屈な態度の理由も明らかになるのです。

 

前半の、幼稚でおどおどしたヒロインの、マンダレイに圧倒されている様子から一転

後半の、逞しく夫マキシムを支える妻として堂々と立ち向かっていく様子・・・。

全編通して、神秘的な、深い霧の中に聳え立つ美しい屋敷マンダレイを中心に

人々の心の葛藤が絶妙に描写され、サスペンスフルに展開されるこの物語は

本当に素晴らしい作品だと思います。

 

映画ではラストを微妙に変えていますね。。

きっと夫マキシムが、この事件を通してヒロインを想う気持ち―――愛情、感謝

―――そういった感情をもっと分かりやすく表現したかったのかな~と

勝手に解釈してますが・・・いかがでしょうね。。

それはともかく・・・この作品は私にとって大切な愛読書の一つなのです。

 

素材提供:AICHAN WEB


『ピアノ・ソナタ』

2005-08-26 13:00:13 | 作家や・ら・わ行

 S・J・ローザンです。

 

本当はシリーズ物なのです。

第一作『チャイナタウン』を読んでから書こうと思っていましたが

いつになるか分からないし、独立した作品としても充分通用すると思われるので、

「好きな作品」書庫でご紹介させて頂きます。

 

ブロンクスの老人ホームで警備員が無残な撲殺死体で発見され、

その残忍な手口から地元の不良グループ・コブラの仕業と判断されます。

ところが、被害者の叔父であるボビーは事件の真相は別にあるのでは?

との疑問から私立探偵ビル・スミスに調査を依頼・・・。

ビルは、かつての恩人でもあるボビーの為に、また殺された警備員マイクへの

友情の為に、危険な調査に乗り出すのです。

貴重な相棒リディア・チンへの切ない想いを抱えつつ・・・。

 

この作品のタイトル「ピアノ・ソナタ」とはシューベルトの

ピアノ・ソナタ変ロ長調のことです。

主人公の探偵ビル・スミスが、折に触れ機に触れ練習を重ねる曲であり、

彼の過去のいきさつにおいて無くてはならない曲なのです。 

このソナタはシューベルトの遺作ですね。。

他のソナタと少々趣が違う気がするのは、作曲した当時の

シューベルトの人生における様々な出来事が影響しているようです。

それはともかく、とても叙情的で、時に情熱的な美しい曲です。

私は、かのクララ・ハスキルの名演で聴くのがお気に入りです。 

ビル・スミスはリチャード・グードの演奏がお気に入りだそうです。

 

この作品のジャンルはハードボイルド系ですね。。

とても情緒豊かな描写や文章がそこここに散りばめられ、

彼の人生の過去のいきさつもさりげなく織り込まれていて、

ビル・スミスのピアノに対する想いの深さが切ないまでに伝わってきます。

なんていうか・・・とても魅力的な中年探偵です

 

ビル・スミスの身体を張った捜査によって、

事件の真相は徐々に明らかにされていきますが、これまたなんとも切ないです。

ブロンクスという貧しい地域にはびこるどうしようもない廃退・・・。

そしてその中で生れる友情、裏切り・・・。

なぜ偏屈になってしまったのか?なぜここまで悪になってしまったのか?

苦々しげに告白する刑事や、事件に関わる人々の説明を通して

様々ないきさつが明かされるシーンはジーンと胸を打たれます。

 

ここで話はちょこっとピアノへ^^

おそらく作者が相当クラシック通なのですね。

中でもピアノに関しては思い入れが深そう・・・。

ブロンクスの老人ホームに住むアイダ・ゴールドスタインは大好きなキャラです。

クラシック・ピアノ=お上品なんて思ってらっしゃる方には是非とも読んで頂きたい。

 

「この曲を知ってる?」「リストですか?」――――

「そうよ。メフィスト・ワルツの二番。一番は誰でも弾くわ。

でもこれを弾く人はいないのよ。なぜだか、わかる?」「いいえ」

「老いについての曲だから。シューベルトは若死にについて、作曲した。

誰だって理解できる。大いなる悲劇だもの。リストは老いを作曲した。

意地が悪い曲よ。あんた、これを弾くの」「いいえ」――――

 

「あんたがたくましいのは確かだわ。リストもベートーベンも弾けるわね。

あの交響曲的練習曲も弾くの?ほら、あの・・・」

「シューマンの?」わたしは言った。「ええ。弾きます」

 

ま~こういった具合に次々にあらゆる曲が登場します。

ちなみに初めてアイダがピアノを弾いている姿を見た時の曲は

ショパンのバラード第二番。

なんていうか・・・一般的な見解からすると

ショパンのバラード四曲の中では最も地味で不人気です。

分かりにくい曲なのですね。。

それをあえてもってくるあたり・・・只者じゃないぞ!なんて思ってしまうのです。

 

そうそう。。

シューマンといえば、ショパンと並んでロマン派を確立した作曲家。

むしろロマンティックな点ではショパンを超えているような気もします。

「クライスレリアーナ」「トロイメライ」等はあの最愛の人クララに

捧げられてますものね。

う~ん。。クラシック音楽界における世紀の大恋愛ですね。。

・・・大分話が脇道にそれてしまいました。

 

ラストは私立探偵小説ならではの事件解決で

警察や検事といった人々が主役の場合はあまり無い展開かもですね。

とにかく、事件そのものは悲惨極まりないのですが、

作者の一人一人に向けられる暖かいまなざしに包まれて、

とても心地良い後味が残ります。

素敵な相棒リディア・チンとの関係も気になるところ・・・。

かなりお勧めです~。。

 

素材提供:ゆんフリー写真素材集


ローレライ

2005-08-25 15:01:11 | 詩と音楽♪

 ハインリヒ・ハイネの詩・・・ジルヒャー作曲の歌で有名な詩です。

ちなみに、片山敏彦氏訳の詩集を掲載させて頂いてます。

 

ハイネ・・・。ゲーテを強く意識していたものの、全く違う作風で

新しいロマン派の風を巻き起こした印象があります。

シューマンとは仲の良い友達だったそうで、

彼の作曲した「リーダークライス」あたりは有名ですね。

ロマンティックな物に対して目がない私にとって、やはりハイネは欠かせません^^

 

 

   わが心かく愁わしき

   その故をみずから知らず。

   いと古き世の物語、

   わが思うこと繁し。

 

   夕さりて風はすずしく

   静かなリライン河。

   沈む日の夕映えに

   山の端は照りはえつ。

 

   巌の上にすわれるは

   うるわしき乙女かな。

   こんじきに宝石はきらめき、

   こんじきの髪梳く乙女。

 

   金の櫛、髪を梳きつつ

   歌うたうその乙女、

   聞ゆるは、くすしく強き

   力もつその歌のふし。

 

   小舟やる舟びとは

   歌聞きて悲しさ迫り、

   思わずも仰ぎ眺めつ。

   乗り上ぐる岩も気づかず 。

 

   舟びとよ、心ゆるすな、

   河波に呑まれ果てなん。

   されどああ歌の強さよ、

   甲斐あらず舟は沈みぬ。

 

素材提供:ゆんフリー写真素材集


コーデリア・シリーズ

2005-08-24 13:00:53 | 作家さ行

 P・D・ジェームズです。

 

ルース・レンデルとは良き友人同士だったそうです。

当時の英国ミステリー作家の中でも人気を分け合っていたようですね。

本来は純文学を目指していただけあって、その作風も硬質で文学的です。

 

コーデリアが主役の作品は残念ながらあまりないですね。

初めて『女には向かない職業』を読んだ時、とても新鮮な印象を受けました。

「女探偵」と聞いておそらく大抵の人が想像するイメージとは一線を画します。

なんていうか・・・とても健気なのです。そして真面目。

 


探偵事務所のパートナーが自殺した為、事務所を守るべく奔走する様は

読んでいて思わず「がんばって!」って声をかけてあげたくなります。

同世代の男女に対しての対応もちょっぴり硬い。

でも私から見ると、とってもかわいい^^。

 


そしてとても印象的なラスト。。

それまで必死になって頑なに守っていた硬い・・・何だろう・・・プライド?

う~ん。。微妙に違うな。。

とにかく張り詰めていた気持ちが一気に緩み、

感情を吐き出すシーンは思わず一緒になって泣いてしまったくらい

いつの間にかコーデリアに感情移入してしまってました。



この邦題『女には向かない職業』は、コーデリアが探偵稼業をしている事に対して

ほとんどの人が口にするセリフです。

この邦題ゆえに読む気になれなかったのですが、

読後は読んでよかったと心から思えた作品です。

 

素材提供:Pari’s Wind


キンジー・ミルホーン・シリーズ

2005-08-24 12:44:58 | 作家か行

 スー・グラフトンです。



アルファベット順に作品のタイトルが付けられているこのシリーズは、

根強い人気がありますね。

今は『縛り首のN』まで・・・かな?



でも私は『アリバイのA』『泥棒のB』の二冊のみで止まっちゃってます~。。

決して面白くないわけじゃないけど、やっぱハードボイルドって

基本的に好きじゃないみたいでス。



キンジー・ミルホーン。。

カリフォルニアを舞台に、一人で探偵事務所を営んでいます。

30代の独身。2回の離婚暦を持っています。

でも決して男に対して対立しよう、なんて気はさらさら無く、

肩肘張らない自然な姿勢は好感持てます。



一つ一つの捜査が緻密で丁寧。

でもその分、全体的におとなしい印象を受けますが・・・。

作品のラストで、依頼人に報告書を書くかのように

「以上報告します。」の〆の言葉は中々粋ですネ^^



『アリバイのA』で見せた女性としての弱さも、ちょっぴり切なくて・・・。

真犯人を知り、なんとゴミ箱に追い詰められた時の

キンジーの心中の描写は見事です。



いずれは続きを読もうかな~なんて思いつつ・・・

その気になれないまま今に至ってます~。。


『天使の怒り』

2005-08-23 12:57:02 | 作家さ行

 シドニー・シェルダンです。



一時期、異常にはまってしまい、『ゲームの達人』から始まって

ほとんど読破してました。

が。。徐々に、なんとなくワンパターン気味に感じ始め・・・

最近めっきりご無沙汰です。

でもこの作品は数あるシェルダンの作品の中で特に好みの展開でした。

そもそも法廷物って結構好きで、ペリー・メイスンから始まって

リーガル・サスペンスに夢中になったので。。



で、この作品。

ヒロインの女性弁護士が、晴れて勤務についた当日に

「法曹界から追放か?」くらいの大変な事件に巻き込まれて、

大物検事の激怒を買い、いきなり敵に回してしまうのです。

でも心優しい先輩弁護士の配慮により、弁護士の資格は死守します。



何も無い状態から始まって、一人の黒人受刑者を殺人罪の容疑から救い、

裁判で、かの大物検事に勝利した事から徐々に頭角を現し、

法曹界の有能な弁護士として華麗なる活躍をするのです。



この辺りのサクセス・ストーリーは本当に大好き

絶対絶命の状況から、持ち前の負けん気と情熱と、素晴らしい頭脳で

見事切り抜ける法廷シーンはワクワクします。

法廷での頭脳プレイというのは、白黒はっきりさせられないから

絶妙な逃げ道とかあって、最高に面白い・・・とにかく大好きです。

でも作家の考え方が克明に現れるので、共感出来ないと、もうアウトです。。



それはともかく、この作品。。

・・・やはり、女は恋に弱いもの・・・。

恩人の弁護士との道ならぬ恋、マフィアの干渉、大切な息子の死。

段々坂道を転がり落ちるような急展開の後半は結構切ないです。

 

特にマフィアの大物マイケルとの関わり合いが、

ジェニファーの人生を大きく狂わせていくのです。

もともと法曹界から追放されたきっかけでもあるわけで・・・

ジェニファーとしては最も憎むべき相手のハズなのです。

が・・・そこはやはり運命、としか言いようの無い形での関わり合いは

なんとも言えず・・・切ないですね。。



それにしてもこうも法曹界の大物達って腐ってるか?なんてシーンもあったりして

ヒロイン・ジェニファーが、純粋で一生懸命だった前半、悪に手を染めていく後半と

世の中に・・・特に法曹界によって運命を翻弄されてしまった

一人の女性の半生を描いていて、色々考えさせられた作品でした。

 

素材提供:IKOI


ステファニー・プラム・シリーズ

2005-08-23 12:36:58 | 作家あ行

 ジャネット・イヴァノヴィッチです。



ヒロイン、ステファニー・プラムの職業はバウンティ・ハンター(女賞金稼ぎ)です。

これは、裁判をすっぽかした保釈中の容疑者を捕まえて警察につき出す事で

報酬をもらう、というかなり過激な職業です。



ステファニーの人生はとにかく波乱万丈。。

もともと勤めていたまともな仕事を首にされ、ほぼ無一文に・・・

なのに職が全く見つからない。

という事で、生活の為にやむなく始めたのがこの仕事なのです。



ジャンルは一応ハードボイルド・・・なのかな。

でもコメディの要素がほとんどですネ。

荒くれ男達を相手にリボルバーを振り回す。。

でもはっきり言ってまともに撃てた事がありません。

頼りになるマッチョな相棒にプレゼントされる高級車は片っ端から爆破され・・・。

しょっちゅう体型を気にするくせにチョコバーが大好き

 

ま~とにかくふざけたシリーズです。

まともなお話を期待して読んだらもしかして怒っちゃうかも



でも何気に人間味あふれた言葉、状況が時々あって、妙に魅力的で、

殊に飼ってるハムスターに対する愛情はちょっと泣けます(

周りを取り巻く登場人物も個性豊かで面白いです。

 

特にモレリとレンジャー・・・。

超カッコイイお二人は、このシリーズのファンの間では何かと物議を醸し出し・・・

ステファニーとの危ない関係が気になるところ・・・なのですヨ・・・

 

そうそう。。忘れちゃいけないのは、近くにある実家での美味しそうな食べ物

描写も細やかで本当に美味しそう。。食欲をそそるのです~。



たまには難しい事は何も考えず、

こんなはちゃめちゃなお話にのめり込むのも楽しいですよね~。。


『月と六ペンス』

2005-08-22 16:14:15 | 作家ま行

 サマセット・モームです。

 

平凡な株式ブローカーのチャールズ・ストリックランドは、

ある日突然家族と仕事を捨ててロンドンからパリに出奔してしまいます。

小説家を志している僕・・・語り手はストリックランド夫人から依頼されて、

ストリックランドに会いにパリへ行きます。

そこで知ったストリックランドの胸のうち・・・

なんと、絵を描きたくてすべてを捨てたというのです。

 

彼にはそれが説明できなかった。雷にうたれたようなものだと彼はいったが、

そういういい方にも満足できず、啓示ともいうべきものだったといいなおした。

なにかが心の中できゅっと締めつけられたように思われ、

とつぜん一つの歓喜、すばらしい解放感が感じられた。

ゆったりと安らかな気持になり、たちまち、その場ですぐに、

これからの生涯をアレキサンドリアで送ろうと決心した。

 

並みの芸術家ではないゆえ、奇行に走ってしまうストリックランド。

タヒチを舞台に繰り広げられるゴーギャンの色彩豊かな後半は

ストリックランドの行為が良いか悪いかは別として、

天才とはこういうものなのかな~と考えさせられました・・・。

 

この作品の題名・・・

月は芸術を、六ペンスは俗世間を現してるそうで・・・とても印象的ですね。

 

素材提供:Pari’s Wind


アーネスト・ヘミングウェイ

2005-08-22 15:58:01 | 作家は行

1899年シカゴ生まれ。第一次世界大戦も経験してます。

1961年、猟銃自殺。波乱に富んだ人生ですね。



代表作は『日はまた昇る』『武器よさらば』『老人と海』

『誰がために鐘は鳴る』あたりかな。

ノーベル文学賞も受賞している偉大な作家です。




個人的には『武器よさらば』が好きですね~。。

フレデリック青年とキャサリン看護婦の悲劇的な愛の物語・・・です。

戦争の描写は、経験しただけあってリアルで大胆です。

二人がスイスへ向けて、小船を漕いで湖を渡る命がけの逃亡シーン・・・

凄かったです~><。

そして更に二人を待っていた過酷な運命・・・。

 

う~ん。。

ヘミングウェイはハードボイルドの先駆者と言っても過言じゃない作家ですよね。

今、世界中が不穏な空気に包まれていますが、こういう本を読むと、

戦争の悲惨さ、恐ろしさを知らない世代の私達は、

あまりにも平和ぼけしてるな、なんて事も考えさせられます。