プラムの部屋♪

長い長い休暇中デス。(*_ _) ゴメンナサイ。

ホフマン物語~ロイヤル・オペラ

2007-03-12 16:26:26 | お気に入りDVD

「天国と地獄」でお馴染みのオッフェンバックが唯一手がけたオペラです。



ドイツ・ロマン派の詩人でもある怪奇小説家E.T.A.ホフマンを主人公に

彼が書いた短編小説をオムニバス形式でつないだ幻想的なこのオペラ。

オッフェンバックが一部未完の状態で他界してしまったこともあり、

実に様々な改訂版が登場してますね。

演出家によって様変わりする変幻自在な舞台は

音楽の素晴らしさも手伝って本当に楽しい・・・とても好きなオペラです。



このロイヤル・オペラ版ではプロローグとエピローグを含む全三幕。

主演ホフマンを演じるは若きドミンゴです。

オランピア、ジュリエッタ、アントニアの異なるヒロインを演じるは

ルチアーナ・セラ、アグネス・バルツァ、イレアナ・コトルバスと、

素晴らしいディーヴァ達が舞台に華を添えてくれます。



バルツァの妖艶で力強いジュリエッタは豪華な赤いドレスが映えて

本当に美しいです。

退廃的なムードの中にあって、妙に毅然とした姿は・・・

ホフマンじゃなくてもあっさり降参してしまうのでは?



個人的にはアントニアのコトルバスが一番好きです。

物悲しい舞台設定の中、清純で愛らしい・・・

でも薄幸の女性象を見事に演出、ドミンゴとの愛の二重唱も美しく、

不気味なミラクル博士と母の亡霊との三重奏の迫力は凄まじく・・・

最も地味な章と思われますが、私の中では最も印象的でした。



ただ、本音を言っちゃえばオランピアの章だけは

ナタリー・デッセイのオランジュ音楽祭版が最も好きでして・・・

ピンクのロリータ・ファッションで風に吹かれながらヒラヒラカクカク

巨大なロリータ・オランピア人形達と仲良く手をつないで踊るナタリー。。

透明な美しい声で伸びやかに、極自然にコロコロ唄う

見事なコロラトゥーラの素晴らしさ!その仕草の愛らしさ

オランピアの章はどの演出も楽しいですが、これはちょっと凄かったな。。




   指揮:ジョルジュ・プレートル
   演出:ジョン・シュレシンジャー
   
   ホフマン:プラシド・ドミンゴ
   リンドルフ:ロバート・ロイド
   オランピア:ルチアーナ・セラ
   ジュリエッタ:アグネス・バルツァ
   アントニア:イレアナ・コトルバス
   ニクラウス、ミューズ:クレア・パウエル


   
  プロローグ・・・19世紀初頭のニュルンベルク



舞台は歌劇場と隣接するルーテルの酒場です。

劇場ではモーツアルトのドン・ジョバンニを上演中で、

ホフマンと恋仲の歌姫ステラがドンナ・アンナ役でデビューするところです。



このステラに横恋慕する顧問官リンドルフが酒場に登場!

ステラのホフマン宛の恋文を預ってるアンドレスを買収して

この手紙を首尾よく手に入れます。

ホフマンへの想いを綴った手紙と楽屋の鍵を手に、

リンドルフは、ホフマンとステラを合わせまいと策略を企て

舞台が終わるまでホフマンを見張ることにします。



そこへ酒場の主人ルーテルがボーイ達と共に登場!

更に学生達が陽気に登場!

彼らの新スター・ステラを称えて乾杯と大騒ぎです。

ニクラウスと共に登場したホフマンは実に暗い顔。。

学生達にせがまれて「クラインザックの物語」を歌ううち

いつしかステラを想い、夢想の中に沈み込んでしまいます。

そして恋人がいると自慢する学生達に向かい、

ステラには三つの魂を一つにした魂を持っていると言い、

彼らに請われるままに、三つの恋物語を語り始めるのでした。



  第一幕 オランピア



舞台はパリ、発明家スパランツァーニ教授の家。

彼は機械仕掛けの自動人形を作り、今夜招待客達に

自分の娘オランピアとしてお披露目し、見世物にすることで

銀行の負債を取り戻す魂胆なのです。

ところが人形の目を作ったコペリウスに目の代金を支払ってない為

スパランツァーニはコペリウスに邪魔されることを危惧しており、

苦肉の策として、請求に来た彼に無価値な手形で代金を支払い、

その場を凌いで・・・誤魔化すのでした



さて。ホフマンですが、窓からオランピアを一目見て恋に落ち

彼女に会いたい一心からスパランツァーニの弟子になってます。

コペリウスは持参したおかしな発明品の中から

魔法のメガネをホフマンに売りつけました。

知覚を狂わせ、オランピアを生きた人間のように見せるメガネのおかげで

ホフマンの恋心は募る一方に・・・。



豪華な夜会、スパランツァーニはオランピアを披露

招待客たちは感嘆の声をあげ、褒め称えます。

教授がオランピアの肩に手を触れると、ハープの伴奏で

アリア「森の小鳥は憧れを歌う」を歌います。

このアリア、かわいいですね^^



やがて一同は夜食を食べに食堂へ移動、

ホフマンはオランピアと二人きりに。。

ホフマンが想いを打ち明け、オランピアの肩に手を触れると

「はい!」とオランピア

思わずオランピアの手を取ると、ピョンと立ち上がり、駆け回ります。

ニクラウスが諌めるのも聞かず、慌てて後を追いかけるホフマン。

一方、不渡り手形を渡されたと知って怒り狂ったコペリウスが

ドサクサに紛れてオランピアの部屋へ忍び込みます。



客達が再び戻ってきて宴の再会。

ホフマンとオランピアがワルツを踊り始めますが、段々速度が増し、

凄い勢いで回転し始め、止めようとする者を弾き飛ばし、

遂にホフマンは倒れてメガネを壊し、そのまま意識を失ってしまいます。

直後に鳴り響く機械の壊れる大音響・・・!

我に返ったホフマンは、オランピアの残骸を手に、呆然とするのでした。。



  第二幕 ジュリエッタ



舞台はヴェネツィアの大運河に面して建つ娼婦ジュリエッタの豪奢な館。

運河にはゴンドラがユラユラ揺れてます。

部屋の中は薄暗いうっすら茜色の照明に照らされ、部屋のあちこちに

絡み合った男女の姿が蠢く退廃的で官能的な雰囲気が漂ってます。

その部屋にニクラウスが「舟歌」を歌いながら登場。

大きなベッドに横たわる娼婦ジュリエッタが

途中から美しいハーモニーを奏で、耽美な世界が繰り広げられます。



実はこのジュリエッタこそ悪魔ダッペルトゥットの手先。

ダッペルトゥットがジュリエッタに大きなダイヤを見せ

「ホフマンの影と引き換えにお前に与えよう」と言います。

館を去ろうとするホフマンを、ジュリエッタが巧に誘惑、

遂にジュリエッタに心を奪われるホフマンが大きな鏡を覗いてみると・・・

なんと彼の姿が鏡に映らない・・・



そこへジュリエッタの旦那シュレミルが登場!

客達と共にホフマンを嘲笑します。

ジュリエッタは宴の終わりを告げ、さっさと寝室へ行ってしまい

残されたホフマンはシュレミル相手に決闘!

倒れたシュレミルから寝室の鍵を奪い、部屋をこじ開けますが

そこはもぬけの殻。。

ジュリエッタはダッペルトゥットと共にゴンドラに乗り、

高らかに笑いながら去っていくのでした。。



  第三幕 アントニア



舞台はミュンヘン、クレスペルの家。

アントニアの母はドイツ最高の歌手でしたが、胸を患い病死。

美しい声を受け継いだアントニアですが、

同じ病も受け継いでしまっており、歌うと胸の病に触るため、

歌うことを禁じられているのです。

ただ、アントニアはそこまで重い病いということは知りません。



その部屋には母の肖像画が飾られていて、

どことなく死の匂いが立ち込めてます。

アントニアは一人、クラヴサンを前にホフマンを想い、

失われた愛を歌ってしまいます。

そこへ父クレスペルが登場。

もう二度と歌わない約束をしたはずと、娘に言います。



実は、かつて音楽教師として、また、アントニアの婚約者として

彼女の才能を見出し、歌手として成功する夢を抱かせたホフマンを

クレスペルは激しく嫌悪しており、娘の命を救おうと歌うことを禁じ、

ホフマンから逃れてミュンヘンへ移ってきていたのです。



耳の遠い従僕フランツに誰が来ても戸を開けないよう命じて

クレスペルは外出します。

ところがかんぬきをかけ忘れ・・・開いてる戸から入ってきたホフマン。

誰もいない部屋でクラヴサンを弾きながら、

アントニアの好きだった歌を歌いだします。

 


愛の喜びに溢れて部屋へ飛び込んでくるアントニア。

父との約束を破って、ホフマンと共に愛の歌を歌ううち

胸が苦しくなって倒れそうになったアントニアは自室へ引き返し

ホフマンは、歌声を聞いて駆けつけたクレスペルから逃れ、

物陰に隠れて事態を掌握しようと決意します。



そこへ奇怪な医師ミラクル博士が登場!

彼こそ、妻を死なせた男であり、娘までも殺そうとしてると

確信するクレスペルはなんとかして部屋から追い出します。

ところがミラクル博士は魔法のように部屋へ入り、

姿の見えないアントニアを診察するのです。

ここ・・・物凄く不気味です・・・。



ミラクル博士が出ていった後、事態を把握したホフマンは

恋人の命を救おうとしてアントニアに歌手としての夢を

捨ててほしいと懇願します。

「絶対に歌わない」とアントニアの約束を取り付けて帰っていくホフマン。

と、ところが!

絶望に打ちひしがれ、クラヴサンの上で泣き伏すアントニアの後ろから

まるで煙のように再び登場のミラクル博士は

「その若さで夢を捨てるのか?」「さあ、歌いなさい」と強要!

更に死んだ母親の亡霊を呼び出し、

二人でアントニアに歌を強要します。

ミラクル博士のヴァイオリンの響きと母の歌声に促され、

狂ったように歌い続けるアントニアは遂に床に倒れ付し・・・

ミラクル博士も母の姿も煙のように消えうせるのでした。



駆けつけた父の腕の中で愛の歌のルフランを歌いながら

息絶えるアントニア。

戻ってきたホフマンをクレスペルは激しく責めますが、

またも登場した不気味なミラクル博士が臨終を断言・・・

ホフマンは、アントニアの亡骸を抱き締めて呆然とするのでした。。



  エピローグ



舞台は再びルーテルの酒場。

ホフマンは3つの恋物語が終わり、ぐったりしています。

オペラ「ドン・ジョヴァンニ」も終わったらしく、大喝采が聞こえてきます。

ニクラウスは、今聞いたばかりの3つの恋物語は、実は歌姫ステラへの

想いが生んだ幻想・・・三つのドラマは一つと結論付けますが、

ホフマンは怒ってグラスを粉々にし、泥酔してしまいます。



一方、大成功の舞台を追え、輝くばかりのステラがホフマンに

近づきますが、邪険な態度をとるホフマンを見て後ずさります。

そして紳士然として声をかけてきたリンドルフの腕にすがり、

ホフマンの人生から去っていくのでした。



ホフマンの友人としてずっと付き添ってきたニクラウスは

ミューズの姿に戻り、

「情熱のすべてを芸術に捧げなさい。詩人として甦りなさい。」

と語りかけ、これまた静かに去っていくのでした・・・。

 

素材提供:AICHAN WEB


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
す、すごい! (Orfeo)
2007-03-12 21:28:45
プラムさん、こんばんは。
TB、ありがとうございました。
強制表示させましたので、ご確認下さい。

それにしても、いつもながらの名調子ですね。
私のところは、ストーリーはほとんど全部削除してしまったので、今後はプラムさんのところへのリンクを付けますね。今後とも、よろしくお願いします。

TB返しさせていただきました^_^;;
Orfeoさん (プラム)
2007-03-13 09:38:37
す、すごい!
・・・ってこれはTBの強制表示に対する発言ザンス
ココログ、がんばってますね^^

いつも色々気を遣って頂いて、かえって恐縮しております~。。
でもとっても嬉しいです
有難うございます。

でも昨日は久しぶりにがんばり過ぎて(?)気持ち悪くなっちゃいました(爆)
今読み返してみると変な文章を数ヶ所発見!
(特にオランピアのところとか)
やはりオランピアと一緒に壊れていたらしいデス
こんにちは (kju96)
2007-03-13 11:35:04
このオペラは当然、何度か居眠りに誘われます。
ホフマンの舟歌は何とかクリア
その後くらいから眠気に誘われ・・・
19世紀末、ロッシーニがシャンゼリーゼの
モーツアルトと言ったくらい。
人気を博したのでしょうね。当時のパリは
世界の首都、一番有名な町、華やかで幻想的な
作品に誰もが酔いしれたのでしょうね。
プラムさんの解説・・場面ごとに誘われる感じです。
個人的にはジュリエッタでしょうか・・・。
長いオペラ・・・なんて心地よいのでしょうか・・
変ですね。オペラは最高!

kju96さん (プラム)
2007-03-14 10:28:10
>このオペラは当然、何度か居眠りに誘われます。

あっはは~
まさに悪夢への誘い・・・ですねぇ。。
特にアントニアの章は怪奇的ですものね
こんにちは2 (ミーシャ)
2007-03-14 12:41:26
プラムさん、こんにちは。
w(^o^)w オォ- 「ホフマンの舟歌」ですね!
長いオペラで、居眠りに襲われるんですか^^
そういったことも含めてオペラの醍醐味はあるのでしょうか。

ブログが数日間重くて・・・開かない時間もあったり、コメント欄が消えたり! やっと良くなりつつあります。ご迷惑おかけしてます。

ミーシャさん (プラム)
2007-03-14 23:59:43
こんばんは^^

「ホフマンの舟歌」。い~い曲ですよね~。
いかにも大きなゴンドラに乗ってヴェネチアの運河を
優雅に揺られているイメージが浮かんでくるようです。
とっても素敵なオペラなのに、日本での人気はイマイチですね。
上演が難しいのかな。。

ところでこのオペラ。
オムニバス形式だから長く感じるかも知れませんが、
それ程でもないですヨ~。。
きっと舟歌が子守唄になってしまうのでしょうね^^
酔うほどに… (ユウ)
2007-03-18 21:54:27
素敵なオペラを堪能させていただきました。
オムニバス形式の3つのドラマ…ステージが目に浮かぶようです。
ここ最近、オペラは見ていないので…。
プラムさん、ありがとう
ユウさん (プラム)
2007-03-19 11:48:16
こちらこそ・・・素敵なメッセージ、サンキュです~