マリオ・バルガス=リョサです。
知る人ぞ知る
ガルシア=マルケスと共にラテン・アメリカ文学を代表する作家です。
特にこの作品は、彼の自伝的要素がたっぷり詰まってまして・・・
血の繋がりこそ無いものの、年の離れた叔母と―――
彼は18歳、叔母は32歳のバツ一!―――恋におち、
親戚中の大反対の中、その恋を遂に貫き結婚
これが実話だったりしてるのですヨ~。。
ちょっと凄いでしょ?(笑)
でも読んでみると決して不自然じゃないのです。
やはりそこはそれ・・・ラテン系の情熱が為せる技
それはともかく・・・彼らの出会いから結婚に至る困難な道のりを
瑞々しく爽やかに描く合間合間に、ペドロ・カマーチョという
シナリオライターが書く奇想天外なラジオドラマの台本を挿入していく・・・
というちょっと変った趣向の作品がこれ。。
TVが無い時代のペルーではラジオドラマが大人気だったのですね。
実物を見たらがっかりするような俳優達が、
声だけで素晴らしいドラマを展開!この様子をこっそり見るのが楽しみ、
という僕(主人公マリオ)も人が悪いです
でもそれに輪をかけて人が悪いのがその上司!
「ペルーにテレビが普及したら、連中は自殺するしかないだろうよ」。
このラジオドラマのシナリオライター兼声優として登場した
ペドロ・カマーチョはまさに天才
結婚式当日に突然昏倒した若く美しき花嫁。泥酔して花婿を
殺そうとする花嫁の兄。一体ふたりの間に何があったのか!?
巡回中のリトゥーマ軍曹が見つけた正体不明の黒人。
彼の殺害を命じられた軍曹は
果して任務を遂行することができるのか!?
ネズミ駆除に執念を燃やす男と彼を憎む妻子たち。
愛する家族に襲撃された男は
果たして生き延びることができるのか!?
小説の中で、これら破天荒なストーリーと迫真の演出で瞬く間に
聴取者の心を掴んだペドロ・カマーチョ、という設定ですが、
実際、こんな面白いストーリーが放送されたら夢中になってしまいそう^^
僕(マリオ)は、 このラジオドラマを放送する局でアルバイトをしており、
輝くようなペドロ・カマーチョの才能に敬意を表するようになります。
小説家志望の彼にとって、羨望の的なのです。
実際、彼が書く短編のプロットが紹介されてますが、
ペドロ・カマーチョの書くラジオの台本の方が遙かに面白い・・・。
そんな日々を送っている頃に出会ったのが離婚して実家に戻ってきた
フリア叔母さんでして・・・この二人の関係の進展が奇数の章に、
放送されるシナリオが偶数の章に、交互に話しが展開します。
初めは大人気のラジオドラマでしたが、あまりの忙しさからか、
ドラマの登場人物達が交錯し、混沌とした様相を呈し始め、
更に次々と凄まじい災難が襲い掛かり、登場人物が相次いで死亡
有り得ないことの連続に抗議の電話が殺到
僕(マリオ)はバルザックを例にとって必死で擁護しますが・・・
一方、僕と叔母さんの恋の行方も徐々に熱く、深刻に・・・
殊に17章の結婚を受理されるまでの奔走シーンは素晴らしいです。
彼らを取り巻く友人達の暖かい友情が涙もの。。
このふたりの恋は・・・良いですヨ~。
まさに青春真っ盛りの青年ならでは、の熱さ直向さ
こんな風に若い青年に迫られたら、
妙齢の(爆)プラムさんもイチコロかも
この作品は『ラジオタウンで恋をして』という邦題で映画化もされてます。
『緑の家』『世界終末戦争』等、数々の重厚な作品を手がけて
世界的に人気を博したバルガス=リョサが、コラージュやパロディ等の
手法を駆使してコミカルに・・・かつシリアスに描いた半自伝的作品なので
面白くないわけはありませんネ
素材提供:AICHAN WEB