イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

鳳凰と月読

2014年07月05日 07時24分22秒 | 集英社

孔雀王

集英社文庫
第十一巻

智拳印

尼僧A:月読様。裏高野女人堂の主として…とりかえしのつかぬことをなされましたな…………あの獣のごとき男に犯された事は仕方なきこととしても……仏につかえる我らには子を産むことなど決して許されぬはず……。
尼僧B:それもこともあろうにそのような汚れた子などを……。
尼僧A:今すぐ始末なさいませ……おのが御自身の手で……さもなくば我らはあなた様より月読の名を取り上げ、この御山(おやま)から……。
鳳凰の母:この子の…どこに汚れがあるというのです…かくも弱く人の愛なしには生きられぬこの子が……なぜ汚れた子なのですか…人は生まれた時はみな仏……その心には一点の曇りもありません…もしもこの世にけがれた者がいるとすれば他人をけがれたものと見る、あなた方自身ではありませんか…。
尼僧一同:!!
鳳凰の母:ひとりの尼僧として、この子の仏の心を守るねは私の使命……でも今は……一人の母として私はこの子を守りぬきます。
尼僧一同:…………。

鳳凰の母:さあ坊や。行きましょう、母さんと一緒に…。


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