イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

美人姉妹の正体は?

2013年02月12日 05時08分17秒 | アニメ

QUEEN EMERALDAS
オリジナル・サウンド・トラック

by 冬杜花代子

松本零士ワールドの人気キャラクター達の中で二人の女性を選ぶとしたら、個人的好みを抜いて考えれば、メーテルとエメラルダスでしょう。メーテルは、もちろんあの名作『銀河鉄道999』のヒロインで、国民的有名女性ですが、エメラルダスの方は、知名度において、やや下回ります。それは、松本作品の宇宙には、度々クイーンエメラルダス号とエメラルダスが登場するにもかかわらず、彼女を主人公にすえた独立作品がなかったせいでしょう。今回のOVA『クイーンエメラルダス』シリーズが実現したのは、松本先生御自身もこの事に気付いていらっしゃるからだそうです。

御存知の方もいるかと思いますが、メーテルとエメラルダスは双子の姉妹で、メーテルは、女性の中の母性と愛を司り、エメラルダスは、戦いのフィールドを引き受けるという特色づけをされているのです。(松本先生からお聞きしました。)この二人にはたくさんの共通点があります。黒のマントが似合うミステリアスなルックス、誰かを愛す時の徹底的な深さ、理不尽を許さない意志の強さ、そして、ひとりで旅をしている、等々。これらの特性は、松本先生が抱いていらっしゃる理想の女性像そのものとお見受けしました。女性の強さを以て完成する。この事を、キャラクターとして創り出されたのがメーテルとエメラルダスでしょう。ひとつの理想的女性像から、それぞれ、愛と強さという二点を強調して、2人の女性が作られたのです。

ひとりで旅をしているというイメージは、人生はひとりでする旅であり、途中道連れに出会いながらも、結局は自分で全うするしかない、という真理を示唆していると思います。私も、ひとりでいる事がサマになる大人の女性が好きです。傍らにいる男性によってしか自分を示せない女性よりも、自分で在る事で自分を表現できる女性。そんな女性達が最近増えてきたように思います。日本人の幼児化が言われる中で、片や、大人文化も根付いているという表れではないでしょうか。「ヘタな事を言ったら張り倒されるのを覚悟で、男は、強い女性に迫るのがいいんですよ。」と、松本先生はおっしゃいました。

男性の中で、理想の女性像が出来上がるのは、少年の頃の体験に起因するようですが、その理想を大人になってからもずっと持ちつづけ、それを作品に生かしてしまう作家とは、おそろしく粘り強くなくちゃ勤まらない職業ですね。そして、理想を特殊な形で自分のものにできるすばらしい仕事でもあります。


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