イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

篠塚高(No.9)☆松崎比呂 in 凍原

2013年06月10日 21時40分25秒 | 高橋美由紀

小学館文庫
『凍原 北海道警釧路方面本部刑事第一課・松崎比呂』
著:桜木紫乃

「3」
p.44


一着しかない黒のパンツスーツで出勤する。心なしか肩のあたりが窮屈になっている。流行り廃りのないデザインだったので、五年間買い換えていない。仕事に支障が出るようなことでもない。毎日の仕事着は伸縮素材のパンツとシャツ、あとは季節に合わせた数着のジャケットとダウンがあれば充分だった。着るものに気を遣ったり金を掛けるという意識はなかった。化粧もチューブのファンデーションとリップグロスで終わり。髪は肩までの長さで、普段はほとんど一本に結わえている。縛る長さがあれば毎月美容院に行かなくても済み、スタイルを気にする必要もない。


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