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西洋美術関連ブログ 思索の断片
―Thoughts, Chiefly Vague

フィンセント・ファン・ゴッホ 「オーヴェールの教会」

2014-04-05 22:54:43 | 番組(美の巨人たち)

('The Church at Auvers' [1890, Musée d'Orsay, Paris])

2014年4月5日放送 美の巨人たち(テレビ東京)
フィンセント・ファン・ゴッホオーヴェールの教会

濃いブルーをバックに映える歪んだ教会。

この絵は長らく画家の悲観的な心理のあらわれと解釈されてきた。

無理もない。
題名にも含められているオーヴェールとは、画家の絶命の地なのだから。

しかし本当にそうなのか。

終の住み処となったパリ北部の農村で、ゴッホはかつてないほど精力的に作品を仕上げていった。
そのペース、70日間で70作品以上。

今回の一作は、ゴッホの画業における新たな方向性のあらわれともいわれる。

この作品が彼の集大成となってしまったことは皮肉かもしれない。
しかし見方によっては、画家の望みが遂げられた、その達成感も少なからずあったのではないか。

画面上部は夜の青。
その視線は俯瞰的。

対して下部は昼の黄。
こちらは見上げるような視点から描かれている。

撞着融合的なコントラストのなかで浮かび上がる教会の姿。

異郷にあって、教会牧師だった父のことが思い起こされる。
自らの内面においての父との和解が、臨終のときを安らかに導いた。

依然謎多きゴッホの死だが、こうした解釈も十分可能だろう。

最後に・・・

ドラマ「シャーロック」で一躍有名になった俳優ベネディクト・カンバーバッチは、BBCのドキュメンタリードラマVincent Van Gogh: Painted with Wordsでゴッホを演じている。
YouTubeでも観られるので、興味のある方はどうぞ。