旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

玄関と裏口

2007年05月09日 | 旅行一般
初めての海外旅行は私もご多分に漏れずパッケージツアーでした。前にもどこかに書きましたが、短期の語学研修であったわけですが、土日が休みとなる現地の学校では専ら週末はどこかへ小旅行をして過ごします。学校で習った英語の実地演習ともなるわけで、学校側も小旅行を奨励していました。

そんなある週末、私はこのツアーで知りあった何人かの人とロンドンへの小旅行。ハイドパークの西を歩いておりました。その時、前方からやはり何人かの日本人旅行者が歩いてきたのです。

ヨーロッパでよく見かける光景どおり、お互いはお互いがまるで存在していないように無言、無視のまますれ違います。しばらく歩いて相手に声が届かなくなった頃、一緒に歩いていた一人が言いました。

"こんな所まで来て日本人に会いたくないですよねぇ。"

日本人と会いたくない人物が私を含めた日本人と小旅行しているという矛盾にその人は気がついていないようでした。

その後も旅行中にこれに類する光景を見かける事は多々あります。日本人に対してだけでなく、人にダマされたりする事を恐れるあまり、とにかく接点を持たないように必死の姿などを見ていると、自分が旅の初心者だった頃、自分にもそんな事があったかなと思い出したりする事もあります。

旅行中には日本人、他の国からの旅行者、その国の人などなど、様々な人との接点が発生します。そして旅行者である自由でそういった接点をとにかく遮断する事も可能といえば可能です。旅行先で声をかけてきたりする人の中には企みがある人もいますから、接点を極力遮断していれば一見安全であるように見えます。ところが実際は、自分を気づかって声をかけてくれる人も多いのです。その人たちを遮断していると自分を危険から救ってくれるかもしれない人を遮断する事で結局安全を放棄しているかもしれません。

物事を難しくしてくれるのは、その人たちが自分を気づかってくれているのか、自分に対して何らかん企みを抱いているのかの区別が大抵の場合つかない事です。一つだけ、ほぼ全なのは日本人旅行者同士。ここで騙し合いはほとんど発生しないのでこれを上手く繋いでおかない手はないと思います。(中には現地の詐欺グループと組んだサクラもいますから完璧に安心できるわけではありません。)

私個人としては日本人に限らず、頼れる人は極力沢山確保しておきたいと考えていましたし、今もそう考えていますから、旅を続けるにつれて接点を遮断するよりも接点を多く持つように心がけていました。これが皆さんにお薦めできるのかどうかはわかりませんが、私は玄関は極力空けておいて、いろいろな人との出会いを大切にする事でずいぶん面白い思いもできましたし、そのおかげで助かった事も沢山あります。

玄関を開けておくと、泥棒や強盗が入ってくるかもしれませんが、強盗や泥棒が入ってきたらすぐに逃げられるように裏口も開けておけば問題ないのです。


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