米大統領歴訪 「挑発の旅」習政権不快感 http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20140429065.html へのリンク 2014年4月29日(火)07:56
産経新聞
【北京=矢板明夫】中国外務省の秦剛報道官は28日の定例記者会見で、オバマ大統領のアジア4カ国歴訪について「米国がアジア太平洋地域の平和、安定と繁栄のために、適切な努力をすることを希望する」と述べた。「適切な」の部分でわざわざ語気を強め、オバマ氏の中国に対する一連の言動への不快感を表した。
今回のオバマ氏のアジア歴訪について、中国当局は「中国を挑発する旅だ」と受け止めているようだ。その根拠は(1)中国を避けて中国と問題を抱える周辺国を訪問(2)日本で尖閣諸島への日米安保条約5条の適用を明言(3)韓国からマレーシアへ向かった際、中国が昨年秋に設定したばかりの防空識別圏を通過するルートを選んだ(4)中国の拡張を牽制する目的の「新軍事協定」をフィリピンと結んだ-ことなどだ。
いずれも“中国封じ込め”の一環との解釈が中国の外交関係者の間には広がっている。ある外交筋は「クリミア問題での対応を“弱腰”と批判されたオバマ氏は、同盟国に対し米国の強さを強調しなければならない事情がある。中国がそのターゲットに選ばれた」と分析する。
オバマ氏の言動に対し中国の軍や保守派は猛反発している。
オバマ氏が尖閣への安保条約適用を明言した直後、中国国防省の楊宇軍報道官は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国の領土だ。中国軍は釣魚島を防衛する能力を十分持っている」と主張し、インターネットで若者らの拍手喝采を集めた。
政府系シンクタンクの関係者は、オバマ氏がアジアで見せた強気な対中姿勢は、同盟国への「リップサービスにしかすぎず、米国の財政状況を考えれば、中国と本気で対決するゆとりはない」と指摘する。
しかし、改革派の学者らからは、米国の今後の対中姿勢を危惧する声も出ている。「習近平政権になってからの中国の一連の高圧的な対外拡張姿勢が、米国を本気にさせてしまった。中国の経済発展の前提である良好な中米関係が崩れつつあることがこれで明らかになった」との意見も聞かれた。
米大統領歴訪 アジア政策を転換、中国牽制 http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20140429064.html へのリンク 2014年4月29日(火)07:56
(産経新聞)
■尖閣に安保適用、比と新軍事協定…
オバマ米大統領は28日、日本などアジア4カ国歴訪の主要日程を終えた。東、南シナ海での中国の行動を牽制(けんせい)する言動が相次いだ歴訪を中国は「挑発の旅」と受け止めたようだ。
【ワシントン=青木伸行】オバマ米大統領のアジア歴訪は、日本など同盟国との絆を強化し、アジア重視をアピールしたという点で、中国と北朝鮮に対しメッセージを発するものとなった。とりわけフィリピンと新たな軍事協定に調印したことは、アジア太平洋地域で再均衡戦略を進める米国にとり、歴史的な転換点ともいえる。
「フィリピンと米国の関係は重要な新たな段階に入った」。オバマ大統領はマニラでの共同記者会見でこう語った。同盟国であるフィリピンとの新軍事協定により米国は日本、韓国、オーストラリア、シンガポールなどに加え、再均衡戦略の重要な足場を固めたことになる。
米軍の艦船、航空機はすでに、クラーク空軍基地や、米海軍基地があったスービック湾などを使用している。新軍事協定は、こうした現状と今後の本格展開にお墨付きを与えるもので、南西部パラワン島などの基地も共同使用される。
米国が防衛義務を明確にしているフィリピンの装備は、質量ともに脆弱(ぜいじゃく)であることから、米軍は今後、艦船や潜水艦、偵察機などの展開を増強し、米軍の主導性が強まるとみられる。
また、オバマ氏が歴代大統領として初めて、尖閣諸島(沖縄県石垣市)には日米安保条約第5条が適用される、と明言したことは、日本に対し重い「約束」をしたことになる。
オバマ氏の任期は3年を切った。その間に仮に、尖閣諸島をめぐり日中間に有事が発生し、オバマ氏が中国への武力行使をためらえば、「口約束」との批判を免れなくなる。
韓国では、4回目の核実験を強行する可能性がある北朝鮮に、米韓同盟を守るためには武力行使も辞さないと発言した。
今後、在日・在韓米軍などの強化を通じ、再均衡戦略の進展がみられるはずだ。
一方、韓国でオバマ氏が、慰安婦問題に「甚だしい人権侵害だ」などと踏み込んだのは軽率だった。韓国と中国による史実を無視した喧伝(けんでん)を増幅させ、韓国のさらなる対日要求も誘引しかねず、禍根を残した。
米軍再び比展開 首脳会談 協定署名、中国抑止 http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20140429062.html へのリンク 2014年4月29日(火)07:56
産経新聞
【マニラ=吉村英輝】アジア4カ国を歴訪中のオバマ米大統領は28日、最後の訪問国となるフィリピンに到着、アキノ大統領と会談した。両国政府高官は会談に先立ってフィリピンでの米軍派遣拡大を可能にする新軍事協定に署名。会談では、南シナ海への進出を強める中国を念頭に、安全保障でのさらなる協力を確認した。
新協定で米軍は、フィリピン軍の基地内に独自の施設を建設できるようになり、航空機や艦船の巡回を拡大できる。一方、外国軍の駐留を禁じたフィリピンの憲法を考慮し、施設は恒久化しない。協定の有効期間は10年間で、更新も可能。核の持ち込みは禁じられる。
米軍の施設建設候補地には、米海軍がかつて拠点としたスービック地区などが想定され、派遣部隊の規模などとあわせ今後両国で協議する。冷戦終結後の1992年にフィリピンから完全撤退した米軍の22年ぶりの回帰といえる。
首都マニラのマラカニアン宮殿(大統領府)で行われた共同会見でアキノ氏は新協定を「地域の平和と安定を推進させる」と歓迎。オバマ氏は「安保協定と同盟関係を更新していく」と述べた。
会談ではオバマ氏が推進する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)も議題となり、アキノ氏は「フィリピンが交渉に参加できるか検討している」とした。
南シナ海では先月、フィリピンが実効支配するアユンギン礁への補給船を中国の公船が妨害するなど、中国は「実力行使」を伴う領有権の主張を展開している。
新協定により、フィリピンは中国への抑止力を強め、米国も南シナ海での存在感を高めることになるが、オバマ氏は会見で「中国の封じ込めが目的ではない」とし、国際法などルールに基づく紛争解決を主張した。