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2014年4月28日(月)08:00
東洋経済オンライン
大手新聞、テレビをはじめとする国内メディアは、4月24日に開かれた日米首脳会談では「オバマ米大統領が大統領として初めて、尖閣諸島に日米安全保障条約の第5条が適用されると明言した」ことを華々しく報じた。
しかし、これはややピントのずれた指摘といえる。今回の日米首脳会談の注目点はそこではない。むしろ、これまで対中強硬姿勢を続けてきた安倍晋三首相が、オバマ大統領に諌められ、中国との対話姿勢をとって緊張をこれ以上エスカレートしないように促されたことが、重要なポイントだ。
日米安保条約の第5条には、「日本国の施政の下にある領域」が攻撃を受けた場合、米国に防衛義務があることを記している。
大統領が首脳会談後の記者会見で「日本の施政下にある領土は、尖閣も含めて安保条約第5条の適用対象となる」と述べたことから、国内メディアはこの部分に一斉に飛びついた格好だ。大統領が明言したのだから、これで中国が尖閣諸島に攻め入ってきても米軍が日本を助けてくれるとの楽観ムードが、日本の政治家にもメディアにも蔓延している。
Our position is not new
こうした楽観ムードは、誤りだ。
米国による「尖閣諸島への日米安保条約第5条の適用」は何も目新しいことではない。例えば、米政府はクリントン政権当時の1996年、キャンベル国防副次官補が「尖閣諸島は日米安保条約の対象になる」と明言。2004年のブッシュ政権下でも、当時のアーミテージ国務副長官が尖閣諸島への安保条約適用を再確認した。オバマ政権になってからの09年3月にも、米政府はこうした公式見解を日本政府に伝えた。
閣僚レベルで言えば、2010年9月に尖閣諸島で発生した海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件後の同月23日、当時のヒラリー・クリントン国務長官がニューヨークで前原誠司外相に「日米安保条約第5条は尖閣諸島にも適用される」と確約した。それ以降、歴代の国務長官と国防長官が何度も繰り返して表明してきたポジションだ。
それでも、「いや、中国の海洋進出をけん制する意味で、大統領自身の今回の明言は重要だ」と言う読者もいるだろう。では、当のオバマ大統領自身は24日の記者会見で何と言ったか。
尖閣諸島への日米安保条約の適用について、日本人記者から問われたオバマ大統領は「私たちの立場は新しいものではない(Our position is not new)」と切り出し、以下のように答えた。
「ヘーゲル国防長官が日本を訪れた時も、ケリー国務長官がこちらを訪れた時も、両方とも、私たちは一貫してこうした立場を示してきた。私たちは尖閣の領有権についての最終的な決定をする立場はとらない。しかし、歴史的にそれらは日本が施政下に置いてきた。そして、それらは一方的な変更にさらされるべきではないと思っている。これまでも一貫して述べてきたのは、私たちの日米同盟、つまり、日米安保条約は、日本の施政下のすべての領域に当てはまるということであって、これはなにも新しい立場ではない。これまで一貫して述べてきたことだ」
文字通り、オバマ大統領は「これがニュースではない」と言っており、過去から何も変わっていない立場である、と強調している。