
先日、大変感動的なことがありました。
それは、昼の営業が終わりかけていた頃、突然、豪雨になり、3組程のお客さんは、そのままでは、帰れなくなってしまいました。
その中に、50歳台の夫婦連れで自転車で来店されていた方がおられました。
雨の中をズブ濡れで帰るわけにもいかないので、そばを食べ終わっても、小一時間は店の中で雨宿りをしていました。その間、隣で食事をしていた常連の男性が声をかけ、お互いの身の上話を始めたようでした。
その夫婦連れの夫の父親が、近ごろ亡くなられたとの事。
その父親と常連の男性は以前、同じ会社に勤めていて、常連の男性はそのお父さんの上司だと分かったのです。常連の男性は、お父さんのことをよく知っていて、懐かしみながら当時のことを話し始めました。
お父さんは、会社で人望があり、真面目な性格で、あなたたちはそのお父さんを誇りに思うべきだ、と盛んに思い出話をし始めました。それを聞いた夫婦連れは、目頭を熱くして、涙を流して聞いていました。
こんな偶然で出会った人が、自分の最愛の父親のことをよく知っている人で、その人から誇りを持っていなさい、と言われたことで、突然感激の気持ちになったようです。
こんな出会いもあるのだな、なかなか巡り会えない偶然かもしれないと、改めて思いました。
私もこの店の中で、いろいろな出会いを見てきましたが、これだけの感動すべき偶然はなかなかこれまでにもありませんでした。
蕎麦屋をやっていたと言う事の喜びが、改めてこみ上げてきました。