今回は、「染付 白菜文 白菜形皿」の紹介です。
表面
側面
底面
生 産 地 : 肥前・平戸(三川内)
製作年代: 江戸時代後期
サ イ ズ : 長径18.0cm 短径11.5cm 高台長径9.7cm 高台短径5.8cm 最大高さ3.7cm
なお、この「染付 白菜文 白菜形皿」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。
そこで、その際の紹介文を、次に再度掲載することをもちまして、この「染付 白菜文 白菜形皿」の紹介に代えさせていただきます。
ただ、その紹介文中では、この「染付 白菜文 白菜形皿」の生産地につきましては、「有田」なのか「平戸(三川内)」なのかが曖昧になっておりますが、上に記しましたように、「平戸(三川内)」としたいと思います。また、製作年代につきましても曖昧な記述となっておりますが、これも、上に記しましたように、「江戸時代後期」としたいと思います。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー242 伊万里染付白菜文白菜形皿 (平成30年7月1日登載)
やや薄手で、白菜の葉の部分をギザギザに表現するなど、かなりリアルであり、厳しい造りである。また、高台は高く作られている。
高台が高く、厳しい造りであること等から、江戸前期の変形皿をほうふつとさせる。しかし、それほどの古格を感じさせない。
江戸前期の有田産の変形皿を、平戸(三川内)で写したものなのだろうか。
江戸時代後期 長径18.0cm 短径11.5cm 高台長径9.7cm 高台短径5.8cm 最大高さ3.7cm
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*古伊万里バカ日誌170 古伊万里との対話(白菜文白菜形皿)(平成30年7月1日登載)(平成30年6月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なご隠居さん)
白 菜 (伊万里染付白菜文白菜形皿)
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、例によって、今回も、主人の所にやってきた古伊万里の順番に従って対話をしようと思ったようである。
そこで、該当する古伊万里を押入れの中から引っ張り出してきて対話をはじめた。
主人: 今は「白菜」のシーズンではないが、お前に出てもらった。
白菜: どうして、急に、シーズンでもないのに登場することになったんですか。
主人: 特に理由はないね。 順番だからだよ。それに、最近では、我が家の古伊万里のストックも少なくなってきたので、アップするタイミングを季節に合わせるというようなことをやっていたら、何もアップ出来なくなってしまうからね。まっ、手当り次第にアップせざるをえない状況になってきているということかね(-_-;)
それに、お前の場合は、製作年代がよくわからないんだ。古いのかな~と思えば古く見えるし、新しいのかな~と思えば新しく見えるしで、自信がないんだ。以前ならアップするのを見合わせるところだが、そんなことをしていたら、今言ったように、古伊万里のストックが少なくなってきているので、ますますアップする材料がなくなってしまうからね。
白菜: でも、そんな、自分でも自信の持てないようなものを堂々とアップしていては、世間に混乱を招きますし、世間に迷惑をおかけすることになるんではないですか。
主人: それはそうだが、だいたいにおいて、このホームページはそんな立派な、権威のあるようなものじゃないよ。世間様から注目などされていないから、いい加減なものをアップしたとしても、世間に迷惑をかけるという心配はないね。それに、誤りと気付いた時点で、すみやかに訂正すればいいんじゃないかな~と思ってるんだ。
白菜: そうですか。それもそうですね。わかりました。
ところで、どうして私の製作年代がよくわからないんですか?
主人: 造形的に見ると、比較的に薄作りで厳しく作られていて高台も高く、いかにも江戸前期を思わせるんだ。しかし、白菜を表現している呉須の色は明る過ぎ、グラデーションも利かせていて、古格を感じさせないんだよ。全体から受ける感じは江戸後期というところなんだよね。
白菜: 製作年代は、そんないい加減な、感覚的なことで決めるんですか。
主人: そんなもんだよ。永年の経験と勘が大きく左右するね。もっとも、図録にでも載っていれば大きな参考にはなるけれど・・・。でも、お前の場合は、手持ちの図録には載っていないので、予測がつかないんだ。
白菜: 製作年代が分からないということですが、何処で作られたのかという産地も分からないということではないんですか?
主人: そうね。それは言えるかもしれないね。
私は、江戸時代に肥前地域一帯で作られた磁器を「古伊万里」と総称し、それをコレクションの対象としてきたんだが、現実には、そのほとんどを「有田」で作られた磁器を対象としてきたようだね。「本」だって、そのほとんどを「有田」産の磁器を対象として書かれているものね。
白菜: 産地については、平戸焼(三川内焼)という可能性はないんですか?
主人: うん。その可能性はあるかな。
平戸焼(三川内焼)については、これまでよく研究されていないし、本や図録等もあまり発行されてないからね。平戸焼(三川内焼)も私のコレクションの対象となるわけだけど、そんな事情もあって、私は、これまで、ほとんど、平戸焼(三川内焼)を勉強してこなかったからね。
平戸焼(三川内焼)は細工物が得意だったようだから、お前は、江戸後期の平戸焼(三川内焼)なのかもしれないね。
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追 記 (令和4年6月15日)
家庭菜園のことで、「白菜」についてネットで調べていましたら、次のような趣旨のことが書かれていることを発見しました。
「 白菜の日本への渡来は江戸時代後期で、不結球性の品種が輸入されていた。
結球性の品種については、幕末に導入されて栽培が始まったが成功しなかった。
結球性の品種の白菜は、やっと、明治末期から大正にかけてその栽培に成功し、主要野菜としての地位を占めるようになったのは昭和初期からである。」
この記述によりますと、今、我々が目にしている結球性の品種の白菜が一般的になったのは昭和初期ということになりますよね。
そうであれば、この「染付 白菜文 白菜形皿」が作られたのは、昭和初期以降ということになりますね、、、(~_~;)
しかし、私としては、この「染付 白菜文 白菜形皿」が昭和初期以降に作られたものとは、到底思えません(~_~;) いくら新しくみても、明治はありそうに思えるんです(~_~;)
そのようなことで、この「染付 白菜文 白菜形皿」の製作年代につきましては、一応、「江戸時代後期」としてはいますが、なお問題があることを付記しておきます。
後期であっても、これだけの物を作る発想力に感心します。
おおっ!と声を上げるくらい
そのみずみずしさに驚きました。
こんなに自由に創作していたのかと
感動いたします。
伊万里でも白菜があったんですね、とても珍しいように思います。
平戸らしく薄い成形で、土の白さを生かした造形の魅力的な品ですよね!
この品、裏面の唐草に平戸の特長が出ているように思います。
でも、裏面なども含め、ジックリ見ていますと、「う~ん、ちょっと違和感」となりますよね。
江戸後期になりますと、精巧な立体的なものを平戸(三川内)で作るようになったようですから、多分、平戸(三川内)産なのかな~と思うわけです。
そうはいっても、私は、平戸(三川内)のことに詳しくないものですから、それも自信の無い話ですが、、、(~_~;)
こんな瑞々しいものを、自由な発想で焼いていたんですよね。
今でも世界に通用するようなものを平戸では作っているんですよね(^-^*)
つや姫さんは、その末裔ですから、その美的センスを受け継いでいるのでしょうね(^-^*)
そんな体験もあったものですから、この皿を見たとき、その「翠玉白菜」を思い出しました。
そんなこともあったものですから、すかさずに買いました。
平戸に明るい酒田の人さんから見て、これは平戸に見えますか(^-^*)
ありがとうございます(^_^)