今回は、「染錦 鳳凰花籠文 大皿」の紹介です。
表面
見込みの花籠文部分の拡大
縁文様の鳳凰文部分の拡大
縁文様の桐の木文部分の拡大
裏面
裏文様の折れ枝梅文部分の拡大
裏文様の菊文部分の拡大
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期
サ イ ズ : 口径;25.1cm 高さ;4.2cm 底径;12.7cm
この大皿につきましても、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介していますので、次に、その紹介文を引用し、この大皿の紹介といたします。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー109 古伊万里様式染錦鳳凰花籠文大皿(平成19年4月1日登載)
このお皿の印象は強烈だ。まず、周辺に描かれた渦巻文に目を奪われる。
中央見込みいっぱいに花籠が描かれ、また、周辺には鳳凰と桐が描かれ、大皿全体を隙間なく文様で埋め尽くされた感がある。
また、このお皿は、染付に赤と金彩のみで描かれた金襴手で、ヨーロッパではオールド・ジャパンと呼ばれ、高い人気を得たものである。
ちなみに、ザクセン選帝侯アウグスト強王は、自ら収集した膨大な東洋陶磁のコレクション目録を作らせているが、その目録の中で「日本の陶磁」という項目に分類されたのは、この金襴手であったという。そして、金襴手に先行する柿右衛門様式の色絵は、当時、ヨーロッパまでキャラックという帆船で運ばれていたことから、「キャラック」という項目に分類されたとのこと。17世紀のヨーロッパでは、キャラックといえば中国・景徳鎮の万暦様式のことをいうそうであるから、柿右衛門様式の色絵は、まさに、中国様式の延長線上に位置づけされていたことになる。
18世紀前半のヨーロッパで一世を風靡し、中国趣味ではなく、日本趣味を初めて強く主張したのは、この金襴手であったとのこと。
そのことを念頭に置き、日本趣味を初めて主張し、ヨーロッパで一世を風靡したこの古伊万里を、改めて、篤と鑑賞いただきたい。
江戸時代中期 口径:25.2cm 高台径:12.7cm
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*古伊万里バカ日誌47 古伊万里との対話(オールドジャパンの皿)(平成19年3月作成)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
鳳 凰 (古伊万里様式鳳凰花籠文大皿)
・・・・・プロローグ・・・・・
主人の住む田舎にも桜が咲き出し、すっかり春爛漫である。
自然はすべてに平等で、都会にも田舎にも、金持ちにも貧乏人にも等しく春をもたらし、貧乏主人の住む田舎にも等しく春をもたらした。
貧乏主人は、そんな平等に嬉しくなり、前回に引き続き、春の香り漂うものとの対話をしたくなり、押入れから花籠を描いた大皿を引っ張り出してきて対話を始めた。
主人: 桜も咲いてきて、すっかり春になった。こんな田舎の貧乏ヤにも春が訪れてくれたんだ。今日は、しばし、春めいた話でもしよう。
ところで、鳳凰、お前を東京の古美術店から連れ帰ってきたのは、「押入れ帳」を見ると、昭和63年の12月24日になっているな。春の日ではなかったが、クリスマスイブの日だったわけだ。そういう点では、ちょっとは記念すべき日だったのかな。
鳳凰: そうでしたか。ここにきてから18年ちょっとになるんですね。
主人: そうなんだ。18回も春が巡ってきたのに、その間とんとご無沙汰してしまった。お前には悪いと思っているよ。
鳳凰: 私にはそんなに魅力もないので、思い出すこともなかったんでしょう。
主人: いやいや、そんなことはないな。
そもそも、東京の古美術店で、「こんなものが最近入荷しましたが・・・。」と言って見せられた時はドキッとしたもんだ。インパクトが強かったものな~!
花籠文はありふれた文様だが、周囲に描かれた文様が凄いね。なんてったって、グルグルっとした渦巻文が強烈だ。そこに鳳凰が三羽、桐の木が三面描かれていて、見ていると、なんとなく、グルグルっときて、幻想的な伝説の世界に引き込まれるような錯覚を覚えたな。
鳳凰: 鳳凰と交互に描かれている木は、やはり桐の木なのでしょうか?
主人: そうだと思うね。鳳凰は中国の伝説の鳥で、竹の実を食物として、桐の木にしか止まらないと言われているからね。だから、鳳凰と一緒に描かれた木といったら桐の木以外にはないだろう。
鳳凰: でも、木のところに描かれた花が、桐の木の花とは違うように思われるんですけど・・・・・。
主人: 確かに、桐の木の花は、紫色の筒状のリンドウのような花で、それが鈴なりになっているような状態だものね。そういう状態の桐の木の花が一般的かな。でも、伊万里では、よくデフォルメさせるから・・・・・。桐の木の花も、咲いた花の先端の方から見たところをデフォルメさせれば、お前に描かれているように、梅の花のようにならなくもないからな。
鳳凰: そうですね。伝説の世界から現実の世界へ引き戻すように、また、なるべく人に馴染まれるようにと、わざと、身近で現実的でかつ人に馴染みのある梅の花のように描いたのでしょうか。
主人: そうかもしれないな。
そうそう、桐の木は、意外と我々の周辺に描かれているんだよね。五百円硬貨の表に描かれているのなんかはその代表的例だろう。
鳳凰: あの~、硬貨に裏表があるんでしょうか?
主人: うん。実はね、私も、硬貨に裏表があるのかなと思ってネットで調べてみたんだ。そしたら、次のようなことがわかった。ネットは便利だね。
「独立行政法人造幣局」のホームページの「貨幣Q&A」というページに、
「第二次世界大戦後、貨幣の図柄に菊の紋章が使われなくなりますと、明文化されていないことから裏表が特定できなくなりました。
現在、造幣局では、作業上の必要性等から年号のある側を裏としています。」
と記されていたんだ。法律上明文化されたものではないが、一応、裏表はあるということだね。
鳳凰: そうでしたか。私も一つ利口になりました。
主人: いや~、私も、にわかに調べてわかったことだ。
ところで、桐の花は4月の中旬くらいから咲き始めるようだから、4月の更新にはもってこいの題材だったなと、自己満足しているよ。
堂々とした姿は、グラビアにデンと載っても不思議ではないです。
花びらの様子からしても、桐の花だと思います。
裏側の花模様もgood。
寸法よりも大きく見える名品ですね。大皿コレクションに欲しいです(^^;
でも、ちょっと値段が高く、迷いました(~_~;)
当時は、里帰り伊万里は高かったですよね(><)
しかし、結局は、渦巻きに巻き込まれ、買うはめに、、、(笑)。
見た感じ、尺越えと思いますよね。ところが、実際に測ってみると、尺ないんですよね(><)
尺はないんですが、一応、大皿とさせていただきました(^_^)
大皿コレクションには、寸足らずで失格でしょう(笑)。
西洋人が好む色合いなのでしょうか。
美しいです。
このような派手な大皿と対話はどうなるのかとそちらに興味を持ちました。(笑)
意地悪な見方でしょう。(笑)
これは、江戸時代にヨーロッパに輸出されたもので、昭和の時代に里帰りしたものです。
ヨーロッパの王侯貴族好みに作られたものですね。
ヨーロッパでは、食器としてよりも、宮殿内のインテリアとして使用されたのではないかと思っています。
このようなものに囲まれていますと、当時のヨーロッパの王侯貴族にでもなったような気分になります(^-^*)
しかし、現実に、このような迫力のある大皿と対面しますと、王侯貴族でもない農奴みたいな私は、その迫力に押され、まともな対話が出来ません(笑)。
結局は、大皿の解説みたいなことになってしまいました(><)
ご期待にそえず、申しわけありません。
大皿に負けないよう、大人物となるよう修行に励みたいと思います(^_^)