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Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

伊万里 色絵 吹墨鷺文十二角小皿

2020年12月27日 19時19分17秒 | 古伊万里

 今回は、「伊万里 色絵 吹墨鷺文十二角小皿」の紹介です。

 

 

表面

 (口径:14.8cm 高さ:2.3cm 底径:8.3cm)

口縁の2時の方角と11時の方角に欠けがあります。

欠けは自分で補修しました。

 

 

葦と鷺が描かれた部分の拡大画像

 

 

裏面を斜め上方からみたところ

高台が比較的に高く作られています。

 

 

裏面

口縁の5時の方角にソゲがあります。

ソゲは自分で補修しました。

かなりの使用擦れがあり、そのため、裏面の赤はかなり擦れて薄くなっています。

 

 

 ところで、これは、昭和59年に(今から36年前に)、東京の古美術店から買ってきたものです。

 なお、これを、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」で既に紹介していますので、まず、その紹介文を次に再度紹介いたします。

 

 

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            <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー6 古九谷様式色絵吹墨鷺文十二角小皿(平成13年11月1日登載)

 この小皿と対面したとき、まず、「なんと鋭いのだろう!」と感じたことである。薄作りで、十二角の角々が鋭く、手にしたときに思わず、「あっ、痛た!」と感じさせるような鋭さなのだ。

 それでいて、見込みには、葦の生えた水辺に鷺が三羽、それぞれ、思い思いの姿態で、のんびりとまどろんでいる姿が描かれている。広い空間の中に雲がぽつんと赤で描かれ、また、葦原にも三点ほど赤がさしてある。赤は少量使われているにすぎないが、その赤の使い方が絶妙で、幽玄の世界さえ創りだしている。また、吹墨で鷺を浮き出させる技法など、人間が考え出したとは思えないほどだ。

 当時の陶工の技術の良さ、センスの良さには、ただ、ただ脱帽である。

 見込みの美しさ、そしてその外側の手を刺すような鋭さ! 「美しいものには棘がある!」を地で行くような一品ではある。

江戸時代前期  口径:14.8cm

 

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 この小皿の解説につきましては、上の「古伊万里への誘い」に書いたとおりですが、この小皿の類品は、よく、各種の本に登場してきます。

 

 まず、「図鑑 伊万里のすべて」(野村泰三著 光芸出版 昭和55年10月初版第4刷発行)のP.57では、次のように紹介されています。

 

初期伊万里吹墨鷺文十二角皿  (径14.7cm)

 「夕風や水青鷺の脛(すね)をうつ」(蕪村)といった風情の皿である。この皿も、もともと藍九谷といわれたものである。すこぶる上手の皿で、型打成形され、ごく薄い作行である。

 

 

 また、「盛期の伊万里」(山下朔郎著 徳間書店 昭和53年第4刷)の図235にも登場してきます。

傘形吹墨鷺文小皿  径14.5cm

 

 

 なお、文様はこの小皿とは異なりますが、同じように十二角に型打成形されたごく薄い作行の小皿が、柴田コレクション展Ⅱ(平成3年 佐賀県立九州陶磁文化館発行)の図313にも登載されています。(=柴田コレクション総目録1085)

 

染付 草花 縞文 輪花皿 1670~80年代 口径15.2 高さ3.3 底径9.3

 

 

 この他にも、この手の小皿は、その後も、あちこちの骨董関係の本や雑誌に登場してきますので、今では、すっかり馴染みの小皿となっています。

 しかし、この小皿を、拙ホームページの「古伊万里への誘い」で紹介した平成13年11月1日の時点では、まだ、この手のものが珍しかったものですから、「これは、古九谷の偽物でしょう」とか、特に、この小皿には色絵までが施されていますので、「これは、後絵ものでしょう」というようなコメントが寄せられ、すこぶる評判の悪いものでした(><)

 でも、「古九谷」が「伊万里 古九谷様式」としてすっかり定着した今では、もう、そのようなことを言う人もいないことでしょう。

 

製作年代: 江戸時代前期

サ イ ズ : 口径;14.8cm  高さ;2.3cm  底径;8.3cm