今回は、古九谷様式の「蓋付壺」と後期鍋島の「染付芙蓉文中皿」の紹介です。
先日(3日前の12月20日)、骨董市で古九谷様式の「蓋付壺」を、そして、古美術品交換会では後期鍋島の「染付芙蓉文中皿」を手に入れたわけですが、今回は、その紹介なわけです。
<第1点目の古九谷様式の「蓋付壺」について>
骨董市会場で、まず、この壺に目が留まりました。
「古九谷」に関する本の中には必ず登場するような「色絵亀甲鶴丸文壺」の類品です。しかも、蓋まで伴っているんです!
なお、「古九谷」に関する本の中に登場してくるという「色絵亀甲鶴丸文壺」というものは、次のようなものです。

口径:12.3cm 高さ:27.8cm
上の写真にありますように、どの本にも、蓋なしで紹介されているようです。
ところが、先日(3日前の12月20日)、骨董市で遭遇した古九谷様式の「蓋付壺」は、本に登場する壺とはその形は違いますし、また、大きさもずっと小ぶりではありますが、蓋を伴っているんですよね!
こんな、田舎の骨董市などに、本歌の古九谷様式の「色絵亀甲鶴丸文壺」が転がっているわけはないだろうとは思いましたが、ちょっと引っかかってしまったんです(~_~;)
しかし、汚れも酷くて真偽の判断に支障がありましたし、次なる古美術品交換会会場に急いでいかなければならないこともあって時間的に余裕がなく、じっくり見ていられない状況にもありました(><)
それで、まっ、とりあえず買って漂白し、綺麗にしてからじっくり考察してみようかという方向に心は傾いていきました、、、。
そうはいっても、1,000円や2,000円ではないですから、全くのダメ物でしたら、お金をドブに捨てるようなものですから、悩みます(><)
しかし、最近は、コロナ禍の影響もあり、古伊万里を買いにあまり外に出ていませんので、軍資金が積み増してあり、何時もよりは軍資金が潤沢です(^_^) そうなると、気も大きくなり、「多少はお金をドブに捨ててもいいか!」というような心境になるんですよね(^_^)
そんなことで、遂に買ってしまった古九谷様式の「蓋付壺」(=色絵亀甲鶴丸文壺)というものは、次のようなものです。
色絵亀甲鶴丸文壺

立面
亀甲文は4面に分かれて描かれています。
生地は、指で弾くとボコボコとした音がし、磁器というよりは陶器のような感じです。
また、甘手なのか、全体にジカンが走っています。
サイズ:蓋口径;9.9cm 高さ(蓋共);18.7cm 底径;7.0cm

蓋を外したところ

本体だけの立面

本体の口縁部及び内面
底の方には、土の削り屑のようなものが付着しています。

本体の底面

蓋の表面
亀甲文は4面に分かれて描かれています。

蓋の裏面
ところで、この壺の真偽の判定ですが、漂白して綺麗になった状態でじっくりと考察した結果、私の結論としては、磁器というよりは陶器のような感じがすること等から判断して、古九谷様式の本歌ではなく、後世の写しではないかと考えます。
でも、昨日、今日に作られたものではなく、かなりの古格を感じますので、江戸後期に加賀辺りで本歌を写したものではないかと思いました。
ただ、この壺が蓋を伴っていたのは貴重だと思います。本に出てくる本歌の「色絵亀甲鶴丸文壺」は、既に、蓋を失っていますが、もともとそれに付いていた蓋は、この本歌写しの「色絵亀甲鶴丸文壺」に付いている蓋のようなものだったのではないかと想像させるからです。
そう考えますと、私がこの壺を買ったことは、購入金額の全額をドブに捨てたことにはならず、その幾ばくかは資料代になったのではないかと慰めております(^_^)
<第2点目の後期鍋島の「染付芙蓉文中皿」について>
古美術品交換会では、是非にも欲しいというようなものはありませんでしたが、何か1点でも競り落として帰ろうと思い、ありきたりのものではありましたが、後期鍋島の「染付芙蓉文中皿」を競り落としてきました。
その中皿というものは、次のようなものです。

表面
口径21.0cm×高台径10.8cm×高さ6.0cm

裏面
なお、この中皿につきましては、類品が、「鍋島 後期の作風を観る ー元文時代から慶応時代までー」(小木一良著 創樹社美術出版 平成14年発行)のP.173に、次のように登載されています。

図165 芙蓉文中皿
芙蓉を描いた中皿である。この中皿は、相当に大量のものが伝世している。
伝世品の作ぶりを見ると、精粗様々なものがある。幕末期、比較的短期のうちに大量に作られたものと思われる。

口径20.7cm×高台径10.7cm×高さ6.0cm

