羊蹄学園大学社会学部講義集

北の大地に突如としてできた架空の大学。
かつてないテーマで綴る社会学とは?

教育遊戯・第15回~人材~

2009-01-01 10:00:00 | 教育遊戯
こんにちは。

今年も宜しくお願いいたします。

年が明けてしまいました…ここからゴールデンウィークまでが塾業界では一年を決める大事な時期となります。
しかしながら、今後どんどん景気悪化が懸念されており、業界にとっては苦境が予想されます。
さて、そんな中で生き残る決めては何でしょうか。企業としての経営・営業体力か、はたまた単純な地域の厚い信頼・支持か、それとも…

さて、練成会の話を主にここから進めていきます。前回はその伏線というわけなんですが、どこから話していきましょうかね。

私の手元に2009年春の新卒者に向けた練成会のパンフレットがあります。




相変わらずカラーで見やすいのですが…何か以前よりボリュームが減ったというか、物足りないというか。
社員がクローズアップされていても、副社長や個別指導部門の本部長って、別に生え抜きじゃないんですな。確か副社長は前職がリクルートで、奥山会長の教え子だった縁でスカウトされて…人事採用担当から今の副社長だし、個別指導の本部長は前職は証券会社なんですな。

別にそれはいいのですが…ただ懸念してしまうのが何となく「企業的」な人材「営業的」な人材ばかりが前面で「教育的」人材が見えてこないような気がします。
これは進学会も同じなのですが。

思えば10年以上前の練成会は、非常に「受験指導に熱をあげ、脂きった」印象がありました。
何というのか「野武士集団」でしたね…あまりシステマチックにもなっていませんでした。
何かうまい言葉が見つからないのですが、明らかに違うのですよ。
そう!昔のほうが「塾」っぽかった。
今は外面は小奇麗な感じがするし、内向きには会社っぽい匂いがぷんぷんするし…そんな印象です。
あくまで個人的ですけど。

まぁそうは言っても優秀な人間がいればいいのですが…どうなんでしょうか。

実は昨年秋、リクルート系の就職サイトに「第2の創業」という文字が躍りました。
練成会高校部の求人広告のトップに掲げられた文字です。

練成会はご存知のように高校部の大半を「東進衛星予備校」のフランチャイズとして展開しています。
その高校部のスタッフ募集…そのスローガンが「第2の創業」…どういうことなのでしょう。

関係者に話を聞いています。

Q、「第二の創業」とはどういうことか。何か新しい展開があるということか。
A、違う。今までが失敗だったので心機一転ということだ。

Q、失敗というのは生徒数ということか。
A、同じ失敗ということで言えば秀英の北海道(札幌と旭川の2校舎)の高校部は311人(11月末現在)となっている。ところが練成会の札幌の高校部はこれを遥かに下回る。実は200人もいっていない。

Q、それはひどい。札幌に江別も含めて数校舎あるのにか。
A、そうだ。赤字経営もいいところだ。だから「第二の創業」だ。

Q、原因は何か。
A、多々あるが、校舎に配属された社員の責任がまず大きい。

Q、それは人材がよくなかったのか。
A、生徒管理の部分でひどい。例えば欠席連絡のない生徒が時間になっても教室に来ない、となったらどうする?

Q、多分、家などに電話を入れるだろう、心配だし。
A、という当たり前のことすらしないのだ。

Q、しかしそういう社員がいた場合、指導が入るだろう。
A、確かに。ちゃんと電話しろとか言われる。ところが、だ。そんなところまで手が回らないと拒否する連中が現れたりする。

Q、そうなるとどうなる。
A、やめてもらうしかなくなるわけだ。で、その穴埋めとして、そしてまた心機一転、新しい空気を入れるために人材募集となるわけだ。しかも今までの失敗を返す必要があるから「第二の創業」となる。

Q、しかしそんな現状で反転攻勢など可能か。
A、是非ともしなければならない。上は2008年度末で500名、2009年度末で1000名の生徒数確保を計画している。


どうなのでしょう。
練成会はそんなに人材がいないのでしょうか。

確かに大手塾を標榜している割には学歴の高くない人間が多いのは事実です。
例えばある本部の副本部長は確か、偏差値50を切るような札幌市内の私大卒で、しかも高校・大学受験を推薦でパスしたため、受験経験のない人です。

でも、学歴のあるなしで私は塾講師の優劣を決め付けるほど、愚かでもない。
要は、その人の全般的な能力だと思います。

じゃあ、その全般的な能力があるのか否か…次回は別の例からその点の話を進めたいと思います。

それでは、また次回。