
新型コロナ変異株「ニンバス」感染注意 のどをカミソリで切ったかのような激痛症状
2025/8/21 産経新聞
新型コロナウイルス・オミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
新型コロナウイルスの感染が今夏、広がっている。コロナの原因ウイルスとして知られるオミクロン株からの変異株「ニンバス」が主因とされる。今年に入り中国などアジア地域で流行り、日本でも広がったようだ。厚生労働省は「重症化しやすいとの報告はないが、咳エチケットなど基本的なことを励行してほしい」として、感染のさらなる拡大を警戒する。
同省には、全国の定点観測地から毎週、新規のコロナ感染者数が報告される。その数値は今月15日に公表された今年第33週(8月11日~17日)まで、8週連続で増えている。なかでも、1医療機関当たりの感染者数の多さは九州で目立つ。たとえば宮崎県では当初、第25週(6月16日~22日)には「1.46」だったのが、第33週には全国で最多の「14.71」に増えていた。
この時期、気がかりなのが「ニンバス」だ。オミクロン株から派生した「子孫」の「NB.1.8.1株」を指す。「ニンバス」という言葉について調べると、ラテン語では「雨雲」を意味することが分かった。映画「ハリー・ポッター」の「ほうき」の名前にも出てくる。
医療関係者によると「普通の夏風邪の症状だと思ったら、途中から悪化し、まるでのどをカミソリで切ったかのような激痛症状が出る」のが特徴だ。
同省感染症対策課によると、今年3月ごろにアジアを中心に感染が拡大。国内でも、6月に遺伝学的な検査をしたところ、コロナ感染全体の4割を占めたことが確認された。
コロナの感染状況をみると毎年、夏に増えた後に減少し、冬場に再び増えるという「感染の波」があるが、「この夏の感染拡大も、その波の1つと考えられる」(同課)という。
重症化しやすいとの報告はなし
同課の担当者は、「これまでのところ、ニンバスは重症化するリスクが高まりやすいといったことは報告されてはいない。まずは手洗いやうがい、換気といった基本的なことを行い、対処してほしい」と呼びかける。