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新型コロナ変異株「ニンバス」感染注意 のどをカミソリで切ったかのような激痛症状

2025年08月21日 16時31分17秒 | コロナ検証

新型コロナ変異株「ニンバス」感染注意 のどをカミソリで切ったかのような激痛症状

2025/8/21 産経新聞

新型コロナウイルス・オミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 

新型コロナウイルスの感染が今夏、広がっている。コロナの原因ウイルスとして知られるオミクロン株からの変異株「ニンバス」が主因とされる。今年に入り中国などアジア地域で流行り、日本でも広がったようだ。厚生労働省は「重症化しやすいとの報告はないが、咳エチケットなど基本的なことを励行してほしい」として、感染のさらなる拡大を警戒する。

同省には、全国の定点観測地から毎週、新規のコロナ感染者数が報告される。その数値は今月15日に公表された今年第33週(8月11日~17日)まで、8週連続で増えている。なかでも、1医療機関当たりの感染者数の多さは九州で目立つ。たとえば宮崎県では当初、第25週(6月16日~22日)には「1.46」だったのが、第33週には全国で最多の「14.71」に増えていた。

この時期、気がかりなのが「ニンバス」だ。オミクロン株から派生した「子孫」の「NB.1.8.1株」を指す。「ニンバス」という言葉について調べると、ラテン語では「雨雲」を意味することが分かった。映画「ハリー・ポッター」の「ほうき」の名前にも出てくる。

医療関係者によると「普通の夏風邪の症状だと思ったら、途中から悪化し、まるでのどをカミソリで切ったかのような激痛症状が出る」のが特徴だ。

同省感染症対策課によると、今年3月ごろにアジアを中心に感染が拡大。国内でも、6月に遺伝学的な検査をしたところ、コロナ感染全体の4割を占めたことが確認された。

コロナの感染状況をみると毎年、夏に増えた後に減少し、冬場に再び増えるという「感染の波」があるが、「この夏の感染拡大も、その波の1つと考えられる」(同課)という。

重症化しやすいとの報告はなし

同課の担当者は、「これまでのところ、ニンバスは重症化するリスクが高まりやすいといったことは報告されてはいない。まずは手洗いやうがい、換気といった基本的なことを行い、対処してほしい」と呼びかける。


コロナ検証 長島誠一⑮医療制度の問題点 地衛研・保健所 大学病院 地域中核病院

2025年04月23日 09時02分08秒 | コロナ検証

新しい社会経済システムとしての21世紀社会主義 現代資本主義シリーズ;5(1)

長島誠一(東京経済大学名誉教授) 2024年 東京経済大学学術機関リポジトリ より

 

第2項 日本の医療制度の問題点

Ⅰ 日本医療の盲点―山梨大学病院の苦闘

 地方の大学の学長島田眞路たちは山梨大学病院の新型コロナウィルス対応を踏まえながら、地方の大学病院の苦闘を通して日本の医療体制の諸問題を提起している。

新型コロナ感染者の受け入れ  県知事からのダイヤモンド・プリンセス号の感染者患者受け入れ要請を受けて、 2020年3月5・6日に受け入れ表明の会見を山梨大学病院は開いた。山梨大病院は「病院全体が一つのチーム」になって対応する態勢を3日がかりで何とか作り、計6人を受け入れた。3月31日に乳児の陽性が判明して、想像より広くウィルスが根深く蔓延していることが分かった。院内感染を防ぐために47人の医療者の第一線から14日間離脱させたが、乳児の感染を診断できたのは医療者の普段からのリスク感性が高かったおかげだ、と島田は考えた。山梨大学病院が医療崩壊を回避できたのは院内のPCR検査体制に負っていたが、全国的にPCR検査体制全体の構築が肝要であった

PCR 検査の不十分な体制  政府と厚労省は医療崩壊を恐れて PCR 検査を制限したが、日本の PCR 検査実施件数は途上国レベル並みに少なかった。医療の質の指標が日本と近い5カ国(イスラエル、オーストラリア、カタール、シンガポール、ニュージーランド)の新型コロナ死亡率は、日本の 1.6%の半分程度であった。日本の死亡率が高いのは、母数となる PCR 陽性者が低く見積もられている可能性が高い。4月11日時点で5カ国中の死亡率が最も低いカタールの0.2%を基準にすると陽性者は4万9,500人に、最も高いイスラエルとオーストラリアの0.9%を基準にしても陽性者は1万1,000人に及ぶのに、日本は約 6,500 人にすぎなかった。日本では検査未実施のために見過ごされた恐れが強く示唆され、見過ごされた陽性者のほかにも他人に感染させる恐れがある無症候者も相当含まれていただろうから、感染者の隔離が不十分となり、街中での感染拡大は急速に広まったと推測できる。

感染患者が病院に殺到する以前に院内感染が拡大し、医療崩壊の危機に見舞われていた。PCR 検査は 3 月 24 日までは主として地方衛生研究所・保健所が担っていたが、それ以降の検査に民間検査会社が参加するようになった。しかし、検査推進のリーダーシップが欠如していた。日本の検査体制に疑義をはさむ見解や報道が目立つようになり、コロナ検査スポットが設置され(新宿区、4 月 15 日)、医師会や病院協会などの医療関係団体が集合外来・集合検査場を開設した(横須賀市、4 月 17 日)。同時に検査体制の制度化が急務となり民間検査会社と大学病院が担い手として期待され、山梨大病院はドライブスルー検査をした。

専門家会議副議長・尾身茂は参議院予算委員会で、「今の段階では 10~20 倍なのかは誰もわからない」と答弁していたが、欧米より日本の死亡者数が少ないのは西太平洋という地域性だったといえる。しかし政府の自粛要請や行動制限は、日本経済に甚大な損害をもたらした。緩やかな段階的なコロナ感染対策はかえって感染を結果的に拡大させてしまい、ニュージーランドのロックダウンや台湾の隔離徹底のような強固な抜本的対策が、経済への打撃を少なくすることに成功したといえる。しかし緊急事態宣言が大都市を除いて解除されるまで検査は不十分な状況が続いた。

大学病院で PCR 検査が進まなかった背景には「縦割れ行政」と「大学側の費用負担問題」があるが、再び増えている陽性者は、大都市での非常事態宣言緩和の拙速、経済回復と感染対策との八つ裂き状態の中での混迷する政府のコロナ対策を物語っている。その典型的な誤りは、感染拡大中に「Go To トラベル事業」を進めたことである。先の見えないコロナとの闘いの中ではあるが、治療薬とワクチンの開発が急務である。

Ⅱ 地方国立大学病院と地方医療の苦境

臨床研修医制度の問題  人的資源と運営資金の不足が国立大学と大学病院を痛めつくしている。国立の中でも地方の国立大学とその大学病院が疲弊している疲弊の原因には国立大学法人化(2004 年)による毎年運営交付金の1%削減や、「新臨床研修制度」(2004年)や「日本専門医機構」(2014年)の問題などが折り重なっているし、国立大学医学部と大学病院が抱える問題の核心には中央官庁の間での確執がある。山梨大学病院関係者たちは、「新臨床研修制度」と「新専門医制度」が地方の大学病院そして地域医療の疲弊の原点を担っていると考えている。

1946 年に作られた「実地修練制度」(インターン)は 1968 年に廃止され臨床研修制度が創設されたが(1968 年)、臨床研修医は特定の病院や都市部の病院に殺到したために新医師臨床研修制度が創設され、臨床研修医を臨床病院に割り当てる「研修医マッチング」が作られた。紆余曲折の経過を経ながら、① 大学病院からの臨床研修医がほかの医療機関に流出し、② 空白を埋めるための大学病院の引き抜きによって、地域医療機関に空白が生じ、③ 研修終了の臨床研修医は大学病院に戻らずに、大都市の大学以外の病院で働き続けるようになってしまった。その結果、若手の人材を制限され続けてきた地方大学医学部は年々疲弊してきた。

日本専門医機構の問題  一定の修練を積んだ医師の資格認定をする「専門医」をそれぞれの専門領域の学会が認定してきたが、権益を拡大しようと厚生労働省は学会を排除して「日本専門医機構」を作った。発足当時の機構は日本医師会・日本医学会連合・全国医学部長病院長会議の3者のみが社員であり、学会は完全に排除されていた。社員総会では社員の資格や財務をめぐって理事会側と学会側が争ってきたが、その後医師会からの学会の軽視と地域の医療への影響を無視したことへの反発がでたりしたが、理事改選で学会軽視の態度がさらに露呈し、厚生労働省の影がはっきりと見えはじめた。新専門医制度実施の延期が決まったり、新体制への胎動がはじまったが、今後の進展次第であるのが現状である。

地域医療を再生するために地方国立大学を地域医療の中核として活用すべきであり、臨床医偏重のデメリットが医学部の研究領域を衰退させているから、中央官庁の文科省と厚労省の確執や「縦割り行政」の弊害を除去して、医師の臨床と研究と教育のバランスが歪化させられている現状を改革してゆかなければならない。

Ⅲ 医療逼迫の背景と患者の訴え

背景  日本の医療体制では都道府県は民間病院に患者受け入れの指示・命令ができないうえ、医療機関相互の連携が脆弱で、病院の数は多いが規模はそれほど大きくないから、大規模感染症に対応していない。受け入れる病院は殺到する感染者の対応に疲弊していた。院内クラスターが発生したし、院内消毒には新たなコストが伴うのに、財政支援はクラスターや評判悪化は対象外であり、院内感染リスクをマネジメントできる病院は少なく、受け入れ病院にリスクが生じた。医師会の動きは良くなかったし、行政側も医療側も危機感が乏しく、ワクチン接種開始も遅かった。こうした医療逼迫に直面して、行政の指示や医療そのものに対する国民の信頼感喪失の危機にあった。

医療現場や保健所からの訴え  医療逼迫状態に陥った「重症病棟」の担当医師たちは、絶望に近い状態に陥っていた。最悪シナリオを想定し対応するのが危機管理のあるべき姿であり、コロナ医療現場の声に耳を傾けよと訴えている。また苦境に追い込まれた保健所からは、業務の優先順位を定めなければ保健所体制が崩壊するとの悲鳴が上がった。保健所の最重要な役割は「感染症や食中毒の拡大防止」であるのに、流れが逆になり医療機関より保健所が前線に立つはめになった。地域差を考慮する必要があり、「2 類相当」だから出来ることもあるし、民間病院のほうが「コロナ治療後の患者の受け入れ」はやりやすい、などの声もあった。

 


コロナ検証 長島誠一⑭感染症対策の原則無視 院内集団感染 医療崩壊 自宅療養

2025年04月21日 09時15分48秒 | コロナ検証

新しい社会経済システムとしての21世紀社会主義 現代資本主義シリーズ;5(1)

長島誠一(東京経済大学名誉教授) 2024年 東京経済大学学術機関リポジトリ より

 

第6節 感染症に備えた医療制度の構築

本節では、コロナ危機で露呈した医療の弱点と、その克服を考えてみよう。

第1項 医療関係者の献身的な奮闘

コロナの夜明けの希望  岡田春恵教授は、官邸・厚労省・専門家会議のコロナ対策を批判する啓蒙活動の記録を『秘闘』として公表したが、その内容はすでに紹介した。ベトナムやミャンマーの医療支援に出かけて入国検査をしていた旧友から、検証本は歴史の貴重な検証史料にはなるが即効性のあるのは映像だと言われ、「パンデミック対策はこれからが正念場だぞ。・・・メセージを伝えたいなら、映像にしたかったら、まずは小説にするんだな。それこそが、コロナの夜明けになるんだ。コロナの闇の先に太陽が昇ってくるんだ。」と忠告され、ドキュメント『秘闘』を『コロナの夜明け』として小説化した。重複しないようにしながら、医療関係者たちの献身的な奮闘について紹介しておこう。

感染症対策の大原則の無視  武漢市での新型コロナの発生が正式に世界にが公表された初期段階においては、日本では危機管理体制構築は東日本大震災・福島第一原発事故以後ストップしてしまっていたが、武漢市では人口の約500万人が脱出していた。中国から感染者が入り込んでいたが、テレビや全国放送での解説は楽観的見通しが支配的で、SNS 上では岡田たちの批判は「政権批判!」というコメントが夥しく上がってきた。

しかしコロナ感染は点から線へ、線から面へと拡散し、お土産屋のバイト学生・タクシー運転手・屋形船での感染、カラオケボックスや居酒屋での感染などのニュースにあふれていた。専門家会議のメンバーは、「厚労省の政策を現場に納得させることで出世した」現場から遠い高齢の先生たちであった。新型コロナの正体がわかっていない時点では、最悪の事態を想定して有事に備えなければならず、特措法を動かし緊急対応できるようにしておくのが感染症対策の大原則であった。

院内集団感染  コロナは中国からヨーロッパそしてアメリカに拡がり、日本では和歌山県の済生会有田病院で院内感染が生じ、東京都でも台東区の永寿総合病院新宿区の慶応義塾大学病院港区の東京慈恵会医科大学病院・中野区の江古田病院・墨田区の都立墨東病院(第一種感染症指定医療機関)で集団院内感染が生じた。血液内科の患者は感染症で重症化しやすいが、看護師たちは感染危機対策ができていないことに激しく憤った。院内感染は病院の対応のせいにしてはならず、全患者・スタッフ・職員の PCR 検査を病院側が要望したのに、それに迅速に応じなかった東京都や保健所などの行政の検査体制に問題があった、と岡田は発言していた。しかも実際には保健所が検査を差配しており、国民皆保険制度は実質的には形骸化しているようなものだった。

医療崩壊の始まり  濃厚接触の疑いのある弁護士が検査ができず療養ホテルで待機させられていたが、ホテルには滞在する看護師が極端に少ないうえに、血中の酸素濃度が低下しないと医師に診断してもらえない状態だった。コロナ第3波がはじまり、ウィルスが流行しやすい冬になり自殺者も増加してきたが、ある開業医は政治家に訴えることはあきらめ自力で PCR 検査設備を購入した。クリニックに大晦日にも患者が殺到し、地域にウィルスが根を下ろしたと実感した。岡田は入院が必要な人が自宅待機なのは非常に危険であり、酸素が使える大規模な集団医療臨時病院の設置を訴え、一般病院がコロナ病床を捻出し始めた。

岡田教授は、変異ウィルスが海外から入る危険性のあるパンデミック時のオリンピック開催を否定し、田村厚労相の2期目に入りPCR検査は飛躍的に拡大したが、コロナ病床確保が増えず、「医療難民」の危険性が生じた。ウィルスは強いものが勝ち残り、五輪開催直前に第4波の英国型からインド型に変わっていた。岡田は、大規模医療施設を建設し、ワクチン接種で免疫を付けて、重症化と流行を阻止することを訴え続けた。世論調査では五輪開催の延期か中止が多数であったが、開催ありきの流れが決定的となり、さすがに尾身会長は「今の状況で五輪開催は普通ではない」と発言し(尾身の反乱)、「コロナ感染症有志の会」が提言を提出した。

2021年8月1日に東京都の自宅療養者が1万人超え、PCR検査の陽性率20%にもなっていたので、実際の感染者は非常に大きかったと想定された。田村厚労大臣の大規模集約医療施設・臨時医療施設の提案に専門家からの賛同はなかった。

政府は8月2日に「重症患者や重症化リスクが高い者以外は自宅療養」という新方針を出したが、医療崩壊を政府自身が認めたようなものであった。自宅で分娩した新生児や自宅療養の肺炎患者の死亡が報道されたが、人の痛みがわからないから先手の対応ができなかった。

コロナ第6波の中で高齢者福祉介護施設での集団感染が発生し、まるで地獄のような様相だったし、高齢者医療施設の死亡者の遺骨にしか近親者は会えないといった悲惨な状態だった。第7波が到来し変異株 BA5 が現われ、新規感染者は日本が世界一となった。医療機関で基本的薬剤が枯渇しはじめ、岡田はラジオ放送でインフルエンザとコロナのダブル流行の危険性を訴えた。

医療現場のクリニック院長は、「基礎疾患のない13歳から64歳は保険診断ができない」と激怒していた。2022年11月に寒冷地で感染が増加していたが、クリニックでの検査陽性率が約8割に急増し、第8波が到来し大きな集合病床が必要となった。このクリニック院長が困難と考えていた問題を「特措法」はすべてクリアしていたが、「特措法」が適用されることはなかった。その「特措法」制定時の感染症関係の委員は、現在の新型コロナ分科会の主要メンバーであった。

地方総合病院の苦闘  夏川草介『臨床の砦』(小学館文庫、2022 年 6 月)は小さな信州の総合病院でコロナ治療にあたったスタッフたちの記録小説であり、著者夏川は 2021 年の第 3 波のただ中で体力的・精神的に極限状態の中で書き綴っていた。この病院には感染症の専門家も呼吸器内科の医師もいなかったが、2020年2月3日に横浜にクルーズ船が入港してから、2週間後に感染者が当院に搬送されてきた(2月 16 日)。医療側の都合で治療を受けられず、代替案もないままに待機を命じられる状態としての「医療崩壊」が起こっていたが、ほとんどの医療者が医療活動を継続した。小説は実際に目にし経験した事実に基づいているが、現実は本書の内容より過酷だったと夏川は綴っている。その後、コロナ治療の環境は確実に改善されているし、ワクチン接種は感染者の症状を軽症化した。改善すべき点として夏川は、民間・公立・大学病院を統括する部門と医療機関のネットワーク・システムの創設を提起している。

 


コロナ検証 長島誠一⑬経済・社会を止めないためには医療供給体制の強化と「検査・追跡・待機」の増強

2025年04月18日 08時46分22秒 | コロナ検証

新しい社会経済システムとしての21世紀社会主義 現代資本主義シリーズ;5(1)

長島誠一(東京経済大学名誉教授) 2024年 東京経済大学学術機関リポジトリ より

 

第2項 日本経済への影響

コロナ危機の特殊性  新型コロナ感染は感染スピードが極めて高い特徴があり、コロナ危機の特殊性は行動制限による生産活動と消費活動が外部不経済効果をもたらす点にある。統計的には感染症発生件数の時系列データが正規分布し、途中で対策を緩和すると感染者が急増する。また、外出制限処置は感染抑制と経済活動とのトレードオフ関係をもたらすが、在宅勤務はこの関係を緩和する。

コロナ危機と経済活動  コロナショックは、人・モノ・サービスの網の目を駆け巡る市場経済の特徴として消費者の消費制限をもたらし、行動制限政策は企業(生産者)の生産活度を制約し特定産業の企業業績の悪化や倒産をもたらし、地域モビリティの低下をもたらした。このように行政当局の採用した行動制限アプローチには限界があり、経済社会を止めないために医療供給体制を強化して、「検査・追跡・待機」を増強しなければならない。

 景気循環の変動は一般的には平均収入へ影響し、収入の低い層が所得減少割合も多い。また不況の影響は、女性より男性、白人・アジア系労働者より黒人・ヒスパニック系労働者、中高年より若年層、大卒労働者より大卒未満の労働者により厳しい影響を与えている。失業すると収入減少が長びく可能性があり、失業が長引けばよい仕事が探しにくくなる。パートタイム労働者・中央値より低い労働者・大卒未満の労働者などの雇用減少が多く、リモートワークが困難な女性に雇用・賃金の低下が大きく、サービス業などの「対人産業」へ大きく影響している。保有流動資産が低い低所得労働者が、最も打撃を受ける。

コロナ経済対策  まず、ウィルスの最前線で働いている人から犠牲者を出さないことがなによりの最善策である。コロナ経済対策の財源として、高所得層へ増税財産税・「キャッシュフロー税」を導入する。そして現金給付を迅速化し、政府のデジタル化が重要であり、COVID-19 の出口戦略も視野に入れる必要がある。命を守る戦いによってこそ、経済活動を維持し活発化することができる

いま求められる対処策と感染症の解決のために政策資源を集中的投入し、発熱患者全員にPCR検査をし、困窮する家計や企業を真っ先に支援することである。長期的な展望としては、財政の持続性を確保し、国際的財政機関を設立し、ベーシックインカム制度を導入し、公的資金を民間に投入し、世界的財政協調体制を作りだすことである。

コロナ危機後の世界経済  コロナ・パンデミックによって世界経済の分断が加速化したが、中国に依存しすぎない先進国間のバリューチェーンの構築が大事である。世界金融危機以後に中国が世界経済を牽引してきたし、コロナ・パンデミックの初期にはいち早くコロナから脱出した中国が世界経済の落ち込みを緩和してきた。しかし、2022 年に「ゼロ・コロナ」政策を転換したあたりから、中国の経済成長の鈍化や不動産バブルの崩壊の危機などの内部に抱える国内の諸矛盾が顕在化してきた。今後は以前に増して中国に依存すぎることは不可能となるかもしれない。

コロナ危機による世界経済の停滞とロシアのウクライナ侵略(ウクライナ戦争)によって国家主義の復活志向傾向が強まり、軍事的安全保障とともに食料安全保障が緊急の課題として登場してきた。

FAO(国際連合食糧農業機関)・WHO(世界保健機関)・WTO(世界貿易機関)の事務局長たちが「食

料品の入手可能性への懸念から輸出国による輸出制限の連鎖が起きて、国際市場で食糧不足が起きかねない」と共同声明をだしたように、食糧安保を真剣に検討すべき時がきている。ウクライナ戦争が 2022 年 2 月末に勃発したことによって世界の食糧供給が制限され、輸入小麦に依存しているアフリカ諸国に深刻な食糧不足と飢餓死の危険性が迫っている。

コロナ危機後の社会  小林慶一郎たちは、終章「コロナ後の経済・社会へのビジョン」として8つのポスト・コロナ策を提示している。①経済・社会のデジタル化の促進②医療体制の再構築③支え手を支える新たなセーフネットの創設④天災・災害に対する社会の強靭化⑤公共と民間の垣根の解消⑥選択の自由の拡大、⑦将来世代の立場の配慮、⑧ 新たなグローバル時代に役割を果たすこと。どの政策も妥当と考える。

小林慶一郎たちは『コロナ危機の経済学 提言と分析』の第2部で、コロナ危機での経済・企業・個人の変化を考察している。文明の進歩として世界的に都市化が進んできたが、その弊害が今回のコロナ危機において露呈してきた。都市化・輸送費の低下による物流の活発化は感染症を拡散させたが、東京一極集中は見直すべきである。コロナ危機後の政策として公共サービスを増加しその効率化を実行するためには、都市政策としてコンパクトシティ政策(公共サービスの効率化)は不可欠である。

長期的課題としては、子ども対策として幼児期や学齢期の医療サービス体制の重要性が提起されている。

コロナ検証 長島誠一⑫PCR検査体制の拡充 検査・追跡・隔離 医療体制の改善と治療薬・ワクチン薬


コロナ検証 長島誠一⑫PCR検査体制の拡充 検査・追跡・隔離 医療体制の改善と治療薬・ワクチン薬

2025年04月06日 08時53分01秒 | コロナ検証

新しい社会経済システムとしての21世紀社会主義 現代資本主義シリーズ;5(1)

長島誠一(東京経済大学名誉教授) 2024年 東京経済大学学術機関リポジトリ より

 

第 5節 コロナ感染症との戦争

第 1項 新型コロナとの闘い

新型コロナとの闘いのあり方

前節の第1項において岡田春恵教授の警告・批判については紹介したので、本稿では重複しないようにしながら岡田春恵『最新知見で新型コロナとたたかう』などを紹介しておこう。

政府は新型感染症対策とし新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正し、専門家会議を設置したが(2月14日)6月末に解散させ、分科会に感染症対策を検討させた

新型コロナは東京から全国へ拡大し、東京都は「新モニタリング指標」発表したが休業要請の”基準„は設けてなかった。分科会は新指標を出し自宅療養をすすめたが、検査体制を拡充し「野戦病院」と医療従事者の常駐・巡回が必要だった

政府は緊急事態宣言を解除したが、海外ではパンデミック状態にあった。すなわち、世界の累計感染者は520万4,508人・累計死亡者33万7,687人となり(5月24日現在、WHO発表)、1万人当たり感染者はカタール350人・バレーン170人・チリ150人・スペイン50人・アメリカ49人・イギリスとイタリヤ40人弱・ロシア23人、にもなっていた。

新型コロナウィルスの潜伏期間は長く、典型的な経過として発症から1週間程度は「かぜ症状」10日ごろまでに呼吸困難・咳・痰などの肺炎症状が出てくる。7 番目のコロナウィルス SARS-CoV-2 が新型コロナ感染症COVID-19を発症させ、唾液に多く生存し、若い人にも血栓症が起こったり、子供にも川崎病に似た症状が報告されていた。新型コロナウィルスと闘うためには、PCR 検査・抗体検査を徹底させ、検査薬・治療薬の研究開発を特別に重視してワクチン接種の可能性を追求すべきであった

積極的感染防止戦略による経済社会活動の正常化

 感染拡大の抑制と仕事と生活を守ろうとする経済活動の維持・増進とは、直接的にはトレード・オフの関係にあった。日本政府は緊急事態宣言とその解除を繰り返してきたが、経済活動の維持・増進を優先して行動制限を緩和してきたことによってコロナ対策が不徹底になり、かえってコロナ感染と死亡を加速化することが多かった。厚生労働省は 2023年 5月 8日から新型コロナウィルス感染症を 2類から5類に変えたが、かえって感染者は増加し、沖縄県では病床が満杯状態に陥っている。新型コロナ感染症をインフルエンザ並みに落ち着かせ、人々の仕事と生活を守ることは至上命題であり、コロナウィルスと共存しながら経済活動の活性化と感染拡大抑制を両立させなければならない。

経済へのダメージを最小限にするコロナ対策こそ、21 世紀型感染症対策の戦略である。そのためには次のような対策が不可欠であるだろう。

① 検査体制を強化・充実させて感染陽性者と陰性者を分ける

② 検査・追跡・隔離を徹底させる(クオモ・ニューヨーク州知事が実践したように感染を収めるため)

③ 経済活動と感染症対策のバランスをとることが大切であるが、行動緩和の時期を誤まらないこと(誤るとそれまでの早期対策の効果が水泡に帰してしまう)

④ 呼吸器救急外来の治療を拡充する

⑤ 下水中のウィルスを分析して流行を予測する

⑥ エビセンター(感染集積地)での地域全体の検査、などが必要不可欠である。(東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授はエビセンター(感染集積地)の地域全体検査を指摘したし(参院予算委員会証言、2020年7月16日)、保坂展人は「世田谷モデル」として実行した。)

こうした政府のコロナ対策は専門家の意見を徴して作られた(🍓していない)が、しばしば政府側の意向により専門家会議の見解が削除されたり修正されたりした。新型コロナウィルス対策の問題点として科学(医学)と政治のあり方が改めて問われたが、専門家は科学に徹するべきであると岡田教授は主張しているのを、筆者も支持したい。

 

国民の感染症対策 コロナ対策は直接の病原体と闘うだけでなく、COVUD-19 がもたらした社会的不安や偏見・差別に対するメンタルヘルス対策も必要である。専門家は感染症を3種類に分類してそれぞれの対策を提示している。第 1 の感染症は「生物学的感染症」(病気そのもの)と呼び、COVUD-19 はSARS-CoV-2 ウィルスが原因で起こる感染症の総称であり、これまで論じてきたコロナ感染症は主としてこの「生物学的感染症」である。国民一般は政府(官邸と厚労省)と専門家の対策を科学的に判断し、正しく恐れることが基本的態度である。第2の感染症は「心理的感染症」と表現され、さまざまな原因がわからないことによる社会的な不安や恐怖心である。国民一般は直観的に判断し、その直観を補強する都合のいい情報だけを収集し、自分だけが取り残されるという不安圧力にとらわれる。その対策は黙認へのメンタルヘルスであり、国民の見たり聞いたりすることに対して正確な情報を伝えることである。第3の感染症は「社会的感染症」といわれ、医療機関・医療関係者とその家族のような感染症に関係すると人々が直感的に判断した対象への嫌悪、嫌悪する対象への偏見・差別・攻撃をして自己満足して安心感を得ようとする行為である。その対策としては正確な情報を早く入手することであり、献身的に医療活動に奔走している人々を労いかつ深い敬意を示さなければならない

新型コロナ感染症の厄介な特徴の一つは、症状がない人からの感染が 59%にのぼり、① コロナ医療受け入れ可能医療機関のなかで民間は 21%しかなく、② 保健所が対応できず③ 経済活動の再開や五輪開催への固執しすぎなどによって、医療逼迫が起こってしまった。

コロナ・パンデミックによって在宅でのリモート勤務が急増したが、リモートワーク者へのメンタルヘルスが必要だし、在宅勤務後の職場復帰を保証することが必要である。2020 年 7 月以降の自殺者が増加し、特に女性の自殺者が急増したのは憂えるべきである。

歴史上の感染症で根絶に成功したのは天然痘のみであり、COVUD-19 の完全撲滅が見込めないだろうから、医療体制の改善と治療薬・ワクチン薬を開発して、インフルエンザ並みに共存できるようにしなければならない。感染症は潜在していた格差・問題点を顕在化させる。今回の新型コロナでは研究・開発支援が絶対的に不足しているが、根本原因は非常時なのに官僚は平時感覚・平時対応をしているところにある。

コロナ検証 長島誠一⑪医療・介護提供体制 専門家会議・感染症ムラ 危機対応コミュニケーション