goo blog サービス終了のお知らせ 

いちご畑よ永遠に(旧アメーバブログ)

アメーバブログ「いちご畑よ永遠に(旧ヤフーブログ)」は2023年7月に全件削除されましたが一部復活

日本の10年物国債利回りが2008年以来の最高水準に──リスク資産にとって不吉な兆候か

2025年08月21日 11時09分24秒 | 社会

日本の10年物国債利回りが2008年以来の最高水準に──リスク資産にとって不吉な兆候か

2025年8月20日  CoinDesk JAPAN  Omkar Godbole

 

日本の10年国債利回りは2008年以来の高水準に達し、財政政策への懸念が高まっている。

日本国債のボラティリティは世界市場に波及し、ビットコインを含むリスク資産の不安定化につながる可能性がある。

8月19日、自民党の河野太郎衆議院議員は、円安と財政問題に対処するため、日銀による利上げを提唱した。

日本の10年物国債の利回りが17年ぶりの高水準に上昇した。これは、他の先進国の債券市場に波及し、暗号資産(仮想通貨)や株式といったリスク資産への需要を減退させる懸念がある。

利回りは1.61%を超え、2008年以来の高水準となった。これは、8月19日に行われた20年物国債入札の不振を受けてのことで、政府支出の増加と減税に対する投資家の懸念を示唆している。

TradingViewのデータによると、長期国債の利回りは先月と同じく高水準に上昇し、20年物国債は2.64%、30年物国債は3.19%に達した。

こうした上昇は容易に米国債にも波及し、金融環境の引き締めにつながる可能性がある。長年にわたり、日本銀行の超金融緩和政策により利回りは低迷していた。この政策は、特に先進国において、世界的に利回りを抑制していた。

ベテラン議員が日銀に利上げを要求

与党自民党の河野太郎衆議院議員は18日、ロイターに対し、インフレを誘発する円安を是正するため、日本は利上げと財政の不備に対処するべきだと述べた。

日銀は昨年、10年にわたる大規模な景気刺激策を終了し、1月に短期金利を0.5%に引き上げた。その後、金利は据え置かれている。

河野氏の発言は、スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官が、日銀に対して利上げと円安の下限設定を求めたことに続くものだ。

 

|翻訳:CoinDesk JAPAN |編集:井上俊彦 |画像:Shutterstock

|原文:Japan’s 10-year Bond Yield Hits Highest Since 2008 in Potential Ill Omen for Risk Assets

 

Omkar Godbole Omkar Godbole is a Co-Managing Editor on CoinDesk's Markets team based in Mumbai. Omkar previously worked at FXStreet and Mumbai-based brokerage house as FX analyst and holds a masters degree in Finance.

 

金子勝@masaru_kaneko

【長期金利ジワジワ上昇】この間、長期金利が上がってきたが、1.6%を上回った。概算要求で国の予算膨張は止まらず、日本国債の引き受け手は日銀以外におわず、その一方で円安インフレがとまらず、ベッセントにまで口出しをされ、日銀の利上げ圧力が徐々にかかっている。

 

藤巻健史@fujimaki_takesi

10年近く前から、私は、逆説的だが、日本は景気が良くなったらお終いといってきた。今朝発表の実質GD Pが高かったということでいよいよ、その予想に近づいてきた。景気がよければ物価高は加速する株などの資産価格が上昇すれば資産効果(株や不動産を持っている人が金持ちになったつもりで消費を増やす。それを見て株価がさらに上がる)で景気は過熱していく

長期金利がさらに上がれば日銀保有国債の評価損は莫大なものになる0.5%の政策金利をこれ以上上げると日銀の損の垂れ流しがはじまる。したがって日銀は金利は上げられない。一かバチであげてもあと0.25%だろう。物価がどんどん上昇していくのに、日銀は動けない。なぜだの声が世界中からわきあがり日銀の惨状が世界に知れ渡り日銀と円の信用が地に落ちる

 

何度も言うが、私はバリバリの「小さな政府&低い税金」論者だ。しかしながら、ここまで莫大な借金が溜まってしまうと減税先行は無理である。借金は返さなければならないからだ。減税を先行すれば市場の大反乱が起こり、その場で日銀と円は終わってしまう。従ってハイパーインフレと言う目に見えない大増税(=国民の富が実質的に政府に移管)と言う形でこの借金を解消ていくとになるのだろうと予想している。

これは放漫財政と異次元緩和と言う財政ファイナンスを行ってきたツケである。

 Xデイが来た後には新しい日本を作らなければならないが、その際は財務内容の健全な新しい中央銀行を作り、新しい通貨を発行しなければならないのはもちろんである。それ以上重要な事は憲法に財政均衡を謳い、小さな政府&低い税金の真の資本主義国家を作ることである。

 

何度も書くが一橋大学元学長で財政学者の石先生の言葉を思い出す。数年前に財政危機に警告を鳴らされていた矢野元財務次官が尊敬されていた先生だ。日本では、ばらまかない政治家は落選するが、ドイツではばらまく政治家は落選する。無駄なばらまきはインフレを加速させることを国民がわかっているからね。それが日本とドイツの大きな違いであると、お亡くなりなる直前におっしゃっていた言葉が印象的である。

 

「無責任な減税は危機招く」

本日の日経新聞・米ピーターソン国際経済研究所長 アダム・ポーゼン氏のインタビュー記事。日本のことは何も知らない、興味がない著名な欧米経済学者より、長年、日本を見てきた氏の警告には耳を貸すべきだろう。現状分析は全く私と同じだ。

インタビュー記事曰く「(日本の財政を)非常に気にしている。(略)日本の租税負担は比較的軽いため、増税の余地があるとも信じられていた」「特に永続的に消費税を減税した場合、市場や投資家は非常に悪い印象を持つ。債務残高などの)数字はこの5年で恐ろしい状況になっており、わずかな税収減や金利上昇が財政に大きな影響を生む」「そうした国の財政危機は(2022年の英国のような)金利の急上昇や為替相場の急落によって生じ、経済に大きな影響を及ぼす政治の統治能力の弱体化に伴う無責任な財政政策は危機のトリガーになる」

氏が指摘するように「日本の財政状況が悪化しているにもかかわらず外国からの日本売りの仕掛けが入らなかった」のは、(異次元緩和前は)「日本の消費税は世界的にかなり低く、大胆な引き上げ余地がある」だった。

世界では、この主張が圧倒的で、私が「日本の政治では大胆な消費増税は難しい」と外国人に説いても主流派見解を変えられなかった。その結果は、市場の反乱は起こらずに済んだが、膿が大きくなり、財政規律の徹底的な悪化となったのだ。それが、今や、何と消費税減税議論である。もはや救いはない

尚、氏は今後取るべき経済政策はとの質問に対して、いろいろなことを述べているが、そのような政策がワークしたのは10年前までの話、だ。今はもうハイパーインフレ税という目に見えない大増税しかないし、その道を一直線に進んでいるハイパーインフレは国民の財産の国への実質的な富の移行であり、究極の財政再建にはなるが、中央銀行のとっかえが必要(=円が法定通貨で無くなり単なる紙屑になる)になることの国民生活の地獄は想像だにできない。

ドルを買って個人的に備えることが一丁目一番地である。


習近平があわてる様子が目に浮かぶ「1500億円を貯めた一族」の錬金術 …中国政府が閲覧不可にした米ニュース発

2025年08月21日 10時44分47秒 | 社会

習近平があわてる様子が目に浮かぶ…中国政府が閲覧不可にした米ニュース発「1500億円を貯めた一族」の錬金術

Yahoo news  2025/8/21(木)  プレジデントオンライン マイケル・シェリダン ジャーナリスト

2023年8月31日、議長団席からあいさつする習近平中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席。 - 写真提供=新華社/共同通信イメージズ

 

中国の国家主席、習近平はどれほどの資産を築いているのか。イギリスのジャーナリストのマイケル・シェリダンさんは「一族の保有資産は10億ドルを超えているかもしれない」という。著書『紅い皇帝 習近平』(草思社)より紹介する――。(第2回)

 ※本稿は、マイケル・シェリダン(著)、田口 未和(訳)『紅い皇帝 習近平』(草思社)の一部を再編集したものです。

 

■習近平の家族はエリートのなかでもとくに強欲

 「紅い家族」がどれほど裕福なのか、大部分の中国人には見当もつかなかった

 中国の大衆(「老百姓」)は、不平を言いながら日々を過ごしていた。現在は過去よりましになり、将来は現在よりもっとよくなるだろう。そう思わせることが、共産党による大衆の導き方だった。

 しかし、社会の上層部には多くの特権的な家族がいて、彼らは将来が訪れるのをじっと待ってはいられなかった。富と贅沢への飢えが野心を駆り立て、良心は捨て去られ、見苦しい欲の世界が創出されて、浴槽の黄金の蛇口に赤い旗が飾られた。

 警察国家は富の蓄積を大衆の目からうまく隠す。国民はときおり詳細に報道される贈収賄の裁判を通して、それを垣間見るだけだ。そうした不正はいつも、無私無欲の規範からの逸脱行為として説明された。しかし真実は、エリート層が支配権を握っていたということだ彼らは権力、強要、暴力の脅しを使い、欲しいものを手に入れた。

 習近平の家族はエリートのなかでもとくに強欲な層に含まれた。彼が2012年に権力を掌握するまでに、姉の斉橋橋(せい・きょうきょう)(1949年生まれ)とその夫の鄧家貴、娘の張燕南は、中国と香港に2億7200万ドルを超える投資と不動産を蓄積していた。彼らの富の源泉ははっきりしないが、習近平が昇進を続けていた時期に資産は何倍にも増えた。

 現在、中国を率いるこの一族の保有資産は10億ドルを超えているかもしれない

■出所不明の美談が広まる

 強大な権力を持つ支配者層の家族は、自分たちが免責されていると自信を持つあまり、行動を隠すことすらほとんどせず、はっきりした記録を残した。

 アメリカの金融ニュース通信社「ブルームバーグ・ニュース」の報道チームが調査にとりかかった。チームを率いた元海軍士官のマイケル・フォーサイスは、「ドキュメント・ガイ」と自称するのを好んだ人物だ。チームは2012年6月に習一族の蓄財について広範囲におよぶ調査に基づいた記事を発表した。

 ブルームバーグの記事が出ると、習近平のプロパガンダ機関はすぐさま行動に移った。習が自分の身内に資産の売却を命じたという噂が――噂の出所はわからないまま――広まった。香港の金融業界では、ファーストファミリーがその考えに同意を示したという話で持ち切りだった。

 人々は点心を食べながら訳知り顔でうなずき、習が腐敗にうんざりして中国の汚れを取り除いているという話を繰り返した。女家長の斉心が子供たちを集め、一族は高潔で健全でなければならないと諭したという話も、自信たっぷりに言いふらされた。

■虚構の「資産売却」と報道への報復

 しかし、それはまったくの戯言だった家族の富が減ることはなく、うまく隠されただけで、習近平が中国最高指導者の地位に生涯とどまるための画策をしているあいだに飛躍的に増加した。

 マフィアのゴッドファーザーと同様に、習近平はほころびをきれいに繕うことを好んだ。報復の最初の標的となったのはブルームバーグ・ニュースだ。この企業の中国語と英語のニュースサイトは、中国の銀行家やトレーダーが必要とする金融取引の端末を除き、中国国内でのアクセスを遮断された

 最後には、ブルームバーグの重役たちが北京に巡礼し、ウェブサービスは再開された。マイケル・フォーサイスはブルームバーグから『ニューヨーク・タイムズ』紙に移り、そこで中国のファーストファミリーの資産についての調査を続けた。

 しかし、話はそれで終わりではない。そこからは、国家による典型的なギャング行為の話に変わる。

■習の出世と歩調を合わせた資産の急増

 しかし、その筋書きを明らかにするためには、少しばかり時間を巻き戻さなければならない。習近平の姉の斉橋橋は、人民武装警察(武警)の低給の職員にすぎなかったが、2002年に年収1500ドルの副局長となり、そのころにビジネススクールに行くと決めた。彼女は当時50歳だった。

 学士号を取得した北京の清華大学のウェブサイトに掲載されたインタビューによれば、政界を引退して何かと問題を抱えた父親の世話をするために彼女は仕事を辞め、父の死後にビジネスの世界に進んだ。

 夫の活動はさらに不明なところが多いが、中国が1990年代に長期的な都市化計画と持ち家所有の促進に乗り出したときに、不動産で儲けたらしい。有力な開発業者は地元の共産党の役人や政策立案者と密接な関係を築いた。

 政治的つながりはあらゆるところにあった。党の実力者との関係は利益を上げるための堅実な基礎となる。斉橋橋は起業家としての最初の10年で多くを成し遂げた。習近平が上海で党トップの地位に就き、全国的な政治の舞台に進む準備を整えていたころ、橋橋は夫とともに蓄財の拠点となる投資会社を設立した。

 2007年に「北京秦川大地投資有限公司」として登記されたその会社の資本は270万ドルだった。事業内容は不動産と鉱山への投資としていたが、漠然としていた。ブルームバーグのジャーナリストたちが4年後に投資関連の資料を調査するころには、資産は1億5600万ドルになっていた。当局はすぐに、そうしたファイルへのアクセスを遮断した。

■レアアース利権で数億ドルの利益を獲得

 夫妻は抜け目ない投資をした。たとえば、江西稀有稀土金属業集団(レアアース&レアメタル・タングステングループ)の株を保有した。この企業の市場価値は21億ドルで、彼らの保有する株の評価額は約3億8000万ドルになった。

 江西のような企業は、レアメタルの需要が爆発的に増加するのを見て、採掘と精製事業に乗り出した。レアメタルは触媒コンバーターからシリコンチップ、高性能の軍装備品まで、現代の経済で重要なあらゆるものを製造するために欠かせない。

 この分野は中国では最も利益性の高い産業のひとつで、レアアースに関してはほとんど中国の独占状態という恵まれた状況にある。21世紀の最初の10年に、国が製造と輸出を統制し、世界経済の拡大とともに価格をつり上げた。

 川を挟んで香港と向き合う南部の新興都市深圳は、夫妻の主要資産のひとつである深圳市遠為投資有限公司の拠点だった。多くの企業に投資する不動産・持株会社である。彼らの遠為の株だけでも3億ドルを超える価値があった。

 夫妻の娘、張燕南は別の種類の外国投資をしていた。ハイテク企業のヒコニクス・ドライブ・テクノロジーは、深圳株式市場に上場していた。ブルームバーグのチームの計算によれば、2009年から12年のあいだに株価は40倍になった。

 ヒコニクスの劉錦成会長は、斉橋橋が清華大学でMBA課程にいたとき、同じ大学にいた。他の多くの起業家と同じように、彼が海岸部でひと儲けしようと歩みはじめたとき、人脈の広い投資家たちを一緒に連れていった。

■資産隠しの舞台は香港

 習一族は財産を安全でよく規制された香港の金融センターにとどめておくことを好んだ。

 1990年代の香港はまだ司法権と裁判所が独立して機能していたため評価が高かった。2013年に投資先としてよさそうな土地を見てまわった結果、彼らは香港島のブレーマーヒル(宝馬山)の風の強い高台の土地にたどり着く。

 そこにある高級マンションからは、ヤシの木で縁取られたスイミングプール越しに九龍半島を見渡せた。不動産エージェントたちはそこを、「すばらしく洗練された」土地と表現したが、その所有者については話したがらなかった。

 娘の張燕南名義で所有するもうひとつの不動産は、香港島のケネディロードにあるリージェント・オン・ザ・パークと呼ばれる高層ツインタワーマンションの一室で、その高い窓からはヴィクトリア湾の見事な景色を眺めることができた。すぐ近くには中国外交部が入る近代的なオフィスビルもあった。そのマンションは600万ドルを超える価値があった。

 張燕南は若くして資産家となった。所有者として登記されている不動産には、かつては植民地の高官たちが好む居留地だった浅水湾の邸宅がある。また、ウォーターフロントの住居とオフィスの複合施設で、コンベンションセンターの隣にあるコンベンション・プラザに四室を所有していた。

■香港の高級不動産が安全な隠れ家

 コンベンションセンターは、1997年6月30日にイギリスから中国への引き継ぎの行事が行なわれた場所である。安全な投資先として香港に民間資本が流れるようになったことで、香港の高級不動産の約3分の1は、中国本土の人々によって買い上げられた。

 共産党のエリート家族が注意を引かなかったと言うのは、控えめにすぎるだろう。香港の第一級の不動産の本当の所有者は、しばしば偽名、持株会社、そして「念入りな」配慮を通して自分の身元を隠し、したがって表向きの所有者は家族の会社の従業員か中国内陸部にいる遠い親類の名前になった。

 しかし、香港の法律は、所有者に個人の身元を証明できる書類を記録に残すことを義務づけていた。したがって、調べようと思えば、本当の所有者を追跡することができた。あるケースでは、斉橋橋が偽名の柴林馨を使い、イギリスのヴァージン諸島にある企業の独占所有権を得たことを突き止めた。

 柴林馨の名前と1998年11月19日の日付が入った書類が、モサック・フォンセカという法律事務所から流出した、いわゆる「パナマ文書」のなかに含まれていた。中国本土の資産についても同じだった。

 夫妻の蓄財の中心だった秦川大地公司の登記簿からは彼らの名前が消えて、所有者の名義は徐再勝に書き換えられた。徐は古くから夫妻に仕えるスタッフのひとりだった。「ブルームバーグ」と『ニューヨーク・タイムズ』紙により企業の再編が報じられると、中国の追いつめられた反体制派の多くは、彼ら高潔な納税者は何を隠さなければならなかったのか、と問いかけた。

■通信利権で儲け、株は家族の名義に

 習一族は、時代遅れの国営産業の廃墟から現れた新しい経済機会に触手を伸ばした。習近平のすぐ上の姉の安安(あんあん)と結婚した呉龍は、新郵通信設備有限公司という電気通信企業の代表だった。彼の利益は、弟の妻の家族名義の不明瞭な一連の株式取得を通して隠されていた。

 中国のインターネット検閲は意図的に、新郵通の所有者に関連したウェブサイトを閉鎖した。しかし、国が3Gの標準装備を規定したことにより、このどこからともなく現れた企業が非常に利益を上げているという事実は隠せなくなった。

 この設備を導入する中国移動通信(チャイナ・モバイル)は、21世紀の最初の10年にこの国の電気通信産業の巨人になった。

 アメリカの多国籍企業で中国への大々的な進出を目指していたモトローラの重役たちは、新郵通が携帯電話機の入札を勝ちとったことに困惑した。モトローラの携帯電話部門の災難は、結果的に同社を二つに分割させることにつながる。その後は勢いを取り戻せないまま、ほぼ1世紀にわたり電気通信産業を牽引したモトローラが、中国の大手企業レノボに買収された。

 斉安安と呉龍の起業家精神は、娘の呉雅凝にも引き継がれたようだ。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで学んだ呉雅凝は、新郵通に就職した。彼女は早い段階で中国のグリーン産業に目をつけ、アメリカ企業のハドソン・クリーン・エネルギー・パートナーズとの提携を進めた。ハドソン社は10億ドル以上の資金を適切なプロジェクトに投資した。

■慈善事業を資産の「隠れ蓑」に

 斉安安のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上のプロフィールには、「北京で活動する社会起業家……中国における持続可能性と社会的責任に関する対話の熱心な支持者」と書いてある。

 彼女は「社会的企業、持続可能なイノベーション、草の根のプロジェクト、地方の開発を、平和的でクリーンな、透明性があり、公正で社会的責任を果たす幸せな世界への調和的移行を奨励するツールとしてうまく使った」というが、これを平易な言葉で表現すれば、どのような意味になるかははっきりしない。

 呉雅凝は慈善活動のゲームにも素早く足を踏み入れた。それは自分たちの富を美徳に変えようと望む裕福な中国の家族にとっては優れた隠れ蓑になった。彼女は自らを中国の大手オンライン寄付サイト「51Give」の共同設立者と表現した。

 習一族としては珍しく、彼女はイギリス人男性のダニエル・フォアと結婚した。フォアは2005年に中国へ移住し、ビジネス機会をうかがっていた。2007年、二人はフェアクリマ・キャピタルという「クリーンエネルギー」企業を設立する。彼らの事業はほとんど注意を引かなかったが、2012年に習近平が中国の最高指導者になると、その姪の夫であるフォアもニュースで取り上げられた。

 「北京の薄汚れた外国人向けバーに入り浸っていた男が、いまや天安門広場の人民大会堂で世界のリーダーやCEOをもてなしている」。『アトランティック』紙は彼をそう紹介した。

 

----------

マイケル・シェリダン ジャーナリスト

1989年6月に香港と中国から最初のレポートを送り、その後は『サンデー・タイムズ』紙の極東特派員を20年間続け、中国の興隆、1997年の香港返還と香港民主化運動を報じた。それ以前にはロイター通信、ITN、『インディペンデント』紙などで、中東の戦争、国際外交とヨーロッパの政治などを、ローマ、ベイルート、エルサレムを拠点に報道した。『スペクテイター』、『タブレット』、『ヴァニティフェア』、香港の『信報財經新聞』などにも寄稿している。2021年に香港の歴史を批判的に描いた『The Gate to China』を出版した。


藤和彦 「国家資本主義」がもたらす米国経済の悪化 トランプ政権が“中国を模倣”か 経済分析に難癖、企業からカネを巻き上げ、統計局長はクビ

2025年08月21日 07時24分24秒 | 社会

トランプ政権が“中国を模倣”か 経済分析に難癖、企業からカネを巻き上げ、統計局長はクビ…「国家資本主義」がもたらす米国経済の悪化

Yahoo news  2025/8/21(木)  デイリー新潮   藤和彦

 

ともに深刻な内憂外患

米国経済に景気減速の予兆

 米株式市場は相変わらず好調だ。8月15日のダウ工業株30種平均は一時、昨年12月につけた史上最高値を上回った。

 個人消費も堅調だ。15日に発表された7月の小売売上高(速報値)は前月比0.5%増の約7263億ドル(約107兆円)と2カ月連続で増加した。

 金融市場関係者はトランプ政権の関税政策による景気後退は回避できたと判断しているようだが、実体経済の悪化はこれからだ。個人消費は低所得層を中心に鈍化が目立ち始めており、企業の投資も人工知能(AI)分野に偏っており、盤石とはいえない状況だ。

 2023から24年にかけて、米国経済の成長率は金融引き締めの下でも3%弱と高水準だったが、今年は1%前後に減速する可能性が高まっている。「コロナ禍後の世界経済を牽引してきた米国経済が曲がり角に差しかかっている」(日本経済新聞2025年8月15日付)との見方が一般的だ。

国家資本主義の傾向が強まる米国

 足元の景気減速の予兆以上に気がかりなのは、米国経済が国家資本主義の色彩を帯びてきているとの疑念が生じていることだ。

 国家資本主義とは、国家が企業活動に積極的に介入する経済運営のあり方であり、現在の中国がその典型だと言われている。

 これに対し、米国では企業の自由な活動が保障されているとみなされてきたが、トランプ政権2期目に入り、国家資本主義の傾向が強まっているとの警戒感が広がりつつある。

トランプ政権は当初から対外的に米国第一主義を掲げ、自由貿易体制を重視しない方針を鮮明にしている。貿易赤字の解消を目的とした高関税政策を進めるとともに、関税を引き下げる見返りに世界各国から米国内への投資を半ば強制する手法は定番となった。

 このことからわかるのは、米国が国家主導の管理貿易体制に舵を切ったことだ。

労働省の労働統計局長をクビに

 トランプ政権はさらに国内でも異例の行動に出ている。

 市場関係者が驚いたのは、トランプ氏が1日に公表された雇用統計を不正操作と決めつけ、労働省の労働統計局長を解任したことだ。

 新たに局長に指名されたアントニ氏の発言も市場の不安を増幅させている。アントニ氏が雇用統計の速報値が大幅に修正される状況が続いていることを問題視し、雇用統計の月次速報を一時停止すべきだと主張していることが明らかになったからだ。

 正確性に問題はあるものの、雇用統計は金融市場関係者が最も重視する経済指標だ。速報値の公表が停止されれば、政府統計に対する信頼性が揺らぐ事態になりかねない。

ゴールドマンを攻撃、FRBに圧力

 トランプ氏が民間企業の経済分析にケチを付け始めていることも問題だ。

 トランプ氏は12日、関税措置が米国経済に悪影響を及ぼすという予測は「間違っている」として、米金融大手ゴールドマン・サックスを公然と批判。同社のデービッド・ソロモンCEOの経営手腕についても疑問を呈した。

 ゴールドマン・サックスはトランプ氏の難癖に毅然とした態度で臨んでいる。だが、アナリストらが萎縮し、調査結果に手心を加えるのではないかとの危惧が広がっている。

 政府にとって不都合な経済実態を隠蔽するのは中国の常套手段だが、トランプ政権もこれに追随し始めているのではないかと思えてならない。

 トランプ氏が連邦準備理事会(FRB)に圧力をかけ続けていることも看過できない。

 ホワイトハウスは12日、トランプ氏がパウエルFRB議長の提訴を検討していると明らかにした。表向きの理由はFRBが実施している建物改修の過大な費用だが、背景にパウエル氏がトランプ氏の利下げ要求を受け入れない状況があることは間違いない。

 米国も中国と同様、中央銀行の独立性が維持できなくなってしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

政治的圧力で企業からカネを巻き上げる

 極めつけは、上納金のような前近代的な制度が導入され始めていることだ。

 トランプ政権は11日、米半導体大手のエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイセズが中国向けに販売したAIチップ収入の15%を政府に支払うと発表した。中国向けの輸出が認められることを条件に両社が支払う資金は、米国債務の返済に充当されるという。

 ベッセント財務長官は13日、このスキームの対象が他の分野に拡大する可能性があるとの見解を示した。

 税などの通常の手段ではなく、政治的圧力で企業からカネを巻き上げるやり口は、中国政府が2021年に「共同富裕(格差是正)」の名目で大企業から多額の資金を国庫に納めさせたことを彷彿とさせる。これが横行すれば、米国の企業経営の安定性にとって大きな障害になってしまうだろう。

米国が中国を模倣するという皮肉

 思い起こせば、米国は20年以上にわたって中国の国家資本主義を批判してきた

 中国が2001年に世界貿易機関(WHO)に加盟した際、米国側は中国が徐々に経済的自由を受け入れると期待したが、その後の推移は真逆だったと言っても過言ではない。

 習近平体制下で強化された中国の国家資本主義は一時、世界的に評価されたが、現在は不動産バブルの崩壊などマイナス面が一気に顕在化している。にもかかわらず、トランプ政権がこれを模倣し始めているのだとしたら、これほどの皮肉はないだろう。

 中国の国家資本主義が巨大な官僚機構を駆使して長年実行されているのに対し、米国ではトランプ氏の独断で急遽始まった点も気になるところだ。

 国家資本主義の色彩を強めるトランプ政権のせいで、米国経済が急速に悪化しないことを祈るばかりだ。

 

藤和彦

経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。


イスラエル外交官、定年前の退職続々…「国際的孤立」招いた政権見限る 

2025年08月19日 07時04分21秒 | 社会

イスラエル外交官、定年前の退職続々…「国際的孤立」招いた政権見限る 

Yahoo news  2025/8/19(火)  読売新聞オンライン

 

13日、エルサレムで取材に応じる元イスラエル外務省報道官のエマニュエル・ナフション氏=福島利之撮影

 

 【エルサレム=福島利之】イスラエル外務省で、大使などを務めたベテラン外交官が定年を前に次々と退職している。外務省関係者によると、外交を優先せずに軍事力を前面にパレスチナ自治区ガザで戦闘を続け、国際的な孤立を招くベンヤミン・ネタニヤフ政権を見限ったことが一因という。退職者はここ数年で約10人に上る。

外務省関係者によると、短期間では異例の規模の退職という。

 イスラエルのネットメディア「Yネット」が今月10日に伝えたところによれば、67歳の定年退職を前に、駐インドやイタリアの大使を歴任したナオール・ギロン氏や、元駐トルコ大使イリット・リリアン氏らが外務省を去った。極右政党と連立を組み、強硬な外交姿勢を貫く政府に不満があったとみられる。

 ガザで戦闘が続く中、フランスやカナダなどがパレスチナを国家として承認する方針を相次いで表明し、イスラエルに対する国際社会の批判は強まっている。

 こうした中での人材流出について、Yネットは「イスラエルの国際的な地位が深刻な時に外交経験の蓄積を失うことは大きな打撃だ」と指摘している。

 

ガザ戦闘「政権延命のため」  元外務省報道官

 【エルサレム=福島利之】イスラエル外務省を昨年7月に退職したエマニュエル・ナフション元報道官(63)が、本紙の取材に応じた。退職の理由について、パレスチナ自治区ガザでの戦闘が「ネタニヤフ政権の延命のために続いていると感じた」と説明した。

 ナフション氏は外交官として32年間のキャリアを積み、トルコやドイツ、ブリュッセルなどで勤務した。ベルギー大使を経て、公共外交担当の副事務総長や報道官を務めた。

 2023年10月にイスラム主義組織ハマスの越境攻撃が起きると、ナフション氏は自国の立場への理解を促進する公共外交に力を入れた。だが、ガザでの戦闘が長引くうちに、「この戦争は国家の安全保障のためでなく、ネタニヤフ政権の延命のために続いている」と違和感を覚えるようになったという。

外務省報道官は政府の主張を伝える立場だ。「自分の名前がこの政府の政策と結びつけられることを望まなくなった報道官として時に現実と一致しないことを語らなければならない。もう十分だと思った」と吐露した。

 ナフション氏は、政権を見限って辞めた元同僚たちについて、「強い道義心を持っている。外交にとって大きな損失だ」と訴えた。政権が「我々は選挙で選ばれた。公務員は命令に従え」との姿勢を取っていることが官僚機構の機能低下を招いていると批判した。

 欧州などでパレスチナ国家の承認の動きが続くことについては、ネタニヤフ政権の「極端な政策」が促したとの見解を示した。

 イスラエルの外交官が置かれた境遇について、「カナダやフランスなど友好国からの批判を受け止めて議論するのでなく、即座に攻撃的な反応を示さなければならない。その結果、駐在国と対立する立場に追い込まれ、仕事がやりにくくなっている」と指摘した。

 ナフション氏は現在、イスラエルの各大学で構成される大学評議会で、海外の大学がイスラエルとの学術交流をボイコットする動きを阻止する仕事に就いている。「外務省を辞めてもイスラエルのために戦う意思は変わらないが、この政府の下では働かない」と語った。


「信じてる人がまだいるのか」参政党・初鹿野議員 国も認めている「南京事件」を否定で批判続出…専門家は「歴史事実を誤魔化してはいけない」と警鐘

2025年08月13日 13時30分12秒 | 社会

「信じてる人がまだいるのか」参政党・初鹿野議員 国も認めている「南京事件」を否定で批判続出…専門家は「歴史事実を誤魔化してはいけない」と警鐘

yahoo news   2025/8/13(水) 女性自身

 

7月20日の参院選で初当選を果たした参政党・初鹿野裕樹氏

 

7月20日の参院選で初当選を果たした参政党・初鹿野裕樹氏(48)の「南京事件」についてのXの投稿が波紋を呼んでいる。

【投稿あり】波紋を呼んだ初鹿野議員の“南京事件”否定投稿

 

初鹿野氏は6月18日、「南京事件」についての日本政府の公式見解に不満を訴えた元航空幕僚長の田母神俊雄氏(77)の投稿を引用する形でXに次のように投稿していた。

《南京大虐殺が本当にあったと信じている人がまだいるのかと思うと残念でならない。

日本軍は「焼くな、犯すな、殺すな」の三戒を遵守した世界一紳士な軍隊である》

“南京大虐殺”と呼ばれることもある「南京事件」とは、日中戦争最中の1937年12月、中国国民党政府の首都・南京を陥落させた日本軍が、南京の都市部や農村部で中国兵捕虜や一般市民らを殺害し、略奪行為などを重ねたとされる事件だ。

犠牲者数は不明だが、東京裁判では“20万人以上”、中国側の南京軍事法廷では“30万人以上”とされ、日本側の研究では“数万~20万人”などと推計されている。

問題の初鹿野氏の投稿に対し、Yahoo!ニュースのエキスパートで軍事分野を専門とするJSF氏が7月28日にX上で《歴史的事実なので虐殺を否定したら嘘ですね》とコメント。《当事者の証言など証拠が山ほどある》などと、初鹿野氏に反論した。

すると、初鹿野氏はJSF氏に対し《夢を見ているのですか?》と投稿。続けて、当時の中国にいた複数の旧日本兵から直接話を聞いたという別のXユーザーによる、南京事件は《確かにあったそうです》との投稿に対し、初鹿野氏は《当時の、中国の警察庁長官は否定しました》と反論した。

しかし、外務省のホームページでは「南京事件」について下記のように記載されている。

日本政府としては、日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています。しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています。

先の大戦における行いに対する、痛切な反省と共に、心からのお詫びの気持ちは、戦後の歴代内閣が、一貫して持ち続けてきたものです。そうした気持ちが、戦後50年に当たり、村山談話で表明され、さらに、戦後60年を機に出された小泉談話においても、そのお詫びの気持ちは、引き継がれてきました》

犠牲者の数については議論がわかれているものの、国も公式に「南京事件」を認めている。

そのため、現職の国会議員である初鹿野氏の歴史を改ざんするかのような主張にXでは批判が殺到した。

また、初鹿野氏によれば南京事件を《否定した》という《当時の、中国の警察庁長官》についても“誰?”“エビデンスは?”と疑問が続出した。

中国側が主張する「犠牲者数30万人」という数字について“過大”と指摘する日本の研究者は多いが、数字の誤りをもとに虐殺自体を「デマ」とする主張も後を絶たない。

そこで、初鹿野氏に1:「30万人」という被害者数ではなく、「南京事件」そのものが「なかった」という考えか、2:「当時の中国の警察庁長官」とは誰のことか、3:《当時の、中国の警察庁長官は否定しました》の出典、4:「南京事件」そのものがなかったと考える場合の根拠や理由を質問したところ、参政党から下記の回答が書面で寄せられた。

《各ご質問を総合した形で、初鹿野議員からの回答文をお伝え致します。

日本軍の南京入城時の南京の人口は20万人であったとされ、日本軍の南京入城で治安が保たれ25万人に増加したことが確認されております。そして、当時の南京の状況の写真は朝日新聞にも掲載されました。

また、当時の中国の警察庁長官であった王固磐氏も、南京の人口は20万人と明言され、安全区のジョン・ラーベ委員長も南京の人口を20万人と報告しております。

これらの事情から考察して、私は、ご指摘の投稿をXにしたものです。以上をもちまして、回答と致します》(全て原文ママ)

果たして、この初鹿野氏の回答は専門家の目にどう映るのか。今年7月30日に『南京事件 新版』(岩波書店)を上梓した、「南京事件」研究の第一人者で都留文科大名誉教授の笠原十九司氏(以下、括弧内は全て笠原氏)に話を聞いた。まず、笠原氏は“入城時の南京の人口は20万人”を否定する。

否定論で意図的に持ち出される『20万人』は、南京の人口ではなく、虐殺を逃れ、“安全区”に避難した難民らの推定数です。南京戦前の南京城区(市部)の人口は100万人以上でしたが、日本軍の南京攻略が迫るにつれて富裕層から避難して、11月には蒋介石も南京を放棄して重慶へ続々と首都機能を移転させています。

’37年11月23日に南京市の市長が、すでに漢口に避難済みの蒋介石に送った書簡には“今の南京に残っている人は『50余万』”との報告があります。最後の公式な記録に占領直前の南京市の人口は『50余万』と残っているので、『20万人』は誤りです」

安全区のジョン・ラーベ委員長も南京の人口を20万人と報告》についても、

「ドイツ人のジョン・ラーベが南京在住の外国人で組織した南京安全区国際委員会の委員長となり非常に良心的に難民区の救済に奔走するんですが、ナチス党員だったのでヒトラー総統に’37年11月25日付で”安全区”設置についての請願書を送っています。その中に、『目前に迫った南京をめぐる戦闘で、20万人以上の生命が危機にさらされることになります』と記されていたことが根拠になっています。

この『20万人』の数は、“安全区”に最終的には“20万人の難民が避難するであろう”という国際委員会側の推定計画であり、当時の南京市の人口ではありません。また、前述の南京市長が蒋介石に送った書簡にも、“将来は、およそ20万人と予想される難民のための食料送付が必要である”と書かれているので、南京市政府の予想と符合しています。この当時の“難民の推定数”が”南京の人口”にすり替えられているのです

当時20万人だった南京の人口が《日本軍の南京入城で治安が保たれ25万人に増加したことが確認されております》という初鹿野氏の主張については、

「後に日本軍が調査して、老人や病人、幼児を抱えているなどの事情で“安全区”に避難できなかった市民が5万人いることが明らかになっただけです。日本軍占領下にも自宅などに留まっていた市民は約5万人いるという予想はされていましたが、日本軍による強制的な査問登録によって確認されたわけです。したがって、日本軍占領後に南京の人口が5万人増えたのではありません」

また、「当時の中国の警察庁長官」とは誰のことか、という問いには「王固磐」と回答しているが、《当時の、中国の警察庁長官は否定しました》という自身の主張には触れず、根拠となる出典も示していない。

「そもそも“警察庁長官”という呼び方の役職はありません。そして、日本軍が占領した時点で、政府の上官も漢口の方に撤退しているので、南京に国民政府はもうないわけです。ただ、治安維持のために南京に“警察隊”が残ったのです。初鹿野氏は“警察隊”のことを指したのかもしれませんが、この“警察隊”が日本軍に集団的に連行されている場面の写真がありますが、全員処刑されています。

また、念のため中国で最も権威のある徐友春主編『民国人物大辞典・増訂版』(河北人民出版社、二〇〇七年)というものすごく分厚い上下巻ある辞典で調べましたが、王固磐という名前はありませんでした」

初鹿野氏の回答にある《当時の南京の状況の写真は朝日新聞にも掲載されました》については、

難民キャンプの入り口で、日本人が難民の子どもにわずかな硬貨や食べ物を配り、集まってきて喜んでいた様子の写真などが当時の朝日新聞に掲載されていましたが、“日本の正義”を強調するためのプロパガンダ記事で“ヤラセ”と言われています。こうして“日本軍は市民から歓迎されている”と報じたのです。これらのことは、難民の救済に奔走した南京安全区国際委員の外国人たちが日記や手紙に記録しています。その一方で、この間にかなりの日本兵士が裏の塀をよじ登り、難民キャンプに侵入して10名ほどの婦人を強姦した写真は1枚も撮らなかったといいます。

当時は厳しい陸軍の検閲制度があったので、日本軍に都合の悪い内容は報道できませんでした」

最後に、笠原氏は初鹿野氏をはじめ、「南京事件」そのものがなかったとする国会議員たちの言説に次のように警鐘を鳴らした。

極東国際軍事裁判(東京裁判)において、松井石根中支那方面軍司令官は、『焼くな、犯すな、殺すな』の三戒を遵守させずに、日本軍の蛮行を放任した『不作為』の戦争責任を問われて死刑に処せられました。日本はサンフランシスコ平和条約の第一一条【戦争犯罪】で東京裁判を受諾(acccepts the JudgmeBTS→ acccepts the judgments.)して、独立が認められたのでした。現在、日本の国会議員がそのことを無視し、無知としかいいようのない南京事件否定説をバラまいていることは、日本政治の国際的評価を貶めている行為にほかなりません。不都合でも歴史事実を誤魔化してはいけないんです」