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参政・神谷代表「次期衆院選で与党入り目指す」「早ければ今年の秋かも」

2025年07月13日 23時53分47秒 | 社会

「次期衆院選で与党入り目指す」 参政・神谷宗幣代表が言及 「早ければ今年の秋かも」

2025/7/13 産経新聞

 

参政党の神谷宗幣代表(春名中撮影)

 

参政党の神谷宗幣代表は13日、千葉県柏市で街頭演説し、次期衆院選での与党入りに言及した。「今回の参院選で躍進しても、いきなり50、60議席になるわけではない。次の解散・総選挙で一気に与党入りを目指して頑張ろう」と述べ、支持を呼びかけた。与党の枠組みには触れなかった。

 

次期衆院選の時期については「早ければ今年の秋かもしれない。来年の春かもしれない。いつになるか分からないので、次を考えて動かなければいけない」と語った。

参政党・神谷代表、山口敬之氏との2ショットが物議醸す。「凄い人選」「流石にこれは僕も気分悪いです」


参政党人気 「ポスト・トゥルース」批判を受けた最初の大統領、実はトランプじゃなかった

2025年07月07日 10時01分44秒 | 社会

「ポスト・トゥルース」批判を受けた最初の大統領、実はトランプじゃなかった

Yahoo news  2025/7/7(月)ダイヤモンド・オンライン 戸谷洋志

 

(🍓国民の自尊心=ナショナリズム)

 

 この世界にすべての人が合意できる客観的な真実などなく、真実は人がそれをどのように眺めるかによって変わってしまう…。近年、このように真実の概念そのものが相対化され、その客観性が軽視される状況は「ポスト・トゥルース」と呼ばれ、そこでは深刻な形で詭弁が蔓延しているという。その背景事情について、哲学の専門家・戸谷洋志氏が解説する。

※本稿は、『詭弁と論破 対立を生みだす仕組みを哲学する』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。

 

 ポスト・トゥルースの言葉が 最初に用いられた劇作家の論考

 「ポスト・トゥルース(post-truth)」という言葉が最初に用いられたのは、1992年セルビア系アメリカ人の劇作家スティーヴ・テシックが発表した論考であるとされている。その議論は、今日の状況を考える上でも、大いに参考になる。

 テシックはそのなかで、湾岸戦争へと突入していく当時のアメリカ政府と世論の相互作用から、今日における権力と真実の関係を分析している。彼によれば、当時のアメリカ国民は自尊心を失っており、政府にとって戦争はそれを回復させる好機だった。

 当時の大領領であったジョージ・H・W・ブッシュは戦争を正当化するために国民に対して公然と嘘をついた。ここまではまだ理解することができる。

 そして、常識的に考えるなら、ブッシュは周到な隠蔽(いんぺい)工作を行い、国民に対して嘘が露呈しないように苦心する、と予想されるだろう。もしも嘘がばれてしまったら、それは政権にとって大きなダメージになるはずだからだ。

 ところがブッシュは、そうした工作をしなかった。当然のことながら、彼の嘘は簡単に露見し、それが大きなスキャンダルへと発展していった。

 テシックが注目するのは、ブッシュが嘘をついたことではなく、その嘘を隠そうとしなかった、ということである。そこに示唆されているのは、嘘が露見しても構わないと考えられていたこと、つまり政府がもはや「真実を恐れなくなった」ということである。

なぜ、政府は真実を恐れなくなったのか。それは、「真実が私たちに与える影響がほとんどない」と見なしていたからだ。つまり、たとえ真実を知ったとしても、世論が政府を批判することなどないと、政権が考えていたからだ。

 

政府の嘘が世論に 受け入れられる理由

 なぜ、世論は政府の嘘を批判しないのだろうか。それは、たとえ嘘であったとしても、湾岸戦争の「物語」によって国民が自尊心を回復できるからである。

 その物語を嘘として批判することは、それと引き換えに、国民が再び自尊心を失うことを意味する。このとき国民には、真実を重視して自尊心を失うか、自尊心を重視して嘘を受け入れるか、という二者択一が迫られる。そして当時のアメリカ国民は、後者を選んだのである。テシックは次のように述べる(筆者訳)。

 私たちは急速に、全体主義の怪物たちが夢想することしかできなかったものの試作品(prototypes)になりつつある。これまでの独裁者たちは、真実を抑制することに懸命に取り組まなければならなかった。しかし私たちの行動は次のように証言している。すなわち、私たちにはもはや真実が必要ない、私たちは真実の意義を剥奪できる精神的なメカニズムを手に入れた、ということだ。非常に根本的な意味で、自由な人間として、私たちはポスト・トゥルースの世界で暮らしたいと、自ら決断したのだ。

(Steve Tesich, A Government of Lies, The Nation, Vol. 254(1) , 1992, 12-14.)

 テシックによれば、情報の真実性が重視される時代が「トゥルース」の世界であるのに対して、真実よりも、私たちの自尊心を満たしてくれる情報が重視される時代が、「ポスト・トゥルース」の世界である。

 注意するべきことは、ポスト・トゥルースは、単に権力が嘘をつく世界ではなく、その嘘を隠そうとすらしなくなり、その結果、嘘をついているか否かということが、もはや重要ではなくなってしまう世界である、ということだ。

 

オバマ元大統領は過激派の「創始者」? 嘘だらけのトランプ氏が勝利

 もっとも、ポスト・トゥルースという言葉はすぐに普及したわけではない。この言葉が注目を集めるようになるのは、2016年においてである。

 この年、アメリカでは大統領選挙が行われ、民主党を代表するヒラリー・クリントンと、共和党を代表するドナルド・トランプが争った。結果的に、選挙はトランプの勝利に終わったが、彼はその過程で、事実と異なる主張を繰り返したことで、話題となった。

いくつか例を挙げるなら、実際には4.9%であった当時の失業率を、42%であると述べたり、バラク・オバマ元大統領がイスラム過激派ISISの「創始者」であると述べたりした。また、大統領に就任したトランプは、その一年目において「欺瞞に満ちているか、または誤解を招く発言」を「計2140回(編集部注/『真実の終わり』ミチコ・カクタニ、岡崎玲子訳、集英社、2019年)」行ったという。

 こうした発言の真偽は、少し調べれば、あるいは調べるまでもなく、嘘であると判明するものばかりだった。しかし、トランプは自分の発言が嘘ではないことを証明するための工作をほとんど何も行っていなかった。

 彼は、自分の発言が嘘だと思われることに、まったく関心を寄せなかった。それは、たとえ嘘であったとしても、その発言が世論に対して政治的な影響力を持つということを、知っていたからである。この意味で彼の態度は、テシックの言うポスト・トゥルースの、一つの先鋭化であったに違いない。

 

客観的事実よりも 感情へのアピール

 2016年、オックスフォード英語辞書は、「今年の言葉」として「ポスト・トゥルース」を選出した。そこでこの言葉は次のように定義されている。

世論を形成する際に、客観的な事実よりも、むしろ感情や個人的信条へのアピールの方がより影響力があるような状況”について言及したり表わしたりする形容詞

(Oxford Languages, Word of the Year 2016)

 もちろん、1992年と2016年とでは、まったく同じ状況に置かれているわけではない。その違いはいったいどこにあるのだろうか。

 日本近代文学研究者の日比嘉高は、2016年を大きく特徴づける要素として、情報環の変化を挙げている。

 インターネットが普及し、ソーシャルメディアが発達した現代において、人々はある種の情報過多のなかで生きている。政治・健康・環境・経済などの様々な分野に専門家がおり、その意見はしばしば対立することもある。

 特にインターネット上では、専門家と素人の発言の境も曖昧になる。このような環境のなかで、人々は、そもそもどの情報を信じたらよいのかが分からなくなっていく。

 情報過多の状況にあるからこそ、正しい情報を取捨選択する能力、いわゆるリテラシーが重要であると言われている。しかしそれは容易に身に付くものではないし、情報について判断するためには経済的・時間的コストもかかる。

 このような環境において、人々は自分が信じたい情報を信じるようになってしまう。なぜなら、情報そのものを見ても、その正誤は判断できないため、そもそも正誤が情報を評価する基準ではなくなってしまうのだ。それに取って代わるのは、その情報を信じたいか信じたくないか、という情念なのである。

人々が、自分の信じたい情報だけを信じている、という状況は、1992年と2016年の間で違わない。違いがあるとしたら、今日において、そうした情念の支配が、情報過多によって引き起こされているということだ。

 

誰もが無自覚に 情報を選んでいる可能性

 しばしば、ポスト・トゥルースの問題が論じられるとき、それはリベラル派の立場から、保守派の言説を批判するという仕方で展開される。

 特に、トランプがアメリカにおける保守派をある種戯画的に代表する存在であったことから、その印象は決定的になった。ポスト・トゥルースは、保守派に特有の問題であり、それはリベラル派と無縁であると考えている人も、少なくないかも知れない。

 しかし、日比が指摘するような情報過多の状況そのものは、リベラル/保守といった政治的な立場によって異なるものではない。保守派の人々がそうであるのと同様に、リベラル派の人々もまたそうした状況に置かれている。

 したがって、リベラル派の人々もまた、自分が信じたいと思っている情報を信じ、その情報の正誤を意に介さない、という事態もまた、十分に起こりえると考えておかなければならない。日比は次のように指摘している。

 トランプ氏の戦略〔…〕が示している、PC〔Political Correctness:政治的な正しさ=筆者〕派は建前優先の嘘つきだという感覚に注目しよう。左派的な価値観をもって、ポスト真実の政治や時代を批判的に見る人たちは、嘘は彼らの敵対者の側に――つまりトランプ氏やEU離脱派、安倍政権、およびそれらの支持者たちに――のみあるのだと考えるかもしれない。だが、事態は反対側からも見る必要がある。トランプ支持派からすれば、オバマ政権やその後継としてのヒラリー・クリントン氏を支持する人々は、誠実ではないのである。(🍓クリントンはトランプと同じ金融資本主義の指導層の分派だから誠実であるわけがない。同じ穴のムジナである。したがって、この評価は間違っている。)

(『「ポスト真実」の時代│「信じたいウソ」が「事実」に勝る世界をどう生き抜くか』 津田大介・日比嘉高、祥伝社、2017年)

 日比はここで、保守派を擁護しているのではない。そうではなく、リベラル派が決して嘘を支持することはない、と思い込むことによって、かえって、自分自身の状況を見誤る可能性があると指摘しているのである。

 なぜなら人々は、無自覚のうちに、信じたい情報を正しいと見なしているかも知れないからであり、言い換えるなら、自分が正しいと思っている情報が、実はそれが正しい情報であると信じたかっただけだった、ということを、そもそも自覚していないかも知れないからだ。

 


「減税ポピュリズム」はいらない!高橋是清から現代の日本人が学ぶべきこと

2025年07月05日 17時12分52秒 | 社会

「減税ポピュリズム」はいらない!高橋是清から現代の日本人が学ぶべきこと

Yahoo news 2025/7/3(木)  Wedge(ウェッジ) 板谷敏彦

日刊ゲンダイのショートニュース解説です。参議院選挙の争点ですが、アベノミクス詐欺が続き、票を伸ばしている一部「野党」はフェイクそのものです。新聞は兵庫県知事選の時と同じく壊れていて極右を野放し、トランプ関税で日本経済は風前の灯なのに寝ぼけている。

今週のアークタイムス「金曜経済」です。7月9日に迫った相互関税交渉はほとんど進まず。トランプは70%関税と言い出す。貢ぐだけの対米朝貢外交のツケが一気に出てきて日本経済を滅ぼす。政治家は最も重要な問題に口を閉ざして「給付か減税か」が参院選の争点とは何なのか?

 「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」は、米国の作家マーク・トウェインの格言だ。技術革新や人権の伸長など、社会環境が昔と異なる現代に同じことは起きないだろうが、それでも似たようなパターンや流れは再び現れるという意味だ。

 19世紀後半から20世紀初頭にかけて、蒸気機関による交通革命や電信による通信革命、メディアの発達などにより第一次グローバリゼーションが起こると、リカードの比較優位の理論(各国は他国と比べて「より効率的に生産できるもの」に特化して貿易を行うことで、全体の生産性が向上し、すべての国が利益を得られる)のとおり、貿易が盛んになり世界経済は繁栄した。だが、その一方で先進国の内部ではグローバリゼーションによって富を享受する者と、労働集約的な職業では取り残される者に分かれて深刻な経済格差が発生した。これが1914年から始まった第一次世界大戦の開戦原因になったとの分析もある。

 

 現代は冷戦終了後の安価になった航空料金、コンテナによる物流革命、インターネットの普及などによって貿易が盛んになり、第二次グローバリゼーションの時代とも呼ばれてきた。まさに歴史は韻を踏んでいるわけだが、そうした中で第一次と同様に先進国内では経済格差が生まれ、そうした不満が欧州における右傾化を促し、米国ではトランプ大統領を生み出したとも言える。

 

 トランプ大統領は、成功した高学歴のエリート層や既存の政治体制を何かズルイことをしている破壊すべき既得権益者=「ディープステート(闇の政府)」と決めつけ、「米国第一主義(MAGA)」を唱えてこうした取り残された(と考えている)人々に対してアピールした。反グローバリゼーションである移民政策や貿易政策をはじめ、「移民が犬や猫などのペットを食べている」など虚実を混ぜながらSNSを駆使して、大衆の感情や不満に直接訴えた。まさにポピュリズムの典型例で、従って都合が悪い真実を報道しようとする既存のメディアも敵となる。

 我が国においても「諸悪の根源は『財政均衡主義』を唱えて金を出さない財務省にある。そのせいでいつまで経っても日本の景気が回復しない」として、財務省前では「消費税廃止」「罪務省」などのプラカードを掲げた財務省解体デモが少しずつ拡大している。

 積極財政で経済を活性化しろ、原資は増税ではなく国債発行でこれを賄い、さらには減税に回せと唱える。これに反対している財務官僚はエリートだ。米国における「ディープステート」のようなものとして捉えられるのだろう。会計係の財布の紐が固いのは本来望ましいことだ。

 一部の政治家は票欲しさに財源の話は後回しにし、どんな形であれ減税を公約に入れたがる。前回の消費税増税があれほど強力だった第二次安倍晋三政権の下でも苦労したことを忘れているようだ。

 そして、国債をもっと発行して財政政策に使えばよいと主張する者もいる。これまでだって国債残高は増えているが、いつまで経ってもインフレは起こらないし、財政破綻もしないではないか。国内債務であれば自国紙幣さえ刷れば返済は可能だ、というような意見も聞かれる。

そして、その際になにかと引き合いに出されるのが高橋是清だ。戦前の昭和恐慌(世界恐慌)時に日銀による国債引き受けを始めて、積極財政を推進し、世界でもいち早く不況を脱したと

 SNSでは「こんな時に高橋是清が財務大臣であれば!」などという書き込みも見られる。実は高橋是清は知名度こそ高いのだが、内実はあまり知られていない。

積極財政政策で失敗も成功もした、高橋是清

 伝記作家の大家、小島直記は高橋が口述し秘書の上塚司が編纂した『高橋是清自伝』を福沢諭吉の『福翁自伝』と河上肇の『自叙伝』と並ぶ本邦最高の名作であると評している。高橋の人生は波瀾万丈、留学先の米国で奴隷になり、芸者の箱持ち(三味線担ぎ)になり、役人となって特許庁を創設しながら、ペルーの銀山投資で無一文。しかし、そこで終わらずに今度は日銀で非正規雇用から日銀副総裁へ、そして日露戦争では欧米の金融機関相手に交渉し日本公債の発行、すなわち日露戦争の戦費調達に成功する。

 だが、自伝はここで終わる。高橋はこの後も、日銀総裁、大蔵大臣、総理大臣、再びの合計7度にわたる大蔵大臣と波瀾万丈の人生を送るのだが、この部分は自伝になく、上塚司が随筆などをまとめた『随想録』や『経済論』に頼らざるを得なくなり、高橋発の資料はとても少ない。

 先述の小島直記はこうも言っている。「自伝信ずべからず、他伝信ずべからず」。『高橋是清自伝』が出版されたのは高橋の政治家時代。これは当たり前のことだが、自伝や随筆集のすべてが真実というわけではない。相当話が盛られているというのが実際だろう。

 ここで高橋是清の財政政策についてあまり知られていないことを2つ取り上げてみる。

 高橋の積極財政が行き過ぎてバブルを生み、そして崩壊させた第一次世界大戦末期の18年9月、寺内正毅首相が米騒動で退任した後、高橋は政友会原敬内閣の大蔵大臣になった。戦時中、欧州の参戦諸国は軍需品生産に傾斜、戦地から離れた日本は欧州に対する軍需物資や欧州の輸出先に対する民生品の輸出、海運などで巨額の外貨を稼いだ。それまでの日本は産業が未発達で輸入が多く、慢性的な外貨不足の上に日露戦争時の外債の返済に苦しんでいたので、第一次世界大戦は「大正の天佑」とも呼べる好況となった。

 そこで高橋は各方面からの制止にもかかわらず、金融緩和を続けて株式バブルを発生させてしまった。実態のない株式会社が多数起業された。その後、戦後の欧米諸国の復興もあり、20年2月には日本の株式市場は崩壊してしまう。

 下のグラフは米ダウ工業株価指数と日本の東洋経済株価指数の比較だ。米国はその後狂騒の20年代として大相場を迎えたが、日本はほとんど無反応だった。23年の関東大震災を挟み、その後の不況の原因には、高橋のやり過ぎた積極財政にも責任の一端があったのだ。

 高橋は新発国債の日銀引き受けを始めたが、日銀がすべてを保有したわけではない昭和恐慌時に高橋が歳入不足を補完するために国債の日銀引き受けを始めたのは事実だ。

 しかし、高橋は日銀が買い入れた国債の85%を再び市中(民間銀行団)に売却したので、実際には日銀が国債を抱え込んだわけではない。ましてやお札をどんどん刷ったという認識は間違っている

 当時、高橋の政策の相談に乗った日銀副総裁の深井英五はその回顧録にこう記している。「日本銀行国債引受発行の方法は著しき効果を挙げたが、高橋氏は当初より之を一時の便法と称していた。即ちこれを財政の常道とするのではなく(中略)臨機処置に過ぎないという意味である」

 高橋是清に倣って国債を発行して日銀に引き受けさせろというのは間違いだ。上の表は当時の国債発行額と日銀引受額、そして市中売却額、つまり市中の銀行団に売却した金額になる。

 「我が国に皇室のおわします限り、いくら紙幣(この場合国債も同じ)を増発してもインフレにならぬ」 元陸軍大佐で右翼の黒幕の小林順一郎はこう言って啓蒙活動をした。日露戦争後は外貨建て国債の返済に苦しんだ日本は「自国通貨建ての公債ならばデフォルトしない」という言説を生み出した。現代にもこうした言説はあるが、これはそもそも100年も昔の焼き直しだ。

終焉を迎えそうな低金利の時代

 今年5月28日に財務省が実施した40年債入札は、流通市場の金利上昇を反映して最高落札利回り3.135%と、40年債の入札が始まった2007年11月以降で最高となった。30年債の利回りが5%を超えた米国をはじめとして世界中で長期債の利回りが上昇している。この世界的な金利上昇懸念はトランプ政権の減税案に加えて、日本での消費減税を巡る議論など、ポピュリズム的政策が直接的に影響を及ぼしていると考えられる。

 また、MAGAに発する関税戦争は、世界的なインフレーションを惹起するだろう。長く続いた低金利の時代は終わってしまったのかもしれない。

 高橋が失敗しながらも積極財政の姿勢を貫いたのは、外貨不足に悩んだ時代に生きた高橋の根本に西洋に追いつき、日本の産業基盤を拡充して世界に製品を輸出できる体質にしたい」という願望があったからだ。今、高橋から何かを学ぶのであれば、国債を無造作に発行するのではなく、根本の問題、つまり金融や財政政策に偏らずに、国際競争力をいかにしてつけるかにある。


20年債入札が記録的不調、30年など超長期利回り最高-投資家不在鮮明

2025年05月23日 20時12分18秒 | 社会

20年債入札が記録的不調、30年など超長期利回り最高-投資家不在鮮明

2025年5月20日 ブルームバーグ 山中英典

 

金子勝@masaru_kaneko

【無責任社会の深刻】財源なしに消費減税しろというが、アベノミクスの失敗を認めないアホさなぜインフレが起きているか考えよ。実際、世界的な財政赤字懸念から超長期債の金利が上昇日本も40年債の金利が3.3%まで上がり、10年債の長期金利も1.57%までじわじわと上昇。

前田昌孝@market_maeda

5月23日現在の日銀の保有国債の時価は約545兆9600億円と、5月22日現在の約545兆4900億円に比べ、4800億円増加しました。含み損はその分減少して約31兆3700億円になりました。国債の保有状況が5

月20日時点から変わらないと仮定した場合の試算値です。(#マーケットエッセンシャル   主筆 #前田昌孝)

藤巻健史@fujimaki_takesi

日本の超長期債市場が崩壊しそうほど大変な状況になっており、10年債利回りも直近の金利水準まで上がりつつある。これはまさに日本経済に対しての警戒警報がガンガンになり始めているのに、政治もマスコミも全く聞こえていないようなまったり感である。米価高騰問題は重要な問題である。しかし近き将来、肉も野菜も電気代も住居費も住宅ローン金利も、全てが上昇し、銀行預金は紙屑みたいになるかもしれないよとの警戒警報を一顧だにせず減税等で状況をさらに悪化させようと言う日本人のメンタリティーはどうなっているのか?

 

財務省が20日に実施した20年利付国債入札は不調となり、超長期国債の利回りが軒並み急上昇した。日本銀行が巨額の国債買い入れを縮小する中、投資家不在への懸念が強まった格好だ。

  入札結果によると、投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.5倍と、2012年以来の低水準。大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は1円14銭と1987年以来の水準に拡大した。

  記録的な低需要を受けて28日の40年国債入札に対する警戒感が高まり、新発40年国債の利回りは3.6%と前日から15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、過去最高水準を更新。30年国債利回りも1999年の入札開始以来、過去最高となる3.14%を付けた。

軟調な入札結果を受けて国債利回りが急騰

  国債利回りの上昇は、日銀が国債の買い入れを縮小する中で代替投資家が依然不在という現状を浮き彫りにしている。大手生命保険会社など国内機関投資家は慎重姿勢を崩しておらず、積極購入に動く海外投資家の影響も限定的。流動性が乏しい超長期債は特に売り圧力にさらされやすく、米国の関税政策を巡る不透明感も手控え要因だ。日本国債の利回り上昇はドイツや米国など主要国と比べても際立っている。

  今は超長期債に「触りたくない」と話すのは農林中金全共連アセットマネジメントの長友竜馬シニアファンドマネジャーだ。供給過多に加え、財政拡張リスクもくすぶっており、「少なくとも参院選までは軟調な地合いが続くだろう」と予測。超長期債の地合い改善には「当局の対応しか考えられない」と言う。

  三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストも、財政拡張リスクや流動性の低下により30年債と40年債が売られ、地合いの悪さが超長期債の中でも比較的安定していた20年債に波及したと指摘。この日の入札は「想定していた以上に悲観的な結果だった」と話した。

  20年債入札は日銀が20日に銀行と証券会社、21日に機関投資家などの実務担当者との債券市場参加者会合を開催する中で、日本国債の投資家に対する市場の不安が高まっていることも示唆した。6月の金融政策決定会合で行う国債買い入れ減額計画の中間評価に向け、市場の動向や機能度を含めて点検し、計画修正の是非や来年4月以降の方針を議論する。

  今回の入札は、トランプ米政権の関税政策に端を発する超長期ゾーンを中心とした国債利回りの急上昇やボラティリティーが高まる状況で行われた。トレーダーらは米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが先週、米国の信用格付けを最上位から引き下げたことを受け、日本の国債や財政政策の議論にどのような影響を与えるか注視していた。

  みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、20年債入札が弱い結果となり、10年債や30年債への金利上昇圧力もかかると分析。こうなってくると、超長期債の需給懸念はさらに高まるだけであり、「国内投資家が買ってくれないというマインドは海外勢に伝染し、海外勢も超長期金利の上昇を止める主体にはなり得ない」と述べた。

 

日本国債支援を政府系機関に要請も、米債売り要因-バークレイズ

Yahoo news  2025/5/23(金) Bloomberg

 

(ブルームバーグ): 日本の国債市場で超長期債売りが収まらない場合、当局が政府関連機関に支援を求める可能性がある。バークレイズでリサーチ部門を率いるアジェイ・ラジャディアクシャ氏はこうみている。

同氏は電話インタビューで、日本郵政や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のような政府の影響力が強い機関が、国債を追加購入するよう非公式に指示され得ると話した。

これはラジャディアクシャ氏の基本シナリオではないという。思考実験の域を出ることはないかもしれないが、論理的にはこうしたシナリオが、日本国債の購入資金確保で米国債の売却を引き起こす可能性もある。

「仮にそうする必要があるとすれば、最も手っ取り早い方法は、日本郵政に『500億ドル(約7兆1900億円)分の期間が長めの債券を買う必要がある』というように伝えることだろう」と同氏は指摘。「そのために外国債を売る場合、日本の投資家が最も多く保有している外債であることから、米国債を売る公算が大きい」と述べた。

財務省が今週実施した20年国債入札は不調に終わり、超長期国債の利回りが急上昇した。日銀が国債の買い入れを縮小する中、生命保険会社のような伝統的な買い手は、その穴を埋められていない。

ラジャディアクシャ氏は、財務省が準政府機関の投資判断にこうした形で影響を与えるのは政治的に困難だと認めた。

それでも、日銀が政策会合以外で政策を変更する可能性が低い中、市場の動きを抑えるために当局が検討し得る選択肢だとの見方を示した。

原題:Japan Could Ask State-Owned Firms to Buy Bonds, Barclays Says(抜粋)

(c)2025 Bloomberg L.P.

Greg Ritchie


「私は低学歴を愛している」トランプがハーバード大を攻撃する真の理由 

2025年05月13日 13時29分41秒 | 社会

このままでは米国の産業は空っぽに…「私は低学歴を愛している」トランプがハーバード大を攻撃する真の理由

Yahoo news  2025/5/12(月)  プレジデントオンライン シェリーめぐみ  ジャーナリスト

 

2025年5月7日、ワシントンD.C.のホワイトハウスの大統領執務室で、デービッド・パーデュー元上院議員の駐中国大使就任宣誓式を前にスピーチするドナルド・トランプ米大統領。 - 写真提供=Pool/ABACA/共同通信イメージズ

 

■凍結された助成金は3000億円超

 世界大学ランキングでトップ5の常連であるハーバード大学と、トランプ政権のバトルが激しさを増している。移民強制送還の波は大学にも及び、先日は日本人留学生のビザが剥奪される事態となった。このままいくとアメリカのエリート大学は世界的な信頼を失い、ランキング上位の座を失いかねない

 そこまでのリスクを冒してまで、政権はなぜ高等教育を攻撃するのか? そこには保守アメリカの悲願とも言える政策目標が隠されている。

 「トランプ政権が、ハーバード大学に対する22億ドル(約3150億円)の助成金を凍結した」

 これが報道された瞬間、世界に衝撃が走った。4月14日のことである。ここにトランプ対大学の大戦争の火蓋が切られた。

 ハーバード大学といえば、世界大学ランキングの上位に常に君臨。建国の父ジョン・アダムズからケネディ、オバマまで歴代の大統領を8人も輩出した超名門だ。

■私学の方針に政府が介入する異様さ

 アメリカの名門大学は単なる教育の場ではない。研究機関としてもあらゆる知が集結し、医学から経済、軍事から産業、思想・文化まで、アメリカという国のほぼすべてを支えていると言っていいほどのパワーを持つ。国家の知的インフラの中枢だからこそ助成金も莫大なのだ。そのお金を政府が凍結するなど聞いたことがないから、アメリカ人は本当に驚いた。

 第2次トランプ政権の大学への攻撃はハーバードが初めてではない。最初のターゲットは、筆者の住むニューヨークのコロンビア大学だ。600億円の助成金をカットすると通達され、返してほしければ政権の方針に従えと厳しい条件を突きつけられた。

 これも相当な衝撃だった。アメリカの、特に私学の方針に政府が口を出すことはまずない。多くの大学が「アカデミック・フリーダム(学問の自由)」を最も重視しているからだ。助成金は貰っても、独立性を守るために各大学が自らの基金を持ち、自律的な運営を行っている。この「独立性」こそが自由なイノベーションを産む「知のグローバル・ハブ」としての原動力になる。

■コロンビア大学が屈した“無茶ぶり”

 コロンビア大学に対する要求のひとつは、ガザ紛争をめぐるキャンパス内での抗議行動の取り締まり強化。キャンパスが昨年、親パレスチナ運動の最大の拠点となったことで、政権は「反ユダヤの動きを許している」と大学を強く非難した。

 加えて、政権の多様性政策の廃止に伴い、入試や職員の採用方法の見直しを求めた。さらに中東・南アジア・アフリカに関する研究内容には外部の監査を受けるよう、政府によるコントロールを要求した。この無茶ぶりとも言える条件は、明らかに教育の自由の侵害、憲法違反である。

 ところが、コロンビアは学生や教職員の安全を守るためとして、この要求に応じてしまった。これに気を良くしたのか、政権は全米の60以上の大学に対しても、同じような攻撃を仕掛けた。

■ハーバード大はトランプ政権を提訴

 ハーバード大学にも似たような条件が提示されている。親パレスチナ運動の取り締まり、入試や採用における人種、国籍に基づく優遇措置の中止や、多様性プログラムの閉鎖を求めた。また「反ユダヤ主義を含め、アメリカの価値観や制度の敵と見なされる」留学生を入学させないようにする。まさに教育内容から校風・文化まで、あらゆる面で政府方針に従うよう求めた。

 しかし、アラン・ガーバー学長が「私立大学が何を教え、誰を入学させ、雇用し、どのような研究をすべきかを、政府が指図すべきではない」と要求を突っぱねると、政権は前代未聞の総攻撃に出る。助成金打ち切りに加え、非営利団体としての税控除を大学から剥奪、そして、海外からの留学生の受け入れを止めるという脅しに出たのだ。

 ハーバードは「大学はその独立性を放棄することも、憲法上の権利を放棄することもない」と徹底的に戦う構えを見せ、政権を提訴している。

 ハーバードの強い態度は、他の大学にも勇気を与えた。主要私立大を含む約10校が結束し、連邦政府に反対するグループも組織された。しかし、大学側の立場は決して強くない。突出した莫大な自己基金を持つハーバードは例外で、他の大学にとって助成金を失うのは大きなダメージになる。

 ただし少し考えれば、これが国家にとっても大きな損害だということもわかる。助成金が減れば、あらゆる産業の基礎となる研究は間違いなく弱体化する。こうした大学ではすでに研究費が削られ、がんや感染症などの研究に支障をきたしている。このままでは近い将来、国としての競争力低下は避けられない。

 そんなリスクを負ってまで、トランプ大統領はなぜこのような総攻撃を仕掛けているのか? それは、「文化戦争に勝つこと」が政権にとって何よりも重要だからだ

■保守ブルーカラーvs.リベラルエリートの構図

 政権が大学を攻撃する最大の目的は、リベラル教育の解体だ。大学とはそもそも科学に立脚した場所。全米だけでなく世界中からの優秀な生徒を集め、多様な人種、文化を礎にイノベーションを生み出す。そのため、現政権が人間活動によって引き起こされる気候変動を虚偽とし、多様性政策の廃止を主張する姿勢とは、真っ向から対立する。

 またトランプ支持の岩盤層である白人ブルーカラー保守は、リベラルな大卒エリートに強い反感を持っている。「知識階級がアメリカを蝕んでいる」「大学は伝統的なアメリカ的価値観(キリスト教国家、家族の価値、白人中心主義)を傷つける存在」とも考えている。

 トランプ政権は伝統的なアメリカを取り戻すために、リベラルな大学に文化戦争を仕掛けている。その戦いに勝つために教育の自由、つまり将来のアメリカの産業を犠牲にしようとしていると言ってもいい。

 ちなみにトランプ支持の保守層が最も共感・賛同する政策は、移民の強制送還だ。政権はこの移民政策と大学への攻撃を、実に巧みに組み合わせている。

■無実の日本人学生もビザを剥奪された

 「日本人の学生がビザを剥奪された」 このニュースは私たち在米日本人には大きなショックだった。

 ユタ州の名門ブリガム・ヤング大学に留学中だった恩田すぐるさんの学生ビザが、前触れもなく突然無効になったのだ。

 学生のビザや永住権(グリーンカード)が突然剥奪されるニュースは、もう珍しくない。例えばコロンビア大学の大学院を卒業したばかりのマフムード・カリルさんは永住権を剥奪され、不法移民として拘束され収容所に送られた。その理由はキャンパス内で親パレスチナの抗議活動をしたから。パレスチナ人である彼は、母国を守りたい一心でイスラエルの攻撃に反対しただけだが、それが反ユダヤ主義とみなされた。同じように親パレスチナ運動に参加した学生の多くが、学生ビザを剥奪されている。

 ところが恩田さんは違う。彼は過去に仲間と釣りに行った際、所持している釣り免許の許容範囲以上の魚を持ち帰ってしまい告発されたが、のちに容疑は取り下げられた。つまり罪にも問われていないのにビザを剥奪されたことが、多くの留学生にショックを与えた。

 恩田さんはすぐに訴訟を起こし、ビザは回復した。しかし彼以外にも、ハーバード大など超一流校を含む大学で約1500人の学生ビザが無効にされたとみられている(これが大きく報道されると、政権は全員のビザ回復を発表した)。

 さらに問題は、今回影響を受けた者の多くが、中国人やインド人などの白人以外の留学生だったことだ。

■アメリカの基礎教育が崩れ始めている

 コロンビア大学ロースクールの移民権利クリニック所長、エローラ・ムカルジー氏はコメントで、「政権は、アメリカで歓迎されないのは誰かという明確なメッセージを送っている」「アメリカの移民政策は今、外国人嫌悪、白人ナショナリズム、人種差別主義に突き動かされているようだ」と強く批判している。

 このような状況下では、多くの人がアメリカに留学するのを躊躇するだろう。優秀な頭脳が入ってこないだけでなく、大学経営も厳しくなるのは否定できない。

 トランプ政権の教育への攻撃は大学や留学生にとどまらない。着々と進められる「教育省の廃止」だ。

 アメリカの教育省は日本の文科省とは少し違う。学校で教える内容の多くはそれぞれの州や地方の教育委員会に委ねられている。教育省としての主な役割は低所得者や人種的・ジェンダー的マイノリティ、障害者などが平等な教育を受けられるように、資金を提供することだ。

 トランプ大統領は、教育省が仕切るアメリカの公教育も、大学と同様マイノリティの権利保護に傾きすぎていると考えている。

 しかし連邦政府からの資金がなくなれば、特に財政困難な州では、マイノリティ以外のあらゆる低所得者層の子供も影響を受ける。基礎教育から格差が拡大し、その結果アメリカ全体の学力が低下するだろう。

■「低学歴の有権者を愛している」発言の真意

 ところがトランプ大統領はどうやら、それでもいいと考えているフシがある。その根拠となるのが、彼が2016年最初の選挙戦で行った驚きの発言だ。

 「私は低学歴の有権者を愛している」

 実際に昨年の大統領選でも、高卒以下の6割近くがトランプ氏に投票し、大卒以上の過半数はハリス氏を支持した。低学歴の人が多いほうが、自分には有利と考えるのは当然とも言える。

 リベラルな大学を攻撃し、公教育を支えてきた教育省を廃止しようとするトランプ大統領。しかし一方では、キリスト教系の私立学校には優遇措置をとろうとしている。その背景には、アメリカ保守が長年温めてきた悲願がある。

 極右のシンクタンク・ヘリテージ財団が、第2次トランプ政権の青写真として作成した文書「プロジェクト2025」には「アメリカはキリスト教国家として再定義されるべき」と明記されている。その実現のために、「選ばれた教育機関」だけを強化する、つまり教育を選別し、排他する意図があると考えられている。

 国家としての知的基盤を縮小し、批判的思考を持たない市民をつくる一方で、高等教育では体制に忠実なエリートを育てる――この二重構造こそが現政権の目標ではないかという見方も強い。

■科学者の「アメリカ脱出」が始まった

 イエール大学でファシズムを研究するジェイソン・スタンリー教授はこう語る。

 「高等教育への攻撃は、ナチスドイツなど独裁者のマニュアルだ。1930年代にはドイツから多くの学者が流出した。イタリアでは教授らが政府の方針に従うと宣誓させられた。同じようなことが、今アメリカで起きている」

 自由な言論の場である大学を攻撃するのは、政府批判を抑え、歴史を書き換え、科学を否定し、愛国心を煽(あお)る教育に変えるための、ファシズムの手法だというのだ。

 実はこのスタンリー教授を含む、イエール大学の著名な3人の教授がアメリカを離れ、夏からカナダの大学で教えることを表明し、波紋を呼んでいる。これに追随する者も増えると予想される。ネイチャー誌が科学者1600人超を対象に行った世論調査によると、4人のうち3人がアメリカを離れることを検討しているという。

 世界の大学ランキングの中でも著名なひとつ「タイムズ世界大学ランキング」にはアメリカから2位のMIT(マサチューセッツ工科大学)と3位のハーバード大学、4位のプリンストン大学など、3校がトップ5入りしている。

 このランキング評価基準の中で、「教員や学生の国際性」「研究の環境や質」「産業界との連携」などは重要だ。助成金カットで研究費が削減されれば、当然研究の数も減り質も下がる。留学生が減り、多様な教授陣が出て行ってしまえば国際性も下がる。

■世界大学ランキングからアメリカが消える?

 そして「大学のブランド力」に直結するのが、「産業界との連携」だ。MITやハーバードの評価が高いのは、卒業生が世界的企業やスタートアップ業界で活躍しているからだ。しかし教育の質が低下すれば、この連携も難しくなるだろう。

 一方で若者の大学への期待も下がっている。近い将来AIが大卒の職種の多くに取って代わると予測される今、高額の授業料を払って通う意味はどこにあるのか? という疑問が生まれ、むしろ「手に職」がつけられる専門学校のほうがいいという考え方も高まっている。

 こうした中で、世界ランキングにおけるアメリカの大学の地位は、すでに下降傾向にある。第1次トランプ政権が行った学生ビザや技術系就労ビザの制限などが、大きく影響しているのだ。バイデン政権の努力も虚しく、この傾向は変わっていない。

 これまでのアメリカの大学の高い評価は、開かれた社会と多様性によって支えられてきた。しかしこのままいけば「知のグローバル・ハブ」はヨーロッパやアジアに移るだろう。その結果、中長期的にアメリカの衰退を招くことになる。

 現政権が、文化戦争に勝つために教育を犠牲にする姿勢を貫くなら、アメリカの大学がトップ5から脱落する日も近いかもしれない。

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シェリー めぐみ ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。アメリカのダイバーシティ事情を伝える講演を通じ、日本における課題についても発信している。