<認知科学と人間工学の領域>
◆認知科学
296:【人間工学と認知科学】第96発
こんにちは!
デザインコンサルタントの木全(キマタ)です。一般の方に向けて工業デザインのエッセンスについて書いたり、デザイナーとの付合い方などについて書いています。御相談がありましたら、コメントをくださいね。コメントによるご質問には基本的に無料でお答えいたします。
木全の自己紹介
★デザインセミナー講師も承ります。「講演.com」
★横浜市「無料デザイン相談」 ※横浜市に事業所のある方限定。
★墨田区「無料商工業アドバイザー派遣」 ※墨田区に事業所のある方限定。
■人間工学と認知科学の違い
戦争から生まれた人間工学の法則は、航空機の操縦や自動車の運転や生産機械の操作など、操作を間違うと人命に関わるような緊急時に対応するための法則です。
パソコンやテレビなど日常の生活や楽しみのために使う商品に求められる使用性とは目的が違います。そのような日常の商品の使いやすさを研究したのが認知科学です。
つまり、人間工学において、基本的に多機能と使用性の二律背反は発生しません。
自動車の運転席周りにはハンドル、アクセル、ブレーキをはじめ、ワイパーやウインカーや空調やオーディオなど、一〇〇個以上の操作スイッチがありますが、ほとんどの機能を運転しながら、イライラすることなく誰もが使いこなせます。
それは、自動車の運転という厳しい状況の中で、人は機械的に対応しているからです。
車の運転に一〇〇個の操作スイッチは必要であり、それをいつどのように使うか人間工学によって研究し尽くされています。
そのように人間工学は緊急時に大変有効ですが、認知科学は人間工学よりも適応範囲が広くなっています。
認知科学は、原子力発電所の操作のような人命に関わる場面でも有効ですが、家電製品の操作など、日常生活で使う商品を、誤操作なく「気持ちよく」「楽しく」使いこなすための研究だということができます。
■そのドアは押して開けるのか引いて開けるのか
電子レンジやビデオやファックスやデジタルカメラは多機能で便利になりましたが、それら身の回りのすべての商品のすべての機能を使いこなしている人はほとんどいないでしょう。
商品の使いやすさは、その人の能力や趣味や経験により変化してしまいます。
たとえば、単純な扉ですら、押して開くのか引いて開くのかわからない場合もあります。
一九八八年にドナルド・A・ノーマンが著した「誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論」は工業デザイナー必読の書で、豊富な事例を紹介しながら、認知科学と商品デザインの関係をわかりやすく書いています。
その本の中でノーマンは、「行為の七段階理論」として、商品に対して何かの機能をさせたいと思うとき、人は頭の中で、次のような七段階の作業をしているとしています。
■行為の七段階理論
一、どんな効果を得たいのか(外に出たい)
二、その商品に求める機能がついているのか(どこがドアなのか?)
三、どのような手順で操作を行えばいいのか(このドアはどう開けるのか?)
四、実際に操作を実行してみる(ノブを回して押したり、引いたりしてみる)
五、操作後の状況の知覚(ノブを右に回して引いたらドアが開いた)
六、操作前と操作後の状況変化の解釈(閉じていたドアが開いた)
七、求めた効果が得られたかの結果評価(ドアを通って外に出ることができた)
そして、その七段階に対して、製品が対応できるのは、次の三段階です。
三、どのような手順で操作を行えばいいのか(このドアはどう開けるのか?)
四、実際に操作を実行してみる(ノブを回して押したり、引いたりしてみる)
五、操作後の状況の知覚(ノブを右に回して引いたらドアが開いた)
この三段階で、人が誤操作なく商品を取り扱うためには、商品は次の四つの原則を守っていなければならないとしています。
■使いやすさの四つの原則
一.可視性
二.メンタルモデル
三.対応付け
四.フィードバック
★デザインセミナー講師も承ります。「講演.com」
新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」(第4版)好評発売中
「売れる商品デザインの法則」(第2版)好評発売中
★新書「中小企業のデザイン戦略 」(PHPビジネス新書) 販売開始
■ビートップ・ツー 工業デザイナーの転職アドバイザー
■グローバルテクノロジーデザイン クリエーター・エンジニアの転職アドバイザー
■MATSUKATU dot com 元工業デザイナー松岡克政さんのマインドマップ基礎講座
◆認知科学
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■人間工学と認知科学の違い
戦争から生まれた人間工学の法則は、航空機の操縦や自動車の運転や生産機械の操作など、操作を間違うと人命に関わるような緊急時に対応するための法則です。
パソコンやテレビなど日常の生活や楽しみのために使う商品に求められる使用性とは目的が違います。そのような日常の商品の使いやすさを研究したのが認知科学です。
つまり、人間工学において、基本的に多機能と使用性の二律背反は発生しません。
自動車の運転席周りにはハンドル、アクセル、ブレーキをはじめ、ワイパーやウインカーや空調やオーディオなど、一〇〇個以上の操作スイッチがありますが、ほとんどの機能を運転しながら、イライラすることなく誰もが使いこなせます。
それは、自動車の運転という厳しい状況の中で、人は機械的に対応しているからです。
車の運転に一〇〇個の操作スイッチは必要であり、それをいつどのように使うか人間工学によって研究し尽くされています。
そのように人間工学は緊急時に大変有効ですが、認知科学は人間工学よりも適応範囲が広くなっています。
認知科学は、原子力発電所の操作のような人命に関わる場面でも有効ですが、家電製品の操作など、日常生活で使う商品を、誤操作なく「気持ちよく」「楽しく」使いこなすための研究だということができます。
■そのドアは押して開けるのか引いて開けるのか
電子レンジやビデオやファックスやデジタルカメラは多機能で便利になりましたが、それら身の回りのすべての商品のすべての機能を使いこなしている人はほとんどいないでしょう。
商品の使いやすさは、その人の能力や趣味や経験により変化してしまいます。
たとえば、単純な扉ですら、押して開くのか引いて開くのかわからない場合もあります。
一九八八年にドナルド・A・ノーマンが著した「誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論」は工業デザイナー必読の書で、豊富な事例を紹介しながら、認知科学と商品デザインの関係をわかりやすく書いています。
その本の中でノーマンは、「行為の七段階理論」として、商品に対して何かの機能をさせたいと思うとき、人は頭の中で、次のような七段階の作業をしているとしています。
■行為の七段階理論
一、どんな効果を得たいのか(外に出たい)
二、その商品に求める機能がついているのか(どこがドアなのか?)
三、どのような手順で操作を行えばいいのか(このドアはどう開けるのか?)
四、実際に操作を実行してみる(ノブを回して押したり、引いたりしてみる)
五、操作後の状況の知覚(ノブを右に回して引いたらドアが開いた)
六、操作前と操作後の状況変化の解釈(閉じていたドアが開いた)
七、求めた効果が得られたかの結果評価(ドアを通って外に出ることができた)
そして、その七段階に対して、製品が対応できるのは、次の三段階です。
三、どのような手順で操作を行えばいいのか(このドアはどう開けるのか?)
四、実際に操作を実行してみる(ノブを回して押したり、引いたりしてみる)
五、操作後の状況の知覚(ノブを右に回して引いたらドアが開いた)
この三段階で、人が誤操作なく商品を取り扱うためには、商品は次の四つの原則を守っていなければならないとしています。
■使いやすさの四つの原則
一.可視性
二.メンタルモデル
三.対応付け
四.フィードバック
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