クリエイティブビジネス論!~焼け跡に光を灯そう~

元コピーライター・境 治が、焼け跡になりつつあるこの国のクリエイティブ業界で、新たな理念を模索するブログなのだ!

とにかく大変なことになってきた!~iPadから見えるコンテンツの未来・その25~

2010-07-01 08:00:00 | iPadから見えるコンテンツの未来
ああ、しまった。7月になってしまった。いや別にしまったってこともないのだけど。ただ、このブログでiPadについて書きはじめた6月、初めて2日続けて更新を怠ってしまった、すみません。

謝ることもないか。そもそも、こんなに毎日書くブログではなかったからね。ただ、iPadについて書きはじめて、とくに「その2・電子雑誌はPDFじゃダメなんだよ!」の記事が(どうやら)噂を呼んだらしく、日々読んでくれる人がすんげえ増えた。そうすると、2日休むと”すみません”な気持ちになってしまう。仕事じゃないんだから謝る必要もないはずだけど、でもすみません、読んでくれてるあなた。

今週はテレビについて書く、と宣言して2回書いたけど、やはり展望なく書きはじめるのはよくないね。テレビがどうなるかはますますわからなくなっちゃった。ただ、テレビの今後は、iPadを通して捉えるとうっすら見えてくるぞ、ということだけは確信が持てた。

さて一方で、ますますわからなくなってきたのはiPadコンテンツだ。PDFの電子雑誌を批判的に書いたのは、相当胸を張って言えることだったつもりだけど、いまはホントにわかんない。何しろ、iPad発売以来のこの一カ月で、毎日ほんとうに目まぐるしいニュースが飛び込んでくるのだ。

そこでちょっと、"何がわからなくなってるか”を整理してみようと思う。

まずわからなくなってきたのが、電子書籍だ。iPad上陸前はみなさんこぞって消極的だった。黒船の上陸許してなるものか、といったムードだった、ように見えた。でもいざ黒船を目にすると、みなさん攘夷派から開国派にイッキに転じたかのようだ。iPad上はもちろん、iPhone上も含めて、次々に電子書籍が登場している。

この問題は前に書いた「その19・プラットフォーマーは他人に任せろ!」の記事と重複してしまうのだけど、どこに何を売っているか、何をどこで買ってどの本棚に入っているのか、どんどんわからなくなる。

それから、どの"売場"も、書籍の購入は自分ちのECサイトでやらせようとするので、買い方がややこしい。ややこしいのでその時点でいわゆるコンバージョンが下がる。簡単に言えば途中でイヤになる。あるいは、選び方もややこしい。"俺が読みたい本を教えてほしい”状態になる。

それから選ぶ時のサイトのデザインも”なんだかな~”という気分になるところが多い。"ドンキホーテ"みたいな売場が多いんだ。ドンキホーテをけなしてるんじゃないよ。あそこはわざと乱雑なムードを演出して"安い買い物"をする場所を表現しているのだから。ところがそんな意図なしにわさわさした売場になっちゃってると、お金を払う気持ちが失せるんだ。そんな中で、せっかくiTunesStoreのID持ってるのにあらためてメール登録しろだのパスワードどうするよとか聞かれると、もうおまえんちでは買わないよ、という気分になってしまう。

そういう"売場の気分"をちゃんと考えないと、せっかくジョブズが整えたコンテンツ市場が意味なくなっちゃうからね。気をつけようね。

わさわさした売場に置かれるくらいなら、単独のアプリで勝負するよ、という意気込みがあってもいい。でもこれもね、どんどんアプリを購入していくと、またもやどこに何置いたっけという問題が出てくる。

雑誌アプリなんか毎号毎号アイコンが増えていってもたまらんなあと思っていたら、WIREDがアップデートされていて、これまでは雑誌のその号単独のアプリだったのが、WIRED売場になっていた。アプリを起動すると前に買った号をそのまま読むか、新しい号を3.99ドルで買い足すか、という画面が出てくる。ああ、こういうやり方もあるのね。

これが通用するのも、WIREDという強いブランドがあるからだろう。そう、iPadのコンテンツ市場では、それぞれのコンテンツの"ブランド力"が問われはじめるのだ。そういうテーマもiPadは投げかけてくる。投げかけてくるだけで、答えはiPadが教えてはくれないし、そもそも答えを知らないのだから、自分たちで試行錯誤するしかないわけ。

ブランド力が問われる、と言ってしまうと、じゃあ既存の有名メディアや有名作家しかダメなわけ?となるけど、そういうわけでもない。ブランド力がないコンテンツでもどどーんとそれを獲得するかもしれない場所でもあったりする。何しろ既存の流通網なんて丸きりない世界だから、突然ある領域で”すばらしい!”と評価される可能性もあるわけでね。

そうやって見ていくと、iPadは壮大なマーケティングの実験場なのかもしれない。しかもそこでは、20世紀に培われたマスマーケティングは通用しない。この業界の流通形態はこうで有力な事業者はこうだから、というのもない。ここではテレビスポットを3000GRP打ちましょうとかないし、イオンも高島屋も関係ないってこと。

そんなわけわかんない世界が、しかも今後数年間確実に成長市場になっていく。すげえ!

身じろぎするか、心躍らせるか、どっちにする?あ、そうだね、あなたの答えは決まってるよね!それでオウケイ!

ってことで、7月もぐいぐい書いていくので、よろしくですよ!(でも、ちょっとペース落ちるかも、すんません)


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4 コメント

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アプリ内課金 (higekuma3)
2010-07-01 12:30:42
アプリ内で課金するという手法で、
定期購読になるんですよ。

Evernoteも、年会費と月会費と2種類
あって、年会費のほうが少し安い。

これって、日経とかが、雑誌の定期購読でやってた手法であって。笑

この定期購読の人を、どれだけ集めるかということなので、
角川書店さんは、ただ見させてるんだと思いますよ。

いつまでも、ただ提供するわけないじゃないですか?

しかも、そんな気に入った人は
どんな人かは、twitterアカウントやってれば、ダイレクトに、把握できるし。

サーバーといろんなオペレーションをやりとりするアプリに仕上がっていれば、
行動パターンまで、見れる。

こんなにデータマイニングが、できあがってしまうしくみなんて、いままで
なかったのにね。
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定期購読 (sakaiosamu)
2010-07-01 13:32:11
アメリカでは雑誌は定期購読して郵送で届くのがメインらしいので、自然な感覚なんでしょうね。

電子配信のメリットは印刷コストがどうのとは別に、定期購読者をつかまえて、でもってソーシャルなどで”つながりあいやすい”ことなのかも、

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あー(笑) (punipuki)
2010-07-01 13:41:17
同じく、アイコンが多すぎて、
なにが何だかになってきてます、、、。
これはどうにかしないといけないんだろなー
、、、と思いつつ、闇市的ワクワク感をたのしんでいたら
何かが動きそうな今日この頃になってきました(笑)
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定期購読者が、メディアになる時代 (higekuma3)
2010-07-01 18:49:41
こんなところ(ってなんだよ!)にアイデアを書くのもなんですが。

定期購読者が、iPad仲間に、本の一部を
投げられると、
その人は、その本のビューワー、または、本棚を、ダウンロードすることになります。

これって、店が、iPad仲間に、入り口作るということなのです。

ネットアフィリエート会社のしくみなんか、いらないでしょ?

ちぎって送られた人が、定期購読始めたら、iPad上に店を作り上げてくれた人に、あとひと月購読分、上げてもいいくらいでしょ?

ねずみ講のように、いもずる式には、展開されないけど。

ちぎってなげるシステムって、あとで
もどってきますよね。
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