Humdrum++

ツリオヤジのキドニーケアな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

COVID-19 闘病記 (後編)

2023-09-14 12:26:29 | 日々の雑感

今回罹ったウィルスはオミクロン株で、おそらくXBBという高級ボールベアリングのような名前ですかね。別名がグリフォンです。グリフォンは上の写真のような怪物。こちらのアルバムは1973年リリース、中世イングランドの雰囲気満載の管楽器アンサンブルが特徴的なロックです。

【7日め】 ついに救急搬送、、、

7日めになっても相変わらず熱は39度を超えてます。コロナウィルスの重症化について調べれば調べるほど恐ろしくなりました。もし重症化したらもう人工透析は逃れられないのでないだろうか、どうにかして重症化、いや、血栓ができる前にその兆候を見つけられないだろうか、、と思って購入したのがこちら。

(大山のぶ代の声で)パルスオキシメーター。

サチュレーション(酸素飽和度)をチェックすることによって、肺に血栓ができたりして負荷が掛かっていたらわかるだろう。これで安心だ、きっと安心だ。

しかし、このパルスオキシメーターの導入がこの後の騒動に繋がります。

昼からは1~2時間おきに体温とサチュレーションを計ります。アセトアミノフェンは飲んでいるのだけど、注意書きに従って300mgずつなので、解熱効果は落ちる感じ。そんなこんなで、晩御飯を食べて、状況が変わったのは20時頃。

熱が急に上がって40度になりました。発熱後144時間が経って、初めての40度越え。
それと同時にサチュレーションが低下、91-93の間をいったりきたり。

これはマジでビビりました。ヤバい。

ここはもう行政に頼ろう、と決断。
横浜市では、緊急時の相談や医療機関紹介に乗ってくれるコールセンター(通称:#7119)があります。電話するとオペレータの女性からいくつかの質問されます。しびれはありますか、まっすぐ歩けますかとか。こちらも病状を簡単に説明するのだけど、ポイントは4つ。すでにコロナ陽性判定を医療機関で受けたこと、発熱144時間後に初めて40度に達したこと、サチュレーションが75-76から71-73に低下したこと、重症化リスクの高いCKDであること。説明を終えると向こうの答えは、「救急車呼んで病院いってください。この電話を救急に転送しますがよろしいですか」というもの。そして電話を救急へ転送、しゃべるのしんどいのでばあさんに代わってもらって住所などを説明してもらう。

救急車がくるまでしばらく時間がかかるということで、歯を磨いて、保険証等と着替えを用意して待機します。最悪の場合もうこの部屋に戻れないことも覚悟してブラウザのうふふな閲覧履歴を消して家族へ性癖を隠すことも忘れずに。

救急車のサイレンが聞こえたので下りていくと階下で救急隊員とばったり。
「本人ですか?」「はい」
「歩けるんですか?」「(見りゃわかるだろ...) はい...」
「歩けるのに救急車呼んだんですか?」「はい、呼べと言われたので、、」
なんか微妙な雰囲気なんですが、立ち話もなんなので、とりあえず救急車の中へ。

かくかくしかじかで、コールセンターとのやりとりを話して、熱を計ってサチュレーション計って血圧計ると、熱と血圧は高いもののサチレーションは正常値に戻ってた。「寝たきりから運動したせいですかね?」と聞くと「わかりません」と救急隊員。まあ、医者ではないからわからないよね。
その後、めまいはとか手足のしびれとか、コールセンターと同じことを聞かれてから、「これから病院探しますが、どこもコロナの病床はいっぱいなので入院はできません。診察だけで帰ってもらいますがよろしいですか?」と聞いてきた。そんなの病院に聞く前からわかるのか?と疑問に思ったけど、まあ、自力で歩ける患者を入院させるほどの余裕はないよね。サチュレーションが安定しているので、本音はもうここで家に戻りたいのだけど、そんなことを言い出せる雰囲気では無し、入院できなくても良いです、と答えます。

救急隊員の人が、最寄りの港南台の病院に電話。ずいぶんとへりくだった態度で、救急と病院の関係が想像できます。コールセンターの話から始まり長々と病状説明し、「患者さんは入院する気はなくて、受診だけで帰るとおっしゃってます」とも伝える。やっぱり入院不要の意思は交渉材料で使うのね。10分以上も交渉したでしょうか、「主治医のいる市大病院に聞いてみて、ダメならまた連絡もらえますか」というのが病院の答え。なんだよそれ、死にそうな状況だったら怒るぞ。まあ、自力で歩けるコロナ患者は、病院側としても面倒なんだろうな、、、

しかし、救急ももっと強気に出ればいいのに。「つべこべ言ってると火事が起きてももう消してやらないぞ!、消防署なめんなよ」と一喝すればいいのに、と思うけど、公務員が民間にそんなこといっちゃまずいよね、消防が炎上しちゃうよな、( ̄∇ ̄;)ハッハッハ、と、熱に冒された頭でしょうもないことを考えているうちに、次の病院との交渉が始まっています。

また最初から、コールセンターの話から延々と説明するので、またもや時間が掛かる。もう喉が渇くし、家に帰ってベッドに寝たい。と思いながら待ってると、「病院の方から、緊急の患者さんが入った場合には長い時間待たされることもあると言っているのだけど、それでもいいですか?」と聞かれた。「(もうどうでも)いいです、、」と答えて、やっと搬送先決定。

今思えば、この最後の質問は、患者側から「それならもういいです、家に帰ります」という言質を取るための手段だったようにも思います。救急側から「自力で歩けるなら家で寝てろ」とは言えないのは当然のことなので、患者側から言わせたかったのかもしれない。しかし、熱でボケっとした頭では、そこまで読めなかったし、帰りますと言い出せる雰囲気とも思えなかった。

ここでやっと救急車が発進。着いてから30分くらいに感じた。
生まれて初めて乗った救急車だけど、印象はひとつ、乗り心地が悪い。重い機器を積んでいるせいか、サスを固くセッティングしているのでしょう、路面のゴツゴツをもろに拾う感じです。おまけにベッドが固くて滑るんで、しがみついでいるだけで疲れる。安部公房のカンガルーノートを思い出しました。やっと病院についたら隊員の人が、「すみません、ベルト締めるの忘れてました。大丈夫ですか?」と聞いてきた。罰ゲームかよ?

さて、馴染みの市大病院も、夜中にくると全然違う場所に見えます。
救急棟に通され、しばらく待つのだろうなと覚悟してたのですが、すんなりと医師に診てもらえました。若い医師で、インターンでしょうか。先輩医師や看護婦からたまに指示を受けながら診察をしています。問診がえらく丁寧で、発熱、検査日、既往症、服薬状況などの質問の後、聴診、触診、扁桃腺の張れ具合など、ひとつひとつみてくれます。この時点では、熱は39度、サチレーションは96前後、血圧150-110と悪いながらも安定してます。熱が続いているので喉が渇いてしょうがないのが苦しいところ。最後に肺のレントゲンを撮って、肺炎の兆候がないことを確認し、約40分ほどの診察は終わりました。コロナによる風邪の諸症状(発熱、咳、頭痛)は見られるけど、肺に影もなくサチュレーション低下は不再現、現在は数値安定しているので、このまま様子見で良いでしょうとの診断。解熱剤はおなじみカロナールを多めの5日分処方してくれて、なお熱が下がらないならばまた受診してくれ、とのこと。2日めの発熱外来とは対照的に誠実な医師だったので、わざわざ来て良かったと思いました。薬ももらうのは明日だなと思ってたのですが、深夜でも病院内で薬を出してくれるんですね、さすが大学病院。

タクシーで帰宅し、さっそくカロナールを飲んで、長い一日が終わりました。

【8日め】 この日がどん底

薬が効いてよく眠れはしたものの、朝になっても熱は38.5度。咳は相変わらずで喉が痛いし、頭痛はガンガンやってくるし、さらに持病の耳管狭窄症まで頻繁に起きるようになって不快この上ない一日です。

さらに、これまで唯一の取柄だった、食欲までが無くなってきました。味覚障害は無いのだけど、あまりご飯食べたくない。おまけに下痢気味にまでなってきた、回復の要素がひとつもない、最悪の状況ですよ。ただ、サチュレーションだけはまめに計っているのだけど、一時的に93まで落ちることは合っても、コンスタントに数値を下げることはありませんでした、夕べ下がったのは何だったのだろうか?

食欲が落ちて下痢気味なので、栄養補給としてラムネを水で流し混みます。
ブドウ糖は細胞の呼吸を司るエネルギー源、それをダイレクトに摂取するので消化器官が弱っててもだいじょうぶ。

オデコには氷嚢としてハンドタオルを凍らして当てていたのですが、それもジェルシートに交換。こちらの方が滑り落ちなくて便利。ただし冷却力は落ちるかな?

熱が続く中、三島由紀夫「暁の寺」の、本多繁邦が戦時中に唯識論から輪廻転生を思索するる箇所(豊饒の海の中で最も難読な箇所かと思う)を読み直すことを睡眠導入剤がわりにして眠る、の繰り返しでした。

この日の17時で、発熱後168時間が経過、まる一週間経っても熱が続きます。カロナールも一日3回、12時、18時、0時に定期的に飲むようになりましたが、薬が効いている時間は38度前後、効いてない時間帯は39度前後という状況。

【9日め】 やっと熱が下がった

なかなか寝付けない夜でしたが、朝6 時に起きるとシャツが汗で濡れていて、熱っぽさが引いている。熱を測ると、久しぶりの37.5度。カロナールは切れている時間帯なので、ここで熱が下がったのは良い兆候だ。発熱後、実に180時間が経過したときでした。

カロナールは38度以上熱が出ないと飲まない、と決めているのですが、ここは細胞の免疫機能がウィルスに最後の攻撃をかけている最中だなと判断。クリミア半島奪回のような、最終ゴールに近づいているのでしょう。7:00にダメ押しカロナール援護弾発射。安静にして推移を見守ります。

うとうとして眠りに落ちて、気が付くと12:00。体温は36.8度。やっと36度台に戻った、、、

マイドータからLINEがきていて、「近くの呼吸器科の発熱外来に聞いてみたのだが、そこまで発熱が長引くなら細かい検査した方が良いかもしれぬ、来るなら予約できるが」とのこと。心配して、医者に相談してくれたようです。ありがたいけど、タイミングが悪くて、ちょうど熱が下がったところ、お礼をいってお断り。

熱が下がったのでカロナールは以後飲まず。咳は相変わらずでているけど、熱はその後は上がりませんでした。やれやれ。

【10日め】 咳も徐々に収まり、回復傾向

カロナールを飲まずに寝ても熱は上がらず、咳も徐々に収まってきて喉の痛みも徐々に薄れてきました。サチュレーションは97-98と上がってきたし、脈拍も正常。血圧も120-90とまあ普段通り。明らかな回復傾向でしょう。体重は3kg落ちました。

ただ、熱が下がってから、立ち眩みというか眩暈というか、歩くとフラフラしてました。ネットで調べると、これもコロナの後遺症としてよくみられるようです。ベッドで寝てる中心の生活から、なるべく歩くようにすると、次第に眩暈も収まってきました。

夜にはほぼ通常モード。車が動くか心配だったので、エンジンかけにいったら元気に点火。どこかでリハビリがてら釣りに行ってみましょうか。

今回、「5類になったからただの風邪」などと言われているコロナですが、ただの風邪どころか、下手なインフルエンザよりも数倍の脅威ある疾患だということがわかりました。もちろん個人によって症状の軽重は違ってくると思いますが、あまりナメないようにした方がいいと思います。

結果論になりますが、これだけこじれるのを想像できたのであれば、初期の段階でラゲブリオやゾコーバの投薬を、怪しい薬だとか信用ならぬとか拒否せずに、受け入れるべきだったのかもしれません。横浜市では9月1杯はこれらの抗ウィルス薬は公費負担で無料です。

最後に、私のコロナ感染はこのまま回復すると思いますが、心配なのは腎臓へのダメージです。コロナウィルスに限らず、発熱自体が腎臓に負担が掛かります。脱水症状をさけるべく、またなるべく体内の水分量が減らないように水を補給しながら養生していましたが、発熱を避けることはどうしようもなく、使える解熱剤も比較的腎臓に影響の少ないカロナールに限られました。次回の検診で、クレアチニンなどの数値にどれだけの影響があるか、非常に不安なところではあります。

にほんブログ村 シニア日記ブログ 60歳代へ60s

p.s. 釣りの後8時間も寝た。


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 主役はカンパチ?LT五目は魚... | トップ | 舞岡公園 [戸塚区] ~ リ... »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (OKOmputer)
2023-09-14 20:32:17
大変でしたね。
私も6月に罹患しましたが、味覚障害には難儀したものの命の危険を感じることはありませんでした。慣れたのと飽きたのとでコロナを嘗めてたら手痛いしっぺ返しを喰らったぐらいに思っていましたが、やはり未知の感染症というか、怖い病気ではありますね。無事に生還されて本当になによりです。
ところで、小紋フグとSカルマ氏の関連がいくら考えても分からず、喉に刺さった小骨のような違和感をずっと抱き続けています。野暮を承知でこっそりと教えて頂けますと幸いですm(_ _)m
返信する
OKComputerさんゑ (calm)
2023-09-15 04:16:56
いまのコロナは個人差もかなりあるようで、私から感染させてしまったと思われる、釣り業界の某パイセンは、私よりも後に発熱して先に解熱してました。味覚障害も伴っていたようで、同じコロナでもだいぶん症状が違うようです。

小紋フグとSカルマ氏は、確かに関連性が薄いです。違和感をもたれるのもごもっともで、わかりにくくてすみません^^;

コモン君は「デンドロカカリヤ」の主人公で、植物に変身します。Sカルマ氏はご存知かと思いますが、「壁」の中で名刺にその存在を奪われます。いずれもカフカ風の不条理な変身譚の主役だったので、結び付けてみました。
返信する
Unknown (ウチ●)
2023-09-15 04:26:38
復活おめでとうございます。
読んでいてヒヤリとしました。コロナまだまだナメちゃいかんですね。ご家族は大丈夫でしたか!?
当方も、第8波の際に一家で罹患しましたが、私が一番軽く、一週間寝たり起きたりしつつ料理番。お陰で積読山脈の一角切り崩しに成功しました。(難しいのはパスでしたが…)
返信する
ウチ●さんゑ (calm)
2023-09-15 04:47:38
ありがとうございます。発熱したのも久しぶりだったので、今回のコロナにはホントに参りました。

うちは老夫婦二人暮らしなんですが、ばあさんの方は時を同じくして同じような咳をして喉の痛みを訴えるも、発熱はせずに検査でもコロナ陰性でした。
返信する
Unknown (OKComputer)
2023-09-15 15:34:31
植物に返信したのはコモン君でしたか!カンガルーノートのくだりは膝からカイワレが生えそうなぐらいピンときましたが、コモン君の名は完璧に忘れていました。スッキリしていい夢見れそうです。ありがとうございました!
返信する
OKComputerさんゑ (calm)
2023-09-15 16:37:31
うぷぷ、膝からカイワレ(^^)
ここらへんのネタは、わかってくれる人が少ないだろうなー、、と思いながら書いているので、とても嬉しいです(^^)
返信する

コメントを投稿

日々の雑感」カテゴリの最新記事