駅前広場の時計の時針が、月を透かして23時を見る。
年が明けるまで、もう1時間もない。
「ちくしょう。最後まで面倒かけやがって」
息が切れてきた。足もほとんど動かない。
あいつの行きそうなところは大体探した。
探していない場所といえば、あそこだけ。
「いてくれよ」
雑踏に捨てられた空き缶と一緒に、雪が寄せられている。
歯を食いしばり足に鞭打つと、俺はそれを蹴散らし、走り。
そして、辿り着く。
小さな神社。
名前も縁も知らない。
わかっているのは、ここがあいつと会った最初の場所で、別れの場所ということだけだ。
“雪が積もっていませんね”
彼女の言葉が鼓動に重なり、浮かんでは消えていく。
「白兎」
「……慎也さん」
まるで、かくれんぼだ。
鬼に見つかってしまったように悔しげな表情を浮かべた白兎は、月を見上げる。
「皮肉ですね。来年は兎年だというのに、私は空へ戻らなければいけない」
赤い瞳を、濡れた睫を俺に向ける。
「あなたと……別れなければいけない」
「もう一緒にはいれないのか」
「ええ」
わかっていた。
だが、口が勝手に動いた。
白兎はあっけなく言う。それとは裏腹、口元が震えていた。
俺は雪の残照のような儚かさを見つめた。
いつまで見つめ合っていたか。このまま、世界が止まればいいのに。唱えれば願いの叶う魔法の呪文があれば、なんでも代えるだろう。
「あ……」
頬に垂れる涙の雫が光る。
「白」
村雲に隠れた月は、腕で拭う姿の彼女を消してしまうようで。
思わず抱き寄せた。
腕の中で震える体はひどく切なくて。自然と涙が溢れてきた。
「わたし、忘れません」
「俺もだ」
明くる年まで、あと数分。
白兎と別れるまで、あと数分。
「信也さん。最後にお願い聞いてくれますか」
こくりと頷く。
二人の影が重なる。
彼女の背伸びが彼の唇に届く時、月光が照らし出す。
世界は年を跨ぎ、人の運命は廻り続ける。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
来年は兎年ですね。
ということで、兎をモチーフに。
ヒロインを雪兎にしようかと思ったのですが、そうするとカードキャプターさくらのあのキャラのイメージがインサートしそうで。
もうすぐクリスマスですね。
ま、関係ないですけどね。
年が明けるまで、もう1時間もない。
「ちくしょう。最後まで面倒かけやがって」
息が切れてきた。足もほとんど動かない。
あいつの行きそうなところは大体探した。
探していない場所といえば、あそこだけ。
「いてくれよ」
雑踏に捨てられた空き缶と一緒に、雪が寄せられている。
歯を食いしばり足に鞭打つと、俺はそれを蹴散らし、走り。
そして、辿り着く。
小さな神社。
名前も縁も知らない。
わかっているのは、ここがあいつと会った最初の場所で、別れの場所ということだけだ。
“雪が積もっていませんね”
彼女の言葉が鼓動に重なり、浮かんでは消えていく。
「白兎」
「……慎也さん」
まるで、かくれんぼだ。
鬼に見つかってしまったように悔しげな表情を浮かべた白兎は、月を見上げる。
「皮肉ですね。来年は兎年だというのに、私は空へ戻らなければいけない」
赤い瞳を、濡れた睫を俺に向ける。
「あなたと……別れなければいけない」
「もう一緒にはいれないのか」
「ええ」
わかっていた。
だが、口が勝手に動いた。
白兎はあっけなく言う。それとは裏腹、口元が震えていた。
俺は雪の残照のような儚かさを見つめた。
いつまで見つめ合っていたか。このまま、世界が止まればいいのに。唱えれば願いの叶う魔法の呪文があれば、なんでも代えるだろう。
「あ……」
頬に垂れる涙の雫が光る。
「白」
村雲に隠れた月は、腕で拭う姿の彼女を消してしまうようで。
思わず抱き寄せた。
腕の中で震える体はひどく切なくて。自然と涙が溢れてきた。
「わたし、忘れません」
「俺もだ」
明くる年まで、あと数分。
白兎と別れるまで、あと数分。
「信也さん。最後にお願い聞いてくれますか」
こくりと頷く。
二人の影が重なる。
彼女の背伸びが彼の唇に届く時、月光が照らし出す。
世界は年を跨ぎ、人の運命は廻り続ける。
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来年は兎年ですね。
ということで、兎をモチーフに。
ヒロインを雪兎にしようかと思ったのですが、そうするとカードキャプターさくらのあのキャラのイメージがインサートしそうで。
もうすぐクリスマスですね。
ま、関係ないですけどね。
来年は兎年ということでブログのTOPイラストに月面兎兵器ミーナのキャラクターでも描こうかな?需要あるかな?
…時間ないけど。