泰西古典絵画紀行

オランダ絵画・古地図・天文学史の記事,旅行記等を紹介します.
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ドイツの旅(4)①中央東方~ゲーテ街道を抜けて

2010-05-12 02:04:15 | 旅行記
 ブログからご無沙汰して半年近くになっていましたが,家族の入退院で大晦日も呼ばれ,行きのタクシーの中で新年を迎えるといった状況でした.
 人生の終焉を迎える前に何が出来るか,辛さの軽減とともに何をさせてあげればよいか,自分がその立場ならあとに残す者に負担をかけないように考えなければ,自分が世の中に記憶されるに値するとすれば何を残すことによってか,などいろいろなことを考えてしまいました.幸福論を読み直したいこのごろの心境です.
 ストレスを紛らわせるためか,相変わらず衝動買いをしていますが,とうとう学芸員に新規収蔵の絵画2作品を見つかってしまった上,18世紀に制作された音楽を奏でる柱時計と天球儀をも買ってしまった事が発覚したため,肩身の狭い館長です.
 その埋め合わせもあって昨年末からドイツ旅行を企画していたのですが,その度に入院が重なってキャンセルが続き,今回もそうなると学芸員から三行半が出そうな雰囲気の中,無事行って帰ることが出来ました.

 今回の行程は,ピアノ大好き・バッハ大好きの学芸員のために,その足跡を辿る旅として企画し,各都市の主要16-17世紀ネーデルラント(オランダ・フランドル)絵画コレクションを写真に収めようと目論見,航空券・DB(ドイツ鉄道)のGerman Rail Pass(2nd class twin 7days:EUR364)・ホテルの手配とコンサートの演目や日程をチェックしましたが,BPOゲヴァントハウスゼンパーオーパーは日程が合わず,ベルリン国立歌劇場の「フィガロの結婚」のみ特等席のチケットがオンラインで入手できました.メールの添付ファイルなどで自分で印刷できるのは昨年のタリスの乗車券同様ですが隔世の感があります.最後にDBの時刻表をチェックして印刷すれば完了です.

 具体的にはANAとコードシェアのルフトハンザ便でフランクフルトに入り,当日アイゼナハの古城ホテルに宿泊,②翌日隣接したヴァルトブルク城の観光後,ルターハウス,バッハハウスを回り古楽器の演奏を聴き,ライプツィヒに夕刻移動して2泊し,③一日かけて同市を観光(聖トーマス教会とバッハ博物館,新ゲヴァントハウスで子供のためのコンサートを聞いてから,メンデルスゾーンハウス,グラッシ楽器博物館を回り,自由行動で市立造形美術館[古典絵画の展示]を見たあと,聖トーマス教会で偶然行われていた日本人指揮者と和声会コーラスの演奏会を鑑賞),④翌日はドレスデンへ周遊し6年前に修復中で見れなかったドレスデン城の宝物館「緑の丸天井」の鑑賞と再建されたフラウエン教会に行き,時間があればツヴィンガー宮殿の古典絵画館にも寄り,夕方戻ってからベルリンへ移動し3連泊,⑤翌日は学芸員のお買い物(Feilerのタオル)に付き合ってから,前回行くのを断念した文化フォーラムのベルリン国立絵画館で写真を取り捲ること,⑥二日目は少しのんびりしてポツダムを周遊し無憂宮の絵画ギャラリーを回り,夕方国立歌劇場でオペラをみてきました.
⑦最終日はもともとブラウンシュバイク市の州立アントンウルリッヒ公記念美術館を訪問するつもりで,ドレステデンも含めると今回の旅行でフェルメールが5点見れるはずでしたが,行程企画後に同館は2012年末まで閉館(版画室のみ開館)していることが判明したため,ハノーバァー市のニーダーザクセン州立博物館まで足を伸ばそうかと思っていましたが,二人ともかなり疲れていて,結局自由行動で昼までとしてベルリン絵画館に併設されている銅版画展示室と天球儀の展示を期待して工芸館に行ったのですが,大きな収穫は得られませんでした.昼過ぎに乗ったフランクフルト行きのICEは乗り換え無しで行けるためか大変込んでおり,ブラウンシュバイク経由だったのでここは涙を呑んで通り過ぎ,フランクフルトから夜のANA便で帰国しました.

ヴァルトブルク城

ベルリン国立絵画館のフェルメール2点・独り占め状態


2 コメント

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お久しぶりです (merion)
2010-05-21 08:45:45
おはようございます。
素晴らしいご旅行をされたようでなによりです。「ベルリン国立絵画館のフェルメール2点・独り占め状態」がもう、うらやましくて。
ご家族の入院等でお忙しくされていたのですね。また機会があればお会いしたいです。
話は変わりますが六本木のボストン美術館展にJacob Isaacksz. van Ruisdaelの作品が一枚きています。是非ごらんください。
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merionさま (toshi@館長)
2010-05-24 00:59:29
 お久しぶりです.本当にドイツの美術館は常設展が充実している割に,混んでいないので,ゆっくり作品を堪能できます.
 ただし,作品の前で30分その絵について語り合っている方もいるので,タイミングにもよりますが.
 ボストン展行きたいのですが,混んでいるようで時間との相談になりそうです.
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