goo blog サービス終了のお知らせ 

「生協だれでも9条ネットワーク」

日本国憲法と平和主義、民主主義を守る活動を進める生協関係者のネットワークのブログです

【情報】行政へのパブリックコメントに初挑戦したが・・・「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」に対して(前編)

2021-05-09 20:18:38 | 情報提供

<Mより発信>
 昨年より主婦連合会の会員としても活動を始めたが、法制審議会で審議中の標題に関するパブリックコメント募集に主婦連合会とは別に何人かの会員でパブリックコメントをしようということになり、私も初挑戦した。しかしながら、パブリックコメントの画面から送ろうとしたら、「環境依存文字がある」ことでエラーになってしまい、入力内容確認画面にまで進めなかった。お役人は正確性を期すためという言い訳をすることが予想されるが、受け付けを厳格にしすぎて多くの声を拾えるようにすることは後回しにしたようなシステムになってしまっている。時間ギリギリにメールで送ろうとしたら、自動で候補に挙がるメルアドが1文字違っていて、結局は締め切り時間内に送信することもできなかった。パブコメを邪魔するような引っかけメルアドが流布しているのではないかと勘繰りたくもなった。
 会員仲間の方にお聞きしてみると、昨年11月にパブリックコメントの画面がリニューアルし、「環境依存文字がある」ことくらいでエラーになるようになったとのこと。お役人は正確性を期すためと言い訳をしそうだが、意見の理由が長くなる場合は正確にくみ取れないことを防ぐために自分で要旨も作成して冒頭に入れろということも書いてある。パブリックコメントのまとめもおそらくどこかに外注して作らせるのだろうが、責任を取らないですむようにということしか考えていないように思える。こんな状態では行政手続きのITでの申告なんて対応できるレベルにない。以下で送れなかったパブリックコメント(一部割愛あり)の前編をご紹介したい。
【「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」に対する意見】(前編)
P1 第1 総論 1 インターネットを用いてする申立て等によらなければならない場合
(意見)「甲案」「乙案」に反対し、「丙案」に賛成。※【丙案】電子情報処理組織を用いてしなければならない場合を設けない(電子情報処理組織を用いてする申立て等と書面等による申立て等とを任意に選択することができる。)。
(理由)
・インターネット(以下IT)を用いて民事裁判の申立てをできるようにすることは、申し立てをしやすくする選択肢が増えると思われるので賛成です。しかしながら、利便性の向上やコストカット効果を最も享受できるのは国(裁判所)と思われ、そのためにITを利用していない人や不慣れなIT弱者を含む全ての人にIT利用を義務化して強要することは反対です。
・IT弱者にとって、IT利用を強要されることは、公正な裁判手続のもとで平等に裁判を受ける権利が阻害されるということである。「民事裁判は下々の者の係争をお上が裁定してやることだから、行政側の負担を減らしたい」という意識があるのではないかと思えてしまいます。行政の利益のために国民に行政手続のIT利用の強要の端緒を開くことになるのではないかと危惧します。
・コロナ禍による在宅勤務が進まない要因の一つとして、日本ではIT環境の社会的インフラが整っていないことを露呈させました。突発的なシステムダウンだけでなく、リモートワークをしていても自宅近くのWi-Fi基地局のキャパを超えるアクセスがあれば、途中からつながらなくなることも多いです。また、年金データの流出など行政側にもセキュリティ対策が万全とは言えない問題も多く発生しており、IT環境への信頼感が十分に醸成されているとは言い難いです。
P3〜4 第1 総論 3 訴訟記録の電子化 
(意見)書面を用いた申立てをする当事者から手数料の徴収をするべきではない。
(理由)
・ 訴訟記録のデジタルデータ化は社会全体の利便性を高めるものであることは理解し、推進されることには賛成します。しかしながら、そのための費用はIT化を推進する国=裁判所が負担すべきで、書面を用いた申立てをする当事者に負担を発生させるべきではありません。費用負担が増えることで公正で公平な裁判を受ける権利が阻害されることがあってはなりません。
・ 訴訟記録も歴史の検証を受けられるよう公的なアーカイブズの中で後世に遺すべき史資料であり、その保存方法はデジタルデータだけに限定すべきではないです。世界におけるアーカイブズにおいては現物史資料の重要性が共通認識になっています。また、日本の国立国会図書館は国会議員の国政調査権を保障するために設立されていますが、日本における発行物の悉皆収集の上で、デジタルデータ化にあたっては国の責任で取り組んでいます。行政が必要とするデジタルデータ化について整合性がとれないことをすべきではありません。
P4 第3 送達 1 システム送達
(意見)通知が発出された日から1週間を経過する日までに送達すべき電子書類の閲覧または複製をしないときは、その日が経過した時にその電子書類の閲覧をしたものとみなすことに反対。
(理由)裁判所からの重要な連絡である送達は、裁判所側がその到達を確認することが必要です。ITを用いることに同意して通知アドレスの届け出を行っていても、何らかの事情でメールが届かなかったり閲覧できなかったり気づかなかったりする場合も十分にあり、それを一定期間の経過で「閲覧したものとみなす」ことは、その当事者にとっては不利益が大きすぎると考えます。
P4 第3 送達 1 システム送達
(意見)送達すべき電子書類を通知アドレスの届出をしていない当事者等に送達する場合は、これまでの書面での取扱い同様に、紙媒体(書面)に出力して、送付(または郵送)することが基本で、送達は裁判所(国)が費用を負担して行うべきと考える。
(理由)IT化を推進するのは国であり、IT利用をしない=通知アドレスの届出をしていない当事者へは従来通り、書面を送付することが必須。裁判による解決を求めることは国民の権利であり、IT化の推進という国の政策のために国民の負担がこれまでより大きくなることがあってはならないと考えます。
P7 第5 口頭弁論 1 ウェブ会議等を用いて行う口頭弁論の期日における手続
(意見)裁判所に出頭して口頭弁論の期日における手続きを行うことが原則と考えるべきです。ウェブ会議等を用いることができるようにすることは利便性が向上するという面もありますが、本人確認や当事者の発言等に影響を及ぼすようなことも想定されるので慎重に環境整備を進めるべきです。
(理由)ウェブ会議の開催をするには十分な環境整備と、危機管理が必要です。
後編へ続く


コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。