備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『吉良ですが、なにか?』

2014-11-22 10:41:19 | 国内ストプレ
ざっくりとネタバレなあらすじ。




まず、冒頭に音声のみで、
浅野が吉良に切りつける掛け合い。
(これが誰の声なのか、分からず。
ただ、吉良役は伊東氏では無いと思われる)

幕が上がると、現代の病院の待合室。
なのに、窓から江戸城が見えたり、
張り出した桁に欄間の模様があったり。

キャリアウーマンな出で立ち
の長女・ツルが電話を掛けている。
(そもそも、ここでの電話はOKなのか?)

その電話でやたらと、部下に裏切られたという話していると、
次女・アグリが夫・マサタケとともに登場。

父親のコースケが切りつけられたと喋りながら登場するが
ツルから、かなりオーバーに話を聞いているため、
実は傷が浅いことを知り、ちょっと拍子抜け。

すぐに三女のキクとその夫・ツネナリも登場し、
同じくコースケの傷が浅い事に、拍子抜けする。

ちなみに、それぞれの旦那は、
マサタケは情緒不安定、
ツネナリは要領が良いという設定。

そこに、医者が現れ、病状を説明するのに、
家族の代表者、一名を求める。

三人とも尻込みするなか、
コースケの甥で養子に入った、ヨシマサ登場。
しかし、そのヨシマサが頼りなく、
結局、全員が待合室で病状を聞くことに。

医者の話では『入院するほどでなく、そのまま帰られる』と。
ただ、帰り際に、『やはりお金は受け取れない。
コースケの奥さんに返して欲しい』と封筒を押しつける。

まだ、母親は来てないハズなので
理解できないまま、愛人の存在に感づき始める娘達。

そこにコースケの秘書、小林が登場。

松の廊下で切りつけられた状況を娘達に説明する。
それまで、現代設定だったのに、
急に時代錯誤になる待合室。
しかし、ソレには、触れず、普通に、
『普段のコースケは温厚な性格なので、何かの間違いでは?』
と、小林に疑問を投げ掛ける姉妹。
そして、途中から小林に、コースケに愛人が居るのでは?』
と問いただし、それを認めさせる姉妹。

そこに白装束のコースケ、登場。

頭には包帯を巻き、娘達から、
襲われた状況を聞かれるが、
『自分には非がない』と言うコースケ。

それでも、攻められているのを感じ、
ラヴァーのシマのことを白状し、妻と別れる事も娘たちに告白。

そこにシマ本人が登場。
気の効く行動や、小林に浅野家への
根回し等を指示し、姉妹はその行動に、
母親とは全くの正反対だと判断する。

そして、帰宅するために、コースケに着替えをするよう促し、
コースケが退場すると、ツルの元に、また、職場から電話が掛かる。

その電話から、ツルの抱えている
問題と解決法のアドバイスをするシマ。

その手腕から、次々と悩みを相談する姉妹。
そして、シマを認め始め、コースケをいざ、つれて帰ろうとすると、
浅野の切腹が決まったという知らせが入る。

このまま帰宅すると、
浅野の家臣に狙われると察したシマ。
そこで、三姉妹の家に厄介になることにするが、
盥回しに。結果、ホテルに泊まる事に。

それよりは、と医者に入院を促すが、
必要のない患者は入院出来ないと医者に言われる。
その強情っぷりに、”鮒医者”と罵ると、
つい、医者がコースケにキレる。

その様子を観て、三姉妹は浅野に同情。
そこに『コースケに会いたい』という人が一階に居ることが分かる。

浅野の刺客?と、ヨシマサに見にいかせ、裏口から出ようとすると、
奥さんだと分かる。そこで、シマを帰らせようとするが、
ここでゴネるシマ。その様子をみて、困るコースケだが、
ヨシマサが荷物をもって、やってくる。

それはコースケが求めていた傷を隠す帽子で、
奥さんが自宅から持ってきたのだった。
コースケの生死に関わる一大事には居なくとも、
コースケの気持ちが分かっている妻に負けたと、帰るシマ。

そして、コースケは大人しく、自宅に帰る事にする。
そして、刺客に襲われても、『吉良ですが、なにか?』
と開き直ると答える。

姉妹達が帰り、コースケが独り立っていると暗転。
幕も降り、スポットライトが当たり、なにかしらの
口上を始めそうになると、うずくまるコースケ。
すると、幕が開き、バックにふすま、傍らに裃姿の小林が。

『おかしな夢を見ていた』と、
コースケが言い、浅野の切腹を確認する。
そして、家臣を纏める大石の評判が
切れ者かどうか訪ねる。

切れ者なら、噂にあぐらをかいているので、問題ない。
しかし、昼行灯なら、要注意。と答えるが、
大石が昼行灯との評判を聞き、注意するよう告げる。

襖が開くと、雪が散っている。
そんななか、呆然と立ち尽くすが、
『ま、いいか』と開き直り、幕。


伊東@コースケ
終始、着物に時代劇な話し方。
もう、吉良と言われて、これほどまでに似合う人も稀。
ただ、基本、ツッコミなのだが、この設定に何時、
セルフツッコミをいれるのかと思ったら、夢オチ。

主演だけど、初登場も遅いし、
途中、理由のある退場や、長い台詞も無い。
しかし、最後に、あのオチを通用させる役者は氏だけ。


福田@キク
おっとりな末っ子。
それでいて、なかなかに計算高い。
当て書きなのか、映像系の人だけど、台詞回しに違和感はなし。

クレジット的にココ。やはり、知名度か。

馬渕@ツル
キャリアウーマンな長女。
相変わらず、イメージが固まらない女優さんなのだが、
今回の常に怒っている長女タイプの性格に納得。

瀬戸@アグリ
何にでも首をつっこみたがるオバチャンな次女。
もう、こういうキャライメージが付いているので、
今回も予想通りな役設定。

駿河@マサタケ
情緒不安定な次女の旦那。
空気を読まない設定を貫き通し、
群像劇でも、全くぶれない。

そして、特に改善もしない。
見せ場も一カ所あるが、
あれで性格の改善は無いだろう。
そう考えると、ここまで成長の無い役が登場するのも珍しいかも。

実は、この人も二世タレントという事を知る。
『半沢直樹』の切れ者ホテルオーナーイメージだけど、
脚本家的には、父親共々ボケなイメージなんだろうか。

伊東孝明@ツネナリ
マサタケに対し、常に機転の効く、三女の旦那。
チャラいけど、それ故に、学生からもモテる大学教授。
妻から不倫を疑われ、ラストで吉良からも攻められるが、
それでもメゲないポジティブキャラを一貫。

コチラもラストに見せ場有り。
でも、そこでもチャラい。
そして、成長は見られない。

台詞で伊東と親子である事をネタにした台詞が一カ所あった。
というか、親子だと言われないと分からないこの二人。

大竹@ヨシマサ
ミュージシャン志望の養子。
マサタケとは別ベクトルなダメ人間。
こちらは旦那としてでなく、世継ぎとしてアウト。
そして、これまた最後まで成長しない。

途中、”千の風になって”のパロディを歌うが、
きっと、あれがコースケ重体の知らせを聞いて作った歌。
その歌詞が妙にツボ。あれは三谷作詞なのか?

阿南@小林
こちらは典型的な秘書。
服装、持っている携帯と現代なのに、
常に時代錯誤な台詞回し。

その部下キャラが板に付いているので、
そこに違和感を感じさせない強引さ。


石井@医者

今回、登場人物が歴史上の設定と合うが、
この役だけは無かった気がした。

また、今回、演出もしている為か、あまり出番は無し。
元々は大石役だったらしく、かなり改変されている模様。

なのに、一番の見せ場は浅野の役まわり。

途中、若干、不自然に同じ台詞を繰り返していたが、
カテコで『台詞がとんで、同じ事を二回喋った』と暴露。


戸田@シマ
切れ者な愛人。
その完璧な愛人振りに、どこで、崩れるのかと思ったら、
奥さん登場で崩壊。大変に典型的な展開なのに、
その拗ねる仕草が妙にカワイいのは、声優だから?



三谷脚本の場合、誤解が誤解を生む系とか
ひたすら真実を隠し通す系のコメディ
があるが、今回は笑いに笑いを重ねるドタバタコメディ。

コースケの周りは時代錯誤な会話をしているのに、
娘たちのシーンは普通の現代な会話をしている事に、
なにかしらのオチが付くのか、否か、と思って見てたら、夢オチ。

そう言われると、コースケの周りだけは時代劇で、
娘息子は現代という棲み分けに、ツジツマが合う(のか?)

別に、コメディに何かしらの意義を求めていないが、
本当に見終わった後に、何も残らないコメディ。
ま、シマの逆上が若干、唐突と感じたが、
話を展開するためには仕方ないか。


話の途中で、”鮒医者”の件が登場するが、
あれに直ぐ反応する客層と、キレて初めて反応する客層。
あのエピソードって、それほど有名ではないのだろうか?

また、役設定に変化が起きないというのが、
実は珍しいかも。たいてい、登場人物に
何かしらの変化が生じるものだけど。
この辺も夢オチゆえに、キャラにオチを付けなくて良いから?


カテコで、ポップな音楽が掛かる。
これが誰なのか大変に気になる。
そのまま、客席アンケートを読むのだが、
どこまでが仕込みなんだろうか?

その際、本当は討ち入りの話しを考えていたが、
井上ひさし脚本『イヌの仇討ち』という作品で、
既に似た話が上演されていた事を知り、急遽、改変。

石井氏も本当は大石役で、チラシも作っていた。
また、そのチラシをみて、今回の話を考えたとも。
そして、脚本が初顔合わせの二週間前に出来たらしい。

役の名前が歴史上の家系図と
同じに、なっているのはそれゆえ。
シマという名前の愛人がいたかは不明。
ただ、当初は四姉妹の長女設定だったらしいから、
ここは創作の可能性も有り。

そのverで、どういう話になったか興味があるけど、
きっと、伊東氏が襲われないように画策しつつも
最後にはタイトルの様に開き直るオチなのだろうか。

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