備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『End of the RAINBOW』再演

2016-07-31 08:13:59 | 国内ストプレ
ネタバレなアラスジ。
(主に、アンソニーに関して、
ムダに細かい描写あり)

ホテルの一室に一人の男が入ってくる。
部屋にあるピアノを弾いていると、
話し声が聞こえ、慌てて浴室に隠れる。

入って来たのは男女。
女性はジュディで、
男性はジュディの婚約者・ミッキー。

盛り上がる二人の間に、
申し訳なさそうに、割って入る男性。
男性はジュディが信頼をよせる
ピアニストのアンソニーだった。


ミッキーの助けにより、薬物とアルコール中毒から
復帰したジュディはロンドンで6週間のコンサートを計画。
そのため、アンソニーがピアニストとして呼ばれる。

その復帰中に婚約した二人。
二人の関係は良好に見えたが、
ホテルの支払いに関しては、
決してミッキーにさせないジュディ。

ゲイであるアンソニーはジュディを
心配しつつ、二人に接するのだった。


リハーサルが始まったある日、
アンソニーがジュディの部屋に行くと、
ジュディが宿泊代を滞納していることを知る。

ミッキーが代わりに払うと話すが、
その好意は受け取らず、テンションの高い
ジュディはコンサートのプレビューを迎える。


新聞にプレビュー評が載るが、
その写真に文句を言うジュディ。

相変わらず、ジュディはホテル代を滞納し、
アンソニーは交換されないシーツを持って登場。

アンソニーの帰宅後、
ジュディはミッキーに薬を要求し、
それに応じ、薬を渡してしまうミッキー。


ラジオの取材を受けるジュディ。
薬の影響か、少し会話が噛み合わないが、
何とかこなし、その後のコンサートも好評に終わる。


その夜。
ジュディの部屋にいるミッキーとアンソニー。
アンソニーは部屋に薬が無いか探し、
ミッキーはジュディが行きそうな処に電話をかけている。

ミッキーの隙をついて、終演後、
ジュディは呑みに出かけてしまったのだった。

ジュディの行き先探すミッキーだが、
何かと喧嘩腰のミッキーに、アンソニーは帰ろうとする。

そこで、酒を勧め
(要望はミネラルウォーターでなくソーダ割り)、
アンソニーについて、二人は話し始める。

それは前の”彼氏(ナイジェル)”が、
アンソニーと別れ、女とつき合うようになったこと、
今、シングルであるという状況が語られる。
(二幕のジュディへの提案の伏線)

二人が心配するなか、
ジュディは戻ってくるが既に泥酔状態。

「今晩のようなステージは二度と出来ない、
明日の公演は行わない」と言い切り、
薬やアルコールを要求するジュディ。

しかし、ジュディをコントロールしようとする、
ミッキーはそんな要求に取り合わない。

そのままアンソニーの鞄を持って籠もるが、
中に入っていた犬用の薬を飲んでしまうジュディ。
もう、薬だったら、なんでも欲する禁断状態だった。

アンソニーの帰宅後、
ジュディは、モノでなく「ミッキーが欲しい」と
言うが、ジュディの過去を受け入れる準備が
出来ていない(無償の愛が与えられない)ミッキーは、
「欲しいモノは無いか?」と、つい、聞いてしまう。

そこで、「タバコ」と答え、ミッキーは家を出る。

一人、残ったジュディは、別れの歌を歌い、暗転。


二幕。
翌日の公演、楽屋。

楽屋まで来たものの
出演をシブるジュディに、
メイクを施していくアンソニー。

そして、舞台に立つが、
マイクのコードに悪態をついたり、
一幕最後で歌った曲を彷彿する
”闇”がテーマの歌でなく、
”晴れ渡る空”のテーマの歌を希望するが、
アンソニーと息が合わず、開始10分で逃げ出す。
(暗転中、ピアノで”虹のかなたに”が
流れ、虹のかなたに逃げ出すジュディ)


部屋に戻ったジュディに、
ミッキーはアルコールを渡し、
舞台に戻るためなら、と、薬も与える。

そんなやり方に反発を覚え、
コンサートの中止を提案するアンソニーだが、
ハイになったジュディは何とか公演を終える。


その夜。
薬の影響から、気分の悪いジュディ。
そんなジュディにミッキーは今後も舞台に立つ為に、
「何が必要か?」と聞き、ミッキーとの結婚を要求するジュディに
「無償の愛なんて奉仕出来ない」と一方的に薬を渡すミッキー。

そこに現れるアンソニー。

「氷を持ってくる」とミッキーが出て行った後、
ジュディは窓から薬を捨てはじめる。

そんなジュディの姿に、
「自分なら無償の愛を奉仕出来る、
一緒に暮らそう」と提案するアンソニー。
ジュディが黙っていると、そこに戻るミッキー。
「何を話していたのか?」と聞くミッキーに、
「いま、アンソニーに別れを告げた」と答えるジュディ。

そのまま、アンソニーは部屋から出る。
それは、ジュディとの永遠の別れだった。


その後、ミッキーとジュディは結婚するが、
その三ヶ月後に、薬物の過剰接種で死んでしまうジュディ。
その葬儀には多くの著名人とピアニストが駆けつけた。


時は遡り、ドナルドのインタビュー番組に。

「歌うのを止めたら、どうなるか?」
というドナルドの質問に、
「皆の要望がある限り歌い続ける。
歌わなくなるのは、皆が忘れた時だ」と答える。

そんな答えに、ドナルドは、「この録音は
皆の心に残り続けでしょう」と、ある曲を放送する。

そして、ジュディが”虹のかなたに”を歌い出し、終演。

カテコ。
まず、ジュディソロで”ゲット ハッピー”。

その後、全員出てきて、
”ザッツエンターテイメント”
”雨に唄えば”
あと一曲(劇中でも歌った曲)というカテコ。

なお、”雨に唄えば”で、
メインソロを歌わない人はソファー待機。
そのソファーでの対応がアドリブ芝居。

マチネでは、ジュディとアンソニーが、
膝をぶつけ合い、手でお互いを叩いていたが、
そこに割って入るミッキー。
すると、押し出されたアンソニーが、
何故かミッキーの膝に座る。

ソワレは普通に座っていたが、
ドナルドのソロに、アンソニー、
ミッキー、ジュディの順でウェーブ発生。


彩吹@ジュディ
中毒患者というよりは、
躁鬱状態の患者というイメージ。
普段からテンションが高いのだが
薬をキメると、より躁状態に。

とにかく、ワガママ。
ただ、ミッキーに支払いはさせないという
プライドのようなモノが有るのかも。

一応、子供の頃から、
母親から薬漬けにされた過去も明らかにされるが、
この微妙に情緒不安定さ、ワガママさが、
ちょっと、観ていて、イラっと。
自分から直す気が無いような。
(もう、中毒状態で抜け出せない?)


歌は地声で歌うので、特にストレスは無く、
ジャジーな曲からシャンソンまで似合うな、と。


小西@ミッキー
クレジット的には、二番手。
ともかく、等身のバランスが良く、元モデルかな、と。

青年実業家、というか、
一応、ジュディのために、
色々と尽くしているのに、
なんか、金の亡者的な扱いに。
一歩、間違えると、成金趣味な男。

初めて客で来たときにジュディの
欲しがるモノを与えジュディを
不幸にした過去から、更正の手助けをする。
その負い目もあり、マネージャーに。

しかし、ジュディに無償の愛を与える事が出来ないと、
決めつけ、何かというとモノで答えようとする。
これが、劇中のジュディとミッキーの決定的なすれ違いに。


声が通らないのは、何時も通り。
(心地よく台詞が耳に入らないという意味で)
カテコで歌うのだが、甘い歌声と、その落差。

やはり、歌った方が、好み。


鈴木@アンソニー
ジュディを心配するピアニスト。
ゲイ設定を知らなければ、
普通に神経質な芸術家。

一応、後半で、一緒に暮らすよう提案するが、
それは同居人として、ジュディを養う程度。

一番の見せ場は、二幕冒頭のメイクシーン。
このボソボソ言いながらも通る声で、
ゲイ設定(オネエキャラ)という説明を一発で表現。

アドリブは、
ミッキーからジュディへの投げキスを
奪い取るのだが、ソファを持ち上げて捨てたり、
荷物を運ぶ際、ミッキーと二人で運ぶかと思いきや、
手を離されて、ミッキーを睨みつけたり。
一番はメイクシーンで、回変わり台詞が多数あり。
(客席の笑いが起こるので、リピーター率高め)


安定の抑揚の少ない発声。
(ミッキーとの対比で、心地よく台詞が耳に入る)
ただ、若干、棒読みチックでもある。
感情を押さえた神経質な演技パターンがこれなのかも。


寺元@インタビュアー(ドナルド)
番組のインタビュアー、
ジュディを運ぶホテルのボーイ、
ジュディのコンサートのゲイなスタッフ。

いかにもアメリカンな番組進行役でハッキリクッキリ発声。
カテコも一人、高音なので、ハモリが目立つ。

ただ、如何せん、出番が少ない。

そして、田代マリオ氏と声が似ている。
ということは、村田氏とも似ているのか?


再演。
初演を観てないので初見なのだが、
人間関係は結構、シンプル。

ジュディの変わらない要望(無償の愛)
それに対するミッキーの変化、
(ジュディの為に遠ざけたモノを、
コンサートを成功させるために与える。
もちろん、コンサートの成功はジュディの為に
なるが、中止という選択肢が出来ない)
終始、変わらないアンソニー。
(ジュディに無償の愛を捧げ続ける)

一見、ジュディとアンソニーで
くっつくかと、思いきや、
ミッキーからの無償の愛
(正確には、観客からの)に拘り、
結果、虹の終わりに近づく。


劇中歌われる曲は、
”虹のかなたに”以外は全く分からず。
それでいて、出演者全員がミュージカル畑なのに、
歌うのはヒロインのみ、というミュージカル男優、無駄遣い。

その分、カテコでは、三人に見せ場が。
ジュディの”ゲット ハッピー”は
WE版でもあったようなので、
(ヅカな男装仕様は日本版だけかも)
このカテコ3曲がオリジナルかも?


日本版キャストはこれで完成しているが、
海外版を観てると、ジュディの年齢が結構高め
(享年47歳は無視)。そのため、アンソニーも
年齢設定が高めなプロダクションも。
ミッキーは若いツバメ設定なのか、どこも若いけど。

とすると、大竹さん辺りなら、木場氏のアンソニーとか。
鈴木氏の場合、マックスの例が有るので、
主演女優の年齢に合わせられそうだけど。


で、気になったのが、2011年のドイツ語版プレミア公演。
秋から冬にかけて、巡業していたのだが、
アンソニー役がThomas borchert。
えっと、Thomasがゲイ役?

その年末にStuttgartで開幕した『レベッカ』のマキシム
ファーストキャストだったのに、こっちのアンソニーを優先。

当時は、Innsbruck~Stuttgart~Munich移動だったので、
StuttgartをHamburgに変え、マチソワすべきだったかも。
(Pia様ダンヴァースとどっちを優先すべきかという問題)

なおかつ、ドイツ語版プレミア公演なのに、
画像検索しても出てこないし。無精ヒゲThomas…。

これは台本を理解した今、是非、観たい作品かも。
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