備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『エリザベート』成河@ルキーニ

2016-09-19 23:15:32 | 国内ミュージカル
過去のエリザ観劇記録はコチラ

基本、主語が無いのはルキーニ。
成河氏がどう思って演じてるのかは、
知らないけど、勝手に解釈して観てます。


”我ら生絶えしものども”
登場した段階で、カッと、見開く目。
全く瞬きをせず、何処か宙を見つめる。
それが、狂言廻しとしてのルキーニでなく、
アナーキストとしてのルキーニな印象に。

第一声が想像より甲高く無い。
ストプレの印象が特徴のある声なので、
歌声はともかく、台詞も低いとは。

真ん中の台に登り、子ルドを
抱き抱えたり、変な処で世話焼き。

トート登場で、一端、メインから退く。
ここで、狂言廻しになるのかと思ったら、
エリザベート・シャウトで、
まだアナーキストとしてのルキーニ。

そして、アンサンブルから銃を受け取った瞬間に、
コミカルな役になり狂言廻しとしてのルキーニへ。

で、『プレイ』宣言。

”パパみたいに”
ここで、初めて舞台から退場するのだが、
ずっと、二人を観る(主にシシィの方を)


そういや、マックスは髭の手入れをしないのか。
新演出になって、この場面をそこまで観てなかった。

そして、フランス語教師が、
キーっとなって、下手にハケるとか。
そんなトコすらも観てなかった。

”ようこそ みなさま”
ルドヴィカの存在感。
役付きアンサンブルは、父親から母親に
変わったのだと、ここで、今更、気づいた。

”愛と死の輪舞曲”
ともかく、トートがシシィを見ない。
常に目線が客席。あれ、こんなに
ナルシストだったか、井上@トート。

この一人ロンド(ダンス)が、
娘役というか、元ヅカかな。
(歌唱力が関係なく、独特な存在感)

”皇帝の義務”
フランツの前髪のボリュームがスゴい。
こんなに立てなくとも、十分若く見えるのに。

ゾフィの存在感。
丸くない、シュッとした、
それこそ毎日、体操をしてそうなゾフィ。

このゾフィとフランツの年齢差。
マザコン皇帝と合致。

で、真ん中の台の階段に居るルキーニ。
ここで、爪を咬むクセが出てくる。
この後、数回、このクセは出てくるが、ここが最初。

心理的に分析すると、
母親の存在が原因なのかも。
ゾフィが登場したので。
(ストーリーに全く、関係無い)

で、突如、紙を出して、それを伝令係に渡す。
お見合いの時間が迫っている、というアレ。

”計画どおり”
冒頭で、『鹿さん、鹿さん』と、
ものスゴいブリッコキャラを見せるシシィ。
そのハマりっぷりがスゴい。本当に短いシーンなのに。


赤いコートと鬘で登場。シシィと絡んだりもする。
この二人が絡むのは、ココとラストだけかも。

ヘレネの『変なヘア』が、余りに独創過ぎて、
つい、オペラで確認するレベル。
オデコの下のクルリンとした処が特に。

ヘレネの髪飾りを着け直したりして、
マックスの代わりをやり遂げた感のシシィ。
こういう可愛らしい仕草に違和感、無し。


サビに入ると、下手に移動し、
周りのお付きの者から、
匂いについて、咎められる。
あの赤いコートは臭いらしい。

”あなたが側にいれば”
ここでハモる気のない二人。
結構、フランツが若さ溢れる
ストレートな感情表現を。

”不幸の始まり”
客席通路からトートが登場するのだが、
あまり振り向く人が居ない客席。
これは梅芸のお客さんの傾向なのか。
それとも、リピート客が少ないのか。
はたまた、客席から登場するトートに関心が無いのか。


上手のオケピ通路で、トートを迎えるが、
そのとき、手首を擦る。心理学的には
”畏怖の現れ”らしいが、それはトートに対して?

こういう処で、狂言廻しとしてでなく、
ルキーニとしての存在感を出してくる。
(台詞が無いシーンだから)


”結婚の失敗”
給仕係になると、楽しそうに杖を操る。
ゾフィとマックスの間に割って入ったり。

若干、ゾフィの声が大きい。

”最後のダンス”
冒頭の”ロンド”以上にシシィを見ず、常に客席を観ているトート。
絶対、闇の中から、見つめてなんか、いない。
そして、オレ様、感。(シャウトで裏声を使うので、余計)

嫁姑問題。
流石、元嫁(シシィ経験者)だけに、
こう、イビリ方を心得ている感。

それに抵抗出来ない一年目の嫁。

”私だけに”
昨年は地声と裏声が混じり合った歌い方。
今回は裏声で、全部、通したような。
ちょっと、ヅカ版エリザを聞いているような錯覚。

”闇が広がる”
トートに掛かるエコーがハンパない。
別にそこまで掛けなくとも、
声量でイケそうな気もするけど、
全国を回る場合は、それで誤魔化すのかも。

”退屈しのぎ”
ツェップス登場、以上。

なお、カフェの給仕演技は抑えめ。
ここまでが演技を作り込んでいただけに、
このシーンでは、歌を重視するのが意外。

”ミルク”
シャウトでなく、歌詞を聴かす歌い方。
一幕、一番の見せ場なので、
金切り声で歌い上げるかと思ったのに。

カフェとミルク、両方なので
これは演出の指示なのか?

”皇后の務め(Re)”
ここで女官と一緒のダンスをする。
さっきまで、あれだけ踊っていたのに、
まだ、そんな遊びをする元気が有るのか。
ただ、途中で飽きたかのように止めてしまう。

”私だけに(Re)”
ここの二重唱はやはり良い。
フランツの歌詞が聞き取れるし、
相変わらずトートはシシィ観てないし。

”キッチュ”
台詞と歌詞のバランスが独特で、
そこは歌うのか、そこは台詞なのか、と。
どちらにしろ、客席の盛り上げ方の素晴らしさ。

帽子の上部にシシィの肖像画が。

”私が踊るとき”
お互い、踊る気ないだろう。

ま、シシィは踊る気が無いで合ってるけど、
トートがこれまた客席しか見ない。
(振り付けとしてシシィを見てるけど、
最後は客席しか向いてないような)

”ママどこなの?”
出番後、子ルドを見つめて、なかなか退場しない。
既に、子ルドが歌い初め、自分の台詞は無いのにハケない。
こういう間を使った演技を好んで使うのかも。

『猫を殺した』に、反応するトート。
死に関わる事であれば、例え、猫でも反応。

正直、先ほどのシシィの時よりも、子ルドを
みつめているので、まずは子どもから手懐ける感。

子ルドから銃を奪うトート。それを
子ルドに向け、発砲。勿論、何も出てこない。

”魂の自由”
多分、医者コスプレ。
患者コスプレでは無い。
ヴィンティッシュを止めるように
見せて、唆しているような気も。
最後、一人になるシシィを
ずっと、下手から見ている。

”皇后の勝利”
ちょっと老けメイクの入ったゾフィ。
それでも、背筋はシャンとしてるし、
まだまだ嫁イビリに燃える姑。

”マダムヴォルフのコレクション”
ルドヴィカ以上にやる気のあるマダム。
こっちが本領発揮かも。

ここでは、そこまで目立った事はせず、
コレクション紹介のアシスタントに留まる。

”マラディ”
ドクトル演技とか楽しそうにマントを
取るトートは、何時も通りなのだが、
それに対するシシィが、大変にツレナい。
ここはトートの拒絶を楽しむシーン
かと思ったが、それ以上に最初から
トートを相手にしないシシィ。
(拒絶でなく、眼中にない)

”一時も休まない”
一気に老け込むフランツ。
2幕冒頭の時点で、着け髭は追加されるが、
更に、歳を重ね熟成したフランツに。

”パパみたいに(Re)”
声だけでなく、マックス登場パターンなのに、
うっかり、意識がトンだ。
決して、この二人だから、ではなく。

”ハッシュ”
民族主義者からのヒトラー。
『ユダヤ人』とか『赤新聞に投稿』とか。
甲高い声で演説、という、よくある
パターンなのだが、それが似合う。

”闇が広がる(Re)”
最近、闇が広がらない組み合わせで、
この曲を、ずっと聞いていたので、
正当派の二人で聞いてしまった。
(本編なので、広がらないとダメだけど)

”独立運動”
ツェップスがコケない。
ああ、新演出はコケないのか。
というか、ツェップスって、この曲は踊らず、
ルドルフの護衛に専念ポジション。(踊れない配役)

”キッチュ(Re)”
明らかに2幕冒頭とは、変えた歌い方。
まず、帽子をかぶり、目元を隠すようにみえて、
瞬きをせず、カッと、見開いて歌う。
そして、歌詞の後に台詞、というパターン。

”夜のボート”
フランツ、更に老化。
台詞と歌、両方ともおじいちゃん。
その一方で、変わらない若いシシィ。

”悪夢”
そんな老けフランツ。
帽子を取るとあんな髪型とは。
台詞なフランツと、ひたすら歌のトート。

ここで、演技を変えるルキーニ。
それまでは、第三者、狂言廻しとしてのルキーニ。
しかし、ここにきて、感情の入る台詞。
そして、本来の暗殺者の役としてのルキーニへ。

”愛のテーマ”
そして、暗殺をやり遂げた、
その延長で、フラフラと現れ、首を吊る。


蘭乃@シシィ
老けないシシィ。”夜のボート”でさえ、
声を老けさそうよう、という気がない。

再演に伴い、不安定(地声と裏声の混在)な
歌唱法を止めたっぽい。裏声を極めてきた歌い方。

ただ、それ故に、常に若く、
2幕で老けたという印象が伴わない。

もう、この路線で突っ走るのか。


井上@トート
こんなにナルシストだったか。
ちょっと、爬虫類的ネチっこさと、
その一方で、オレ様トート。

その一方で、歌の安定感。


田代@フランツ
基本は歌。
でも、晩年になれば、老けていくので、
ああ、こんな演技派になったのか、と。
(初舞台から観てるので、謎の親目線)
”悪夢”での熱演がすばらしく、
ルキーニからシシィを守るけど、
退かされる、という亡霊芝居が、特に。


涼風@ゾフィ
ゾフィにしては、線が細いかなと思ったけど、
意外と、宮廷内でただ一人の男だった。
そして、一番、良かったのが”ベラリア”
最後に見せる苦悩が流石、元シシィ経験者。

むしろ、2幕のシシィなら、まだ出来るのでは?


古川@ルドルフ
見事にミルクのバイトを途中で見失った。
でも、いい加減、声を覚えたので、
アンサンブルで歌う分には判別、可。


新演出キャスト、一部のキャストを変えて再演。
演出自体は変わらないけど、キャストが変わると、
役に対する印象がここまで変わるか、と。ゾフィとルキーニ。

帝劇公演で、新キャストが観れなかったので、
梅芸まで前日当日券、弾丸遠征をしたが、
そこまでしても、観るべきルキーニだった。

成河@ルキーニ
で、そのルキーニ。

演技の人、それが全面に出るルキーニ。
その最たるルキーニが、高嶋@ルキーニだけど、
アソコまで灰汁の強さはなく、ルキーニという
役の中での、遊びを入れてくる。

一本の芝居の中で、
狂言廻しとしてのルキーニと、
偉そうなヤツなら誰でも良かったと、
言い切ってしまうアナーキストのルキーニ。
この二つのキャラを入れてくる。

アナーキストなルキーニになると、
感情が優先される役になっているような。


また、爪を咬むクセ。
これの持つ意味が知りたい。
今まで、そんなルキーニは居なかったような。
というか、アナーキストのルキーニとして、
演じるルキーニが居なかったかも。


ルキーニを観て、この人のテナルディエを
観てみたいと思った。聞いてみたいでなく、
テナルディエの役解釈を観てみたい。
駒田氏とは、対極なテナルディエになりそう。


で、観ていて、박은태氏を彷彿。
これは単に、同じ韓国の人という事を
差し引いても、雰囲気が似た二人。
(特に、”キッチュ(Re)”の帽子をかぶった時)
もしも、シャウトや台詞の声が高かったら、
より、一層、類似感が高まったと思う。
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