備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『パレード』

2017-05-28 16:21:01 | 国内ミュージカル
テキトーなあらすじ。

戦争に出征する若い兵士と
戻ってきた老いた兵士の歌。
南北戦争の始まりと終結を意味するオープニング。

歳月が過ぎ、戦没者追憶のパレードが
行われるなか、休日にも関わらず、
工場長のレオは職場に向かう。

そんなレオの元に、
給料を受け取りに来る少女メアリー。
レオは名前を確認し、給料を渡す。
そのまま、帰るかと思いきや、
メアリーが、レオに何か言い掛け、暗転。

翌日、警察がレオの元に。
それは、少女の遺体確認。
その少女こそ、メアリーだった。

一方、事件を知った知事のスレイトンは、
検事のドーシーに早期の解決を要求する。
それは暗に犯人をでっち上げる事を意味する。

ドーシーの候補は
黒人の工場警備員ニュートと
ユダヤ人の工場長レオの二人。

まず、ニュートを取り調べるが埒があかない。
二人目の取り調べとしてレオが。
そのまま拘留され、帰れないレオ。
そして、逮捕へ。

裁判が始まるが、レオに不利な
証拠が次々と出てくる。
しかし、それは、ねつ造されたモノ。

最後に何か言うことはあるかと
言われ、最後まで反論するレオ。

陪審員の判決は有罪、
レオは絞首刑に決まる。

二幕。
判決が出た後も、レオの妻、
ルシールはスレイトンに再調査を依頼。

一方、ドーシーが次の知事候補で
あることが、ドーシーとローンの会話から明らかに。

ルシールの押しに負けた、
スレイトンは再調査へ。

それらの証拠はねつ造で有ることが
分かり、絞首刑から終身刑に。

地方の田舎の刑務所に連れてこられた
レオは田畑を耕しながら、刑に服している。

そこにルシールが
お弁当を持って、面会。

直ぐに帰れると思い始めるが、
村の暴徒達が、刑務所に。
そのまま、レオを拉致し、
私刑をすべく、首吊り台へ。

何か言うことはあるかと言われ、
最後まで毅然として、吊られるレオ。

レオの死後、また、
戦没者の記念パレードが行われる。
その参加者を睨む喪服のルシールで暗転。


石丸@レオ
理不尽な逮捕で拘束される主人公。
でも、それに諦めているという事もなく、
微妙に抵抗感を持ち続ける演技プラン。

話すように歌う一般市民がハマる。
退団後だと、『ニューブレイン』
『サンデー・パーク〜』『ゴールド』
『スカピン』とか、そういう普通の役の方が好み。
(『ゴールド』はロダンという天才だけど普通の人路線。)

ま、たまにはトートとかジキルとか、
規格外の役を演じた方が良いのだろうが、
やはり、個人的なニーズが若干、違う。
(フランツとかアターソンだよね、と)


堀内@ルシール
世間体を気にする妻から、
いつの間にか、知事に直訴する役に。

この変化を見逃したのだが、
裁判で何か変わったのか?
それとも、幕間後の一年で、
変わったという設定なのか。

内助の功、とはちょっと違うけど、
細腕繁盛記、と言ったスタンス。


歌は細いかな、と思うけど、
石丸氏に負けない、聞こえない、
という事が無いので、そこは元四季か。


武田@ブリット
ルシールを助ける記者。
裏が有るかな、と思ったけど、
最後まで、ルシールの味方。

ただ、これが架空の人物なのは、
実際の事件では、味方がいなかったという意味?

歌がちょっと。
歌詞が聞き取りにくい。


新納@トム
最初、葬儀後に登場した時は、
真犯人かと思ったけど、普通に煽動家。
劇中では、野心家くらいだけど、
実際には、ドーシーを押しのける政治家。

そんな煽動する歌を歌うが、
結構、特徴ある声なので、目立つ。
(決して、上手くはないけど、目立つ)


安崎@ニュート
冒頭と最後は年老いた兵士。
それ以外は黒人の役。

低い良い声なのに、
歌詞が聞き取りづらい。
作った声なので、余計に。

聞き取りづらいイメージは無いので、
これは、黒人風の歌い方のため?


未来@フェイガン
メアリーの母で、裁判中に一曲。
これが、切々と歌うので、
そういえば、乳母だったな、と。
元ヅカでも、このメンツに入る理由が分かる。

もう一曲は、二幕冒頭の黒人ソング。
こちらは、ポップでやはり乳母だったな、と。


小野田@フランキー
オープニングから一曲。
声は良いのだけど、
意外にも歌詞が聞き取りづらかった。

で、金髪なので、某お笑い芸人に見えて。


宮川@ルーサー
レオの弁護士。
でも、二幕では、知事と話していたり、
必ずしも味方ではなかったのか?

歌は二幕冒頭で、未来さんとの夫婦デュエット。
これが黒人風な歌い方で、若干、残念な事に。


莉奈@メアリー
見終わってから、ジュリエットだと気づいた。
そもそも、年齢設定が幾つだ?
という事もあるが、こういうメインな役で、
この路線(ビジュアルよりも歌重視)の配役なのか。


坂元@ジム
黒人風メイクなのに、普通に歌い上げ。
これ聞くと、黒人風な歌い方とか、
特に、演出で入れている訳ではないらしい。

完全に出オチ感はあるけど、
サカケン氏、歌声堪能。


藤木@ローン
冒頭の民衆の老けメイク。
山高帽、杖付きで始まり、
メアリーの祖父での、
メアリーの母親を労う一面。
(実の娘設定なのか、どっちなのか気になる)

ドーシーとの釣りソングで一曲。
これが、かなり残念な結果に。
ドーシーが普通に聞き取れるだけに、
判事の歌が聞き取りづらく。

やはり、こういう難しい楽曲でなく、
分かりやすい楽曲で聞きたい歌声。


石川@ドーシー
久々にイヤミな役。『ベス』以来?
最後までこのイヤミな役は続き、
全く改心とか、そういう事はない。

その一方で、冒頭と最後に老けメイクで登場。
香番表では、市民となっているので、
別に、年老いた設定ではないらしい。

歌い上げの曲よりは、
歌詞を重視する曲が多め。
特に滑舌が良いイメージは無いけど、
歌詞の持つ意味がストレートに伝わる。


岡本@スレイトン
クレジット的には最後らしい。
最初、犯人をでっち上げろ、
とドーシーに言っておきながら、
最後には地位を投げ捨てて、
レオを助けるので、最終的に良い人。

声に特徴が有るので、
それはミュージカルでも変わらず。
そもそも、アイドルなので、
別に違和感はないのだけれど、
最近、ストプレでしか観てなかったので、
歌うのか、と。(特に上手いという事もないけど)


森演出で初のミュージカル。
作品ごとに、ガラっと変え、
特に、演出の特徴が掴めない人だけど、
今回も盆舞台にひたすら紙吹雪を降らす演出。

その紙吹雪が場面によって、
持つ意味が変わっていくけど、
一度も片づけない、無くならない。

普通、こういうのって、
どこかでリセットされるものかな、
という認識だけど、それをしない。

それが面白いな、と。
特に、盆を使ってるなら、
紙吹雪が無い箇所も作れるのに、
あえて、そういうスポット作らない。


もう一つが、大木の存在感。
最初、それは単なるオブジェかと、
思ったけど、目的が首をかける場所と、
予測出来た時点で、急に大きくなる存在感。

結局、最後まで使われないけど、
使われた後に、またパレードが流れる。
冒頭と変わらない曲・流れ。

ルシールが持っていた、
民衆への反感を、観客にも持たせる。


音楽は実に多様。

『L5Y』も幅広く感じたし、
『ソング・フォー・ア・ニューワールド』でも、
結構、色々な音楽が使われていた印象だが、
あれは、若干、オムニバスな作品だし、
こういう普通のミュージカルで、
色んな音楽が使われるのは珍しい。

曲によっては、そこまで持ってきた世界観が
崩れるけど、悲惨な、同情する作品で、
明るい三拍子な曲調になると、
なんか誤魔化されるような、重い内容なのに、
このタイトルになったのが分かるような。

それでいて印象に残る曲は、
”まだ終わりじゃない”

事前に聞いていて、
スゴい高揚感がある曲な印象だけど、
実際、前向きな明るい歌詞だった。

むしろ、それ意外、印象に残りにくい。


今回、歌詞の聞き取れる役者、
聞き取れない役者が結構割れた。

席位置ということも有るが、
ミュージカル常連でも、
聞き取りづらい人が。

完全にベテラン枠に入る人たちなので、
楽曲が日本語詩と馴染まないのかも。
なかには、力業で、歌う人も居たけど。


今回、初の森演出ミュージカルを観て、
既存の作品を森演出でという発想は出てこないけど、
ワイルドホーンの『南北戦争』を、
森演出で観たいな、と思った。

きっと、ホリプロくらいしか、
買うところが無いと思われるので、
可能性としては、有りそう
なんだけど、どうでしょう?

アフトクは別記
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