ルヴォー演出、帝劇再演。
承前。
とりあえず、初演帝劇版の感想がコチラ。
この頃はそれほど、感想に力を入れてなかった模様。また、笹本ファンでもないらしい(笑)。
で、DVD版を観た感想がコチラ。
購入した人に宛てた感想のため、ちょっと力入ってます。パンフに書いてあった演出家の言葉や当時の劇評を参考にして書いてます。
そして、勝手にルヴォー演出考察。
で、その3ヶ月後にウィーンで観た感想がコチラ。
ターフェがセカンド役者で無念、それに尽きる感想。また、DVDでは分からなかった、ドーンと登場するブレヒト幕と空間がスーッと出現する場面転換が衝撃的だった模様。
さて、前置きはこれくらいにして、本編へ。
井上@ルドルフ
前半はちょっと低めな歌い方。しかし、ビックナンバーになると相変わらずの井上節。政治的な面より恋愛色を強めているルヴォー演出なのに、常に不幸のオーラを纏うDrew@ルドルフよりも、不倫なのに純愛的雰囲気を醸し出すプリンス・井上。
で、常に懐にウィスキーのスキットルのアル中+常に咳をしている病弱設定はプリンス的にNG?
和音@マリー
単に前任役者なファンなため、歌を聞いていても、そちらに脳内変換。単にまだ、声を覚えてないだけか。それでも、1幕最後の"only love"は歌い上げる。
結構、高音域な曲が続くため、ヅカ特有な裏声歌唱に。『三銃士』のコンスタンスくらい可愛い路線なら良いのだが、ちょっと勝ち気な役になると、イメージが変わる。
吉沢@ステファニー
聞いていて、宮地雅子を思い出すオバチャン声。ただ、ヅカとも東宝系とも違う。かと言って、開口でもないような。ま、台詞は聞き取り易かったかも。一応、『赤毛のアン』のタイトルロールで観ているが、四季ヒロイン以上の印象が残らず。
二幕の逆ギレソングが結構、高音というか、ヒロイン声で展開。ドスの利いた声や知念里奈ボイスで容易に反芻出来る曲だけにちょっと意外だった。何より、この曲を日本人が歌って演歌にならなかった事に、ビックリ。
坂元@ターフェ
ひたすら高飛車で慇懃無礼だった岡@ターフェとは違い、小悪党(身長的な意味でなく)な巧みに言葉を操る頭脳派な首相。
"栄光への道"の高音域は良かったが、地球儀にキスする演出がなんか悪役というよりは、駄々っ子。
ツェップスを呼びつけ、プレッシャーを掛けるために低い椅子に座らせているハズなのに、単に絵的に映えないから、座らせている印象。
マリーとの対決ソングでは、ちびっ子の遊び…。
舞踏会シーンとか他でも舞台に居る割合は多いのだが、如何せんライトが当たってないと埋没。
悪くはないし、岡@ターフェともUwe@ターフェとも違う役づくりなのだが、やはり、この演出で岡@ターフェを観たかった。
で、ラリッシュとの関係は全く無くなった模様。ま、これはハンガリー版オリジナルの設定で、ハンガリー版にしかない、二人のナンバーを聞きたいのだが、無理なのか。
一路@ラリッシュ
正直、ルドルフと一緒にいると、シシィに脳内変換。今回、演歌というか歌謡曲唄いの人は居ないかなー、と思ったらここに居た。"英雄だけが"とか、アソコまで演歌になるとは思わなかったし。
単純にCarin@ラリッシュを聞き込んでいたので、ちょっと残念なことに。
村井@フランツ
白軍服から始まって、赤の襟コートにジャベの様な海老フライ帽子、プロイセンブルーのジャケットが観れて満足。
"なぜ聞かない"の高音域は普通に外していたような。やはり、この人にあの手の音域を唄わせたらイカン気がする。でも、"手の中の糸"はハッキリ識別可だし、"守るべきはこの国"(の前半低音域部分)は聞きたかった。
原@アンドラーシ
今回、登場シーンを無駄に把握していた為に識別出来たアンサンブル。アンドラーシではモジャモジャで、少ないながらも低音ソロパートと美味しい。
ひの@ヴィリグート
ターフェの側近で眼鏡の方。チェスコンに引き続き、眼鏡キャラ。低音俳優なので、印象に残り易い人なのだが、今回はキャラ的に美味しかった。
"狐の罠"というターフェ用ソロが追加された事により、ヴィリグートのソロも増えたがその低音を遺憾なく発揮。
エドワード役者がルドルフとほぼ同年代。
前回の新納@エドワードと合わせたのか。でも、ルドルフのオジサン設定。
ウィーン版のナイスミドルなオジサン設定でないのか…。
今回、演出とともに歌詞も一部変更。階段→道にするなど、こういう細かい変化がどれくらいの効果をもたらすかは謎。でも、"それ以上の…"とかはサビ以外は結構変わったので、ほぼ新歌詞。
"命令次第"から"手の中の糸"と原詩に近づけた今回。『叫べ 喚け 苦しむがいい』や『あなたこそが 救いの主だ』という直接的だけど、気に入っていた歌詞が無くなったのが残念。
で、ターフェも口にする『ただの恋』。"それ以上の…"に出てくる『ただのロマンスじゃない』と同義語だと思うので、"恋"でなく"ロマンス"を使った方が綺麗では?とは思った。
また、今回ドイツ語歌詞を飽きる程に聞き込んで観劇したため、初めて日本語で聞くことでの音の足りなさを実感。普段は先に日本語詞→後から外国語歌詞となるので、気にならないのだが。
相変わらず恋愛・心中モノなルヴォー演出。勝手に"運命の赤いマフラー"と茶化していた小道具も健在。それも、マリーが出発する駅にこれ見よがしに落ちてるし(笑)。そしたら、文楽的素養との共通点を挙げる人が多数いて、そっちなのか、と。確かに、"運命の赤い糸"ではあまりに安っぽいメロドラマだし。
ウィーンで観た時は赤いブレヒト幕(これも文楽との共通点で上げている人多数)が結構使われている気がしたが、今回はそれほど感じず。どちらかというと、帝劇の巨大な空間に、タテヨコの直接的な空間が出現し、そこから人が出入りする印象。帝劇サイズの空間でもシンプルに活用する潔さ。
ただ、帝劇の歴史の中でも、初めて使用される演出が分からなかった。上手からでないと分からないらしいが。
ウィーン版でなかったモノに、フランツの馬に乗った銅像があるのだが、これの存在意義って。二幕の親子ゲンカシーンで、宮廷内なのに、ドーンと下手に鎮座していたのには笑った。普通は肖像画とかなんだろうが、銅像というセンスが(笑)
それと、ワイルドホーンだと良く登場するメイン二人の妄想デュエット。(違う場所にいるのに、同じ舞台でデュエット)二回ほど、歌うのだが、そこで見事にシンクロ振り付け。ちょっと、感動してしまった。あの妄想デュエットをここまで昇華してしまうルヴォー演出。『モンテクリスト』の“I will be there“とかルヴォー演出で観たいかも。
前回の東宝版と比べると、ルネサンス的な美術が完全に排除。また、ルドルフの束縛を意味する額縁セットも排除。その代わり、前述した直接的に切り取られる空間に、額縁効果と似たものを感じ、ルドルフの束縛効果を感じない事もない。ま、この辺はウィーン版を観た時も感じたので、東宝版との比較では無いのだが。
で、ラストのルドルフがマリーに会いに行くきっかけとなるシーン。マリーの指輪を渡す役目が、東宝初演だと、ルドルフ御者のブラットフィッシュで、違和感が無かったのだが、役そのものがカットのため、ルヴォー演出だとターフェが担う。Uwe@ターフェだとイヤミ優先で裏目に出た印象だったが、坂元@ターフェだと、最後に良い人路線に。えっと、そういう印象で良いのだろうか。
そういえば、今回、メイン二人もスケートシーン有り。
なのだが、あの奥からオケピギリギリまで走り込むシーンは無し。
光GENJIでないと無理か。オケピにネットまで張ってあったのに。
承前。
とりあえず、初演帝劇版の感想がコチラ。
この頃はそれほど、感想に力を入れてなかった模様。また、笹本ファンでもないらしい(笑)。
で、DVD版を観た感想がコチラ。
購入した人に宛てた感想のため、ちょっと力入ってます。パンフに書いてあった演出家の言葉や当時の劇評を参考にして書いてます。
そして、勝手にルヴォー演出考察。
で、その3ヶ月後にウィーンで観た感想がコチラ。
ターフェがセカンド役者で無念、それに尽きる感想。また、DVDでは分からなかった、ドーンと登場するブレヒト幕と空間がスーッと出現する場面転換が衝撃的だった模様。
さて、前置きはこれくらいにして、本編へ。
井上@ルドルフ
前半はちょっと低めな歌い方。しかし、ビックナンバーになると相変わらずの井上節。政治的な面より恋愛色を強めているルヴォー演出なのに、常に不幸のオーラを纏うDrew@ルドルフよりも、不倫なのに純愛的雰囲気を醸し出すプリンス・井上。
で、常に懐にウィスキーのスキットルのアル中+常に咳をしている病弱設定はプリンス的にNG?
和音@マリー
単に前任役者なファンなため、歌を聞いていても、そちらに脳内変換。単にまだ、声を覚えてないだけか。それでも、1幕最後の"only love"は歌い上げる。
結構、高音域な曲が続くため、ヅカ特有な裏声歌唱に。『三銃士』のコンスタンスくらい可愛い路線なら良いのだが、ちょっと勝ち気な役になると、イメージが変わる。
吉沢@ステファニー
聞いていて、宮地雅子を思い出すオバチャン声。ただ、ヅカとも東宝系とも違う。かと言って、開口でもないような。ま、台詞は聞き取り易かったかも。一応、『赤毛のアン』のタイトルロールで観ているが、四季ヒロイン以上の印象が残らず。
二幕の逆ギレソングが結構、高音というか、ヒロイン声で展開。ドスの利いた声や知念里奈ボイスで容易に反芻出来る曲だけにちょっと意外だった。何より、この曲を日本人が歌って演歌にならなかった事に、ビックリ。
坂元@ターフェ
ひたすら高飛車で慇懃無礼だった岡@ターフェとは違い、小悪党(身長的な意味でなく)な巧みに言葉を操る頭脳派な首相。
"栄光への道"の高音域は良かったが、地球儀にキスする演出がなんか悪役というよりは、駄々っ子。
ツェップスを呼びつけ、プレッシャーを掛けるために低い椅子に座らせているハズなのに、単に絵的に映えないから、座らせている印象。
マリーとの対決ソングでは、ちびっ子の遊び…。
舞踏会シーンとか他でも舞台に居る割合は多いのだが、如何せんライトが当たってないと埋没。
悪くはないし、岡@ターフェともUwe@ターフェとも違う役づくりなのだが、やはり、この演出で岡@ターフェを観たかった。
で、ラリッシュとの関係は全く無くなった模様。ま、これはハンガリー版オリジナルの設定で、ハンガリー版にしかない、二人のナンバーを聞きたいのだが、無理なのか。
一路@ラリッシュ
正直、ルドルフと一緒にいると、シシィに脳内変換。今回、演歌というか歌謡曲唄いの人は居ないかなー、と思ったらここに居た。"英雄だけが"とか、アソコまで演歌になるとは思わなかったし。
単純にCarin@ラリッシュを聞き込んでいたので、ちょっと残念なことに。
村井@フランツ
白軍服から始まって、赤の襟コートにジャベの様な海老フライ帽子、プロイセンブルーのジャケットが観れて満足。
"なぜ聞かない"の高音域は普通に外していたような。やはり、この人にあの手の音域を唄わせたらイカン気がする。でも、"手の中の糸"はハッキリ識別可だし、"守るべきはこの国"(の前半低音域部分)は聞きたかった。
原@アンドラーシ
今回、登場シーンを無駄に把握していた為に識別出来たアンサンブル。アンドラーシではモジャモジャで、少ないながらも低音ソロパートと美味しい。
ひの@ヴィリグート
ターフェの側近で眼鏡の方。チェスコンに引き続き、眼鏡キャラ。低音俳優なので、印象に残り易い人なのだが、今回はキャラ的に美味しかった。
"狐の罠"というターフェ用ソロが追加された事により、ヴィリグートのソロも増えたがその低音を遺憾なく発揮。
エドワード役者がルドルフとほぼ同年代。
前回の新納@エドワードと合わせたのか。でも、ルドルフのオジサン設定。
ウィーン版のナイスミドルなオジサン設定でないのか…。
今回、演出とともに歌詞も一部変更。階段→道にするなど、こういう細かい変化がどれくらいの効果をもたらすかは謎。でも、"それ以上の…"とかはサビ以外は結構変わったので、ほぼ新歌詞。
"命令次第"から"手の中の糸"と原詩に近づけた今回。『叫べ 喚け 苦しむがいい』や『あなたこそが 救いの主だ』という直接的だけど、気に入っていた歌詞が無くなったのが残念。
で、ターフェも口にする『ただの恋』。"それ以上の…"に出てくる『ただのロマンスじゃない』と同義語だと思うので、"恋"でなく"ロマンス"を使った方が綺麗では?とは思った。
また、今回ドイツ語歌詞を飽きる程に聞き込んで観劇したため、初めて日本語で聞くことでの音の足りなさを実感。普段は先に日本語詞→後から外国語歌詞となるので、気にならないのだが。
相変わらず恋愛・心中モノなルヴォー演出。勝手に"運命の赤いマフラー"と茶化していた小道具も健在。それも、マリーが出発する駅にこれ見よがしに落ちてるし(笑)。そしたら、文楽的素養との共通点を挙げる人が多数いて、そっちなのか、と。確かに、"運命の赤い糸"ではあまりに安っぽいメロドラマだし。
ウィーンで観た時は赤いブレヒト幕(これも文楽との共通点で上げている人多数)が結構使われている気がしたが、今回はそれほど感じず。どちらかというと、帝劇の巨大な空間に、タテヨコの直接的な空間が出現し、そこから人が出入りする印象。帝劇サイズの空間でもシンプルに活用する潔さ。
ただ、帝劇の歴史の中でも、初めて使用される演出が分からなかった。上手からでないと分からないらしいが。
ウィーン版でなかったモノに、フランツの馬に乗った銅像があるのだが、これの存在意義って。二幕の親子ゲンカシーンで、宮廷内なのに、ドーンと下手に鎮座していたのには笑った。普通は肖像画とかなんだろうが、銅像というセンスが(笑)
それと、ワイルドホーンだと良く登場するメイン二人の妄想デュエット。(違う場所にいるのに、同じ舞台でデュエット)二回ほど、歌うのだが、そこで見事にシンクロ振り付け。ちょっと、感動してしまった。あの妄想デュエットをここまで昇華してしまうルヴォー演出。『モンテクリスト』の“I will be there“とかルヴォー演出で観たいかも。
前回の東宝版と比べると、ルネサンス的な美術が完全に排除。また、ルドルフの束縛を意味する額縁セットも排除。その代わり、前述した直接的に切り取られる空間に、額縁効果と似たものを感じ、ルドルフの束縛効果を感じない事もない。ま、この辺はウィーン版を観た時も感じたので、東宝版との比較では無いのだが。
で、ラストのルドルフがマリーに会いに行くきっかけとなるシーン。マリーの指輪を渡す役目が、東宝初演だと、ルドルフ御者のブラットフィッシュで、違和感が無かったのだが、役そのものがカットのため、ルヴォー演出だとターフェが担う。Uwe@ターフェだとイヤミ優先で裏目に出た印象だったが、坂元@ターフェだと、最後に良い人路線に。えっと、そういう印象で良いのだろうか。
そういえば、今回、メイン二人もスケートシーン有り。
なのだが、あの奥からオケピギリギリまで走り込むシーンは無し。
光GENJIでないと無理か。オケピにネットまで張ってあったのに。