備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『フェードル』

2017-04-11 01:12:09 | 国内ストプレ
テキトーなあらすじ。

アテネ王の実子・イッポリットが
反逆者の娘・アリシーへの思いを、
養育係のテラメーヌに語る処から始まる。

一方、フェードルはイッポリットへの
叶わぬ思いを乳母のエノーヌに語る。

アリシーはアリシーで、
今の状況を腹心のイスメーヌに嘆く。

そこに『テゼが死んだ』という報を受け、
フェードルはイッポリットに思いを告げる。
しかし、イッポリットはアリシーを
愛していると告白し、去っていく。

諦めきれないフェードルはエノーヌに、
その後のイッポリットの様子を見に行かせるが、
エノーヌから、テゼが帰還したことを告げられる。

テゼの帰還により、フェードルは
イッポリットが謀反を興したと伝え、
怒り狂うテゼ。真実を話せないイッポリットは
アリシーと結婚しようとしている事を伝え、更に怒る。

フェードルはフェードルで、
アリシーをテゼに殺ささせることを画策。
一方で、エノーヌを追放。

そこに再び現れるテゼ。
真実をアリシーに問いただすが、
何か隠していることに気づく。

しかし、口を割らないアリシー。
そこで、エノーヌを呼び出すが、
すでに自殺した後だった。

更に、イッポリットを呼び出すが、
怪物に殺されたという報が。

そのまま、フェードルも自殺し、
残ったテゼは、アリシーを引き取り、幕。


大竹@フェードル
安定の大竹節。
台詞を口にした瞬間から、
その言葉はフェードルの言葉、
というよりは、何時もの大竹さん。

ただ、時折、少年のような声色を使い分け、
その正気を失ったような台詞にゾッとする瞬間が。

精神を病んだ人を演じたら、
右に出るものは居ない。
それを改めて、再認識。


平@イッポリット
大変に正当派な演技。
(ただし、この座組では)

以前は、観ていても、声が父親に似ているな、
と思うことがあったが、今回はそんな事もなく。
発声を変えたのだろうか?

声質がクリアで、
台詞がハッキリ聞こえる安定さ。


門脇@アリシー
大変に特徴的な声。
とりあえず、台詞は聞こえるけど、
聞き取りやすい声ではなく、映像系の人かな、と。

最初、母国語が日本語では無いのかも、
と、チラッと感じたが、プロフを観ても、
そんな経歴はなく、単に、個性的なだけ。


谷田@テラメーヌ
劇団内で観ている時は、
クセの無い演技をする印象だったが、
今回の座組では、ちょっと印象に残る。

若干の老け演技をしてるのも要因かも。

声質はそれほど良いわけではなく、
そこに吉田鋼太郎氏っぽい、モノを感じるのだが、
滑舌がよく、台詞が聞き取れる。

特に、その台詞がスッと頭に入る。
聞いていて、シェイクスピア俳優だな、と。


キムラ@エノーヌ
やはり、声に特徴がある。
その包み込むような声に、
暖かみというか、乳母というか。

単なる世話好きとも。

もう出てくるだけで、存在感。
前半は引っ詰めた髪型だったのに、
後半のザンバラな髪型が哀れで。



今回、主人と従者という関係が前面に。
単に、この時代なので、従者は必須なのだけど、
冷静にツッコむ従者(テラメーヌ)
ただ聞いている従者(イスメーヌ)
ツッコむ処か勝手に動く乳母(エノーヌ)
と、様々な関係が存在。

そんななか、テゼには従者は居ない。
王なのに、居ない。

信用出来る情報源がなく、
信用出来る者(乳母)を呼びつけたら、
死なれてるし、息子を呼びつけても、
死なれてるし、と、王ゆえの孤独が強調。


ギリシャ悲劇なので、
最終的に誰か、死ぬだろうと、
思っていたら、テゼ以外の王族、
ことごとく、死亡。
まさか、主人公まで死ぬとは。
むしろ、最初、死人扱いだった、
テゼが生き残るというオチ。


栗山演出。
特に、この人の演出の特徴は、
把握してないけど、照明の使い方、
音楽の差し込み方が印象的。

フェードルの初登場時の
不協和音感がスゴかった。

十時に交差する照明。
その重なる処に、何時も座るフェードル。

後は、ラストの明るい未来を表現するセット転換。
それまでは壁に囲まれたセットで、
謎の模様が壁に投影されている。
これも意味が有るのか、無いのか。

一脚だけある椅子。
常に、舞台に有るが、
座るのはテゼだけ。実は王座。

決して座らないイッポリットの、
王にはならないという現れ?



今井@テゼ
登場するまでの役の設定が、
”行く先々で女を作る”
その話を養育係が
息子に話すくらいに有名。

更に、”捕虜として捕まる”
その後の消息は不明という報告。

そして、”王は死んだ”という死亡の報告。

もう、登場するまで、散々な言われようで、
実際、登場するときは、回想シーンか亡霊シーン
での登場かと、思っていたら、普通に帰還。

しかし、捕虜だったので、
白髪で結構ボサボサな髪型。
それに顎ヒゲの無精ヒゲ加減。

地毛を白く染め、ヒゲも伸ばしているが、
もみあげは付けヒゲだと思われる。


衣装は変わらず、一着のみ。
作務衣のようなインナーに、
マント(というよりはローブ)。
そのマント捌きが様になる。

出演者、全員が単色で
テーマカラーを持っているが、
何故か黄色。カレー好きですか…、と。

また、汗ジミが目立つ色なので、
後半になると、結構、汗だくなのが分かる。

なお、身体のラインが
目立たない、ゆったりめの衣装。
腹廻りが全く、分からず、
スラっと見える造りと思われる。

が、カテコで、退場するとき、
段差がある舞台なので、
衣装を持ち上げて、退場するのだが、
その時に、腹廻りは変わっていないことが発覚。


終始、怒っている演技だが、
一度、イッポリットに対して、
壁に押しつけ、壁ドンをしてみたり。

今回は悲劇なので、
常に怒っている演技。
で、今回の役を観ていて、
追放されたリア役を観てみたいなと思った。
(年齢的にシェイクスピアで主役出来るのが
リア王くらいしか無いとも言えるが)

が、後ろを向いて話した時に、声が届かず、
所詮、ミュージカル発声というのに気づいた。

元々、語尾が流れるクセが有るけど、
今回、観ていて特にそれを感じた。
そのため、台詞の最後が聞き取りづらく、
シェイクスピア作品の場合、
まずは台詞が聞き取れないと。

そう考えると、この役を
平幹氏で、観てみたかった。
なんか、スゴいハマりそう。

あるいは、木場氏だと、
王様には見えないけど、
フェードルの夫役として、
異なるアプローチをしてきそうな。

そう考えると、居るだけで
王様に見える今井氏というのは、
結構、オイシいのかも。
すべては、体型有りきな役という結論。
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2 コメント

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壁ドン (花菱)
2017-04-19 10:12:54
上手方向に追い詰めるだけで、ドンしたくても壁がなかった?かも。
ちょこっと座れる石が上手にありましたよね。あそこに追い詰めてました。

中央の張り出した部分の両脇にマイクが置いてあったんですが、あれはなんの為なんだろう。。と今でも不思議です。
返信する
花菱様 (dacho)
2017-04-20 02:09:19
確認、ありがとうございます。

やはり、あれは演出でなく、
単なる流れでの壁ドンでしたか。
それが若干、面白いことになっていたので、
印象に残っていたのですけど、偶然の産物ですか。

でも、ベンチを使用して、
迫るのは、無かったような。


マイクは気づきませんでした。
BGMが入ったときの台詞を拾う用?

返信する

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