備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『月光露針路日本 風雲児たち』

2019-06-03 02:46:00 | 国内ストプレ
パルコ歌舞伎の感想はコチラ

教授風の男、花道から登場。

まず、上演の注意。
そして、質問コーナー。
なお、『ここは何処ですか?』
→三谷クンに聞いてくれ。
『あなたが、三谷氏では?』
→どう考えても違う。
『あなたの職業は?』
→教授です。

で、船の歴史を語り始める。
ただ、ステップで前に進んだり、
微妙な笑いをサラっていく教授。

途中、徳川家康で、拍手を誘ったり、
『いえや〜す』と、歌ったり。

そのまま、船は遭難しやすい、
と、いう紹介の元、天命の大嵐では、
多くの船が遭難したが、一隻だけ残った、
それが、新昌丸、と言い、
一気に、舞台は大海原に。

一幕
遭難している新昌丸。
その船は、嵐を乗り切るため、
船頭の指示で、帆柱を切ってしまい、
ここ数日、ひたすら海上を漂っている。

そんな船には、
常に文句をいう庄蔵、
マイペースで周りに合わせない新蔵、
一番の年長で病がちの九右衛門、
切った帆柱に頭を打ってしまった小市、
要領の悪い青年磯吉、
など、個性的なキャラが
そこに、頭の三太夫が皆を慰め、
船を取り仕切る三五郎(磯吉の父)が現れる。

頭として自信を失っている
光太夫を三五郎は励ます。
そして、雰囲気を変えようと、
岸までどれくらいか、と
神籤を立てるが、その結果は
何度やっても600里と大変に遠い。

そうしている内に、
船員の一人に死期が迫る。
皆が励ますなか、息を引き取るが、
来年こそは日本へ帰ると、誓う光太夫。

と、何処かの海岸。
漂流のすえ、ロシアに着いた光太夫一行。

原住民と折り合いをつけ、
帰国する手だてを考えている光太夫。

相変わらず、文句をいう庄蔵や、
一人船を造り、島を渡ろうとする新蔵、
ますます何を考えているか分からない小市、
ロシア語を覚え、船に居る時より活き活きしている磯吉。


そこにロシア船が
やってくるのが見える。
助けを求めようと、
皆が見守る中、沈むロシア船。

皆が絶望するなか、沈んだ船の
残骸で船を作ろうと決意する光太夫。


二幕。
冒頭、唄が有り、島を脱出し、
カムチャツカに移った事を説明。

更に、悪化する環境で、光太夫は、
帰国の申請をするため役所に。
しかし、許可は降りず、
そのためにオホーツクに行くしかない。

更に、ロシア語を覚え、通訳に専念する磯吉、
相変わらず、常に文句をいう庄蔵、
何故か船に居るときより元気になっている九右衛門。

牛の肉や牛乳など、ロシアの食文化に馴染み、
磯吉によるロシア語講座も開催されるなか、
また一人、仲間を失う一行。

そして、オホーツクにたどり着くが、
そこでも帰国の許可が降りず、
ヤクーツクに行くが、そこでも許可が降りない。
そして、イルクーツクに行くことに。

奥地に行くことに不満を持つ一行だが、
その一方、磯吉は気もそぞろ。
実は村娘のアグリッピーナと恋仲に。

しかし、皆と旅を続ける決意をした
磯吉はアグリッピーナと別れ、イルクーツクへ。

その行程は犬橇。
その途中、足を負傷する庄蔵。
次々と犬が倒れるなか、
なんとか、イルクーツクにたどり着くのだった。

三幕。
イルクーツクでは家を与えられる一行。
光太夫は、毎夜、有力者に
体験談を語って寄付を恵んで貰っている。

日本に戻る気がないのでは?
と疑う九右衛門は一人、
日本スタイルを貫く。

新蔵はロシア人と同じ格好をし、
日本の諺で会話するマリアンナとつき合う。

そんななか、庄蔵は、道中の
怪我が元で、足を悪くする。

そこに、学者のラックスマンが現れる。
光太夫の噂を聞いたラックスマンは、
日本人学校の教師の職を薦めるが、
帰国の思いを聞かされると、
女帝エカテリーナに許可を貰えば良いと提案。

サンクトペテルブルグに向かう日、
九右衛門がとうとう、息を引き取る。

サンクトペテルブルグの宮殿。
光太夫とラックスマンが待っていると、
そこに新蔵が現れ、帰国申請は3人で、
言い出す。というのも、庄蔵が
キリスト教に改心し、新蔵も改宗したのだった。

実は、足の手術のため、金がいるために、
改宗した庄蔵と、一人残せないと心配した新蔵。

そんな二人の友情を確認し、謁見に。
そこにポチョムキンが現れ、光太夫を
要職につかす段取りになってることを話す。

それを拒否し、帰国をエカテリーナに直訴する光太夫。
日本の内情を知っていること、ひいては、
ロシアの事を知りすぎた光太夫を帰すわけには
いかないというポチョムキンに対し、
エカテリーナは自身の事を重ね、帰国を許す。

帰国当日、庄蔵と新蔵との
別れを告げ、ロシアを去る光太夫。

帰国の船中。
日本の地を目の前にして、
小市が病に掛かる。

富士山を見たがる小市に、
見えると嘘をつく、光太夫と磯吉だが、
着く前に、生き絶える、小市。

最終的に二人になった航海だが、
そのまま日本を目指し、幕。


光太夫@幸四郎
二日目だけど、安定の鼻声。
でも、現代語なので言ってる事は分かる。
それだけが、やはり救いというか。

単に、昼公演もある人だし、
お疲れという雰囲気もあるけど、
主役なら、もっと、落ち着いた、
どっしりと構えた役(人)で観たいかも。

途中、現代ギャグが出てくるのだが、
これは本人の意向なのか、脚本家の指定なのか。
ドリフ、それも志村けん氏より、
若干、本人の世代の気もするけど、
三谷脚本で、この手のギャグが来るとは。

ま、演出家がOK出したんだろうけど。


庄蔵、エカテリーナ@猿之助
常に文句をいうキャラ。
これは当て書きなのか、
こういうワガママな役が、
エノケソに続いて、猿之助枠。

エノケソでも思ったけど、
ワガママを言っても憎めない、
なんか許せてしまう枠っていうのが有るのかも。

もうひとつが、エカテリーナと女形。
これがそれほど、違和感なく、
でも、女形の人では無いと思うので、
所作に寄る処があるのかも。


新蔵@愛之助
一人、マイペースを貫く、
一匹狼、というか研究家資質というか。
クールに見えて、実は仲間思いというのが、
最後に分かるけど、そういう、実は人情家枠。

三谷作品の参加は少ないけど、
メインよりは補佐の方が合いそう。


小市@男女蔵
頭を打ったために、
ちょっと、足りない役。

(『子供の事情』でも、
こういうキャラは居たけど)
今までの三谷脚本には、
居ないタイプのキャラだけに
これは原作準拠なのか、それとも、
やはり、こういうキャラを入れるようにしたのか。

で、そういうキャラを
違和感なく演じる梨園界の幅の広さ。


磯吉@染五郎
現代の言葉を舞台で話すと、
所謂、子役感な台詞廻しに。

それでも、棒読みとは違い、
発声の基礎は押さえているのかな、と。

で、キャラ的に、浅利陽介氏的な雰囲気が。


九右衛門@弥十郎
長老ポジション。
実際、年長では有るのだが、
如何せん、歌舞伎界でのポジションが分からず、
元気なおじいちゃん、としか観れない。


三五郎、ポチョムキン@白鸚
三五郎の光太夫への冷静な補佐ポジションに、
『王様のレストラン』の千石さん、再び。
で、完璧に見えて、ボケる辺り、そういう位置か。

ただし、一幕前半のみで、
漂流先でも生きているが、出てこない。
というか、ここでフェードアウトし、
カテコの死んだ仲間達で再登場。

二役目がポチョムキン。
こっちはサリエリのビジュアルで、
腹黒く、色々と画策する小悪党。
そのほんのり、悪人っぷりが、またハマる。


現代語なのに、専用の聞き取りチャンネル
を持っていないので、若干、聞き取りづらい。
三階席から観ているという事もあるが。

それでも、三谷脚本の新作、当て書きを
舞台で観られるチャンスは、まず無いので、
これはこれで、全然、アリ。


ラックスマン親子@八嶋
三幕目でやっと登場。
そして、そのテンションで、
歌舞伎座だろうが、関係なく演技。

ただ、悪ふざけはなく、
忠実に台本を再現、してそう。


教授風の男@松也
登場は冒頭のみ
→これ、公演後半はバイトが増えたらしい。
むしろ、何故、登場?と言ったキャラで、
次回の三谷作品に、出演しそうな梨園の人枠。



歌舞伎座で、初めて、座っての観劇。
普段は新橋演舞場なので、立ち見以外、
それも新装してからは始めて入った。

一幕前半は普通に現代語で進むため、
他のストプレ作品との違いは分からず。
その現代語は最後まで続くが、
一幕後半から、謡いが入り、
歌舞伎を観てるな、という感覚に。

二幕になると、完全に歌舞伎っぽさが。
(主に音楽とか、合いの手とか)
→歌舞伎用語を知らない。


原作は有っても、三谷脚本。
台詞廻しとか、タイミングとか。
ただ、三谷演出と言われると、
何時もと違うかな、という気がする。

特に、冒険をする歌舞伎ではなく、
とりあえず、オーソドックスな歌舞伎。

それでも、普段、歌舞伎を観てる人にとっては、
これは歌舞伎じゃない、という感想は有りそうだけど。
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