
アルデンヌクラシックの初戦第59回アムステルゴールドレースが行われ、アルデンヌクラシック全制覇を狙っていたポガチャルが初戦で敗れることになりました。それもスプリント力で劣るマティアス・スケルモースにゴールスプリントで敗れたのです。衝撃でした…

確かにミラノ~サンレモでもゴールスプリントで3着に敗れているのですが、相手はマチュー・ファンデルプールとフィリッポ・ガンナでしたから、あれはゴールスプリントに持ち込まれた時点でポガチャルに勝ち目の無いレースでした。ただ、今回は相手がレムコ・エヴェネプールとスケルモース。誰もがポガチャルが勝つと思ったはずです。それが、最後の最後でスケルモースに写真判定という僅差で敗れてしまったのです。

残り47.6kmのフルペルベルクの丘でアラフィリップのアタックに反応して飛び出したポガチャルでしたが、いつものように独走に入るかと思いきや、後続とのタイム差を広げることが出来ませんでした。いつものポガチャルならあっという間に1分以上のタイム差を築いてしまうのですが、この日はアタックにキレがありませんでした。

スケルモースが単独で追い、それにレムコが追いつきます。2対1で残り20㎞を14秒差では分が悪いと判断し、ポガチャルは二人を待ちます。この段階では3人のゴールスプリントなら自分が勝てるという自信がポガチャルにはあったと思います。レムコは長い距離のスピードは驚異的ですがスプリントが強い訳ではありませんし、ましてやスケルモースはパンチャー系のGCライダーでむしろスプリントは苦手な選手なのですから。
ただ、結果はスプリント力の無いスケルモースにスプリントで敗れたのですから、ポガチャルのショックは大きかったはずです。確かに相手はレムコと判断しレムコを振り切って油断したこともあるのかもしれませんが、ポガチャルは決して踏み止めてはいないです。単純にゴール前の出力不足ではなく、ポガチャルがスプリント勝負の経験不足によるところが大きいと見ています。それと、ショートクランクはスプリントに不向きということも影響していると考えています。

そのことも考慮してポガチャルはフロント55Tというチェーンリングを使用しています。通常の54Tを使っていてスプリントも強いマチューのクランク長は172.5㎜なのです。勿論、身長差もあるので一概に比較は出来ませんが、この7.25㎜の差は決して小さいものではないのです。単純な出力勝負ならクランク長が長い方が有利なのは明白なのですから。

ただ、このポガチャルの敗因はパリ~ルーベにあると私は考えています。あのマチューがアルデンヌは走らないと決めたほど過酷なレースだったということだと思います。ポガチャルにもあのレースの疲労が少なからず残っていたはずなのです。これがパリ~ルーベという特殊なレースがもたらす代償なのでしょう。昨年、パリ~ルーベを連覇したマチューはこのレースは22位という結果に終わっているのですから。勿論、アルデンヌクラシックはマチューが得意とするレースではありませんが、リエージュ・バストーニュ・リエージュでは3位と好走を見せているのです。

ポガチャルもパリ~ルーベから中1週というスケジュールは初めての経験ですから、ポガチャルは来年以降の新たな課題が見つかったと前向きに捉えているはずです。昨年はWツールという偉業達成の後、オリンピックを欠場し、レース間隔が大きく空いてしまったグランプリ・シクリスト・ケベックで7位に敗れた時にも心配したのですが、続くモントリオールではしっかりと勝ち切り、あの世界選手権での独走劇を見せてくれたのです。

23日のフレーシュ・ワロンヌ、そして今週末のリエージュ・バストーニュ・リエージュと連戦になりますが、ポガチャルの最大の目標はモニュメントのリエージュ・バストーニュ・リエージュのはずなので、あせらずに調整に努めて欲しいと願っています。公開されているSTRAVAの数値では255.77㎞、獲得標高3,274mを時速43.9㎞/hですが、今回は明らかにポガチャルの出力不足が原因です。それが疲労によるものなのか、先を見据えて力をセーブしていたのかは不明です。ただ、STRAVAのタイトルが”2nd (炎と2本の指の絵文字)close but no cigar. On to next”とあるので、気持ちの切り替えは出来ていると思います。
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