CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

王者復活の証明(4)

2014-04-03 12:26:12 | プロ・ツール

Ta2014_08
 コンタドールが再びマイヨジョーヌを獲得するには、山岳でフルームに対し2分以上のアドバンテージが必要だと見ている。アシストの力を必要としない個人TTでコンタドールは確実にフルームにタイム差をつけられてしまうはずだからだ。
 今年のツール・ド・フランスでは第20ステージに54kmの個人TTが組まれている。昨年は第17ステージの個人TTこそフルームに9秒差の2位でフィニッシュしているが、距離32kmの山岳TTでのものである。平坦基調の第11ステージの個人TTではフルームに33kmで2分3秒もの大差を付けられている。コンタドールが昨年以上の調子にあるとしても54kmのTTでは2分程度のタイム差は覚悟しておかなければならないだろう。Tdf2014_profil14

 従って、コンタドールが真の王者復権を果すためには、2週目のアルプスで勝負をかける必要がある。シャムルースにゴールする第13ステージと、大会最高地点の標高2360mイゾアール峠を越えてリゾルにゴールする第14ステージの2連続山頂ゴールでまずしっかりとマイヨジョーヌを獲得することが必要条件となるだろう。できれば、ここでフルームに対し1分以上のアドバンテージが欲しいところだ。
Tdf2014_profil18
 アドバンテージを持って最終決戦地ピレネー山脈での3連続山岳ステージに臨むことができれば、フルームに対しかなりのプレッシャーをかけることができるはずだ。一昨年の完璧なアシスト陣が崩壊しつつある今年のSKYなら、ピレネーでもタイム差を稼ぐことは可能だろう。そして、第18ステージを終えた時点でフルームに対し2分以上のタイム差があれば、第19ステージの個人TTを凌いで3度目のツール・ド・フランス制覇が見えてくるに違いない。Tdf2014_profil18_2

 王者復権を目指すコンタドールにとって幸いなのは、今年のツール・ド・フランスにはTTが1ステージしかないことだろう。近年、TT能力の低下が目立つコンタドールにとって、序盤にTTがあってタイム差を付けられる心配がないのは闘い易いはずである。
Tdf2014_map
 ヘント~ウェベルヘム終了時のUCIワールドツアーランキングでトップに立ったコンタドール。ここ数年に無い好調さを見せていいスタートを切っている。このまま調子を維持し、是非、ツール・ド・フランスの大舞台で3度目の制覇を成し遂げて欲しいものである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

王者復活の証明(3)

2014-03-31 19:27:17 | プロ・ツール

 ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャの第4ステージで、雪と霧に包まれた標高2200mの超級山岳バルテル2000山頂に先頭でフィニッシュしたのは、残念ながらアルベルト・コンタドールではなかった。総合トップのホアキン・ロドリゲスには先着したものの、詰めたタイム差は1秒で、結局、4秒差の2位で大会を終えることになった。Vcc2014_4st_01

 第4ステージは残り3km地点からアタック合戦が始まったが、コンタドールにはティレーノ~アドリアティコの時のようなキレがなかったようだ。間隙を突いて仕掛けたティージェイ・ヴァンガーデレンから3秒遅れの3位でのフィニッシュとなったのである。この結果をどう見るべきなのだろうか?
 結果だけを見れば、昨年のツール・ド・フランス総合3位のホアキン・ロドリゲスには秒差とはいえ先着を許しているが、総合1位・2位には先着しているのだから、少なくともコンタドールの状態は昨年より良いことは確かである。とすれば、今年のツール・ド・フランスでは表彰台圏内は確実と見てもいいのではないだろうか?
Vcc2014_7st_01
 ただ、既にツール・ド・フランスを2度(1度は剥奪)しているコンタドールにとって2位や3位では意味が無い。あくまでもツール・ド・フランスに出場する以上はポディウムの一番高い所しか考えていないコンタドールはあくまでも総合優勝を狙う立場にあるのである。
 ならば、最大のライバルはやはりフルームになる。ティレーノ~アドリアティコの前までは昨年と同様の仕上がりを見せていたフルームだが、ティレーノ回避後の調子はイマイチの状態で、この大会でも6位に沈んでいる。加えてアシストとして昨年大活躍したリッチー・ポートも2大会続けてのリタイヤしているので、昨年の6分27秒差はかなり詰まることは確実の情勢だと思う。ただ、逆転となるとどうだろう?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

王者復活の証明(2)

2014-03-27 12:27:19 | プロ・ツール

 ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャの第3ステージで王者への復権を目指すコンタドールはホアキン・ロドリゲスから5秒遅れの2位でフィニッシュ。昨年のツール・ド・フランス総合2位のクインターナは9秒遅れの3位、腰の痛みのためティレーノ~アドリアティコを欠場したフルームは13秒遅れの5位でステージを終えた。Vcc2014_3st_01

 ミラノ~サンレモ終了時点でのUCIワールドツアーランキングで3位に着けているコンタドールが今日の第4ステージを征すれば、シーズン序盤とはいえ、ランキングトップも見えてくる。第3ステージでは勝負が残り1km地点まで持ち越され、一瞬のパンチ力でホアキンに軍配が挙がったが、今日の超級山岳バルテル2000は標高2200m、登坂距離12km、平均勾配7.8%なので、ティレーノ~アドリアティコの時の様に早目に仕掛ければ十分勝機はあると見ている。
_prof04
 第3ステージでは今季初顔合わせとなるフルームやホアキン・ロドリゲス等の調子を見るために、彼らの動きを観察していた可能性は十分にある。レースを見ていないのでホアキンとの5秒差がどのような意味を持つのかは不明だが、総合優勝という点では決して大きなタイム差ではないはずだ。
 フルームがまだ本調子ではなく、アシストのリッチー・ポートを欠く状況では、ホアキンマークで勝機を掴んで欲しい。何度もアタックを繰り返し、徐々にライバル達を突き放して行く往年のコンタドールの姿をもう一度見せてもらいたいと願っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

王者復活の証明(1)

2014-03-24 11:53:51 | プロ・ツール

 ティレーノ~アドリアティコで久々に強さを見せたコンタドールがボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでクリス・フルームと激突する。昨年のツール・ド・フランスで完敗した相手にどこまでやれるのか、まさに『王者復活の証明』に相応しいレースになるだろう。
 第1回大会が1911年だから、その歴史はブエルタ・ア・エスパーニャよりも古い。2005年よりUCIプロツアーに組み込まれ、2009年までは5月中旬頃の開催だったが、同時期にジロ・デ・イタリアが開催されている背景もあって、有力選手の参加が少ないなど、盛り上がりに欠ける面が否めなかった。ツアーオブカリフォルニアが5月開催となったっこともあり、2010年より3月下旬へと日程が繰り上がっている。2011vcc_01

 2009年にバルベルデが、2010年にホアキン・ロドリゲスが、2011年にはコンタドールが総合優勝している伝統のある大会である。2011年の優勝は後に剥奪されているだけに、コンタドールとしてはどうしても欲しいタイトルのひとつだろう。
 但し、ここにはティレーノ~アドリアティコを怪我の影響で回避したクリス・フルームがリッチー・ポートを従えて参戦する。昨年のツール・ド・フランスで先着を許したナイロ・クインターナやホアキン・ロドリゲスもいる中で、コンタドールがどのような結果を残すのかに大いに注目している。
_prof03
 今年の総合優勝争いはコース・プロフィールを見る限り、第3ステージと第4ステージでほぼ決まると言っていいだろう。1級山岳コウベ峠(標高1031m)と超級山岳クレウエタ峠(標高1850m)を越えて、1級山岳ラ・モリーナ(標高1725m)まで駆け上がる第3ステージで、総合候補にセレクションがかかり、1級と2級の山岳を4つ越えてから超級山岳バルテル2000(標高2200m・登坂距離12km・平均勾配7.8%)に向かう第4ステージで総合優勝の行方は決まるはずである。_prof04

 ツアー・オブ・オマーンの第5ステージでステージ優勝を上げ、総合2連覇を果したクリス・フルームだが、ティレーノ~アドリアティコを直前で回避しているだけに、コンタドールには十分チャンスがあると見ている。逆にここでフルームに負けるようではツール・ド・フランスでの復活は難しいはずである。
 幸い、この大会にはTTがなく、純粋に登坂力で勝敗が決まるはずである。ティレーノ~アドリアティコのレース振りを見る限り、TT能力の衰えは隠せなかったが、コンタドールの登坂力は輝きを取り戻しているように見えた。特に、昨年ツール・ド・フランス総合2位のクインターナを2分以上突き放した第5ステージの強さは圧巻であった。
Ta2014_03
 大会が始まる前には「初日のチームタイムトライアルでついたタイム差が最後まで尾を引くだろう」と秒差の争いになるとコメントしていたコンタドールだが、レースが終われば2分という大差を付けていた。今シーズンのコンタドールはここ数年の中では最も調子がいいように見える。特にシーズンを通してわずか1勝に終わった昨年とはコンディション自体が大きく違っているに違いない。チームとしても、ティレノで3位表彰台に上がったクロイツィゲルも好調で、ツール・ド・フランスでの王者復活に期待が高まる。
 最大のライバルは勿論フルームだが、コース・プロフィールを見るとホアキン・ロドリゲスも怖い存在だ。いずれにしても超級山岳バルテル2000で繰り広げられるであろうバトルが見ものである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

王者の復活(1)

2014-03-21 19:47:39 | プロ・ツール

 ブエルタ・ア・エスパーニャの総合優勝こそあるものの、出場停止処分明けのコンタドールの走りには明らかに翳りがあった。昨年のツール・ド・フランスではフルームに6分以上もの差を付けられ表彰台を逃した時には、王者の時代は終わったのかもしれないと感じたものだ。彼にとっては惨敗ともいえる結果だったからだ。
 ただ、2014年シーズンのコンタドールはいささか違っていた。シーズン初戦となったヴォルタ・アン・アルガルヴェでは、昨年のツール・ド・フランスでクインターナとマイヨブラン争いを繰り広げ今季も好調のクヴィアトコウスキーに19秒差の総合2位で終えて迎えたティレーノ~アドリアティコで、その片鱗が明らかになった。T04_alt_big

 昨年の同レースでは、ニーバリ、フルームに次ぐ3位だったコンタドール。ケガでフルームは欠場し、替わりに出場したリッチー・ポートもリタイヤで、ライバルが少なかったことも事実だが、昨年のツール・ド・フランスで遅れをとったクインターナや昨年の覇者ニーバリ相手にどこまでやれるのか?正直あまり期待はしていなかったのである。
 ところが、チッタレアーレにあるスキー場セルヴァロトンダにフィニッシュする今大会最長244kmの第4ステージでクインターナを破り優勝すると、続く第5ステージではゴールまで32kmを残して単独アタックを見せ、マリアアッズーラのクヴィアトコウスキーを奈落の底に叩き落し、最大のライバルであったクインターナにすら2分以上の大差を付けて圧勝して見せたのである。
Ta2014_02
 出場停止明けのコンタドールはいささか無謀とも思われる奇襲攻撃を見せることが多かったが、昨年のツール・ド・フランスでは全て不発に終わっている。このレースでもスカイが万全の体制で望んでいればどうなったか分らないが、他チームには完勝であった。往年のコンタドールが戻って来たとは云えないまでも、出場停止明けの中では最も調子が上がっているように見えたのである。
 2012年にはブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を飾っているものの、あれは奇襲作戦が見事に嵌った結果である。感動的ではあったものの、その裏にはギャンブルをしなければ勝てない事情があったことは確かである。ただ、この時は復帰直後でコンディションがあまり良くなかったからだろうと思っていたのだが、わずかステージ1勝に終わった昨シーズンを見ると、王者の復権は難しいと感じずにはいられなかったのである。Ta2014_03

 確かに、クレンブテロール問題が浮上した2010年後半からコンタドールは往年の輝きを失っていた。コンタドールがツール・ド・フランス初優勝を飾ったのは2007年だから、もう7年以上も前のことになる。プロロードレーサーのピークが27歳から32歳だということを考えれば、もう1・2年はトップに君臨できる可能性は無きにしも非ずなのだが、若干24歳でツール・ド・フランスを征した早咲きのコンタドールにとっては、マイヨジョーヌを再び身に纏うことはもう無いだろうと、私自身も考えていた。ましてや、あの強いクリス・フルームの存在を考えると、その考えは益々強まるばかりだったのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする