ティレーノ~アドリアティコで久々に強さを見せたコンタドールがボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでクリス・フルームと激突する。昨年のツール・ド・フランスで完敗した相手にどこまでやれるのか、まさに『王者復活の証明』に相応しいレースになるだろう。
第1回大会が1911年だから、その歴史はブエルタ・ア・エスパーニャよりも古い。2005年よりUCIプロツアーに組み込まれ、2009年までは5月中旬頃の開催だったが、同時期にジロ・デ・イタリアが開催されている背景もあって、有力選手の参加が少ないなど、盛り上がりに欠ける面が否めなかった。ツアーオブカリフォルニアが5月開催となったっこともあり、2010年より3月下旬へと日程が繰り上がっている。
2009年にバルベルデが、2010年にホアキン・ロドリゲスが、2011年にはコンタドールが総合優勝している伝統のある大会である。2011年の優勝は後に剥奪されているだけに、コンタドールとしてはどうしても欲しいタイトルのひとつだろう。
但し、ここにはティレーノ~アドリアティコを怪我の影響で回避したクリス・フルームがリッチー・ポートを従えて参戦する。昨年のツール・ド・フランスで先着を許したナイロ・クインターナやホアキン・ロドリゲスもいる中で、コンタドールがどのような結果を残すのかに大いに注目している。
今年の総合優勝争いはコース・プロフィールを見る限り、第3ステージと第4ステージでほぼ決まると言っていいだろう。1級山岳コウベ峠(標高1031m)と超級山岳クレウエタ峠(標高1850m)を越えて、1級山岳ラ・モリーナ(標高1725m)まで駆け上がる第3ステージで、総合候補にセレクションがかかり、1級と2級の山岳を4つ越えてから超級山岳バルテル2000(標高2200m・登坂距離12km・平均勾配7.8%)に向かう第4ステージで総合優勝の行方は決まるはずである。
ツアー・オブ・オマーンの第5ステージでステージ優勝を上げ、総合2連覇を果したクリス・フルームだが、ティレーノ~アドリアティコを直前で回避しているだけに、コンタドールには十分チャンスがあると見ている。逆にここでフルームに負けるようではツール・ド・フランスでの復活は難しいはずである。
幸い、この大会にはTTがなく、純粋に登坂力で勝敗が決まるはずである。ティレーノ~アドリアティコのレース振りを見る限り、TT能力の衰えは隠せなかったが、コンタドールの登坂力は輝きを取り戻しているように見えた。特に、昨年ツール・ド・フランス総合2位のクインターナを2分以上突き放した第5ステージの強さは圧巻であった。
大会が始まる前には「初日のチームタイムトライアルでついたタイム差が最後まで尾を引くだろう」と秒差の争いになるとコメントしていたコンタドールだが、レースが終われば2分という大差を付けていた。今シーズンのコンタドールはここ数年の中では最も調子がいいように見える。特にシーズンを通してわずか1勝に終わった昨年とはコンディション自体が大きく違っているに違いない。チームとしても、ティレノで3位表彰台に上がったクロイツィゲルも好調で、ツール・ド・フランスでの王者復活に期待が高まる。
最大のライバルは勿論フルームだが、コース・プロフィールを見るとホアキン・ロドリゲスも怖い存在だ。いずれにしても超級山岳バルテル2000で繰り広げられるであろうバトルが見ものである。
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