CYCLINGFAN!!

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いよいよ始まる熱き戦い

2014-06-07 17:14:02 | プロ・ツール

 ツール・ド・フランス開幕まで4週間。いやがおうにも胸が高まる季節になった。2年連続でチームSKYの圧勝に終わっているツール・ド・フランスだが、今年は少し様相が異なっているからだ。Tdf2014_map
 昨年のフルームの強さを思い出せば、フルームの連覇は濃厚と見るのが妥当なのかもしれない。ただ、今年のツール・ド・フランスは復調気配が濃厚なコンタドールが台風の目となるに違いない。
 昨年はフルームから6分以上も離された4位に終わったコンタドールだが、今年は往年のコンタドールの強さが復活しつつあるような成績でここまで来ているのだ。
Ta2014_06  昨年はティレーノ~アドリアティコ総合3位、バスク一周総合5位、クリテリウム・ド・ドフィネ総合10位という成績で本番が4位。今年はティレーノ~アドリアティコ総合優勝、カタルーニャ一周総合2位、バスク一周総合優勝という、ここ数年では見慣れなかった好成績でここまで来ているのである。Ta2014_07
 特にティレーノ~アドリアティコでは、第4ステージでライバルのクインターナの様子を見極め、隙ありとみるや、翌日のステージは早目の仕掛けで2分以上のタイム差を付けるという強さを見せ付けていた。敗れたクインターナが後にジロ・デ・イタリアを征するのだから、今年のコンタドールはここ数年で一番良い状態にあることは間違いないだろう。
Depanne06_2  対するクリス・フルームはというとツアー・オブ・オマーンとツール・ド・ロマンディこそ総合優勝しているものの、今季コンタドールとの初顔合わせとなったカタルーニャ一周では総合6位に沈んでいるのだ。また、パリ~ニースも腰の痛みで、直前になって出場を取り消している。総合優勝はしたものの、ツール・ド・ロマンディは勝負所の山岳ステージで、マッチレースに持ち込みながら総合2位のサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)に敗れているのである。2014_st01_02
 確かに個人TTでは世界チャンピオンのトニー・マルティンを破るほど強いフルームではあるが、今年のツール・ド・フランスでは個人TTが1ステージしか用意されていないというのは不利な条件といえるだろう。
 復調気配が濃厚なコンタドールに対し、TTでは圧倒的な強さを維持しているものの、登坂力という点では昨年ほどの勢いが感じられない今年のフルーム。3月の時点ではあるが、カタルーニャ一周ではコンタドールの後塵を拝していることも見逃せない。
 今季好調のコンタドールが昨年の王者フルームと今季2度目の対決となるのが、クリテリウム・ド・ドフィネである。昨年のジロ・デ・イタリアの覇者ニーバリも参戦し、まさにツール・ド・フランスの優勝を占う前哨戦となる。なにしろこの5年間、ツールのマイヨ・ジョーヌは、全員が同年のクリテリウム・ド・ドーフィネの総合表彰台に乗っているのだから。
Cdd2014_profil1  10.4kmの個人タイムトライアルで幕を明け、初日の段階ではフルームがリードすることは間違いない。昨年は32.5kmの個人TTでフルームに3分近い大差を付けられてしまったコンタドール。確かに、近年のコンタドールにはTT能力の衰えが見られる。総合優勝を飾ったティレーノ~アドリアティコの最終ステージでもウィギンスに対し9.2kmで30秒以上の差を付けられているのである。ただ、4月のバスク一周の25.9kmの個人TTでは勝ったトニー・マルティンから7秒差の2位でフィニッシュいているので、コンタドールはTTに関しても復調の兆しが見えているような気はしている。Cdd2014_map01
 また、コンタドールはツール・ド・フランスへ向けて、バスク一周後は北のクラシックやアルデンヌ・クラシックを見送り、クリテリウム・ド・ドフィネまで間隔を明けるというスケジュールを組んでいる。この間、どんなトレーニングをしているのか定かではないが、無理の無いスケジュールは必ずプラスに働くに違いない。
 おそらくフルームはこのレースを勝ちに来ることが予想される。対するコンタドールは間隔が空いたこともあり、おそらく表彰台狙いで来るだろう。課題は初日の個人TT。コンタドールが初日の個人TTでどんなパフォーマンスを見せるのか?いよいよ明日、前哨戦の火蓋が切って落とされる。

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王者復活の証明(6)

2014-04-12 10:43:50 | プロ・ツール

 ブエルタ・アル・パイスバスコのクイーンステージは伏兵ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)の勝利で終わった。この日の登りゴールを征し、最終日の個人TTをそつなくこなしてくれればと見ていたのだが、ライバルのバルベルデにも2秒遅れての10位という結果に終わってしまった。
 確かに敵はバルベルデのみといった対応で、総合トップの座は守ったのだが、結果だけを見るならまだ絶好調時のコンタドールではないと感じざるを得なかった。というのも何度も攻撃を仕掛けながら、そこでライバル達を引き離せなかったからだ。2014_st04_01
 今季のコンタドールはここ数年と比べれば調子がいいように見える。それは間違いないだろう。ただ、往年のコンタドールならクイーンステージでライバル達に遅れを取ることはなかったはずである。
 ティレーノ~アドリアティコでは山頂ゴールを征しているが、続くボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャのクイーンステージでは、ホアキン・ロドリゲスに5秒差の2位に終わっているのである。勿論、シーズン序盤で本番はまだまだ先。この時期にピークの仕上がりでは、本番のツール・ド・フランスまで調子を維持するのは難しいことも確かなのだが、8部程度でも勝ち負けできるだけの力がないとツール・ド・フランスでの復権は厳しいのではないか。
2014_prof_04  復帰後のコンタドールは能力の高さで押し切るというより、戦略で勝負に出るケースが目立っている。従って、ライバル達のマークがきつくなるクイーンステージでの勝利数は確実に減っているのである。この傾向は好調の今季にも見られることなので、コンタドール自身が能力の衰えを感じている証左でもあるように思えてならない。
 今季絶好調のバルベルデも1週間のステージレースでは侮れないし、個人TTの能力を考えれば、昨日のゴールスプリントでも3位に食い込んでいるクヴィアトコウスキーも怖い存在ではある。ただ、ツール・ド・フランス総合優勝を狙うのなら、このあたりのライバルは蹴散らしておかないと話しにならない。
 この大会もいよいよ最後の個人TTを残すのみである。25.9kmのTTなら1分程度のタイム差は簡単についてしまう。バルベルデとは12秒差、クヴィアトコウスキーとは41秒差では予断は禁物である。幸い、コースは300m程度の登りが2箇所あるので、コンタドール向きではあるのだが、総合トップの座を守り切れるのかに注目したい。2014_st05_01
 コンタドールはこの大会の後はしばらく休養し、いよいよクリテリウム・ドゥ・ドーフィネからツール・ド・フランス本番へと向かうことになるようだ。ツール・ド・フランスは1度総合優勝から遠ざかると復活の難しい大会である。特に連覇していた選手が間隔を明けて勝利したのは1974年のエディ・メルクスと1981年と1985年のベルナール・イノーだけである。
 個人的にはベルナール・イノーのように飛び飛びでも勝利を重ねて欲しいものだと願っている。奇しくもイノーがツール・ド・フランスで初めて総合優勝を挙げたのも24歳のとことである。その後、膝の故障などもあり、80年と83年~84年(83年は不参加)で総合優勝を逃しているが、85年の勝利で5勝クラブの仲間入りをしている。
 今年で32歳を迎えるコンタドールは、年齢的に5勝クラブ入りは難しいとは思うが、少なくとも後1・2度は総合優勝争いが出来る選手だと思っている。TT能力の衰えは気になる材料ではあるが、そこは3週間に渡る長丁場であり、戦術や駆け引きが勝敗を分ける大会であれば、彼の経験値がフルームの能力を凌駕する可能性もゼロではないと思っている。

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王者復活の証明(5)

2014-04-10 13:56:14 | プロ・ツール

 ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャではホアキン・ロドリゲスに4秒及ばず総合2位で終えたコンタドールは予定通りブエルタ・アル・パイスバスコへ出場して来た。
 2008年と2009年で連覇を達成している大会で、大会前には「総合優勝をする」と宣言している。2008年はツール・ド・フランス初制覇の翌年で、コンタドールを含むアスタナがASOから招待されなかった年であり、2009年は2度目のツール・ド・フランス制覇を成し遂げた年である。
 翌2010年にはツール・ド・フランスで3度目の栄冠を手にするが、後のクレンブテロール疑惑でタイトルを剥奪されてしまう。あれから5年の月日が流れ、当時27歳だった彼も31歳になり、選手としての円熟期を迎えようとしている。
 彼が3度目の栄冠に輝いた時、ツール・ド・フランス5度の総合優勝は勿論、ジロ・デ・イタリアやブエルタ・ア・エスパーニャでのWツール制覇も2度や3度はするだろうと考えていた。
 ところが、クレンブテロール疑惑でその予想も一転してしまった。CASの裁定がくだるまでレースに出場し続けていたため、実質的な出場停止期間は短かったものの、復帰後のコンタドールに往年の力は無いように見えた。確かに復帰直後のブエルタ・ア・エスパーニャを征し、一時は王者の復活を喜びはしたが、昨年のツール・ド・フランスではフルームの前に完敗であった。
 クレンブテロール疑惑があってからのコンタドールには往年の輝きが見られなかった。2011年には2度目のジロ・デ・イタリア制覇を成し遂げているものの(後にタイトル剥奪)、ツール・ド・フランスでは総合5位に沈むことになる。ここ数年のコンタドールを見ていると、登坂力よりもTT能力の衰えが顕著なのである。
 コンタドールというと登りに強いというイメージが強いが、パンターニのような爆発的な強さを持っている訳ではない。小刻みなアタックを繰り返す中で徐々にタイム差を付けて行くタイプなのである。従って、登りだけで大きなタイム差を稼げないので、TTの結果が大きく影響することになる。
 実際に初優勝を飾った2007年にはカデル・エバンスに最後のTTで秒差まで迫られている。そこからTTの本格トレーニングをはじめ、一時はTTのスペインチャンピオンになるほどの成長を見せるが、クレンブテロール疑惑以後のコンタドールはTTに生彩を欠くようになっている。
 こうして考えて見ると彼のTT能力の衰えとクレンブテロールとの間に何か因果関係がありそうにも見えてしまうのである。登りに関しては身体能力以外にも、戦術や駆け引きなど重要なファクターがあるのだが、個人TTは純粋に個人能力の差が出てしまうので、ごまかしが利かない。特に最大のライバルがクリス・フルームならば尚更であろう。
 実際に昨年のツール・ド・フランスでは第11ステージの個人TTでフルームに2分以上もの大差を付けられいる。今年のツール・ド・フランスはチームTTも無く、個人TTも1度だけなので、例年の大会に比べればコンタドールに有利に働くことは十分に考えられる。ただ、距離が54kmと長いので最低でもTTまでにフルームとのタイム差は2分以上、できれば3分は欲しいところだろう。2014_st01_02_2
 そのコンタドールがブエルタ・アル・パイスバスコの第1ステージで今季7勝を挙げ絶好調のバルベルデに対し14秒の差を付けていきなり総合リーダーに踊り出ている。
 ブエルタ・アル・パイスバスコの第1ステージは登りゴールではなかったが、最大勾配が16%に達するガインツァ峠で最初に動いたバルベルデにカウンターアタックを仕掛け独走に持ち込んだコンタドールはガインツァ峠の頂上でバルベルデを15秒引き離し、下りでもリードを失うことなく先頭でゴールを駆け抜け、今季の5勝目を鮮やかに挙げて見せたのである。
2014_prof_01_2  ティレーノ?アドリアティコでは山頂ゴールを、この大会では山頂ゴール以外のステージを早目の仕掛けで征して見せたコンタドールの目には一度剥奪された3枚目のマイヨジョーヌが見えているに違いない。

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王者復活の証明(4)

2014-04-03 12:26:12 | プロ・ツール

Ta2014_08
 コンタドールが再びマイヨジョーヌを獲得するには、山岳でフルームに対し2分以上のアドバンテージが必要だと見ている。アシストの力を必要としない個人TTでコンタドールは確実にフルームにタイム差をつけられてしまうはずだからだ。
 今年のツール・ド・フランスでは第20ステージに54kmの個人TTが組まれている。昨年は第17ステージの個人TTこそフルームに9秒差の2位でフィニッシュしているが、距離32kmの山岳TTでのものである。平坦基調の第11ステージの個人TTではフルームに33kmで2分3秒もの大差を付けられている。コンタドールが昨年以上の調子にあるとしても54kmのTTでは2分程度のタイム差は覚悟しておかなければならないだろう。Tdf2014_profil14

 従って、コンタドールが真の王者復権を果すためには、2週目のアルプスで勝負をかける必要がある。シャムルースにゴールする第13ステージと、大会最高地点の標高2360mイゾアール峠を越えてリゾルにゴールする第14ステージの2連続山頂ゴールでまずしっかりとマイヨジョーヌを獲得することが必要条件となるだろう。できれば、ここでフルームに対し1分以上のアドバンテージが欲しいところだ。
Tdf2014_profil18
 アドバンテージを持って最終決戦地ピレネー山脈での3連続山岳ステージに臨むことができれば、フルームに対しかなりのプレッシャーをかけることができるはずだ。一昨年の完璧なアシスト陣が崩壊しつつある今年のSKYなら、ピレネーでもタイム差を稼ぐことは可能だろう。そして、第18ステージを終えた時点でフルームに対し2分以上のタイム差があれば、第19ステージの個人TTを凌いで3度目のツール・ド・フランス制覇が見えてくるに違いない。Tdf2014_profil18_2

 王者復権を目指すコンタドールにとって幸いなのは、今年のツール・ド・フランスにはTTが1ステージしかないことだろう。近年、TT能力の低下が目立つコンタドールにとって、序盤にTTがあってタイム差を付けられる心配がないのは闘い易いはずである。
Tdf2014_map
 ヘント~ウェベルヘム終了時のUCIワールドツアーランキングでトップに立ったコンタドール。ここ数年に無い好調さを見せていいスタートを切っている。このまま調子を維持し、是非、ツール・ド・フランスの大舞台で3度目の制覇を成し遂げて欲しいものである。

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王者復活の証明(3)

2014-03-31 19:27:17 | プロ・ツール

 ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャの第4ステージで、雪と霧に包まれた標高2200mの超級山岳バルテル2000山頂に先頭でフィニッシュしたのは、残念ながらアルベルト・コンタドールではなかった。総合トップのホアキン・ロドリゲスには先着したものの、詰めたタイム差は1秒で、結局、4秒差の2位で大会を終えることになった。Vcc2014_4st_01

 第4ステージは残り3km地点からアタック合戦が始まったが、コンタドールにはティレーノ~アドリアティコの時のようなキレがなかったようだ。間隙を突いて仕掛けたティージェイ・ヴァンガーデレンから3秒遅れの3位でのフィニッシュとなったのである。この結果をどう見るべきなのだろうか?
 結果だけを見れば、昨年のツール・ド・フランス総合3位のホアキン・ロドリゲスには秒差とはいえ先着を許しているが、総合1位・2位には先着しているのだから、少なくともコンタドールの状態は昨年より良いことは確かである。とすれば、今年のツール・ド・フランスでは表彰台圏内は確実と見てもいいのではないだろうか?
Vcc2014_7st_01
 ただ、既にツール・ド・フランスを2度(1度は剥奪)しているコンタドールにとって2位や3位では意味が無い。あくまでもツール・ド・フランスに出場する以上はポディウムの一番高い所しか考えていないコンタドールはあくまでも総合優勝を狙う立場にあるのである。
 ならば、最大のライバルはやはりフルームになる。ティレーノ~アドリアティコの前までは昨年と同様の仕上がりを見せていたフルームだが、ティレーノ回避後の調子はイマイチの状態で、この大会でも6位に沈んでいる。加えてアシストとして昨年大活躍したリッチー・ポートも2大会続けてのリタイヤしているので、昨年の6分27秒差はかなり詰まることは確実の情勢だと思う。ただ、逆転となるとどうだろう?

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