CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

JCロードレースはパウレスの勝利

2024-10-20 15:50:56 | プロ・ツール
 第31回宇都宮ジャパンカップは5名の逃げ集団から最後に飛び出したEFエデュケーション・イージーポストのニールソン・パウレスが2022年以来2度目の勝利を手にしました。クラッシックのグランピエモンテでも52kmの逃げ切りを決め、ポガチャルが4連覇したイル・ロンバルディアでも8位と絶好調のパウレスでしたが、相手がマテイ・モホリッチやマイケル・ウッズだっただけに、最後まで手に汗を握る展開でした。

 前日のクリテリウムでも距離が短いとはいえ序盤からアタックを見せていたパウレス。結果は5位でしたが、本番に向けたウォーミングアップだったのかもしれません。まあ、クラシックレースの覇者ですから、JCなら勝って当然なのかもしれませんが、今季のEFはカラパスのツールの勝利からグラン・ピエモンテのパウレスの勝利まで84日も空いてしまうほどの苦戦をしいられていたのです。
 パウレス自身、今年もツールに出場し見せ場は作っていたものの、勝利は無く、その後苦戦が続いていたのです。おそらく暑さに弱いタイプで、気温があまり高く無い春先や秋口に強さを発揮する選手なのかもしれません。1996年9月3日生まれのネイティブアメリカンで、今年28歳になります。EF加入は2021年で、この年のUAEツアーで5位、7月にはクラシカ・デ・サン・セバスティアンで優勝、世界選手権でも5位と奮闘を見せ、将来を嘱望されていた選手だったのですが、今回のJCの勝利を含めてもわずか6勝に留まっているのが不思議な選手なのです。

 グラン・ピエモンテで見せた50kmを越える独走力を見ると、来季の活躍に期待をしてしまいます。28歳と油の載り切っている年齢でもあり、エースとしてジロ・デ・イタリアを目指して貰いたいと思っています。カラパスの状態いかんですが、ツールもエースナンバーがあるかもしれません。ポガチャル1強時代に入りそうなので、ポガチャルの出場しないクラシックレースは狙い目かもしれません。
 今回のJCを見ても、レース展開の読みや、アタックのタイミングを計るのが上手いクレバーな選手なので、今の力ならグランツールのステージ優勝やクラシックレースの勝利も大いに期待できると見ています。この時期は各チームの戦力が固まりつつあるので、パウレスもシュタインハウザーもおそらくEF残留になると見ていますが、そこは資金力が無いチームなので、油断は出来ないのですが…
 何度も書きますが、自分が乗っているロードバイクがプロツールで勝利するのは格別です。ポガチャルは好きですがコルナゴのバイクは私にとって高値の花ですし、ヴィンゲゴーのサーベロも同様です。TREKのマドンも同じクラスで5万円ほど高くなるので、cannondaleの第4世代のSupersix EVOの399,000円というのは、私のようなホビーライダーには有難いコストパフォーマンスです。勿論、プロ仕様はHi-ModのDi2なので価格は跳ねあがりますので、フレーム形状が全く同じでこの価格は嬉しい限りです。
 
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怪物ポガチャルの1強時代が到来(3)

2024-10-19 15:43:23 | プロ・ツール
 今回、イル・ロンバルディアのレースを観て感じたことですが、ポガチャルとエヴェネプールの出力の違いでした。とにかく一発のアタックを決める時以外はポガチャルとエヴェネプールの出力に大きな差は無いということでした。ポガチャルはハイケイデンスで軽いギアを回すタイプで、エヴェネプールは空力の高いフォームで重いギアを踏むタイプです。
 改めてポガチャルは優れたクライマーなのだと思いました。今年のツールでもプラトードベイユとガリビエの登坂記録を更新したのがその証でしょう。あの伝説のクライマーだったマルコ・パンターニの記録を塗り替えたのですから。

 ポガチャルは乳酸除去能力が高いと言われていますが、ハイケイデンスで走る選手は元々心肺能力が高く、軽いギアで走るので脚への負担が少ないというのが常識になっています。その分心肺に係る負担が大きくなるのですが、同じ筋肉でも心筋は回復が早いという特徴があります。一度上がった心拍数も少し休めば下がるのです。一方、脚の筋肉は疲労は蓄積して行きますので、長い距離を走るサイクルロードレースでは脚への疲労は極力少なくすることが求められるのです。

 イル・ロンバルディアのレースでポガチャルは残り48.5km地点で一発でアタックを決めます。この時のポガチャルの最大出力が930Wでした。エヴェネプールは無理に追いかけなかったのですが出力は610Wでタイム差が一機に開いて行きます。コルマ・ディ・ソルマノの頂上で1分ものリードを得たポガチャルは下りでも攻めますが、そこは技術で後続との差を広げて行きます。
 エアロ効果が高いフォームのエヴェネプールですが、カーブの多い下りはスピードよりも技術の差がものをいい、ポガチャルとのタイム差は徐々に開いて行きました。下りでは負荷がかからず心肺機能を休ませることができるので、ポガチャルは身体を休ませながらも後続との差を広げて行ったのです。
 カーブの少ない踏める下りなら、エヴェネプールの空力の高さや大きなギアがものをいうのですが、4年前にスピードオーバーで崖下へ転落しているコースでは慎重に下らざるを得ないのでしょう。2位でのゴール後、涙を見せていたエヴェネプールにとって、あの大落車を乗り越えたことへの感慨があふれ出していたのでしょう。
 
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怪物ポガチャルの1強時代が到来(2)

2024-10-16 11:25:57 | プロ・ツール
 2022年と2023年のツール・ド・フランスでヴィンゲゴーに敗れ続けたポガチャルですが、今年は始動を遅らせジロとツールのWツール制覇を目指します。ジロとツールのWツールはマルコ・パンターニ以来の大記録で、最初は誰もが半信半疑だったと思います。ジロは勝ててもツールは厳しいのではという意見も少なくありませんでした。そこで「ポガチャルのWツールを考える」という記事を書き始めたのです。

 今季の初戦ストラーデビアンケで80km超の独走勝利で終え、ミラノ~サンレモこそスプリント勝負で3位に敗れますが、リエージュ・バストーニュ・リエージュも独走勝利。初参戦となったジロ・デ・イタリアでは何かを試すような走りを見せながらもステージ6勝で他を圧倒してマリア・ローザを獲得してしまうのです。まさに、ジロをツールのトレーニングに使った感じでした。

 その後ぶっつけで挑んだツール・ド・フランスでも開幕前は4強といわれていたにも拘らず、ステージ6勝で2位以下に10分近い差をつける圧勝すると、オリンピックをスキップし世界選手権に目標を絞ります。オリンピックに出ていたらエヴェネプールの2冠は無かったかもしれません。
 ツール後ポガチャルには様々な選択肢があったはずです。ブエルタ・ア・エスパーニャに出場し前人未到の個人による3大ツール完全制覇やオリンピックでの金メダルに世界選手権のアルカンシエル等々です。ただ、ポガチャル自身は初めからブエルタへ出場する気は無かったようで、ツール後は世界選手権を目指すと明言しているのです。

 オリンピックに関しては色々と取りざたされましたが、結果的にはスキップしたことが功を奏したようです。というのも、今シーズンでポガチャルを最も苦しめたレースが世界選手権だったからです。ここまで何度もチャレンジしながら昨年の3位が最高という、ポガチャルにとっては苦手なレースでしたし、獲得標高の高い今年のコースも味方し、ギリギリの逃げ切り勝利という結果でした。ステージレースでのスプリント勝利以外では最小の34秒というタイム差がその証左でしょう。
 



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新しい逃げの型(3)

2024-10-15 13:56:52 | プロ・ツール
 最適なタイミングで飛び出したとしても、一定以上の出力を維持する能力が無ければ、ワンデーレースで逃げ切ることは出来ません。アタックで脚を使い過ぎれば、出力が維持できずにつかまってしまいますし、アタックが緩くては後続を引き離せずに、これもすぐに捕まってしまうでしょう。
 競馬や競輪等でも「逃げ」という戦術はありますが、競馬でも最長距離が3600m、競輪なら2000m程度です。競馬の逃げは展開や馬場状態が大きく影響しますが、サイクルロードレースに比べ走る距離は数十分の一程度に過ぎないのです。平均速度も競馬の方が速いのですが、例えばサイクルロードレースのように200kmの距離ならどうでしょう。

 近年、サイクルロードレースの平均速度は時速40kmを越えています。そして、このレース速度が年々上がっているのです。パワーにして300W程度なので、プロ選手にとっては巡行速度といえるでしょう。
 ただ、40km/hで走行しているプロトン(集団)から逃げを決めようとすれば50km~60km/hという速度が必要になるので、必要とするパワーが一機に跳ね上がるわけです。プロトンが逃げを容認すれば少ないパワーで逃げられるのですが、アタック合戦が繰り広げられると、求められるパワーがより大きくなるのです。

 バイクやパーツ類、ウェアにヘルメットとエアロ化が進み、ただでさえレーススピードが上がっているのに加え、近年のレースでは序盤から激しいアタック合戦が起こり易く、レース序盤の平均速度が50km/hというレースも増えているのです。この状況から抜け出すのに脚を使えば、ゴール迄逃げ切ることなど不可能なのです。

 従って、この序盤の逃げが決まる事はほとんどありません。競馬ならサイレンススズカのように圧倒的なスピードで2000mを逃げ切るということもありましたが、走行距離が200kmにもなるサイクルロードレースでは、スピードの差だけで逃げ切るのは不可能なのです。最もスピードのあるスプリンター達はゴール前に脚を温存しますし、長い時間そのスピードを維持することは不可能なのです。10分ほどのタイム差はプロトンが本気で追えばほぼ捕まります。
 個人的にはこんな可能性の低い序盤からの逃げは勝つためのものではなく、選手やチームのアピールに過ぎないと思っています。有力な選手が逃げれば、プロトンは確実に追いますし、逃がしたとしてもタイム差は最小に留めます。それが出来るのがプロチームでありプロの選手なのですから。
 
 



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怪物ポガチャルの1強時代が到来(1)

2024-10-14 18:20:51 | プロ・ツール
 今年は冬場に足を骨折し、雪が融けても自転車に乗れない日々が続き、ストレス解消にと久々に本格的にサイクルロードレースをTV観戦することになりました。春先はファンデルプールの強さが際立っていたのですが、ポガチャルが初参戦のジロ・デ・イタリアを圧勝した頃からポガチャルの強さに魅せられて行きました。

ポガチャルのWツール制覇とエヴェネプールのオリンピック2冠という結果から、「怪物ポガチャルと神童エヴェネプールの2強時代」という記事を書いて来ましたが、2024年シーズンは後半に来て怪物ポガチャルの1強時代が到来してしまったのではと思わせる状況になっています。
 初めて参戦したツール・ド・フランスで3位表彰台にパリオリンピックでTTとロードレースの2冠に輝いたレムコ・エヴェネプールでしたが、オリンピックをスキップしたタディ・ポガチャルに世界選手権では完敗。しかも、ポガチャルは100km越えのアタックから3段ロケットで独走勝利という驚きの走りを見せ、ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスのWツールにアルカンシエルを加えたトリプルクラウンという大偉業を達成することになったのです。ステファン・ロッシュ以来37年振りという大記録でした。

 世界選手権後、初のアルカンシエルジャージの初お披露目となったジロ・デッレミリアでも38kmの独走を決め、迎えたイル・ロンバルディアでは48.4kmを独走し、2位のエヴェネプールに3分以上のタイム差を付けて余裕の勝利で、ファウスト・コッピ以来75年振りとなる4連覇を達成してしまいました。

 ポガチャルとエヴェネプールの昨年までのワンデーレースでの成績は世界選手権も含めエヴェネプールの5勝4敗だったのですが、今季はステージレースは勿論、ワンデーレースでもポガチャルの完勝でした。唯一エヴェネプールがポガチャルに勝利したのはツール・ド・フランスの個人TTだけで、今のポガチャルをエヴェネプールと同列に語ることは出来なくなってしまいまっているのです。
 



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