四万十川レコード 公式ブログ

四万十と言う小さな町に生まれ、思春期に音楽に目覚めそして今も、長い長い音楽の旅をしています。

星空とフランケンシュタイン

2012-10-01 04:57:34 | Reading Videos




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茜色の夕陽に 僕と兄貴の長い影が延びる
夕暮れのバス停で僕と兄貴は親父を待っている
日の暮れた後の夕闇が恐くて 
僕は兄貴のランニングシャツの腰の辺りをギュッと掴む
「こらっ!あんまり掴むな、シャツがのびる!!」
本当はすでにだらだらとのびたランニングシャツなのに
兄貴は僕の手を放そうとする
僕は夕闇が恐くて意地になって手を固く握りしめる
コールタールとガソリンの混ざった匂いを残して
バス停にバスが止まる 
親父が降りて来た その影はとても大きくて とても長くて
まるでフランケンシュタインの様に思えたっけ‥




「パパ、アイスがとけちゃうよ‥」
僕の腰の下から息子の声が聞こえて僕は我に帰る
あの頃の僕には親父がスーパーマンの様に思えた
両の肩に僕と兄貴を捕まらせて
四万十川の対岸へと泳ぎ着きそして帰って来た親父
僕も兄貴もまだ金槌でまるで泳げなかったあの頃
両肩に僕等を捕まらせて水を切って泳いでくれた親父‥

この子の目には僕が 父親としての僕は
どんな風に映っているのだろう‥
あの時僕が感じたフランケンシュタインの様なでかさに
僕は映っているのだろうか?少し自信が無い(笑)




「天気が良かったら 明日は海に行こうか?」
僕の問いかけに息子は目を輝かせた
君の瞳に僕の背中 どんな風に映る?
僕は君にとって逞しくて強い父親に見えるかな?
君の無邪気な瞳を見詰めて僕は考える
親父から繋いだ命の鎖 それが君だよ
そして君も又 その鎖を次の命に繋いでくれ
それが人間の姿だから‥
僕もそうやって命を君に繋いだんだと
何時か君も気がつくだろう
僕の手をギュッと掴む君の指
僕と親父と君がひとつの鎖になる
それが「Chain of life」、命の鎖だよ‥




何かにつまずいて夢が バラバラに砕け散っても
無邪気な君の笑顔の力で 僕は生き返るのさ‥

「そろそろ帰ろうか、ママが心配しちゃうから」「うん‥」
君は少し名残惜しそうに 夜空に浮かび始めた星を見てる
「ねぇパパ、今日の晩ご飯は何かな?」「んっ?何だろうな(笑)」
きっとママはお前の好きなものを沢山作って待ってくれているよ‥
「ん~っハンバーグがいいな、プリンでもいい!」
「プリンはご飯じゃないだろう(笑)」

君は君の為に自分の人生を 真直ぐに生きて欲しい
僕は僕の為に君を守るから‥
僕は親父からそうやって育てられた
だからね君もそうやって育てようと思う‥

僕の影と 君の影と 親父の影が重なって
ひとつの影になる
遠い故郷の潮騒が 聴こえた気がした‥


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