夕焼けの中をお兄ちゃんと一緒に
バス停までお父ちゃんを迎えに行きました
「今日はお父ちゃんお土産あるろうか?」
僕はお兄ちゃんに聞きました
お兄ちゃんは何にも言わんかったけど
お兄ちゃんも楽しみに待っている事を
僕は知っています
風に触れる電線の音が
「びょうびょう」と鳴っているのが
少し恐かったです。
By onigiri-kun
「高校もよう行かせんで、ほんまにすまんね‥」
かさかさでそして温もりに満ちた手で
オバァが僕に一万円札を握らせてくれた
「なんちゃ気にせんちかまんで‥」
それだけをその一言を伝えるのが精いっぱいだった‥
父と母と家をあの台風で失くした僕を
自分の命を削って祖母は育ててくれた
この指にこの温もりに何の不満があろうか
貧しくても愛に満ちた人生を
祖母は僕に教えてくれた「沈下橋」のある町で
清ちゃんは都会で人を殺して
刑務所に入っていたのだと
町の人が言っていました
でも刑期と言うその人への償いを終えたので
生れたこの町に帰って来たんだそうです
相手はヤクザで連れていた女の人を守るために
清ちゃんは喧嘩したんだとお母ちゃんが言っていました
人を殺す事は悪い事やけんど
誰かを助ける為に闘ってそうなる事は
恥しい事やないけんね
お母ちゃんは僕にそう言いました
沈下橋の側のバス停には
清ちゃんのオバァが
白内障で人の影しか見る事の出来なくなった
清ちゃんのオバァが枯れ木の様に佇んでいました
バスから清ちゃんが降りた事を
バスの運転手さんに教えて貰うと
「ようもんて来たネ‥」
そう言いながら
枯れたその指で清ちゃんの頬を撫でました
オバァのその指を清ちゃんの涙が濡らしました
沈下橋の上をバスが去って行きます
きらきらと光る水面の上を
町へと帰るバスが去って行きます
バス停までお父ちゃんを迎えに行きました
「今日はお父ちゃんお土産あるろうか?」
僕はお兄ちゃんに聞きました
お兄ちゃんは何にも言わんかったけど
お兄ちゃんも楽しみに待っている事を
僕は知っています
風に触れる電線の音が
「びょうびょう」と鳴っているのが
少し恐かったです。
By onigiri-kun
「高校もよう行かせんで、ほんまにすまんね‥」
かさかさでそして温もりに満ちた手で
オバァが僕に一万円札を握らせてくれた
「なんちゃ気にせんちかまんで‥」
それだけをその一言を伝えるのが精いっぱいだった‥
父と母と家をあの台風で失くした僕を
自分の命を削って祖母は育ててくれた
この指にこの温もりに何の不満があろうか
貧しくても愛に満ちた人生を
祖母は僕に教えてくれた「沈下橋」のある町で
清ちゃんは都会で人を殺して
刑務所に入っていたのだと
町の人が言っていました
でも刑期と言うその人への償いを終えたので
生れたこの町に帰って来たんだそうです
相手はヤクザで連れていた女の人を守るために
清ちゃんは喧嘩したんだとお母ちゃんが言っていました
人を殺す事は悪い事やけんど
誰かを助ける為に闘ってそうなる事は
恥しい事やないけんね
お母ちゃんは僕にそう言いました
沈下橋の側のバス停には
清ちゃんのオバァが
白内障で人の影しか見る事の出来なくなった
清ちゃんのオバァが枯れ木の様に佇んでいました
バスから清ちゃんが降りた事を
バスの運転手さんに教えて貰うと
「ようもんて来たネ‥」
そう言いながら
枯れたその指で清ちゃんの頬を撫でました
オバァのその指を清ちゃんの涙が濡らしました
沈下橋の上をバスが去って行きます
きらきらと光る水面の上を
町へと帰るバスが去って行きます
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