四万十川レコード 公式ブログ

四万十と言う小さな町に生まれ、思春期に音楽に目覚めそして今も、長い長い音楽の旅をしています。

よだかの星

2017-06-13 04:33:05 | コラム
そう言えば随分と久しく
星空を見上げてないなぁ…
星の綺麗な所に住んでいるのに
夜空を見上げる事も忘れてしまっている。

夜空と言えば小さい頃に読んだ
宮沢賢治の短編を思い出しました。



よだかは、実にみにくい鳥です。
顔はところどころ味噌をつけたようにまだらで
くちばしはひらたくて耳までさけ ...

美しい、はちすずめや
かわせみの仲間でありながら醜い姿で
勇ましい鷹からはお前が鷹の名前を
名乗るのはおがましいので
これからは市蔵と名乗る様に言われる。

宮沢賢治のセンスなのだろうが
何で市蔵?なのかは笑ってしまうが(笑)

誰からも好かれず誰からも愛されず
生きている夜鷹…



故郷を追われる様に捨て
見知らぬ場所で生きている夜鷹は
自分が生きて行く為には沢山の虫達の命を
奪って生きている事に気が付きます。
夜鷹は生きる事に絶望し
太陽に焼かれて死のうとします。
でも太陽にはお前は夜の鳥だから
星に願いを頼めと言われ
星に願いを告げても相手にされずに笑われ
それでも空へ空へと飛び続けます…



この話は皆さんは読んだ事がありますか?

私は何故か子供心に生きて行く事に
暗たんたる絶望感を感じた事を
思い出してしまいました。

宮沢賢治の心の中に住む仏神が
この話を書かせたと思いますが
切なくて辛い立場に生きて行く事の孤独感と
世の中から不条理に扱われる事の悲しみが
醜い夜鷹の姿を借りて語られています。

夜鷹は宮沢賢治自身であり
また私達自身でもあるのでしょう。



空へ空へと飛び続けた夜鷹の身体は
青白く激しく燃える
夜空の中でもひときわ輝く美しい星となります。
そしてその星は、よだかの星と呼ばれました…

ねぇ…。
最後の星になるくだりがなければ
実に後味の悪い話です。

でもそれは浄土真宗から日蓮宗に改宗して
不遇な中にも魂を燃やし信仰に生きた
宮沢賢治自身の姿なんでしょうねぇ…(。-_-。)

小学校の授業でこの話を学んだ後
しばらくは私は「よたか」と言われましたね。
私の名前が単純に「ゆたか」だっただけの
話なんですけどね(笑)

ゆたかの星は
夜空の何処にあるのかなぁ…なんてね(・ω・)ノ

よだかの星 (日本の童話名作選)
宮沢 賢治
偕成社


宮沢賢治全集〈5〉貝の火・よだかの星・カイロ団長ほか (ちくま文庫)
宮沢 賢治
筑摩書房

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