カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

巣立ち3

2006-06-20 19:23:09 | 繁殖

 カラスの巣立ちも残すところ後2番となった。早いところでは威嚇行動も治まりつつある。実に平和なひと時を過ごしている家族もいる。ボソの中で公園一神経質な番がいる。この番は雛数こそ少ないのだが、先日兄弟が死んでしまったボソと同じで毎年確実に雛を残している。今年は無事に2羽の雛を巣立たせた。地面に下りる事もなく、順調に育っているようである。雛のおねだりの声が日に日に大きくなってきた。ボソの雛のおねだりの声はとても可愛い。

 今日まで巣立ったカラスの中で一番忙しいのはいじめられっ子の親である。今年は頑張って3羽の雛を育てている。巣立っているのは2羽だ。残りの1羽は未だ巣の中にいる。先日最初に巣立った2羽のうち1羽に成長の遅れがあるのか全く飛ぶ事が出来なかった。雛が地面に下りてしまい、親が通行人を次々と攻撃してしまった。しかし「私に何とかしてくれ」と言われても、実は出来る事は殆どなく通行人を誘導する事くらいだった。

 ある日この雛は地面を放浪して歩道に出てしまい、最終的に隣接する某署の敷地に迷い込んでしまったらしい。私が帰った後の事だった。親が通行人を攻撃していたらしく困った職員の人が雛を捕まえて公園へ戻してくれたのだ。実はこの人「カーコのお父さん」だった。

 しかし先日いじめられっ子の親に不幸が起こってしまった。この雛が食べられてしまっていた。オオタカかネコにやられたのだろう。死骸は綺麗に食べ尽くされており、首は見付からなかった。人が行った行為なら許せないのだが、切り口から判断してもそれはなさそうだった。取り合えず雛の死骸は無駄になる事がなかった事になる。羽と足だけになってしまった雛を埋葬してあげた。親の様子が気になったのだが、雛がまだ残っているので大丈夫そうに見えた。それどころか給餌や威嚇に忙しく、悲しんでいる余裕がないのかも知れない。

 最初の雛が巣立って一週間を過ぎた。まだ雛はホッピングしか出来ない状態である。毎年思うのだが巣立ちした雛がウォーキング出来るようになるのに何日要するのだろう?これを確認するには雛に毎日地面を歩いてもらうしかないのだが、地面に下りてしまうと人との接触が多くなる。物事は上手く行かないものである。

 しかし問題なのは未だ巣に残っている最後の雛だ。通常雛の巣立ちに多少の差があっても何ら不思議はない。それにしても一週間経っても巣立てないというのは何かおかしいと思っている。いじめられっ子の親は遺伝なのかあまり健康状態の良い雛を育てる事が出来ないらしい。

 巣にいる雛の状態を見ていると立ち上がる姿を見た事がないのだ。給餌の際にも雛は伸び上がりはするものの、しっかりと足で立ち上がる事がないのである。もしかしたら、この雛は足に何か障害があるのかも知れない。私は毎日巣に雛がいなくなっている事を祈りながら巣を見るのだが、期待は裏切られ雛は巣にいるのである。

 もしこの雛が巣から落ちてしまったら一体どんな事になるのだろうか?と想像してしまう。きっと親は大パニックになり、そんな時に限って人が多く接触してしまうのである。雛がただ単に成長が遅れているだけなら問題はないのだが・・・・・。

画像:いじめられっ子親

コメント (4)
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