カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

2007・巣立ち7:終焉

2007-07-12 06:02:52 | 繁殖

飛べない雛

 「2007:巣立ち7」の飛べない雛がどうなってしまったのか?と気になっていた。私が見に行くと親に余計な神経を使わせてしまうの行くのを控えていたのだ。しかしあれだけ毎朝地面を歩いていたのに、パッタリとその姿を見せなくなってしまった。親の威嚇行動も治まりつつあり、いつも飛べない雛がいた方向を見る事がなくなっていた。私自身用事があり、一日様子を見る事が出来なかったのである。姿を見せなくなった2日目のある日の事である。

 私は朝、児童が登校する時間を避けて雛のいた場所を見に行った。雛の姿はなく、上では私の姿を見つけた親が電線を突きながら怒っていた。ちょうどその時、民家の人が出て来て雛の事を話してくれた。

兄弟

 やはり雛は死んでしまったのである。私が最後に枝へ移動させた時点でかなり衰弱していて、首が自然と下がってしまっていた。内心「明日一杯持ち堪えるだろうか?」と不安に思っていた。しかし予感は的中してしまったのである。最後に移動させた翌日は私以外には威嚇はほとんど見られなかった。この時点で親はもう諦めてしまったのかもしれない。

 民家の人も親が大人しいので気になっていたようである。雛の様子を見に行った時には既に地面でぐったりとしていたそうである。可愛そうなので日陰に移してそのままにしておいてくれたのである。しかし翌朝には冷たくなっていたそうである。

 このブトは今年は撤去される事なく順調に営巣する事が出来た。雛数も4羽と頑張ったのだが、4羽全てを立派に育て上げる事は出来なかったのである。食べ物との関連もあるだろうし、雛自身の体力もあったのだろう。

 この雛のように成長が遅れてしまい兄弟の後を付いて行くように巣立ってしまった場合はトラブルが起こる事が多い。ほとんどの場合は捕獲されて捨てられてしまうのである。しかし今回はカラスの事を理解してくれる人がいた事もあり、この雛は親の元で命を全うする事が出来た。本当に短い命だったのだが、親に見守られて幸せだったと思うのである。

 本来なら雛が地面に下りてしまっても放っておくのが自然な事である。しかし住宅街や人通りが多い場所となると話が違ってくる。少しでも人との軋轢をなくすためには人が手を差し伸べなくてはいけない状況になる。生まれて来た雛に罪はないのだから・・・・・。

兄弟

 2羽の雛を失ってしまったのだが、親は残りの雛の育児に追われている。悲しんでいる時間はなさそうである。大きく成長した兄弟は親と一緒に移動して修行に出る時期でもある。しかし夕方になるとちゃんと家族揃って眠りに就いている。実に微笑ましい光景である。

 来年はどうなるのかは分からない。ボソがいつも通りに営巣をしたら、恐らくこのブトはこの場では営巣する事が出来ないだろう。街路樹に営巣したらまたいつものように撤去されてしまだろう。このブトの縄張り自体は広いのだが、営巣に適した木が少ないのである。これは都会の住宅街に営巣するカラス全般に言える事だろう。しかしそれでも諦める事なく、必死になり子育てをしているカラス達を見ていると嬉しい反面悲しくもなる。ブトが住宅街でも安心しえ子育てが出来る日がやって来る事を祈る毎日である。

 毎年カラスの巣立ちが始まるとお決まりのように苦情が殺到して何の罪もない雛がその犠牲となってしまう。親の威嚇行動が年中行われるのなら話は分からないでもないが、ほんの一時の事である。一年のうちのほんの数週間だけカラスに対して優しい気持ちにはなれないのだろうか?そうかと思ったら異常なまでの愛情心を発揮してマガモを守ろうとする。マガモはもはや野鳥ではなく「ペット」である。この対応の違いは一体何なのだろう?

コメント (6)
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